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RPAの無料製品9選|ツールの特徴や選定基準を紹介

RPA

 RPA導入成功事例が続々と聞かれるなか、「我が社でも」と導入意欲を燃やす経営者や管理職も多いだろう。ただ立ちふさがるのが「RPAって何?」という理解の浅さと、「こんなに費用がかかるの?」というコストの問題である。RPAの成功事例の裏には、数多くの失敗事例があるのも確か。せっかくコストをかけたのにRPAが自社で利活用できずムダな投資に終わってしまうケースも少なくない。

 本稿では業務効率化の実現のためにRPAは必要なのか、どんな仕様で動くのかといった疑問を持つ方のために、まずはコストをかけずに試せる無料のRPAを紹介していく。

1 無料で利用できるRPAツール一覧

(1)オープンソース製品の利用

 まずITツールを無料で導入するための候補としてオープンソースツールを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。世界のオープンソースプロジェクトが集うプラットフォームにGitHubに登録されているRPAツール開発プロジェクトは数多く、周辺ツールも合わせると数千に及ぶ。ただし国内企業でオープンソース製品を利用してRPA化に成功した事例は少なく、個人で業務適用した事例がほとんどだ。その点を考慮して導入を検討するのが良いといえる。

Sikulix――GUIコンポーネントを利用してWebアプリ操作を自動化

 国内での業務適用事例がいくつか語られているツールに「Sikulix」がある。これは操作自動化ツールと呼ばれ、もともとはWebアプリケーション開発のテスト工程で用いられるようなテストシナリオの自動実行ツールであるが、GUIコンポーネントを画像認識して自動化シナリオを作成しやすくしているところが特徴だ。

 ユーザー操作を模倣するテストの自動化は、業務自動化とほとんど違いがないケースが多く、こうしたツールは開発エンジニアにとっても利用しやすいため、業務適用もエンジニアであれば難しくないといえる。Sikulixは著作権表示などのルールさえ守ればほぼ無制限に利用できるMITライセンスが適用されるため、無料で好きなだけ使うことができる。

Selenium――ブラウザにアドオンして操作を記録、スクリプト化が可能

 SeleniumもWebアプリケーションのテスト自動化を行うツールだ。Sikulixが画像認識でGUIコンポーネントを識別・制御するのに対し、Seleniumはブラウザ操作からテストスクリプトを作成するオブジェクト方式で処理を記録するところが違う。
 Google ChromeとFirefoxのアドオン「Selenium IDE」の機能により、ブラウザ操作履歴をHTMLテストスクリプトとして保存し、必要なら微調整を加えて操作を再現することができる。各種のWebブラウザに対応しており、Webアプリケーション専用のRPAツールとして利用可能だ。また最初からHTMLテストスクリプトを記述してもよく、Java、C#、Ruby、PHP、Perl、Python、JavaScript(Node.js)などの開発言語で記述することもできる。しかし有償のRPAツールと比較して利用の難易度は高く、エンジニアの関与は欠かせないだろう。

(2)無料プランのあるRPAツール一覧

 オープンソース以外にも無料で利用できるRPAツールはいくつかある。そのほとんどは入門用であり制限が多いものの、試用して結果がよければ、作成したロボットを含めて本番適用可能な有料モデルに切り替えることも可能だ。

UiPath Community Cloud――最大3台のロボットが利用可能

UiPathはデスクトップタイプのRPAツールとしてグローバルで導入が進んだ代表的なRPAツールだ。有料プランは法人用に「Studio」「Enterprise Cloud」「Enterprise Server」がラインアップされていて、これら3モデルは60日間の無料試用が可能。これとは別に個人向けの無料プラン「Community Cloud」がある。

 Community CloudはWindowsのみの対応だが、設計ツールが2ライセンス、最大3台のロボットを運用できる。まずは3台以下のロボットでの運用で様子を見て、ロボットが無制限に作成できるEnterprise CloudかEnterprise Serverに格上げするかどうかを判断するのが一般的な利用法となるだろう。無料プラン内での業務自動化でひとまず十分なら、ロボットを使い続けることも可能だ。

 またUiPathはグローバルでユーザーが多く、関連情報はUiPathフォーラムの無償情報から得ることができる。ベンダーサポートは有償モデルでのみ利用できる。

Intelligent Automation Cloud Express――日本語対応でさらに利用しやすく

 WorkFusion社が 2019年9月までRPA Expressという名称で提供していたツールが「Intelligent Automation Cloud」と名称変更された。現在同社のRPAツールは「Express」と「Business」「Enterprise」の3モデルに編成されている。全てのモデルで日本語対応が行われて利用しやすくなった(英語、スペイン語にも対応)。このうち無料で利用できるのはIntelligent Automation Cloud Expressだ。

 デスクトップ型のRPAツールの基本機能であるアプリケーション操作、マウスやキーボード操作、操作のレコーディングなどはExpressモデルでもカバーできており、組み込みOCR機能なども備えられる。有料モデルではそれに加えて集中管理機能やタスクスケジューリング機能、ワークフロー機能などが追加され、ユーザー数、多数のロボットの運用をしやすくしている。最上位のEnterpriseモデルは分析やガバナンス強化、セキュリティ強化などが追加されているのが大きな違いだ。

 基本的なRPA機能がExpressモデルに備わっているため、単一の業務を1台のPCでこなしている場合には、問題なく業務を効率化できることもあるだろう。ただし社内にRPAを普及させたい場合には、複数ロボットを管理し、処理をスケジューリングしながらこなせるBusinessモデル以上がおすすめだ。

Robotic Crowd Agent――Chromeとスプレッドシード、CSVの処理に最適

 株式会社チュートリアルが、Google Chromeの機能拡張として提供しているのがRobotic Crowd Agent」だ。もともとは同社のクラウド型RPAツール「Robotic Crowd」と併用して操作レコーディングなどを行う補助ツールという位置付けだが、Agentだけを無償で利用できる。

 Agentだけでも、Webブラウザ、CSVファイル、Googleスプレッドシートを使う範囲の業務なら一連のワークフローを設計してロボットを作成できる。例えばブラウザ操作で情報を取得してスプレッドシートに入力したり、CSV形式でファイルに書き出したり、スプレッドシートと連携した繰り返し作業を自動化したりすることができる。

 この範囲を超えた処理については有料のSaaS型のツールであるRobotic Crowdを利用することになる。Agentで作成したロボットはそのままRobotic Crowdで使用でき月額10万円(税別)〜の定額でロボット2台を運用できる(その他の料金プランは要問い合わせ)。

(3)無料トライアル版の利用

 RPA導入を検討する企業のほとんどが望むのが広範な業務自動化による効率アップであろう。現実的には特定部門からのスタートになるにせよ、RPAツールには相応のスケーラビリティと信頼性・安定性、そして業務部門でもIT部門の支援があればロボット作成も可能な操作性、また統合管理のしやすさなどがいずれ求められるようになる。

 オープンソースツールを用いるなどして自社でRPA実現を図れる技術力があればよいが、そうでなければ特にRPA化が効果的な業務に限って上記のような無料モデルを利用するか、ゆくゆくは多様な業務に本格展開することを視野に入れて、ふさわしい要件を備えた製品を試用してみる必要があるだろう。その際、無料トライアルが用意されている製品を複数試用してみると、PoCの一助になるはずだ。

WinActor ――国内トップクラスのシェアを誇るデスクトップ型RPA

 NTTアドバンステクノロジーが提供している「WinActor」は国内シェアがトップクラスのRPAツール。Windows対応で、画像認識あるいは座標指定などの技術を駆使してPC操作を自動記録する機能に優れる純国産ツールだ。

 デスクトップ型であり、導入が比較的単位間で済むところも特徴である。また導入事例が多く、導入済み企業から経験談が聞ける機会が多いことも、あまり語られないが大事なメリットといえそうだ。無料試用版はフル機能で30日間利用できる。作成したシナリオはライセンス購入後はそのまま利用できる。

Blue Prism ――全社統括管理を実現しやすいサーバー型RPA

 イギリス発祥のBlue Prism社が提供する全社統括管理機能に優れたサーバー型RPAツール。最も早期からRPAに取り組んだ同社は近年、日本企業への展開を強力に進めているところだ。

 無償評価版は、クラウド環境(Microsoft Azureのアカウントが必要)またはローカルサーバ(Windows 8.1または10(64ビット版)10GBの最小空き容量が必要)にインストールできる。最大30日間、ロボット1台、プロセス数は15までの制限がある。

 無料評価版とは別に、学習用無料ライセンスがあるのが特徴だ。こちらは90日間、ロボット1台、プロセス数は5までである。ローカルサーバにインストールして利用する(Windows 8.1または10(64ビット版)10GBの最小空き容量が必要)。

Kofax RPA――エンタープライズ向けのサーバー型ツール

 WindowsとLinuxに対応するKofax社提供のサーバ型ツール(旧名はKapow)。操作のレコーディング機能などで簡単にシナリオ作成が可能で、作成したロボットを他のロボットで再利用したり、他のシステムからロボット処理を呼び出したり、ロボットのバージョン管理を含む集中管理、多数のロボットの監視、制御が可能など、大規模展開に有用な特徴を備えている。

 BizRobo!やSynchroidが同社のOEMを利用していることも有名だ。またGoogle VisionやIBM Watsonとの連携、コグニティブ技術の非構造化データへの適用などの特徴にも注目したい。

 無料トライアルはフル機能で1年間。Windows x64対応、管理サーバ、データベース、ロボット開発環境のセットなどが提供される。

Automation Anywhere--グローバルでの導入実績が豊富

 Automation Anywhere社が提供する、グローバルで導入実績豊富なサーバ型RPAツール。世界規模のユーザーコミュニティー、豊富なロボットパーツがダウンロード可能な「RPA Bot Store」やトレーニング環境などを整備しており、大規模展開、統括管理・運用に適した特徴を備えている。

 ロボット開発機能、ロボット実行機能、ロボット管理機能に加え、ドキュメント作成支援機能(操作記録に応じたドキュメント自動作成が可能)があるのも特徴の1つ。

 無料トライアルは、Automation Anywhere Enterprise RPA プラットフォームのフル機能を30日間利用できる。

2 無料トライアル版、または無料版を利用する場合の注意点

 無料トライアル版の利用は、当然ながら有料版を購入することを視野に入れて行うことになる。従って、当面の業務適用で結果を出すことよりも、いずれ自社で本格展開する姿をイメージして、仕様や機能、操作性、性能、スケーラビリティ、運用管理負荷、操作や機能の習得の難易度、要求されるITリテラシーなどを正しく評価し、見積もらなければならない。

 とはいえ、RPA利用経験のないまま、また対象となる業務の洗い出しが不十分なままだと、製品の評価はなかなか難しい。できれば無料版をある程度の期間、IT部門などで利用してRPAによる業務自動化の実際を体験し、問題が発生しやすいポイントや、適用するにふさわしい業務の特徴などをある程度明確にした上で、業務部門にヒアリングを行い、業務効率化への希望や現状の課題を把握しておくことが望ましい。

現実的には無料版で事足りることは少なく、RPA化が適切だと判断できれば早期に有料版に移行することを視野に入れて導入プロジェクトを進める方が良いだろう。しかしトライアル期間はだいたい30〜60日であり、またシナリオ設計ができるライセンス数や運用可能なロボット数が少ない場合もある。トライアルでの評価はできるだけ要領よく、ポイントを押さえて実行することが望まれる。

3 オープンソースツールに潜在しているリスク

 無料トライアル版は、有料版の機能がそのまま利用できる場合が多く、ユーザー数、作成可能なロボット数、利用期間、サポートの手厚さなどに制限があることだけが違う。基本的にはベンダー側が動作を保証しているので安心感がある。その一方、オープンソース製品には開発者側のサポートがあまり期待できず、日本人の業務スタッフはもちろん、ITエンジニアでも機能・仕様を十分理解して効果的に利用するにはハードルが高い。

 オープンソース製品はトラブルが起きた場合や、開発で困った場合に相談できる相手が必ずしも適時に得られるわけではない。情報収集はオープンソースプロジェクトのコミュニティーや公開資料からがメインになり、情報がなければ自己解決するしかない。良くも悪くも自己責任なのだ。この点を踏まえて製品選定をした方が良いと言える。

4 無料か有料か、製品選定の基準は何?

 以上をまとめると、オープンソース製品、無料版、無料トライアル版のお勧めの使い方は次のようになる。

・基本的には有料ツールへの移行を視野に入れ、無料版または無料トライアル版を試用する
・単一の業務への適用など、極めて小規模なRPA化で十分なら無料版を長期利用する
・複数業務に適用し、将来の大規模展開を図るなら、スケーラビリティや多数のロボットの統合管理機能が十分な有料ツールの無料トライアルを行う
・社内に開発に精通した人材が豊富で継続的な開発・運用体制がとれる場合はオープンソースツールの利用も検討する

 また、RPAツール導入、製品選定にあたっては、事前に次のようなアクションが必要になる。

RPAツール選定前に行うべきこと

・IT部門内だけでなく、業務部門、経営層も含めた業務課題・改善要望のヒアリングを十分行う
・RPA適応候補業務の洗い出し、絞り込みを行う
・RPAツールの基本的な役割、機能について、無料版や無料トライアルを通して理解する

紹介動画の確認で使用感を確認する

 なお、RPAの全体像や個別の具体的操作法については、各ベンダーのWebサイトや販売代理店となっているSIerなどのWebサイトに、紹介動画や画面例なども用いた手順解説、あるいは事例解説、Tipsの紹介記事など、さまざまな情報がある。でこうした情報を調べることが、間違いのないRPA導入につながるはずだ。

 そしてRPA製品選定の基準としては、主に次のようなポイントで比較することをお勧めする。

RPA選定のポイント

 ・導入しやすいデスクトップ型製品か、大規模展開の際に頼れるサーバ型製品か
 ・既存環境との適合(対応OS、ブラウザ、既存業務システムとの連携など)
 ・操作の自動記録機能の有無や精度、エラーの発生頻度、シナリオ作成の難易度
 ・汎用的なロボットパーツやサンプルロボットの提供の有無、種類
 ・多数のロボットを運用する場合の管理機能、セキュリティ、管理者の負担の程度
 ・導入コスト、ランニングコスト(費用対効果)

 こうしたポイントで比較すると、同じツールでも企業により、また適用業務の種類により評価は異なるだろう。自社にフィットするか否かは利用してみなければ分からないことがたくさんある。

 まずは情報収集をしっかり行い、要件を洗い出して課題解決にどう役立てられるかを念頭に、各種ツールを試用してみることが重要だ。具体的な操作方法、動作環境、展開方法などについて、大手ベンダーはWebサイトやセミナーなどで解説している。操作についての動画も無料で視聴できる場合があり、トライアル前にある程度様子をつかむことができるので、ぜひ丹念に開発元やベンダーの情報にあたっていただきたい。

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