リモートアクセスツールを利用する際に意識すべき課題は、以下の6つです。
- セキュリティリスク
- プライバシーの問題
- ネットワーク依存
- 運用管理の難しさ
- 法規制・コンプライアンス
- ユーザー教育の必要性
セキュリティリスク
リモートアクセスツールは、インターネット経由で社内システムに接続するため、対策が不十分だと次のようなセキュリティリスクが生じる可能性があります。
- 不正アクセス
- マルウェア感染によるデータ悪用
- 通信の盗聴
- データ改ざん
- 正規ユーザーを装ったなりすまし被害
セキュリティリスクとは、情報漏えいや不正利用といった外部からのサイバー攻撃によって情報が漏れてしまうことを指します。
実際にリモートアクセスツールを使用したユーザーのレビューでも、アクセスログの取得など、情報漏洩対策を強化できる機能を求める声が見られました。
ツール使用時は、データ通信の暗号化・多要素認証の採用・ファイアウォールでの対策・アクセス権限の適切な設定・ログイン試行回数の制限(ロック機能)を組み合わせて実施すると、不正アクセスやなりすましのリスクを防止できます。
参考レビュー
※参考:IPA 一般財団法人 情報処理推進機構.「情報セキュリティ10大脅威 2026」,https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html ,(2026-3-12).
プライバシーの問題
リモートアクセスツールは、遠隔で社内システムや端末にアクセスできるため、以下のプライバシーに関する問題が生じる可能性があります。
- 個人情報・社内の機密情報が外部に流出する
- 権限のない人に個人情報を見られてしまう
- スクリーンショットから情報が漏れてしまう
ここでいうプライバシーの問題とは、上記のように個人情報や機密情報が、本来アクセス権のない人に閲覧・取得されるリスクのことです。
このようなリスクを防ぐためには、アクセスできるユーザーを限定的に設定し、不要な閲覧や操作を制限することが重要です。
製品によっては、誰がいつどのような操作を行ったのかを閲覧できるログ監査機能を備えているものもあります。ログを確認することで、不正利用の防止につながるだけでなく、万が一トラブルが起こった際の原因特定も進めやすくなるでしょう。
また、個人端末で画面を撮影・保存(スクリーンショット)した場合、そこから情報が外部に持ち出されるリスクが生じます。情報の流出を防ぐためにも、機密情報を含む画面の撮影は禁止するなど、利用時のルールをあらかじめ明確に定めておきましょう。
なお、リモートアクセスツールに限らず、遠隔業務全般で画面キャプチャや撮影による情報持ち出しリスクにも注意が必要です。
ネットワーク依存
インターネットの回線品質によっては、ツール使用時の操作性に影響が出る場合があります。実際にITreviewで紹介している製品のレビューでも「公衆無線LANでは接続が遅くなったり、音声が途切れたりする」と回線の安定化を求める声が寄せられていました。
具体的には、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 接続が切断される
- 画面がカクつく
- 操作にラグが生じる
リモートワークツールの回線品質は、画面転送型・VPN型・VDI型などツールの方式によって変わります。画面転送型のリモートアクセスツールは、公共のWi-Fiや不安定なモバイル回線下では接続の遅延が発生する場合があります。
各方式の特徴と回線の影響の受けやすさは、以下の通りです。
| 方式 | 特徴 | 回線の影響 |
| 画面転送型 | 遠隔のPC画面をそのまま転送して操作する | 受けやすい |
| VPN型 | インターネット上に自分専用の暗号化されたトンネルを作って社内ネットワークに接続する方式 | 比較的受けにくい |
| VDI型 | サーバー上に仮想のパソコンを作り、手元の端末から仮想パソコンに接続して作業する方式 | 環境によって差が出る |
回線の遅延は、従業員の作業効率の低下や操作ミスの原因となります。。ツール導入時は、必要に応じて安定したインターネット回線に変更し、通信速度や回線品質を高めましょう。
運用管理の難しさ
リモートアクセスツールの潜在的な課題として、導入後の運用管理の難しさが挙げられます。
ツール導入後は、以下の管理業務を継続して行う必要がありますが、実際には人手不足の問題で運用負担が大きいと感じる場合があります。
- アクセス権限の厳格な管理
- 定期的なログ管理(誰が・いつ・どのような操作をしたのか)
- ソフトウェアのアップデート・更新作業
自社で十分な管理体制を築けない場合は、無理ない範囲でツールを取り入れるか、必要に応じてベンダーの運用支援を活用しましょう。
法規制・コンプライアンス
リモートアクセスツールの導入時は、法規制や自社のコンプライアンスに合った運用を進める必要があります。ここでいう法規制・コンプライアンス対応とは、個人情報保護法などの関連法令、自社の情報セキュリティ規定、取引先との契約条件に沿ってリモートアクセスツールを運用することを指します。
以下は、ツール導入時に法規制・コンプライアンスの観点で確認すべきポイントをまとめたものです。
| 確認するポイント | 詳細 |
|---|---|
| 個人情報を適切に保護できるか | 個人情報保護法に基づく安全管理措置を自社で行っているか個人情報流出に対する対策を十分に行っているか |
| データがどこに保存されるのか | 保存先が海外の場合、外国にある第三者が適切な体制を整備しているか(※)リモート先のデータが手元の端末に残らないように制限できるか(キャッシュ・クリップボード・ファイル転送の制御可否) |
| 社内でセキュリティに関するルールを整備できるか | ツール利用時のルール(アクセス権限・利用範囲・持ち出し制限など)を明確に定めているか適切なセキュリティポリシーを策定しているか社内全体でセキュリティに対する意識を高めているか |
データの保存先の確認については、保存先が海外かどうかに加え、委託先の管理体制や越境移転に関する法的要件も確認すると良いでしょう。詳しい要件は、個人情報保護委員会のガイドラインでご確認ください(※)
※参考:個人情報保護委員会.「中小企業向け はじめての個人情報保護法~シンプルレッスン~」.”外国への提供”.https://www.ppc.go.jp/files/pdf/simple_lesson_2022.pdf ,(参照2026-03-29).
ユーザー教育の必要性
リモートアクセスツール利用中の情報漏えいを防ぐには、ユーザー教育を十分に行う必要があります。
具体的に実施すべき対策は、以下の通りです。
- 従業員にセキュリティ教育を実施する
- ツールの運用マニュアルを作成する
- セキュリティリスクに関する注意喚起を行う
従業員のセキュリティ意識が十分でない場合、操作ミスや確認漏れなどにより、情報は意図せず外部に漏れる可能性が高まります。どのような操作が危険で情報漏えいの原因となるのかを教育し、組織全体のセキュリティリテラシーを向上させましょう。
リモートアクセスツールの利用時は情報漏えいに注意!
働き方の多様化に伴い、リモート環境での業務を求められる場面が増えています。しかし、セキュリティ対策や操作研修を実施しないと、情報の盗聴やデータの改ざん、不正アクセスが発生するリスクが高まります。
リモートアクセスツールを利用する際は、環境の構築と同時にセキュリティ対策を実施し、個人情報や機密情報の流出を防止しましょう。
ITreviewでは、テレワークの体制構築に役立つリモートアクセスツールのレビューを紹介しています。複数の製品の評判や特徴を比較しながら、自社に合ったツールを選定してみてください。