現代のビジネス環境において、データの安全性は企業運営の基盤となっています。とりわけ、SaaS(Software as a Service)を利用する場合には、セキュリティの懸念が常に付きまといます。

なかでもセキュリティログは、不正アクセスやデータ漏洩などのインシデントの検出・対応に不可欠であるため、SaaSを導入するときには、ログ管理機能を備えたサービスを選ぶことが重要です。

本記事では、なぜセキュリティログを保管しているSaaSの選択が重要なのか、その理由と具体的なメリットや損害の大きさなどについて、わかりやすく解説していきます。

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第1回:【SaaS利用者必見】話題の”セキュリティ評価”の重要性と対策方法を紹介!
第2回:【多要素認証とは?】パスワードのみの危険性とSaaSに必要な理由を解説!
第3回:知っていますか?IDSやWAFなどSaaS導入で確認すべきサイバー攻撃対策を解説!

セキュリティログとは?

セキュリティログとは、ソフトウェアで何が起きているのかを詳細に表示するものです。主に、アクセスログ・操作ログ・アプリケーションログ・エラーログなどの種類があります。

これらのログを適切に管理することで、不正アクセスやシステム障害の早期発見、インシデント発生時の原因解析や影響範囲の特定が可能となり、セキュリティ対策の強化につながります。

セキュリティログの種類

アクセスログ

アクセスログとは、ウェブサーバーやアプリケーションが受け取るリクエストの記録です。訪問者がアクセスした日時、IPアドレス、アクセスしたページのURL、ブラウザの種類などの情報が含まれます。

アクセスログを分析することで、ウェブサイトやサービスの利用状況を把握し、セキュリティ監視やトラフィックの分析、ユーザー体験の改善などに役立てることができます。アクセスログは、デジタルサービス運用における重要なデータのひとつです。

操作ログ

操作ログとは、システムやアプリケーション内でユーザーが行った具体的な操作の記録です。ファイルの開閉記録、データの入力や変更、設定の更新など、ユーザーが行ったアクション全般が含まれます。

操作ログを分析することで、システムの利用状況の把握、不正アクセスやエラーの原因究明、作業の追跡が可能となり、セキュリティ強化や業務効率の向上などに役立てることができます。操作ログは、システム管理における貴重な情報源のひとつです。

アプリケーションログ/エラーログ

アプリケーションログ/エラーログとは、アプリケーションの実行中に生成される記録す。エラーメッセージ、ユーザーの操作、システムの状態変更など、アプリケーションに関連する情報が含まれます。

アプリケーションログ/エラーログを分析することで、アプリケーションの問題点を特定し、パフォーマンスの最適化やユーザー体験の改善に役立てることができます。アプリケーションログは、開発者や管理者にとって重要なデバッグツールとなります。

セキュリティログの必要性と損害事例

セキュリティログはインシデントの迅速な検出に不可欠なものです。セキュリティログを取得していない場合、攻撃経路が調査できないため、根本的な解決が難しく、回復不能な損害をもたらすことがあります。ここからは実際に発生したサイバー攻撃の事例を紹介していきます。

半田病院の損害事例

徳島県にある町立半田病院では、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)による攻撃を受けたことによって、電子カルテなどの病院内のデータが暗号化され、利用不能になりました。これにより、2か月間にわたって新規患者の受け入れが止まり、災害級の被害を発生させました。

ログの保管が行われていなかったため、調査と対応が遅れ、長時間の診療停止につながりました。復旧と新たなシステムの構築、2か月間の診療停止により、2億円超の被害が発生したといわれています。

▶ 参考:https://logmi.jp/business/articles/329519

名古屋港の損害事例

名古屋港のコンテナターミナルでは、システムがランサムウェア(身代金要求型ウイルス)による攻撃を受け、約3日間におよび、コンテナの搬出入業務が停止するという事態に陥りました。これにより、港湾業務が多大な損失を被っただけでなく、国内の物流にも影響を及ぼしました。

また、名古屋港では、過去3日分のバックアップしか保持していなかったこともあり、ログを含めたバックアップデータをオフライン環境に保持しておくことも、定期的に実施していく必要があるでしょう。

▶ 参考:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01157/112900099

セキュリティログが保管されているSaaSを入れる価値

本記事では、なぜセキュリティログを保管しているSaaSの選択が重要なのか、その理由と具体的なメリットや損害の大きさなどについて、わかりやすく解説していきます。

セキュリティログが保管されているSaaSを利用することにより、不正アクセスやデータ漏洩などのセキュリティインシデントの早期発見が可能となり、迅速な対応が実現します。

さらに、コンプライアンス要件の遵守や、法的な証拠としての役割を果たすこともあり、ビジネスの信頼性と安全性を高めるうえでも非常に重要な役割を担っているのです。

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