投稿 なぜローコードがトレンドなのか?活用方法と将来性を考察 は ITreview Labo に最初に表示されました。
]]>本記事では、ローコード開発がなぜ今注目を集めているのか、どんなときに活躍するのかなどに触れながら、ローコード開発の将来性についてご紹介します。
ローコード開発は、テンプレートなどを活用して従来の開発業務よりも少ない負担でコーディングや機能実装が行える手法です。最大のメリットは、生産性の向上です。
多様なアプリやシステムが各企業で運営されていますが、基本的なコード設計やプログラミングのプロセスは、多くの場合同じです。そのため、ローコード開発を使って定型化した作業を効率化することで、従来と同じクオリティを担保しつつ短期間でアプリなどを開発することができます。
短い時間でコーディングを行えるということは、それだけアプリ開発にかかる期間を短くし、すぐにリリースできるということです。また、同じ期間でより多くの開発業務を担えるようになるため、エンジニアリング会社は生産性向上によって事業の成長を期待できるでしょう。
ローコード開発は、プロのエンジニアだけでなく、ITに慣れていない人にとっても大きなメリットをもたらします。コーディングの経験が浅いエンジニアでも、ローコード開発ツールを活用することで、簡単に要件を満たしたシステムを構築できます。
エンジニア人材は近年大きな需要があるものの、十分な供給が行われていません。ローコード開発ソフトを活用し、エンジニア人材を短期間で拡充することができます。
また、高度なエンジニアを常に確保しておく必要がなくなるので、人件費の高騰や高度なスキルアップ研修を行う必要がなくなる点も強みです。気軽にエンジニアリングにチャレンジできる体制を整えれば、新規事業開発を推進するきっかけにも役立つでしょう。
ローコード開発の導入を検討するべきタイミングには、いくつかのケースが考えられます。まずは、現在エンジニアリング業務が発生しているものの、十分な開発期間や開発のための人材を確保できなくなっている企業です。
ローコード開発ツールの導入により、従来よりも短い時間で開発を行ったり、開発スキルの浅い人材を起用して人材を補填したりできるため、生産性向上や開発期間の短縮が実現します。人手が足りずに新規事業を受けることが難しく、企業の成長が止まってしまっているというケースでも、ローコード開発は役に立つでしょう。
また、新規事業の開発がエンジニア不足で進まず、プロジェクトが頓挫する可能性があるというケースでも活躍します。システム開発に携わる人材を短期間で確保できるだけでなく、従来よりも少ない人数でプロジェクトを遂行できるためです。
従来の考え方なら、人手が足りないなら新しく雇えば良いというのが一般的でした。しかし、エンジニア人材はとにかく母数が少ないため、人手の確保は他の職種よりも困難な傾向にあります。そこでローコード開発ツールを活用して、人手ではなく環境を改善することで、生産性の問題を解消できるわけです。
ローコード開発が今注目を集めているのには、どのような理由があるのでしょうか。最も大きな理由としては、DXの拡大に伴い、エンジニア人材の需要が急速に膨らんでいることが挙げられます。
従来とは比較にならないスピードでエンジニアの募集が進み、人材サービスが拡充したことで、企業におけるエンジニアの出入りは進み、人材の価値も高騰しています。エンジニアを雇うための人件費が高くなったことで、以前のように簡単に人材を確保することは難しくなりました。
また、エンジニアが活躍するハイテク分野は、トレンドの移り変わりが早く、システムの改修や刷新が今後も早いペースで行われることが考えられます。企業はトレンドの変化に追われ、新しい事業への取り組みや顧客の増加に取り組むことができず、いつまでも成長が叶わないという事態も懸念されるでしょう。
こういった事態を回避するべく、ローコード開発の導入によって根本的な生産性向上を実現し、時代のニーズに適した仕組みづくりが求められています。
それではローコード開発を実践する上で、企業はどのような準備に取り掛かる必要があるのでしょうか。
まず、ローコード開発には専用の開発ツールを導入することが一般的です。自社で開発することもできますが、既成のローコード開発ツールを外部から取り入れ、運用するのが最も効率的なアプローチでしょう。ローコード開発ツールにはさまざまな種類があり、用途が細分化しているケースもあります。また、ローコードにとどまらず、最近ではノーコード、つまりコーディングを一切必要としない開発ツールも登場しています。最新のツールのトレンドを把握しながら、自社に合った製品を導入すると良いでしょう。
ツール環境が整ったあとは、それを運用する人材の確保が必要です。ローコードとはいえ、システム開発にはある程度人の数が必要で、なおかつ最低限のプログラミング知識を備えていることが望ましいと言えます。
プログラミングに関する基本的な知識がなくとも運用はできますが、建設的な開発を高いレベルで行うためには、ある程度のスキルが必要です。IT経験のない社員向けに研修などの機会を設けるなどして、必要なスキルを身につけるタイミングを作りましょう。
本格的なエンジニアリング業務を長期的に行う場合、エンジニア志望の人材、あるいはエンジニアの素養がある人材確保にも取り組むと良いでしょう。ITに対してアレルギーのない、若手人材をエンジニア人材として育てていくのも有効です。
ローコード開発の市場は依然として拡大しており、導入企業も増加傾向にあります。アプリ開発の需要は、今後もますます高まると考えられ、早いうちから備えておくに越したことはありません。早期に開発環境を整え、企業のDXの起爆剤として活用しましょう。
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]]>投稿 DX推進のトレンド「ローコード開発」をおさらい は ITreview Labo に最初に表示されました。
]]>そんな中、注目されているのが「ローコード開発ツール」です。ローコード開発は企業が求める業務効率化や生産性向上の実現に向けて、柔軟でスピーディーな開発を進められる手法です。またITベンダーのみならず、自社主導でアプリケーションの開発を行えるため、いまや世界的なトレンドとして急速な広がりを見せています。そこで今回は、ローコード開発について今一度おさらいしつつ、メリットや活用方法について詳しく解説します。
ローコード開発とは、ソースコードの記述を最小限に抑え、あらかじめ用意されたテンプレートやパーツを組み合わせて開発する方法です。
これまでのようなゼロから作り上げるフルスクラッチ開発とは違い、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を利用して、ドラッグアンドドロップで直感的な操作が可能です。またツールにはプレビュー機能が備わっており、見た目や動きを細かくチェックしながら開発を進めることができます。テンプレートに備わっていない独自要件の部分にはソースコードを記述する必要がありますが、そのぶん拡張しやすく外部連携などにも対応可能です。
また、よく似た手法として「ノーコード開発」が存在します。ノーコード開発とは、ソースコードの記述を全く必要としない方法です。Office製品を利用する程度の知識で扱えるため、非エンジニアでも簡単にアプリケーション開発を進められます。ただし、汎用的なパーツを組み合わせるだけの方法なので、ローコード開発に比べて拡張性や自由度が低くなります。
今後、日本でもローコード開発はDX推進のトレンドとなることが予想されます。大きな理由として挙げられるのが、アプリケーション開発における「内製化」の加速です。
現在あらゆるビジネスが変化し続けており、ビジネス成功の鍵となるのはスピード感と柔軟性です。しかし業務をデジタル化する際、これまでのITベンダー依存のやり方では時間がかかり、迅速な対応が難しい状況になっています。企業が成長し続けるためには、いち早くアプリケーションを活用し、業務改善や生産性向上を進めなければいけません。
一方、多くの企業がデジタル化を求めるなかで、IT分野の人材不足が深刻化しています。経済産業省委託事業調査「IT人材需給に関する調査」によると、現在約30万人の人材が不足しており、今後の状況次第では2030年に約79万人が不足する見込みです。
出典:経済産業省委託事業「ーIT 人材需給に関する調査ー」|みずほ情報総研株式会社
また、さらなる課題として挙げられるのが「2025年の崖」です。経済産業省のDXレポート「~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」によると、日本がDXを推進できなければ、2025年以降、最大年12兆円の経済損失を受けると推測しています。古いシステムを使い続けることで運用負荷が上がり、企業の競争力低下を招いてしまうのです。
参考:DX レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開|経済産業省
このような状況の中で注目され始めたのが、ローコード開発です。ローコード開発を導入することで、ITを専門としない企業でもアプリケーションを「内製化」できるようになります。また高度な専門知識は必要とされないため、企業内での人材育成も容易です。運用を自社主導で行える仕組みも確立できるため、今後の継続的なDX推進には不可欠だと言えるでしょう。
ローコード開発を導入すると、以下のようなメリットを得られます。
・自社主導でスピーディーに開発可能
・深い専門知識が不要
・開発工数、運用コストの削減
・セキュリティ対策の負担を軽減
・テンプレート活用による品質の向上
・幅広い業務に対応可能
最も大きなメリットは開発スピードですが、運用し始めた後のコストを考えると外部委託にはない魅力があります。とくにセキュリティ対策や品質向上においては、社内のシステム担当にとって大きな負担軽減になることでしょう。
また、あらかじめ用意されたプラットフォームを使用することで、属人化しない仕組みづくりが可能となります。継続的なデジタル化を進める際、誰にでも機能拡張や改修できるのは大きな利点です。
ローコード開発には、以下のようなデメリットも存在します。
・ツールによる制約(自由度に制限)
・最低限の知識は必要
従来のような一から要件定義、設計、開発を行う方法とは異なり、ローコード開発では全ての要件を完全に満たすことはできません。ツールに搭載された機能の範囲内で開発を進める形になります。また、ツールの使い方やプログラミングに関わる「分岐」「繰り返し」など最低限の知識は必要です。
スピーディーな自社開発やコスト削減を実現できるローコード開発ですが、全てのシステムを賄えるわけではありません。内容によっては不向きなこともあります。
例えば、全社で利用するような大規模基幹システムは要件が複雑なため、ITベンダーに依頼するのと同様に開発工数が必要になります。また会計・給与などIT以外の専門性が高いシステムの場合、自社開発よりも外部のパッケージを利用するほうが効率的です。
ローコード開発をするなら、以下のような活用法がおすすめです。
・特定の業務や部署で使用するアプリ
・定型的な業務改善
・パッケージ製品では足りない機能
作業時間の短縮や業務負荷の軽減につながるような「業務改善アプリ」の開発に適していると言えます。
IT分野での人材不足が危惧されるなか、各企業とも早急にデジタル化を進めたいと考えています。しかしプログラミングに関わる専門性の高い人材を育成するとなると、多大な時間とコストが必要です。それらの課題を解決してくれるのがローコード開発ツールです。
ローコード開発なら短い教育期間で自社のIT人材を育成でき、さまざまな業務改善アプリを内製化できるようになります。また今後IT技術に変化が訪れたとしても、柔軟かつ継続的な対応が可能です。ローコード開発ツールに興味がある方は、ぜひ「ITreview」で製品を比較検討してみてください。
ローコード開発ツールの導入にはそれぞれのツールに合わせた開発スキルや知見が必要です。自社にスペシャリストがいない場合、学習コストが必要になり、ビジネスに活かすまでに時間をロスしてしまう可能性があります。そんなときには自社の状況に合わせて動いてくれるパートナー企業の利用も検討してみましょう。導入要件の整理から技術的支援、導入後のサポートまで、手厚いサポートをうけることも可能なので、ぜひチェックしてみてください。
合わせて読みたい:技術支援を受けてローコード開発で業務改善~大企業も活用するパートナーの価値とは(2022.11.07公開)
投稿 DX推進のトレンド「ローコード開発」をおさらい は ITreview Labo に最初に表示されました。
]]>投稿 技術支援を受けてローコード開発で業務改善~大企業も活用するパートナーの価値とは は ITreview Labo に最初に表示されました。
]]>今回は、サービスプロバイダーの技術支援を受けながら、ローコード開発ツール「Wagby EE」でアプリケーション開発に取り組んでいる積水化学工業株式会社(以下:積水化学工業)でデジタルを活用した業務改善を推進する堀平良氏と、技術支援を提供するソフトウェア・パートナー社の滝澤好道氏にお話を伺い、サービスプロバイダーの技術支援のリアルに迫ります。
堀氏:2017年に「WannaCry」というWindowsをターゲットにしたランサムウェアが横行しました。それまで.NETベースのアプリケーションをたくさん作ってきていたのですが、そういったWindows系のアプリケーションから脱却したいと考えていました。ただ、一から作り直すとなると費用も時間も相当かかります。既存のアプリケーションを置き換える手段としてちょうど「ローコード」という言葉が出てきた頃で、試験研究的にやってみようとなったのが2018年から2019年ぐらいでした。
WannaCryの収束とともにローコード開発が縮小気味になった時期もありましたが、システムを簡単に作れる点は非常に評価できると考えていました。当時、たまたま相談があった部門のアプリケーションをローコードで作ってみたところ、大好評だったことから、本格的にローコード開発に取り組むようになりました。
堀氏:そうですね。もちろんいろいろなツールを研究しましたが、中でもWagby EEが一番当社に合っていると判断しました。ポイントにしたのは大きく2点で、1つ目は国産へのこだわりでした。比較検討したツールには海外産のものもありましたが、海外では企業買収が多く、ユーザーの立場からすると長く使えるツールかどうかという点が評価のポイントでした。
2つ目はツールが生成する成果物についてです。Wagby EEは、一般的にはローコード開発ツールに位置付けられていますが、個人的にはJavaのソース生成ツールだと思っています。自分たちの手の届かない範囲でアプリケーションができあがってしまうことは避けたい、将来的に仮にWagby EEがなくなったとしても、自分たちで作ったアプリケーションを運用できるようにしたいという考えがありました。
堀氏:いくつかありますが、経理業務の自動化・効率化がそのうちのひとつです。当社は海外を含めて関連会社が200社近くありますが、連結決算に向けて会計上の仕訳の情報などを毎月集める必要があります。この業務にWagby EEで作成したアプリケーションを使用しています。経理では他にも、期末の繁忙期に手作業でExcelに転記して集計していたような業務を、現在はWagby EEでシステム化しています。
堀氏:ツールのライセンスを買って実際に触ってみて気づいたことですが、自分たちで一からアプリケーションを作り上げるのがやはり大変だったためです。ローコードで効率的にアプリケーションを作りたいわけですが、自分たちでツールのマニュアルを調べながら作っていくとどうしても効率が悪くなる。ローコードに求めているのは生産性ですから、そこはツールの使い方に関するノウハウ・知見のあるパートナーにお手伝いいただきたいと考えました。
堀氏:既に様々なツールを利用してきていますので、導入に当たって頼れる企業がいるということは知っていました。ツールによってはメーカーに直接相談するよりも、間に入る販売代理店やサービスプロバイダーへ相談した方が親身になって対応してくれることも多いので、メーカーに直で支援を依頼するよりも親身になって相談に乗ってくれると感じています。Wagby EEの構築パートナーについては候補が数社あったと記憶していますが、ソフトウェア・パートナー社は当社の考え方を違和感なく理解いただけたことが大きかったです。実際には、まずPoCをやってみて、試験導入で問題がないことを確認して本導入という流れでしたが、最初からサポートいただいています。
滝澤氏:弊社では独自のサービスとして、「技術支援サービス」を提供しています。お客様の課題に対して弊社のエンジニアが何時間動くかによる時間精算の契約で、お客様からの依頼内容に応じて対応する人員をアサインし、チームでフレキシブルに対応するサービスです。年間有効な時間数をプリペイドで購入していただき、ご依頼が発生するたびに時間見積もりをします。見積もり内容をご承諾いただけたら初めて着手するという流れです。Wagby EEというローコード開発ツールを展開している立場として、お客様を後方支援できる体制は絶対に必要だという考えで作ったサービスです。
堀氏:この契約形態は非常に助かっています。Wagby EEの設計に関する助言だけでなく、たとえば、Wagby EEのリリース作業を自動化するために、「Wagby EEのリリース作業を自動化するためのスクリプトを書いてほしい」、といったインフラレベルの相談にも対応してもらっています。時間契約の中で柔軟に対応してもらえる点がとてもありがたいです。また、Wagby EEのライセンスに関しても、メーカーではなくソフトウェア・パートナー社との契約です。ライセンスも含めて窓口が一本化できるのは、正規パートナーのメリットですね。
滝澤氏:そうです。根本的な企画・設計はすべて積水化学工業でされており、あくまで技術的なご支援だけを提供しました。たとえば、Wagby EEでどのように設計すればある機能を実現できるのか、といったような課題が出た場合に、ご依頼に応じて助言するなどのご支援をしてきました。分業がはっきりしていたことは、成功したポイントだったと思います。
開発が進んで課題が立て込んできた時期は、頻繁に認識合わせの会議を開いて情報を共有していました。課題によっては双方の技術者同士で行うこともありましたし、関係者を集めて複数の課題をその場で一気にさばいていくような形式で行ったこともありました。
滝澤氏:はい、そうです。そこが純国産のツールである利点ですし、メーカーにフィードバックしてよりよい製品にしていくことは、我々としても自信を持って製品を販売していく上で重要であると考えています。機能改善だけではなく、顧客からの要望で追加された機能も多くあります。
堀氏:ワークフロー周りで、当初はできなかったことがパラメータひとつで簡単にできるようになったこともありましたし、ユーザー権限の挙動などについても要望が取り入れられて改善しました。システムを作り上げた後、メーカーへ訪問して見てもらい、ツールの改善点をメーカーと協議したこともあります。
堀氏:はい。経理の集計作業については大幅に工数を削減することができましたし、海外の関連会社からの会計情報の収集についてもこの1年で大きく進んでいます。また、開発工数についても、弊社の従来の手法で開発した場合の試算結果と比べて大幅に削減できたことがわかりました。
Wagby EEに関しても支援のおかげである程度は社内で対応できるようになってきていまして、今でもカスタマイズを続けていますが、ソフトウェア・パートナー社には引き続き相談に乗っていただいています。
滝澤氏:ご相談の質は明らかに上がっていまして、我々としても「ちょっとお調べします」ということが最近多くなっていますね。元々、技術支援サービスは、お客様がノウハウを蓄積して自分たちでツールを使えるようになったならば、契約を打ち切っていただいてかまわないというコンセプトで始めていますので、理想的な状態だと思っています。
堀氏:ちょうど先日もWagby EEで作ったアプリケーションと他システムの連携についてご相談したところです。アプリケーションのセキュリティに関しても、我々の目線で相談に応じていただいて強固なセキュリティを実現しました。システム開発に関する一般的な常識と、それをローコードでどう実装するか、両者の間を取り持ってくれるのが、ソフトウェア・パートナー社のようなサービスプロバイダーだと思っています。
インタビューの中で、もっとも印象に残ったのは、「ローコード開発においては成果責任は顧客の側にあると考えます。将来的にアプリケーションを運用保守していくのは自分たちなので、できあがったものについては必ず十分に説明を受けて自分たちの技術にしてきている」という堀氏の言葉でした。そのような顧客の想い・意図をソフトウェア・パートナー社が汲み取り、両社二人三脚で開発を進めたからこそ、期待した成果が得られたのだと感じました。
一方で、今回の積水化学工業のようなローコード専門の開発体制が存在しない企業も数多く存在します。滝澤氏によれば、たとえば初期開発は受託で行い、顧客が独力でアプリケーションの維持・保守ができるように指導して引き渡すといったように、顧客の要望や体制にあわせて柔軟に対応されているそうです。サービスプロバイダーの支援によるローコード開発は、情シスのない中小企業にも有力な選択肢の一つになるのではないでしょうか。
◆お話を伺った方
積水化学工業株式会社 デジタル変革推進部 情報システムグループ 担当係長 堀 平良 氏
株式会社ソフトウェア・パートナー 営業企画部 マネージャー 滝澤 好道 氏
投稿 技術支援を受けてローコード開発で業務改善~大企業も活用するパートナーの価値とは は ITreview Labo に最初に表示されました。
]]>投稿 IT導入にサービスプロバイダーは必要か?開発現場の頼れるパートナーの意義【ローコード開発編】 は ITreview Labo に最初に表示されました。
]]>そこで、今回はローコード開発の専門家であるソフトウェア・パートナー社より住谷和洋氏、滝澤好道氏、矢澤直人氏に「サービスプロバイダー(パートナー)を活用する意義」をテーマにお話を伺いました。
――いわゆる「ローコード開発パートナー」とは、どのような存在なのでしょうか?
滝澤氏:ローコード、ノーコードはホットなキーワードになっており、さまざまなツールが登場しています。全くコードを書く必要がないノーコード開発の一方で、ローコード開発では適宜コードを書くことが前提になります。そのため、運用にあたってプログラミングを理解している人材が必要になります。私たちのようなローコード開発を手掛けるサービスプロバイダーは、導入するツールの特性を生かしてお客様の要望に合わせて最適な解を模索するパートナーとなるのが役割です。
――実際、ローコード開発でシステムを早く作りたいというニーズは増えているのでしょうか?
滝澤氏:はい。お客様からは、「ローコード開発」で検索されて当社に問い合わせていると聞きます。コストを下げて手早くシステムを作りたいというご相談が多いですね。国策にもなっている通り、DXを推進する企業が急速に増えています。業務改革に合わせてシステムを柔軟に変更できるように、ローコード開発環境の構築が求められていると感じます。
矢澤氏:日本企業の中には、「自分たちのシステムは自前で持つべき」「データは自社でしっかり管理するべきだ」という考え方が根強くあります。こうしたニーズにマッチする手法がローコード開発なのだと思います。ただ、開発を正しく進めるためには相応のスキルが必要です。システム開発を担う部署や人材に対して、ツールの使い方や開発における考え方などを装着することも私達のサポート範囲です。
――前項で「開発現場でのツール運用の適正化」に触れました。ツールを自社の努力で導入するよりも効率的に見えます。
住谷氏:IT製品ではツールの特性を知って、適切に使うということが最重要です。特に開発に関連するツールの場合、インプットから自社ですべてやろうと思うと相当の時間がかかります。一刻も早く活用するなら、パートナーを通してツールの導入から開発手法までのレクチャーを受けたほうがスムーズです。
滝澤氏:私たちがツールとして主に利用するWagby EEは、生成されたソースコードに対してJavaでコードを書ければカスタマイズができます。しかし、お客様の中には、Wagby EEの標準機能でできるはずのことなのに、知らずにコードを書いてしまったという事例もあります。そのため、機能の適切な解説とケーススタディは意識しています。
――ITreviewの貴社のページには、お客からのレビューに「自社の状況に合わせた建設的な提案がよかった」という文言が見られます。現場感のあるアドバイスもパートナーに頼るメリットでしょうか。
矢澤氏:そうですね。ツールの仕様というのを熟知した上で、お客様のやりたいことを伺って、「それならこのやり方が良い」というご提案は常に行っています。ローコード開発の場合、ツール内の仕様は固まっています。そのため時には、お客様の要望に対応できない要件がでてきます。そんな時に、しっかりと代案をご提示できるのは、様々な開発現場を見てきたパートナー企業に依頼するメリットと言えるのかもしれません。
住谷氏:他にも弊社では、稼働環境のご提案やサービスもご提供しています。システムをローコード開発で作られて、実際にそれを社内で動かす時に、動作環境をどうするかというようなご相談にも対応しています。ただ作る・導入するだけではなく、システムを動かすために必要な体制を構築しているのです。
――長期的にサポート契約を継続し、パートナーとして伴走しているお客様が多いとお伺いしました。お客様から選ばれる要因はどのようにお考えでしょうか。
滝澤氏:10年近くサポート契約を更新していただいているお客様もいらっしゃいます。本来はツールを導入して、ツールを使いこなせるようになればサポートは要りません。それでも契約を継続されているというのは、いざという時に頼れる先があるという安心材料として弊社を頼りにしていただいているのだと思います。
矢澤氏:どのような技術サポートをしているのかと言えば、例えば、ツールを新バージョンにバージョンアップしたい、そのツール強化をサポートしてほしいというご相談を受けることがあります。あとは、新しいシステムを立ち上げたいがどういうシステムがいいのかというご相談に対し、設計のご支援をしたりすることもあります。他にも「導入したツールの標準機能では対応が難しい要件があり、カスタマイズをお願いしたい」とご依頼いただくこともあります。
滝澤氏:お客様企業のエンジニアもツールを使ううちに、何ができる何ができないということが分かってきます。私たちとしてもいただいた課題を見て、これは現状のツールだけでは難しいので、他のツールを組み合わせてはどうでしょうというお話をさせていただくケースもあります。
――「ローコード開発パートナー」に対するニーズは今後も伸びていくと予測されていますか?
滝澤氏: そうですね。今までスクラッチ開発でしかできなかったことが、なるべくコードを書かずにできるようになってきたということで、ローコード開発が台頭してきています。今後はローコード開発がもっとシェアを伸ばしていくのではないかという予測はあります。それに呼応して、私たちのような「ローコード開発パートナー」の存在価値を理解し、頼りにしてくださるお客様も増えていくのではないでしょうか。
とはいえ、完全にスクラッチ開発がなくなって、ローコード開発に置き換わるということではないでしょう。例えば、銀行の勘定系システムなどは、システム開発にローコード開発を適用してはいけないと思います。やはり適材適所。何でもローコード開発を適用するのではなく、システムの用途に合わせて最適な解決策をご提示することが私たちの役割です。
――課題の整理と解決に向けたソリューションはワンセットですね。ローコード開発に対する貴社の展望をお聞かせください。
住谷氏:弊社では現在30~40%ぐらいのエンジニアがローコード開発を行っています。今後の市場拡大を見据えて、基本的にはスクラッチ開発を見据えた技術者の育成をした上で、ローコード開発を行える人材を増やしていこうと考えているところです。そうすることでお客様の要望に対して、幅広く応えられる体制がつくれると考えています。
滝澤氏:情報システムは業務を遂行するための道具にしかすぎません。業務に合わせてシステムを自由に手早く改変できるという面では、ローコード開発ツールは非常に良い選択だと思います。「ローコード開発パートナー」を上手く利用しながら、日本全国の企業があるべき情報システムの姿を実現できるようになっていければ、私たちとしてもこんな嬉しいことはありません。
IT人材の不足が叫ばれている昨今、システム開発の現場では慢性的に人材不足が課題となっています。そのため新たに自社で開発体制を整える、維持するということは難易度が高い課題です。これらを踏まえ、自社の開発環境であったり、事業の流れを理解しているパートナー企業に頼ることは、短期的な業務効率化はもちろん、長期的な事業運用の観点からも有意義なのではないでしょうか。
◆お話を伺った方
株式会社ソフトウェア・パートナー
取締役社長 住谷 和洋 氏
営業企画部 マネージャー 滝澤 好道 氏
システムソリューション部 主任 矢澤 直人 氏
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