電子契約サービスを選ぶ際は、以下のような法的要件を考慮すべき必要があります。

  • 電子署名法への適合
  • 電子帳簿保存法への対応
  • e-文書法への対応
  • 民法上の契約成立要件
  • 特定商取引法・消費者契約法への対応
  • 個人情報保護法への適合
  • 業法上の制限

電子署名法への適合

電子契約サービスを選ぶ際は、電子署名法で定められている以下2つの要件に適合しているかどうかをチェックしましょう。

  • 本人性の確認
  • 非改ざん性の確保

本人性の確認とは、その電子契約書が、契約を締結する本人の作成によるものであると確認できることです。

一方の非改ざん性の確保とは、電子契約書の内容について改変が行われていないかどうか確認できることを意味します。

電子署名法に対応しているサービスであれば上記2つの要件を満たしているため、そのサービスを使って作成した電子契約書は真正に成立した有効な文書と推定されます。

ただ、契約の有効性は契約内容や他の法令への適合状況によっても左右されるため、注意が必要です

電子帳簿保存法への対応

電子契約書は国税関係の帳簿書類に該当するため、電子帳簿保存法に基づいて保存しなければならないケースがあります。

電子帳簿保存法では以下2つの要件を満たす必要があります。

  • 真実性
  • 可視性

真実性とは保存したデータが削除・改ざんされていないことで、以下のような措置で確保する必要があります。

  • タイムスタンプの付与
  • 訂正・削除ができない、あるいは訂正・削除の履歴を確認できるシステムの利用

一方の可視性とは、保存したデータを検索・表示できる状態にすることです。

具体的には以下のような措置が必要になります。

  • システム概要書など関連書類を備え付ける
  • 保管場所にパソコンやディスプレイ、プリンターなどを備え付けて必要な情報を速やかに確認できるようにする
  • 検索性の確保

検索性の確保とは、取引日付や取引金額などで検索できることや、2つ以上の検索項目を組み合わせて検索できることを指します。これらの要件を満たすのはなかなか難しいですが、電子帳簿保存法に対応しているサービスを使えば同法への適合が可能です。

なお、保存要件は保存対象の区分によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

e-文書法への対応

電子契約書の種類や関係法令によっては書面による保存が義務づけられています。その場合、e-文書法に基づいた保存が必要になります。

e-文書法では、以下のような項目を確保することを主な要件としています。

見読性 電子文書データをコンピューターやプリンターを使って速やかに表示できる状態にすること
完全性 電子文書の消失・破損・改ざんを防止すると共に、万一改ざんがあった場合に事実検証が可能な状態にすること
機密性 権限を持たない第三者による不正なアクセスや、文書データの盗難、漏えい、盗み見などを防止できる状態にすること
検索性 電子文書データを体系的に保存し、ファイル名や記載内容、日付などで検索できる状態にすること

これらの要件を満たしていないと、保存義務違反や証拠力の低下につながる可能性があるため注意が必要です。

ただし、具体的な要件は対象文書の種類や関係府省令によって異なるため、個別に確認することをおすすめします。

民法上の契約成立要件

電子契約を成立させるには、民法の定めに基づき、相手方に契約内容を示し、その締結を承諾してもらう必要があります。

そのため、電子契約サービスを検討する際は、上記の要件を満たしたことを証明できる、以下のような機能が備わっているかどうかを確認しておきましょう。

  • 申し込み・承諾の記録が明確に残るか
  • 承認フローやログが証拠として保存されるか
  • 本人確認の方法が合理的か

本人確認については、アクセス制御や監査機能が整備されているかどうかを重視すると良いでしょう。

特定商取引法・消費者契約法への対応

特定商取引法や消費者契約法では、電子契約サービス利用時に書面交付義務への電子交付対応、クーリングオフ関連の表示、消費者への事前同意取得などが問題になる可能性があります。

特商法・預託法改正により、書面交付義務のある取引について、電子交付することが可能になりました。

ただし、顧客から事前に同意を得ることを前提としているため、もし拒否されれば従来通り書面で交付しなければなりません。

そのため、電子契約と紙の契約書が混在する可能性がある場合は、両方を一元管理できるサービスを選ぶ必要があるでしょう。

なお、クーリングオフの書面も電子交付可能ですが、「どの書面が電子交付可能か」「起算点は何か」を明示することが大切です。書面の要件や起算日の計算方法は官公庁の一次情報を参考にするとよいでしょう。また、消費者契約法上における不当条項への対応なども確認しておくとよいでしょう。

個人情報保護法への適合

電子契約書には個人情報が記載されるため、個人情報保護法に適合できるかどうかも重要です。

具体的には、安全管理措置や委託先の監督、第三者提供や越境移転の確認をすることが重要になるため、システムを選定・導入する際に以下の4つのポイントを満たしているかを確認しましょう。

  • データ保管場所
  • 委託先管理
  • セキュリティ対策
  • プライバシーポリシーの整備

まず、クラウド型サービスの場合はデータ保管場所に注意する必要があります。海外のサーバーが保管場所であっても、国内からアクセス可能であれば直ちに違法になるわけではありませんが、個人情報に関する規制や法律は国や地域によって異なります。場合によってはデータ移転の規制を受ける可能性もあるため、あらかじめ越境移転や委託に関する個人情報保護法上の要件についてベンダーに問い合わせておくと良いでしょう。

次に、委託先管理として、委託先となるベンダーが適切な安全管理体制を構築しているかをチェックすることも重要です。

また、セキュリティ対策においては、データが暗号化されるか、柔軟なアクセス制御が可能かなどをしっかり確認しましょう。

最後に、プライバシーポリシーの整備として、自社およびベンダーの個人情報の取り扱い方針が明確に定められているかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

業法上の制限

現在はほとんどの書類の電子交付が認められていますが、一部の契約書では書面での交付を義務づけている場合もあります。

例えば農地の賃貸借契約については農地法第二十一条によって書面交付が義務づけられているため、電子契約はできません。

農地の賃貸借契約を交わす業務に携わっている場合は、電子契約サービスだけでなく、引き続き紙の書面で交付できる環境を維持する必要があります。

電子契約サービスを選ぶ際は電子署名法や特商法など各法律に注意

電子契約サービスを選ぶ際は、7つの法的要件に注意が必要です。

  • 電子署名法への適合
  • 電子帳簿保存法への対応
  • e-文書法への対応
  • 民法上の契約成立要件
  • 特定商取引法・消費者契約法への対応
  • 個人情報保護法への適合
  • 業法上の制限

サービスを選ぶ際は各法律に適合しているかどうかを確認しなければなりません。

法令要件を満たさない運用をすると、保存義務違反や説明義務違反などのリスクが生じる可能性があります。自社にどのような義務が適用されるか、事前に確認しておきましょう。また、法的要件を満たしているかどうかはベンダーに問い合わせて事前に確認してみることをおすすめします。

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