更新日:2023 年 03 月 10 日

SoftEther VPNとは

 筑波大学の研究プロジェクトとして開発されているVPNサービス“SoftEther VPN”。個人向けおよび大企業での広帯域かつ負荷が発生するネットワークをカバーできるVPNとして、高い拡張性と柔軟性の富んだ次世代のVPNソフトウェアです。

 これまで離れた拠点間通信を行う際、インターネットなどの公衆IPネットワークを経由して行われることが一般的でした。しかし、さまざまなデータが行き交うインターネット経由では、サーバに対して意図していない悪意あるパケットが届く可能性があり、脆弱なソフトウェアやセキュリティホールを狙った危険が潜んでいるため、安全性に欠ける点が懸念されています。

 その点、SoftEther VPNでは、離れた拠点間の通信を仮想ネットワーク上でカプセル化、暗号化して通信を行うため、互いのコンピュータで認証された正しいデータのみを送受信できます。

 複数の拠点間通信を効率化するだけでなく、VPNによるセキュアな通信により、上述したリスクの低減に役立てられるでしょう。専用線よりもさらに強力なセキュリティを無料で導入できるとともに、安定した独立のネットワークの構築が可能です。


SoftEther VPNの主な特長

・オープンソースで利用できる
・リモートアクセスと拠点間通信を可能にする
・AES256ビット および RSA 4096-bitによる強力な暗号化技術
・TCP/IPによりNATやファイアウォールを通過できる
・複数のプロトコルに対応
・クラスタリングによる大規模なVPN環境を構築
・複数のデバイスに対応


柔軟なプロトコルとブリッジ接続による拠点間通信

 現在、さまざまなVPNサービスが登場していますが、筑波大学研究プロジェクトでは、既存VPNの課題ともいえるプロトコルの制限に注目し、より柔軟性の高い新機能を搭載しています。

 その1つとして挙げられるのは、既存のVPNプロトコルとは異なる“レイヤー2”にカプセルやトンネリングの通信を設定することです。これにより通常のLAN、ルーターなどのデバイスを仮想的に実現し、“SoftEther VPN プロトコル”と呼ばれるトンネルを用いて接続することで、これまで通信が不可能だった製品に対して柔軟性の高いVPN接続を可能にします。

 離れた拠点を直接レイヤー2でブリッジ接続することにより、拠点間の通信がレイヤー2レベルで接続された状態となり、LANケーブルで直接接続したような通信を実現します。イーサネットに接続できる電子機器であれば、ほとんどの製品がVPN経由で通信できるほか、レコーダーやデジタル家電などの特殊なプロトコルを使用している機器においても、ルーティングの必要なくブリッジ接続による拠点間通信が可能です。

 また、VPNクライアントをノートPCやモバイル端末にインストールすることにより、ネットワーク外からのリモートアクセスも可能になります。“クラスタリング機能”により大規模な負荷を分散するため、企業における大容量の接続処理も可能となります。


TCP/IPベースの通信でNATやファイアウォールを通過

 SoftEtherVPNでは、拠点である“VPN Server”と、サブ拠点である”VPN Bridge”、ネットワーク外にある"VPNクライアント”という3つのソフトウェアによって、拠点間通信をリモートアクセスで実現します。プロトコルはTCP/IPポート番号を指定して通信できるため、ほぼ全てのNATやファイアウォール、プロキシサーバなどを通過できます。

 この機能は、既存VPNにはほとんどなく、規制が厳しくVPN通信ができない場合においてもSoftEtherVPNによって通信が可能となります。導入時には既存のファイアウォールの設定に穴を空けなくても良いため、設定変更によるセキュリティの低下を防ぎ、管理者の負担を軽減できます。

 SoftEtherVPNの導入により、安全なセキュリティ環境における高速アクセスが可能になるとともに、ルーターや企業ファイアウォールなどのさまざまなプラットフォームで相互接続が維持できるため、VPN通信のセキュリティ向上やネットワーク管理などの目的において活躍するでしょう。


導入方法

 実際にSoftEtherVPNを導入するにあたり、まずはWindowsおよびMacOSなどの対応可否を確認しましょう。そして「SoftEther VPN Server」をインストールします。インストールする前には、ハードディスクに30GB~100GBほどの空き容量があるか、CPUの処理速度がCore2 2.0GHz程度以上であるか、他社製のソフトウェアやファイアウォールがインストールされていないかを確認してください。Windows版ではインストーラによって自動的にインストールされるため、表示される項目に従って進めましょう。なお、SoftEtherVPNはオープンソースなため、個人や業務目的であっても無償で利用可能です。

SoftEther VPNの満足度、評価について

SoftEther VPNのITreviewユーザーの満足度は現在4.2となっており、同じ VPNのカテゴリーに所属する製品では6位、 となっています。

バッジ
満足度
満足度(大企業)
満足度(中堅企業)
満足度(中小企業)
4.2
3.7
4.7
4.1
レーダーチャート
機能への満足度
使いやすさ
導入のしやすさ
管理のしやすさ
サポート品質
価格
4.7
4.2
4.0
3.9
3.1
4.5

SoftEther VPNの機能一覧

SoftEther VPNは、VPNの製品として、以下の機能を搭載しています。

  • バックボーンの提供
    全国(海外を含む)に広がる信頼性が高い共通のネットワークであるバックボーンを提供する
  • バックアップ回線
    メイン回線が故障した場合にバックアップ回線に切り替えることが可能
  • マルチデバイス対応
    PC、スマートフォンなど、さまざまなデバイスでアクセス可能
  • 閉域網でのパブリッククラウドとの接続
    パブリッククラウドにインターネットを経由せず、閉域網で接続が可能
SoftEther VPNの機能と評価点はこちら

SoftEther VPNを導入して得られた効果やメリット

ツールは導入するだけでなく、その後どんな影響があったのかが一番重要となります。 では、SoftEther VPNを導入することでどんな効果や、メリットがあるのでしょうか?
実際に投稿されたレビューからその一部をご紹介します。

リモートワークにVPNが必要だが、VPN専用機器を購入せずに低コスト・短期間に導入できる。 半導体不足でネットワーク機器の購入が難しい時期があったが、SoftEther VPNは手持ちの有休機器を利用して構築でき、コスト面でのメリットが大きい。
https://www.itreview.jp/products/softether-vpn/reviews/146395
解決できた課題・具体的な効果 安価に安全に拠点間を接続する。 リモートで社内システムを利用する 課題に貢献した機能・ポイント NAT越えのVPN接続の安定性。 スマホ等からの接続の容易さ
https://www.itreview.jp/products/softether-vpn/reviews/126618
新型コロナにより、急遽リモートワークする事になり、SoftEther VPNを導入しました。費用をかける事もなくリモート環境を構築でき、自宅から職場と同様の仕事が出来るのは有難い限りです。 今後は仕事の棚卸を行い、新型コロナに関係なく業務改善としてリモートワークを取り入れて行ければと思っております。
https://www.itreview.jp/products/softether-vpn/reviews/110341
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SoftEther VPNの価格

更新日:2023 年 02 月 03 日
無料

まとめ

SoftEther VPNの紹介はいかがでしたでしょうか?
今回紹介したレビュー以外のレビューや企業からの情報などは以下で紹介しています。
製品の導入や比較に、ぜひご覧ください。

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