請求書作成ソフトを選ぶ際は、以下のセキュリティ機能の有無やレベルをチェックしましょう。

チェック項目 チェックの基準
データ保護・通信の暗号化 SSL/TLSを使用したデータ通信に対応しているか
ログイン・アクセス制御 多要素認証・ユーザーのアクセス権限機能が搭載されているか
ログ管理と監査証跡 ユーザーの操作履歴を記録・保存できるか
バックアップ・データ耐障害性 万が一に備えてバックアップ体制が整っているか
セキュリティ更新・脆弱性対策 定期的なアップデートをベンダー側で行っているか
クラウドサービスのセキュリティ基準 ISO/IEC 27001・SOC 2などの認証取得状況が確認できるか
API・連携の安全性 API連携時の認証方式が安全か
法令対応 電子帳簿保存法に遵守しているか

データ保護・通信の暗号化

請求書作成ソフトは、データ保護と通信の暗号化に対応した製品を選びましょう。

請求書には、取引先の名称や住所、金額など重要な情報が含まれています。これらの情報を暗号化して送信しないと、悪意のある第三者による盗聴や改ざんのリスクが高まります。

具体的には、SSL/TLSによるデータ暗号化に対応しているかどうかを確認しましょう。SSL/TLSとは、インターネット上で送受信されるデータを暗号化し、第三者による盗聴やデータ改ざんを防止できる仕組みです。多くのクラウドサービスでは、通信内容を暗号化するSSL/TLSを採用しています。

なお、SSLは現在ではTLSへと移行しており、実際の通信ではTLSが主流となっています。

ログイン・アクセス制御

請求書作成ソフトを選ぶ際は、ログイン・アクセス制御を搭載した製品を選びましょう。

以下の機能が搭載されていると、なりすましや不正アクセス、誤情報による情報漏えいを防ぎやすくなります。

機能の名称 特徴
多要素認証 パスワード・IDだけでなく、生体認証や認証アプリなどの複数の要素を使って本人確認を行う仕組み
ユーザーのアクセス権限設定 管理画面にアクセスできるユーザーを設定できる機能

これらの機能が備わっていると、第三者による不正ログインや不正閲覧を防止でき、請求書の情報漏えいリスクを軽減できます。

ログ管理と監査証跡

請求書作成ソフトを選ぶ際は、ログ管理が備わっているかどうかを確認しましょう。

ログ管理とは、ユーザーのログイン・アクセス履歴や編集・削除などの操作履歴を記録・保存する機能です。

一方、監査証跡は、誰が・いつ・何をしたかを後から確認できる機能のことです。ログ管理が記録そのものを指すのに対し、監査証跡はその記録を追跡・検証できる状態を指します。

ユーザーの操作履歴を確認できるソフトであれば、万が一トラブルや不正操作が発生した場合でも、原因の特定がしやすくなります。

バックアップ・データ耐障害性

データのバックアップ機能の有無、ソフトの耐障害性は、請求書作成ソフトを選ぶ際の重要なポイントです。

バックアップ機能が備わっていれば、システム障害や操作ミス、災害によってデータが消失した場合でも、クラウドからデータを復元できます。

バックアップ機能に関して具体的に確認すべきポイントは、以下の通りです。

  • 自動バックアップの有無
  • バックアップの取得頻度(毎日・リアルタイムなど)
  • 過去データの復元範囲(データの保存期間)
  • 復元方法
  • 復旧目標時間(RTO)
  • 復旧時点目標(RPO)

バックアップ機能の有無や取得頻度だけでなく、万が一のシステム障害に備えて、復旧目標時間(RTO)と復旧時点目標(RPO)も合わせて確認しておきましょう。

復旧目標時間(RTO)とは、システム障害が発生してからどれくらいの時間で復旧させるかの目安です。復旧時点目標(RPO)とは、どの時点までデータを戻せるかを示す指標で、許容できるデータ損失の範囲を表します。この2点を確認することで、障害発生時の影響範囲や復旧までの対応イメージを具体的に把握できます。

これらの情報は、ベンダーの仕様書やサービス資料、サポートページなどで確認できます。重要な請求書を扱うためにも、データ保護の仕組みを確認しておきましょう。

セキュリティ更新・脆弱性対策

セキュリティ更新や脆弱性対策が継続的に実施されているかを確認しましょう。

アップデートを定期的に実施していない場合、セキュリティ上の欠陥である脆弱性を狙われ、請求書の情報が漏えいする可能性があります。

継続的に更新が行われているソフトを選び、脆弱性への対応が適切に行われているかを確認することが重要です。

クラウドサービスのセキュリティ基準

クラウド型の請求書作成ソフトを選ぶ際は、ベンダーのセキュリティ基準を確認しましょう。

以下の第三者認証の有無は、ベンダーのセキュリティ体制を確かめる際の参考となります。

セキュリティ認証 概要
ISO/IEC 27001(※1) 組織の情報セキュリティ管理体制を評価する国際規格
ISO/IEC 27017(※1) クラウドサービス向けの情報セキュリティ管理策に関する国際的なガイドライン「ISO/IEC 27001」をベースに置き、クラウド特有の運用管理に配慮できているかを確認するもの
SOC 2(※2) 米国の監査基準に基づき、主にセキュリティ面の管理体制や運用状況を第三者が評価した報告書監査基準には、可用性・機密保持・処理の完全性・プライバシー・セキュリティが含まれる
CSマーク(※3) クラウドセキュリティ推進協議会(JASA)が定める評価制度で、一定のセキュリティ基準を満たしたクラウドサービスに認定される

ソフトを選ぶ際は、上記の認証の有無に加えて、個人情報保護法に基づいた管理体制を構築しているかどうかも確認しておきましょう。

なお、EU域内の個人データを扱う場合は、GDPR(EU一般データ保護規則)に基づいてソフトが提供されているかどうかの確認が必要です(※4)。

※1参考:一般財団法人 日本品質保証機構.「ISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)」.https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso27017/ ,(参照2026-03-27).

※2参考:AICAP&CIMA.「SOC 2® – SOC for Service Organizations: Trust Services Criteria」.https://www.aicpa-cima.com/topic/audit-assurance/audit-and-assurance-greater-than-soc-2 ,(参照2026-03-27).

※3参考:JASA クラウドセキュリティ推進協議会.「CSマークの種類」.https://jasa.jp/jcispa/cloud_security/cs_mark/type_cs_mark/  ,(参照2026-03-27).

※4参考:個人情報保護委員会.「EU(外国制度)GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」.https://www.ppc.go.jp/enforcement/infoprovision/EU/  ,(参照2026-03-27).

API・連携の安全性

請求書作成ソフトを選ぶ際は、API連携の安全性も確認しておきましょう。

APIとは、異なるソフトウェア同士がデータをやり取りするための連携機能のことです。

請求書作成ソフトでは、社内で使用している会計ソフトや販売管理システムと連携し、請求データや入金情報を自動で反映できるといったイメージです。

APIは便利で業務改善に役立つ機能ですが、セキュリティ対策が不十分だと、データ連携時に情報漏えいのリスクが生じます。そのため、ソフト選定時は単にAPI連携の有無だけでなく、認証方式も確認しましょう。

APIの認証方式の種類は、以下の通りです。

認証方式 特徴
Basic認証 ID・パスワードでAPIへのアクセスを認証する方式API認証の中でも代表的な方式だが、セキュリティは比較的低めなため、通信の暗号化が必須
APIキー認証 サービス側がAPIキーを発行し、どのシステムからアクセスしているのかを確認する方式APIキー流出を防ぐための対策が必要となる
OAuth(オース) IDやパスワードを共有せずに、外部サービス同士を連携できる認証方式トークン発行を伴う情報のやり取りが可能なため、セキュリティ性が比較的高く現在広く推奨されている認証方式

これらの認証方式を採用しているソフトは、許可されたサービスだけがデータを連携できる仕組みになっており、情報漏えいの防止が期待できます。

ただし、APIキーが漏えいすれば第三者から悪用されるリスクがあるため、通信の暗号化やログ監査機能の有無も合わせてツールを選定しましょう。

法令対応

請求書作成ソフトを選ぶ際は、電子帳簿保存法に対応しているかを確認しましょう。ITreviewの製品レビューでも、法令遵守に対する安心感を評価している声が見られます。

電子帳簿保存法では、電子データで帳簿を保存する場合、保存した取引データを検索できる機能を備えることが求められています。

具体的には、以下の要件を満たす検索機能が必要です。

  1. 取引年月日・取引金額・取引先で検索できること
  2. 日付や金額を範囲指定して検索できること
  3. 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件で検索できること

ただし、税務職員から電子的記録のダウンロードを求められた際に対応できる体制を整えている場合は、上記の(1)(2)の要件は不要です(※1)。

また、基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者は、取引データを紙で提出できる体制があり、さらに電子データのダウンロードにも対応できる場合は、電子取引における検索機能の要件は全て不要となっています(※2)。

なお、検索機能の有無だけでなく、真実性(データ改ざんを防ぐ仕組み)や可視性(モニター・操作説明書の備え付け)の確保に関する要件を満たす必要があります(※3)。

請求作成ソフトの導入では、これらの法令に準拠しているかどうかを確認しましょう。

郵送の手間が省けそう!

※1参考:国税庁.「電子帳簿保存法が改正されました」.“電子帳簿の保存要件の概要”.https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf ,(参照2026-03-27).

※2参考:国税庁.「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」.https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/00023006-044_01-2-1.pdf ,(参照2026-03-27).

※3参考:国税庁.「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」.https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023011-012.pdf ,(参照2026-03-27).

請求書作成ソフトは提供元のセキュリティ体制を慎重に確認すべき

請求書には、取引先の住所や取引金額などの重要な情報が記載されています。取引先と自社双方の機密情報を守るには、データ暗号化への対応やアクセス制御、監査ログ、バックアップ体制などを確認し、セキュリティ体制が整っている請求書作成ソフトを選びましょう。

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