検索
レビューを探す
レビューを探す

考えなしのRPA導入は失敗のもと?RPAツールのデメリットとは

RPA

 日本の重大な社会課題の1つに「人手不足」があります。この人手不足の解決方法の1つとして「RPA」が注目されています。

 RPAは「Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、ホワイトカラーのデスクワークをPCやサーバの中にあるソフトウェア型ロボットが代行・自動化する概念です。

 RPAは定型的な業務を人間に代わってロボットが行い、人間はもっと価値のある業務に集中できるようになる魔法のツールのようにいわれており、そのメリットを謳う記事は多く見受けられますが、デメリットはないのか? また本当に効果が出るのか不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

 ここからは、RPAのデメリット、導入・運用時によくある失敗と原因を紹介し、RPA導入の必要性を見極めるポイントなどを紹介していきます。

1.RPAのデメリットとは?

 RPAは最初に人間が定義したルールを「忠実」に守り、休みなく処理を自動的に繰り返してくれるツールです。「忠実」であるがゆえに「気の利かない」RPAが引き起こすデメリットは、次のようなものが挙げられます。

・誤った処理に気付かないままRPAが処理を続けてしまう

 前述の通り、RPAは人間が定義した処理ルールを自動的に反復していきます。そのため、誤った作業であってもその妥当性の判断は行わず処理を続けてしまうため、処理ルールの作成段階に誤りがあると、想定した正しい結果を得られません。

 また、RPAはさまざまなシステムからデータを集めて処理を行うことができますが、データを提供するシステムの仕様が変更された場合でも、同じルールで処理を続けてしまいます。データを提供するExcelシートの行が一行ズレただけでも、望んでいたものとは全く違う結果を出力し続けることになるのです。

・RPAのロボット開発に工数がかかりすぎてしまう

 RPAベンダーのWebサイトを見ると、「RPA導入は至って簡単」、「すぐにでも自動化できる」といった印象を受ける方も多いと思います。しかしながら、これは「自動化できる業務が適切に選定され、業務フローが可視化されており、漏れなくダブりなく整理されていれば」という前提条件があることを忘れてはいけません。

 特に長年続いている業務はその時々の担当者によって作業が追加され、結果、煩雑に変わっているものが多くあります。これを機に業務の目的を改めて再確認し、ムダな処理や複雑な処理の見直しを行うことが重要です。そうでないと、本来は必要のないムダな業務まで自動化の対象にしてしまい、ロボット開発の工数がかかってしまうといった弊害が発生してしまいます。

2.RPA導入・運用時によくある失敗と、その原因とは?

「さあRPAの導入!」――その前に、ここではRPAの導入時と運用時のよくある失敗例をもとに、その原因と対策を見てみましょう。

導入時の失敗例1:ツールの選定を誤ってしまい、ツールの変更を余儀なくされる

原因:RPAを導入することが目的になってしまい、自動化したい業務に合ったツール選定の検討が不十分であった。

対策:導入段階で、全社対象なのか部門対象なのか、どの業務にRPAが適しているのかなどを十分な検討した上でツール選定を行いましょう。現在、RPAベンダーが続々と増えています。各社のツールの強みや弱みを比較検討した上で、自社の業務に適したものを選定していきましょう。自社での比較が困難な場合、独立した第三者に客観的に選定してもらうことも一案です。

運用時の失敗例1:RPAのエラーを解消できず業務が停止してしまった

原因:RPAで業務を自動化した結果、その業務がブラックボックス化し業務内容を理解している人がいなくなっていた。

対策:予期せぬエラーでRPAの処理が止まった時に、手動で処理を進められるよう対策を講じる必要があります。誰もが理解できるマニュアルを作成しておくこともその1つです。特にその処理が止まることで他の業務に大きな影響があるものは必ず準備をしましょう。

運用時の失敗例2:RPAの更新作業が自社でできず、ベンダーの作業コストがかさむ

原因:RPAの実装をベンダーに丸投げしたため、RPAの変更に関するノウハウが蓄積されず、自社で何もできなくなっていた。

対策:一般にRPAはノンプログラミングで開発できるケースが多く、プログラミングの専門家でなくても実装できるといわれています。複雑な処理はベンダーに任せるとしても、シンプルな業務は自社で変更できるように、人材教育の時間を確保してくことが懸命です。

運用時の失敗例3:RPAの定期的な確認・更新作業に時間がかかり業務が止まってしまう

原因:変更の多い業務やイレギュラーの発生しやすい業務などRPA導入に適さない業務を選定してしまった。
対策:RPAは導入すれば終わりではなく、定期的な確認作業や更新作業が必要です。そのため、あまり複雑なものはつくらず、複雑な業務であっても作業工程を分割して単純化して自動化すると有効です。

・運用時の失敗例4:「野良ロボット」がいくつも存在し、ITガバナンスが効かなくなる

原因:RPA導入・運用に関して管理者の設定や開発ルール、運用ルールを構築していなかったため、誰も自動化の内容を把握できない「野良ロボット」がいくつも存在してしまった。

対策:ITへの投資・効果・リスクを継続的に最適化するための組織的な仕組みが維持されるように、全社的なシステム管理者(通常は情報システム部)は部門独自のRPAの管理ルールを明確にし、各部門はそれを守って導入していくことが必要です。ベンダーから開発や運用ガイドラインのひな形を提供してもらうのも有効です。

3.自社でのRPAの必要性を見極めるポイント

 さて、これまでRPA導入・運用時の失敗例、原因と対策をみてきました。ここでは「そもそも自社にRPAが必要であるか」という妥当性の検討について考察していきます。判断基準のポイントは2つ、「コストの問題」と「ヒトの問題」です。

RPAの導入効果と投資回収期間を算出してみる

 最も重要なポイントであるコストの問題は、年々の「導入効果」と「投資回収期間」の2つに分けることができます。まず、RPAの導入効果は毎年(毎月の場合もあり)のRPAによる人件費削減効果とRPAの運用費用で算出されます。

導入効果(円/年) = 人件費削減額(円/年) - 初期費用+運用費用(円/年) > 0

 上記で算定される導入効果がプラスにならない場合は、残念ながらRPAの導入によるコスト削減の効果はありません。現行通り、人手で処理した方が安上がりとなります。

 次にRPAの投資回収期間はRPAの導入効果とRPAの初期費用で算出されます。なお、ここでは話を簡略にするために、毎年の導入効果は同額で、割引計算による現在価値は無視します。

投資回収期間(年) = 初期費用(円/年) ÷ 導入効果(円/年)

 上記で算定される投資回収期間は、短ければ短いほど魅力的な投資と言えます。例えば、RPAの初期費用が100万円で毎年の導入効果が50万円であれば、RPAの投資は2年で回収できます。一方で、毎年の導入効果が10万円であればどうでしょうか。RPAの投資は回収に10年もかかってしまうことになります。投資の回収期間が長くなればなるほど、投資の魅力は低くなるのがお分かりいただけるでしょう。

運用体制が構築できそうか人員と協力体制をチェックする

 2つ目のポイントであるヒトの問題は、RPAの運用体制が自社およびRPAベンダーと構築できるか否かです。ITシステムに不具合はつきものです。テストを十分に実施しても不測の事態が起こる可能性はゼロではありません。不測の事態に陥 った場合に、業務をいかに止めずに済むかを考慮する必要があります。

例えば、
「月末の金曜日の夕方、今まで順調に動いていたRPAが止まってしまった」
「さて、どうしよう。情報システム部に連絡だ」
「RPAのロボットを組んだ担当者の見立てでは、RPA製品そのものに不具合があるのではないかと」
「じゃあ、ベンダーに連絡だ」
「連絡は取れたが、現行の保守契約では平日の9時から17時までの対応条件なので、調査は週明けになるとのこと。いやいや、これから月末の大量作業が控えているのに、対応が週明けでは困る。なんとかならないか……」

 上記の例では、社内の開発担当者は確保できたものの、ベンダーとの保守契約がネックになり、週内の解決は難しそうです。コア業務に関わるRPAツールはベンダーと24時間365日契約を結んでおくことが懸命です。

 また、社内担当者が対応できる体制を構築している場合も、1人ではなく複数人の体制をつくらなければ、出張等不在時や、最悪、退職していた場合などは業務復活まで多くの時間を要することになることは想像に難しくありません。自社で解決できる人材も、計画的に育成しておく必要があることがお分かりでしょう。このようなリスクの想定を行い、RPAの運用体制が構築できるか否かも重要なポイントです。

4.RPA導入に進む方のための次ステップ

 RPAの必要性を見極めるポイントを踏まえた上で、自社に導入する場合、次にどのようなことを考えるべきかを見ていきます。

押さえておくべきRPAの選定基準、選定時にチェックすべき項目

 RPA選定のポイントは、ツールごとの違い(サーバ型RPAかデスクトップ型RPAか)、価格形態や契約形態、オプションの有無などが挙げられます。また、ツールごとに機能の有無など異なる点がありますので、RPAで実現したい業務フローをイメージして機能をチェックすることが必要です。RPAの主な機能としては、以下の通りです。

・RPAの処理設計
・フロー図によるシナリオ作成
・ レコード機能
・ プログラミング言語によるルール設計
・文字と図形や色の判別
・自動処理の設定
・スケジューリング
・トリガー設定
・ワークフロー
・エラー処理
・ロボット管理
・ダッシュボード
・複数ロボットの制御
・ログ管理

 また、どんな企業でどう活用されているか、満足度が高いツールは何かといった実績を把握することも大切です。導入する企業規模が大企業なのか中堅企業、中小企業なのかで得意とする製品も異なってきます。

 下記はITreviewに集まったユーザーの口コミ(レビュー)をもとに満足度と認知度を軸としたポジショニングマップです。各製品の具体的なレビューを是非チェックしてみてください。

5.RPA導入が向かない企業が検討すべき業務効率化の手段

 ここまでRPAのデメリット、失敗例、原因とその対策、RPAの必要性を見極めるポイント、導入に進むためのステップなどを述べてきました。いかがでしょうか。導入するにはハードルが高いと感じれた方もいらっしゃるかもしれません。

 それでは他に業務効率化の手段はないのでしょうか。そんなことはありません。業務効率化の手法としては昔からあるものでBPM(Business Process Management)があります。 IT用語辞典 e-Wordsによると 『企業などで業務の流れ(ビジネスプロセス)を把握・分析し、継続的に改善・最適化していくこと。また、専用の情報システムを用いてそのような改善活動を実施すること。』とあります。

 進め方としては、既存の業務の可視化を行い、非効率なプロセスを洗い出し改善する全社的なプロジェクトとすることが一般的です。これによって部分最適化に陥っている業務に対して、全体最適化を図ることが可能になります。

 また、単なる業務システム間の連携については、システム改修という手段やEAI(Enterprise Application Integration)といったデータ連携ツールの導入など、すでに実績が十分なソリューションも多数あります。

 さらには、RPAに向いている膨大な定型業務の処理は、その業務自体を丸ごとアウトソーシングするという手段もあります。この場合、該当する業務をRPAで実装するコストとアウトソーシングするコストを比較して判断することになります。

 RPAの導入にしても、その他の手段にしても、業務を効率化し人手不足を解消するという目的を達成するためには、まずは現状の業務の可視化をされてみることをお勧めします。今まで当たり前のように処理してきた業務が可視化されることによって、気が付かなかった処理のムリやムダが見つかる、漏れやダブりが見つかる、そのような可能性は高いのではないでしょうか。

お知らせやキャンペーンなどの
お得な情報が手に入ります

会員登録

「RPA」の記事一覧

「RPA」の記事一覧 >

よく読まれている記事

おすすめ記事

ajax-loder