請求書受領サービスの導入で考慮すべきセキュリティ機能は多岐にわたりますが、特に不正アクセスによる情報漏えいやデータの改ざん、法的リスクを回避するためには、以下の項目を最優先で確認する必要があります。
- アクセス管理・認証
- データ保護(暗号化・保管)
- ログ管理・監査対応
- 不正防止・改ざん防止
- 外部連携時の安全性
- セキュリティ認証・第三者保証
- 退職・アカウント管理
- コンプライアンス・法対応
- 可用性・バックアップ
目次
アクセス管理・認証
請求書受領サービスを導入する際は、データの流出防止のため、多要素認証や権限管理(RBAC)などのアクセス管理・認証機能が搭載されている製品を選びましょう。
多要素認証とは、ID・パスワードなどの知識情報に加えて、端末認証や生体認証など複数の要素を組み合わせて本人確認を行う認証方法です。権限管理(RBAC)とは、利用者の役割に応じて閲覧・編集・承認などの権限を割り当てるアクセス制御方式です。
以下に、多要素認証や権限管理(RBAC)を含む代表的なアクセス管理・認証機能の概要をまとめました。
| 機能名 | 内容 |
|---|---|
| 多要素認証(MFA) | 以下の要素を2つ以上組み合わせて認証すること 知識情報(パスワード・PINコード・秘密の質問)所持情報(携帯電話・トークン・ICカード)生体情報(指紋・顔・声などの生体情報) |
| IPアドレス制限 | システムにアクセスできるIPアドレスを制限する機能 |
| 権限管理(RBAC) | 役割ごとに操作権限を設定する仕組み(経理担当者・一般ユーザーで閲覧範囲を区別するなど) |
| シングルサインオン(SSO) | 1回の認証で複数のシステムを利用できる仕組み |
請求書には、取引先情報や案件名、金額などの機密性が高い内容が記載されています。これらの機能が十分に備わった製品を選び、万が一の情報漏えいに備えましょう。
データ保護(暗号化・保管)
請求書受領サービスを選ぶ際は、以下のデータ保護に関する機能が備わっているかを確認しましょう。
- 通信データの暗号化(SSL/TLSを用いたデータ通信)
- ウイルス・マルウェア対策
- 改ざん検知機能
SSL/TLSなどの暗号化通信に対応していれば、インターネット上でデータを送受信する際に、第三者からの盗聴・改ざんリスクを防止できます。
不正ファイルの侵入やデータ改ざんのリスクを防ぐには、ウイルス・マルウェア対策や改ざん検知機能が備わっている製品を選びましょう。
ログ管理・監査対応
内部不正や意図しない操作による情報漏えいを未然に防ぐためにも、ログ管理・監査機能を備えたツールの選定が大切です。
- ログ管理:システムの操作履歴を記録する機能
- ログ監査:記録されたログから不正アクセスや不審な操作がないかを点検する機能
ログ管理・監査機能が充実していると、誰がいつどのデータにアクセスし、どのような操作を行ったのかを迅速に確認できます。万が一トラブルが発生した場合でも原因を追跡でき、システムの復旧に役立ちます。
不正防止・改ざん防止
請求書データへの不正アクセス・改ざんを防ぐために、以下のセキュリティ機能が備わっているかを確認しましょう。
- タイムスタンプの付与機能
- データ変更履歴の自動保存機能
- データの上書き禁止機能
タイムスタンプとは、その時点で電子データが存在していたことや、その後改ざんされていないことを確認できる仕組みです。タイムスタンプの付与は、その書類の真正性確保や改ざん防止に役立ちます。
外部連携時の安全性
請求書受領サービスを外部のシステムと連携させた際に情報が漏れないよう、連携時のセキュリティ対策を確認する必要があります。
請求書受領サービスは、会計システムやERPと連携して使用する場合があります。連携時の通信が適切に保護されていないと、システム間のデータ送受信時に情報が漏えいするリスクがあるため、外部連携時の安全性を確認しておくことが重要です。
特に確認しておきたいポイントは、以下の通りです。
| 項目 | チェックポイント |
|---|---|
| API連携時の認証方式 | API接続時にトークン認証方式やOAuthなどの認可方式を採用しているか |
| ERP・会計システム連携時の通信の暗号化 | システム間の通信がSSL/TLS(データ通信を暗号化する仕組み)などで暗号化されているか ※現在はTLSが主流 |
| ファイル転送時のセキュリティ対策 | SFTP(暗号化されたファイル転送方法の仕組み)などの安全な通信方式でファイルを送受信できるか |
このように、最新の認証規格(OAuth 2.0など)に対応しているか、通信経路が暗号技術で保護されているか、安全な通信方式でファイルをやり取りできるかを確認しましょう。
セキュリティ認証・第三者保証
請求書受領サービスの選定では、以下の第三者認証・監査報告に対応している製品を選びましょう。
| 第三者認証の名称 | 内容 |
|---|---|
| ISO/IEC 27001(ISMS)(※1) | 情報の機密性・完全性・可用性のマネジメントが適切に維持できている製品に認証されるISMSの国際規格 |
| SOC 1(※2) | サービス提供事業者が受託している業務に関する内部統制について、主に財務報告への影響から評価した監査報告 |
| SOC 2(※3) | クラウドサービスのセキュリティや可用性、処理の完全性などのシステム運用に関する内部統制を評価する報告書 |
| プライバシーマーク(Pマーク) | 個人情報の適切な取り扱いを証明する国内の認証マーク |
これらの第三者認証を取得している製品は、情報管理やセキュリティ管理が一定の基準を満たしていると証明されています。
※1 参考:一般財団法人 日本品質保証機構.「ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)」(参照2026-03-29)
※2 参考:AICAP&CIMA.「SOC 1® – SOC for Service Organizations: ICFR」(参照2026-03-29)
※3 参考:AICAP&CIMA.「SOC 2® – SOC for Service Organizations: Trust Services Criteria」(参照2026-03-29)
※4 参考:プライバシーマーク制度.「プライバシーマークとは」(参照2026-03-29)
退職・アカウント管理
退職者による情報漏えいを防ぐためにも、退職・異動時に権限を速やかに見直せる機能がある製品を選ぶと良いでしょう。
例えば、以下のような機能があれば、退職者による請求書データの閲覧や持ち出しの防止につながりやすくなります。
- 退職者のアカウント停止:従業員が退職した際にアカウントを速やかに無効化する機能
- 未使用アカウントの自動停止:一定期間ログインしていないアカウントを自動的に停止する機能
ただし、これらの機能だけでは不正な持ち出しを完全に防ぎ切れないため、退職時・異動時のアクセス権限の見直しやID・パスワードの定期的な変更など、運用面での対策も実施することが重要です。
コンプライアンス・法対応
請求書受領サービスを選ぶ際は、意図しない法令違反で社会的信用を失わないよう、最新の法制度に対応しているかを確認する必要があります。ITreviewに寄せられた製品レビューでも、ツール導入後の監査対応やコンプライアンス強化を評価項目としているユーザーも見られました。
法令対応の観点で具体的に確認すべき点は、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応可否です。
| 項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 電子帳簿保存法 | 電子データの保存・保存要件に対応した製品か |
| インボイス制度 | 適格請求書(インボイス)の受領・保存・必要な記載事項の管理に対応した製品か |
電子の帳簿や請求書などを業務で扱う際は、取引のデータの保存要件を理解する必要があります。保存要件には「真実性の確保」と「可視性の確保」が定められており、それぞれ複数の具体的な要件を満たすことが求められます(※)。電子帳簿保存法の要件は複雑で理解しにくいため、ベンダーの担当者に相談したり、国税庁のリーフレットを見たりしながら導入準備を進めると良いでしょう。
インボイス制度への対応も重要な確認ポイントです。受領した請求書を単に保存するだけでなく、適格請求書としての記載事項要件を満たしているかを確認し、登録番号の有効性を照合した上で、適切な形式で管理・保存するといった一連のプロセスを正確に実行できる製品を選びましょう。
※ 参考:国税庁.「電子帳簿保存法が改正されました」(参照2026-03-29)
可用性・バックアップ
請求書をデータ上で適切に管理するためには、システムの可用性やバックアップ体制も重要な確認ポイントです。製品やベンダーのバックアップ体制は、以下のポイントを確認することで判断できます。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| バックアップの更新間隔 | データをどの頻度で保存しているか(リアルタイム・数時間ごと など) |
| 目標復旧時間(RTO) | 障害発生後、どのくらいの時間でシステムを復旧させているか |
| 目標復旧時点(RPO) | 障害児にどの時点までデータを復旧できるか |
| データの複数拠点への保存有無 | データを複数の場所に保存し、障害時でも復元できるようにしているか |
電子上のデータは、災害やシステム障害、サイバー攻撃の影響で消失するリスクがあります。バックアップやデータ復旧体制が整っていれば、万が一のトラブルが発生した場合でも請求書を迅速に復旧できます。
まとめ:請求書受領サービス導入時はセキュリティリスクに備える必要がある
請求書では取引情報を扱うため、サイバー攻撃や内部からの情報流出といったセキュリティリスクに注意が必要です。導入時は、アクセス管理やデータ保護、外部連携の安全性などのセキュリティ機能が備わっているかを確認しましょう。
ITreviewでは、各製品の特徴や口コミを比較できます。請求書受領サービスのセキュリティ対策を比較する際の参考にしてみてください。