【2025年】デジタル教科書・教材のおすすめ10製品（全16製品）を徹底比較！満足度や機能での絞り込みも

デジタル教科書・教材の基礎知識

デジタル教科書・教材の人気おすすめ製品比較表

デジタル教科書・教材のメリット

デジタル教科書・教材の機能一覧

基本機能

デジタル教科書・教材の比較ポイント

①：対象学年と教科で比較する

②：提供形態(クラウド/オンプレ/アプリ)で比較する

③：学習データ活用・連携機能で比較する

④：運用サポートと研修体制で比較する

⑤：アクセシビリティ・特別支援への対応で比較する

デジタル教科書・教材の選び方

①：自社の解決したい課題を整理する

②：必要な機能や選定基準を定義する

③：定義した機能から製品を絞り込む

④：レビューや事例を参考に製品を選ぶ

⑤：無料トライアルで使用感を確認する

デジタル教科書・教材の価格・料金相場

クラウドSaaS型の価格・料金相場

オンプレミス/ローカルインストール型の価格・料金相場

個別ライセンス/個人利用プランの価格・料金相場

デジタル教科書・教材の導入メリット

学習の個別最適化と習熟度別指導

教員の業務負担軽減と授業準備効率化

学習ログを活用した教育データの可視化

デジタル教科書・教材の導入デメリット

導入・運用コストと更新負荷

ICT環境・ネットワーク依存のリスク

教員スキル・運用ルールの未整備

デジタル教科書・教材の導入で注意すべきポイント

紙の教科書・既存教材との役割分担

個人情報保護と教育データの取り扱い

ベンダーロックインと将来の拡張性

デジタル教科書・教材の最新トレンド

GIGAスクール構想と1人1台端末を前提にした設計

AIドリル・自動採点などアダプティブラーニング

学習eポータルとxAPIによる学習履歴連携

インクルーシブ教育を支えるユニバーサルデザイン

海外事例に学ぶオープン教材・OERの活用

デジタル教科書・教材の人気おすすめ製品比較表

※満足度の高い順、レビュー数の多い順で表示しております。

各製品の機能の有無や操作性、サポート品質や料金プランなど、さらに詳しい比較表は「製品比較ページ」から確認することができます。

デジタル教科書・教材とは、紙の教科書の内容をデジタル化した教科書や、学習を支援するデジタル学習コンテンツ全般のことです。特に学校教育法改正により制度化された「学習者用デジタル教科書」は、紙の教科書と同じ内容を電磁的記録として提供する教材として位置付けられています。紙とデジタルを併用した学習環境の構築が、現在の初等中等教育の大きなテーマになっています。

デジタル教科書・教材の利点としては、拡大表示や読み上げ機能、動画・音声・シミュレーションなどのリッチな表現が挙げられます。特別な配慮を必要とする児童生徒に対して負担の少ない表示を選べる点や、一人ひとりの学習ログを蓄積して習熟度に応じた課題を自動提示できる点も強みです。参照用の資料や過去の学習履歴へすぐにアクセスできるため、探究学習や協働的な学びにも適した環境を作り出せます。

活用事例としては、小学校5年生から中学校3年生を対象とした英語・算数(数学)の学習者用デジタル教科書の段階的導入が進んでおり、紙の教科書と併用しながら授業での活用が広がっています。また、ドリル型のデジタル教材やAIドリルを組み合わせ、授業中だけでなく家庭学習でも端末から同じコンテンツにアクセスできるようにする自治体も増えています。

このように、デジタル教科書・教材は、学習の個別最適化と学習データ活用を同時に実現できる基盤として位置付けられつつあります。一方で、紙の教科書との役割分担やICT環境整備、教員の指導スキルなど、導入にあたって検討すべき要素も多いため、システム選定と運用設計をセットで計画することが重要です。

デジタル教科書・教材のメリット

・拡大、縮小
デジタル教科書ではテキストや図解の拡大縮小が可能です。詳細に見れることで授業の質の向上が図れます。

・テキストの読み上げ
テキストの読み上げをデバイスが行うことが可能です。目だけでなく耳でも内容を覚えることで、勉強の質を向上できます。

・マーカーの設定
教科書上にマーカーを引くことができます。間違えた箇所に引いた場合も、削除して引き直す事ができます。

・フォントや配色の変更
フォントサイズや配色を変えることで、教科書を見やすくカスタマイズすることが可能です。特にフォントサイズの変更ができることにより、それぞれのデバイスのサイズ感に合わせて調整できるのは、大きなメリットと言えます。

・生徒の進捗確認
紙の教科書ではできなかった、生徒の進捗状況を追うことができます。生徒がどこまで教科書を読み進めているかを可視化し、改善点を見出すことが可能です。

デジタル教科書・教材の機能一覧

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基本機能

機能	解説
拡大	教科書の特定の箇所、画像・グラフなどを拡大して表示させることができる
書き込み・リンク設定	ペン、マーカー、スタンプなどによる教科書への書き込みや、外部リンクを設定することができる。書き込みした内容は保存が可能
オリジナル教材・コンテンツ活用	PDFや画像、作成したファイルなど自作のオリジナル教材や、動画・アニメーションなどを教科書に関連付けて利用することができる
キーワード検索	キーワードを入力して教科書内を検索し、目的のページに簡単に移動することができる
学習支援	背景や文字色の変更・反転や、ふりがなの表示、機械音声による文章の読み上げなどによる学習支援が可能

デジタル教科書・教材の比較ポイント

デジタル教科書・教材の比較ポイント

• ①：対象学年と教科で比較する
• ②：提供形態(クラウド/オンプレ/アプリ)で比較する
• ③：学習データ活用・連携機能で比較する
• ④：運用サポートと研修体制で比較する
• ⑤：アクセシビリティ・特別支援への対応で比較する
  

デジタル教科書・教材の比較ポイントでは、導入後の学習効果と運用のしやすさに直結する観点を押さえることが重要です。自校の授業スタイルと整合する機能要件の整理を先に行わないまま価格だけで比較すると、導入後に「欲しい機能が足りない」「使いこなせない」といったミスマッチが起こりがちです。比較時には、現場の教員が日々どのように授業を運営しているのかを具体的にイメージしながら、後述の5つの観点を確認していくことが有効です。

①：対象学年と教科で比較する

対象学年と教科で比較することは、学習指導要領との整合性や活用シーンの広さを判断するうえで最重要のポイントです。学習指導要領と連動したカリキュラム対応状況の把握を行わずに導入すると、使いたい単元に対応するコンテンツが存在せず、結局は紙教材中心の授業に戻ってしまうケースがあります。

対象学年が狭い教材を導入した場合、特定の学年・教科でしか使えないため、投資に対する利用頻度が低くなります。逆に、小学校から中学校まで縦断的に対応する教材であれば、学年をまたいだ習熟度別指導や補習にも活用可能です。具体的には、小5〜中3の英語・算数(数学)に対応した学習者用デジタル教科書のように、同一プラットフォーム上で複数学年・教科を提供する仕組みだと、教員・児童生徒双方の操作負担が軽減されます。

対象学年と教科のカバレッジが広くカリキュラムと密接に連動していることは、日常的な活用を定着させるうえで欠かせない比較軸です。導入前の段階で、自校の教育課程表と照らし合わせながら、どの単元でどの教材を利用するのかをイメージしておくと、選定時の判断が行いやすくなります。

②：提供形態(クラウド/オンプレ/アプリ)で比較する

提供形態を比較する理由は、ネットワーク環境や端末の種類によって、利用可能なサービスが大きく変わるためです。クラウド型かオンプレ型かによる運用負荷と柔軟性の違いを考慮せずに選定すると、「回線が混雑して授業で使えない」「校内サーバーの保守が負担になる」などのトラブルにつながります。

クラウドSaaS型はブラウザから利用でき、アップデートやメンテナンスもベンダー側で実施されるため、自治体や学校のシステム担当者の負荷を抑えられます。一方、ネットワーク帯域が不足している学校では、同時接続数が増えた瞬間に画面が固まるなど授業運営に支障が出る事例も見られます。ローカルインストール型やオンプレミス型は、回線負荷を抑えつつ安定的に利用しやすいものの、端末更新やサーバー管理の工数が増える点が課題です。

事例としては、GIGAスクール構想により1人1台端末と校内無線LANが整備された自治体で、クラウド型デジタル教材を全面的に導入し、校外からのアクセスも可能にして家庭学習まで連携させるケースが増えています。
提供形態と自校のICTインフラ・体制を突き合わせたうえで総合的に評価することが、失敗しないサービス比較の前提条件です。

③：学習データ活用・連携機能で比較する

学習データ活用・連携機能を比較する理由は、デジタル教科書・教材の真価が「紙にはない学習ログの蓄積と分析」にあるためです。学習履歴を安全かつ柔軟に活用できる仕組みの有無を確認しないと、「データはたまり続けるが、分析や指導改善に活かせない」という状況に陥ります。

学習eポータルやLMSと連携し、xAPIなどの標準仕様で学習ログを出力・統合できるかどうかは、他社教材との組み合わせや将来的な拡張性にも関わるポイントです。事例として、MEXTの教育データ利活用に関する報告では、デジタル教科書のページ遷移などをxAPIステートメントとして記録し、他のデジタル教材や評価システムと横断的に分析する取り組みが紹介されています。

学習履歴に基づき、児童生徒ごとにおすすめの復習問題を自動提示するアダプティブ学習機能を備えた教材も増えています。こうした機能を活かすには、学習データをどの範囲までエクスポートできるか、どのシステムと連携可能かを具体的に確認することが、比較検討の段階で重要になります。

④：運用サポートと研修体制で比較する

運用サポートと研修体制は、導入が定着するかどうかを左右する重要な比較ポイントです。教員研修と相談窓口の充実度が日常利用の継続率を左右する要素であるにもかかわらず、機能比較だけで選定すると、導入初年度に使い方が浸透せず活用が下火になるリスクがあります。

具体的には、初期導入時の集合研修やオンライン研修コンテンツの有無、トラブル発生時のサポート体制(電話/メール/チャット)の対応時間、マニュアルや授業案サンプルの充実度などをチェックします。文部科学省もデジタル教科書の効果的な活用に向けて事例集や研修動画を公開しており、公的な資料とベンダーの研修プログラムを組み合わせることで、校内研修の質を高めることが可能です。

サポートが限定的なサービスの場合、ICT担当教員の負担が増え、「困ったときに聞ける人がいない」という理由で利用が進まなくなることがあります。現場の教員が安心して授業で使い続けられるサポート体制を持つサービスを選定することが、比較段階での重要な判断基準です。

⑤：アクセシビリティ・特別支援への対応で比較する

アクセシビリティ・特別支援への対応を比較する理由は、デジタル教科書が学習上の困難を軽減するための重要なツールだからです。読み上げ・拡大・配色変更などのバリアフリー機能の充実度を確認しないまま導入すると、特別な配慮を必要とする児童生徒に十分なサポートを提供できない可能性があります。

学習者用デジタル教科書の制度化においても、視力などの理由で紙の教科書が読みづらい児童生徒への配慮が重要な目的の一つとして示されています。文字サイズ変更、背景色の反転、行間調整、ルビ表示、読み上げ速度変更などの柔軟な設定が可能な教材ほど、学習上のバリアを低減しやすくなります。:contentReference[oaicite:8]{index=8}

事例として、読み書きが苦手な児童に対し、タブレットで教科書本文を拡大・読み上げしながら、別画面に図や写真を表示して理解を促す取り組みも報告されています。アクセシビリティ機能を「特別なオプション」ではなく標準機能として備えたサービスを選ぶことが、多様な学習者を支える視点からも重要です。

デジタル教科書・教材の選び方

デジタル教科書・教材の選び方

• ①：自社の解決したい課題を整理する
• ②：必要な機能や選定基準を定義する
• ③：定義した機能から製品を絞り込む
• ④：レビューや事例を参考に製品を選ぶ
• ⑤：無料トライアルで使用感を確認する
  

①：自社の解決したい課題を整理する

自社(教育機関や教育事業者)の課題を整理することは、導入目的を明確にし、投資対効果を最大化するための起点となります。学習成果と業務効率のどちらを優先するのかという方針の明確化がないまま製品選定を進めると、機能は豊富でも課題解決につながらないツールを選んでしまうリスクがあります。

例えば、学習の個別最適化が主な目的であれば、AIによる習熟度判定や自動出題機能を備えたドリル型教材の比重を高める必要があります。一方で、教員の業務負担軽減が一次的な目的であれば、採点の自動化や成績処理、帳票出力のしやすさが重要になります。具体的には、「定期テスト前にどの単元が苦手かすぐ把握したい」「家庭学習の提出状況を自動で集計したい」など、現場の困りごとを文章に落とし込んでおくと、機能要件への翻訳が容易です。

解決したい課題をドキュメントとして可視化したうえで選定プロセスに共有することが、ツール導入を単なる流行ではなく、教育改革の一環として位置付けるための重要なステップです。

②：必要な機能や選定基準を定義する

必要な機能や選定基準の定義は、無数にあるデジタル教材の中から自組織に適した候補を効率的に絞り込むために欠かせません。機能要件・非機能要件・運用要件を言語化したチェックリストの作成を行わない場合、商談のたびに評価軸が揺らぎ、最終決定が長期化する傾向があります。

機能面では、対象教科・学年、問題バンクやコンテンツ量、AIの活用度、教材の編集・カスタマイズ性などを整理します。非機能面では、セキュリティ要件、稼働率、同時接続数、端末・ブラウザ対応状況などが焦点になります。運用面では、管理画面の使いやすさ、アカウント発行の方法、CSV連携や教育委員会システムとの統合のしやすさも評価対象です。

さらに、MEXTが示す教育データ利活用の方向性に沿って、将来的に学習eポータルや他教材と連携しやすい構成になっているかどうかも基準に含めると、長期的なシステム全体像と矛盾の少ない選び方になります。
事前に合意した選定基準をもとに評価することで、定性的な印象だけに左右されない透明性の高い比較が実現します。

③：定義した機能から製品を絞り込む

定義済みの機能・要件に基づき製品を絞り込むことは、選定プロセスを効率化し、関係者の合意形成をスムーズにするための工程です。要件とのフィット感を軸にしたスクリーニングプロセスの設計を行わないと、数十製品を漫然と比較することになり、情報過多で決めきれない状態に陥りやすくなります。

具体的には、まずRFP(提案依頼書)や要件一覧をもとに、ベンダーに機能の有無と実装レベルを回答してもらい、一次選定として3〜5製品程度まで絞り込みます。その後、教員代表やICT担当者を含むメンバーでデモ・ハンズオンを実施し、実際の授業での利用イメージを検証します。この段階で「必須要件を満たさない」「運用が複雑すぎる」と判明した製品は候補から除外します。

定義した機能要件に優先順位を付け、優先度の高い要件から順に絞り込みを行うプロセスを設けることで、客観的な説明責任を果たしやすくなり、予算や導入時期の調整も進めやすくなります。

④：レビューや事例を参考に製品を選ぶ

レビューや導入事例を参考にすることは、カタログやデモでは見えにくい「現場での使われ方」を把握するうえで重要です。実際の学校現場や教育事業者の声を踏まえた評価の確認を行わない場合、導入後に「想定していた使い方と違った」「サポートのレスポンスが想像以上に遅かった」といったギャップが発生しがちです。

口コミサイトやITreviewのようなレビューサイトでは、ユーザーが具体的な活用シーンや改善要望を投稿しています。事例としては、「特定教科では非常に便利だが、別の教科では機能を持て余している」「学年ごとに使い方を工夫している」などの生の声が多く、判断材料として有益です。また、自治体や学校の導入事例資料には、授業デザインや評価の変化、児童生徒や保護者の反応など、単なる機能紹介を超えた情報が含まれています。

第三者のレビューと自組織に近い規模・状況の導入事例を組み合わせて検討することにより、導入後の具体的な運用イメージが描きやすくなり、合意形成も進めやすくなります。

⑤：無料トライアルで使用感を確認する

無料トライアルで使用感を確認することは、机上の比較だけでは判断しづらいUI・UXやパフォーマンスを検証するために不可欠です。実機検証による授業シミュレーションの実施を行わないまま本契約に進むと、「思ったより画面遷移が遅い」「児童生徒が迷いやすい画面構成だった」といった問題に後から気づくことになります。

トライアル期間中には、少数クラスでの試行導入や、放課後の模擬授業を通じて、教員と児童生徒それぞれの操作感をチェックします。学習ログの取得・確認方法、採点や成績連携の手順、校内ネットワーク負荷、家庭からのアクセス可否なども、この段階で検証しておくべきポイントです。

また、教育委員会レベルでの採用を検討している場合、複数社のトライアルを同時並行で行い、共通の評価シートに基づき比較・評価するアプローチも有効です。無料トライアル期間を「使い方の慣れ」だけでなく、運用設計や研修計画の検証期間として位置付けることが、最終的な選定ミスを防ぐ重要なステップになります。

デジタル教科書・教材の価格・料金相場

デジタル教科書・教材の料金体系としては、学校・自治体向けに提供されるクラウドSaaS型やオンプレミス型、塾・企業・個人向けのライセンス型など、複数のモデルが存在します。契約単位と課金対象を正しく理解したうえで予算を見積もることが、費用対効果を判断するためのポイントです。

費用相場(目安)	クラウドSaaS型(学校・自治体向け)	オンプレミス/ローカル型(学校・自治体向け)	個別ライセンス/個人利用プラン
小規模(数クラス規模)	1IDあたり月300円〜800円程度	初期費用数十万円〜	1アカウント月500円〜1,500円程度
中規模(1校〜複数校)	年額数十万円〜数百万円程度	初期費用100万円〜+保守費用	年額5,000円〜15,000円程度
大規模(自治体一括・広域)	年額数百万円〜数千万円程度	導入・保守含め個別見積もり	学習塾・法人向けは別途ボリューム契約

※上記は主要EdTechベンダーが公開している料金プランから整理した一般的な目安であり、実際の価格は対象教科数・ID数・オプション機能によって変動します。

クラウドSaaS型の価格・料金相場

クラウドSaaS型のデジタル教科書・教材ソフトの料金相場としては、1IDあたり月額300円から800円程度、学校単位・自治体単位の契約では年額数十万円から数百万円となる場合が一般的です。クラウドSaaS型は、初期投資を抑えつつスケールしやすい料金モデルであり、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末環境との相性が良い形態です。

SaaS型では、サーバー設備やバージョンアップをベンダー側が担うため、学校や自治体側のインフラ投資は最小限に抑えられます。その一方で、ID数が増加すると月額費用・年額費用が比例して増えるため、長期的に見ると一定のランニングコストが発生します。具体的には、小規模校であれば学校予算内でも調達しやすい金額ですが、自治体一括導入では「年間数千万円規模の投資」となるケースもあり、複数ベンダーのサービスを併用する場合には総額の管理が重要です。

また、クラウドSaaS型はネットワーク帯域や同時接続数の確保が前提となるため、GIGAスクール構想の予算で整備された校内ネットワークやクラウド接続環境の状況も踏まえて検討する必要があります。
SaaS型はスモールスタートと段階的な拡張がしやすい反面、長期的なランニングコスト管理が鍵となる料金モデルといえます。

オンプレミス/ローカルインストール型の価格・料金相場

オンプレミス型のデジタル教科書・教材ソフトの料金相場としては、1校あたりの初期導入費用が100万円以上、自治体一括導入ではサーバー費用や保守費用を含めて個別見積もりとなるケースが一般的です。オンプレミス型では、校内ネットワーク内で完結する安定したパフォーマンスの確保が大きな利点である一方、初期費用と運用保守の負担がクラウド型より大きくなる傾向があります。

ローカルインストール型では、回線速度の影響を受けにくく、テスト期間中の一斉アクセスや、授業中の動画コンテンツ再生などでも安定して動作しやすい点がメリットです。しかし、サーバーの老朽化対応やOSアップデートへの追随、セキュリティパッチ適用などを学校側または自治体側で担う必要があります。機能追加や他システムとの連携も、クラウドSaaSと比較すると反映スピードが遅くなるケースが多く、教育データ利活用を全国的に推進する動きとも調整が必要です。

オンプレミス型は高い安定性と制御性を得られる代わりに、初期投資と保守体制の確保が成功の前提条件となる料金モデルと整理できます。

個別ライセンス/個人利用プランの価格・料金相場

個別ライセンスや個人利用プランのデジタル教材の料金相場としては、1アカウントあたり月額500円から1,500円程度、年額換算で5,000円から15,000円程度となるケースが一般的です。塾や民間教育サービス向けには、教室単位・受講者数に応じたボリュームディスカウントや、科目数に応じた従量課金モデルが採用されています。個人・少人数単位での導入に適した柔軟なライセンス体系が特徴です。

学校現場でも、標準的な自治体契約とは別に、特定の学年・少人数クラス向けに個別ライセンスを導入するケースがあります。事例として、入試対策や検定対策専用の教材を、3年生のみ追加導入するようなパターンが挙げられます。この場合、全校導入に比べて総額は抑えられるものの、導入対象が限定されるため、活用状況のモニタリングが重要になります。

個別ライセンス型は、小規模なトライアル導入や特定ニーズへのピンポイント対応に適した料金モデルであり、全校展開を見据えた試験的導入のステップとして活用することも可能です。

デジタル教科書・教材の導入メリット

デジタル教科書・教材の導入メリット

• 学習の個別最適化と習熟度別指導
• 教員の業務負担軽減と授業準備効率化
• 学習ログを活用した教育データの可視化
  

学習の個別最適化と習熟度別指導

学習の個別最適化と習熟度別指導を実現できることは、デジタル教科書・教材導入の最も大きなメリットの一つです。一人ひとりの理解度に応じた学習経路の自動提示が可能になることで、画一的な授業からの脱却が進みます。

デジタル教材では、正答率や解答時間などのデータを自動的に蓄積できるため、同じ単元でも習熟度に応じて難易度や出題内容を変えるアダプティブ学習が実現します。事例として、基礎問題に一定回数連続で正解した児童生徒には応用問題を提示し、誤答が続いた児童生徒には解説動画や類題を提示するといった運用が挙げられます。こうした個別最適化は、教員が手作業で実施するには限界がありますが、デジタル教材を活用することで日常的に実現可能になります。

学習の個別最適化は、習熟度の二極化が進むクラスにおいて、全員の学びを底上げしつつ意欲の高い児童生徒の学びも伸ばすための鍵となるメリットです。

教員の業務負担軽減と授業準備効率化

教員の業務負担軽減と授業準備効率化を実現できる点も、デジタル教科書・教材導入の重要なメリットです。採点・集計・資料準備などの定型業務の自動化によって、本来注力すべき授業設計や児童生徒との対話に時間を割きやすくなります。

デジタル教材を利用すると、小テストやドリルの採点結果が自動集計され、クラス全体・個人ごとの理解状況を瞬時に把握できます。学年別・単元別の誤答傾向も可視化されるため、授業の振り返りや次時の指導計画を効率的に立てられます。文部科学省の調査でも、ICT活用により「授業準備や採点業務が効率化した」と回答する教員が一定数存在し、教育DXの文脈で業務負担軽減が重要なテーマとして位置付けられています。

教員が付加価値の高い指導活動に時間を振り向けられるようになることは、長時間勤務是正と教育の質向上を両立させるうえで不可欠なメリットといえます。

学習ログを活用した教育データの可視化

学習ログを活用した教育データの可視化は、デジタル教科書・教材ならではのメリットです。学習履歴の客観的なデータによる指導改善サイクルの構築が可能になり、「なんとなくできている/できていない」といった曖昧な把握から脱却できます。

デジタル教科書や教材では、「どのページをどれくらい読んだか」「どの問題に何分かかったか」「どの時間帯に学習したか」などの詳細なデータを収集できます。MEXTの教育データ利活用関連資料でも、xAPIを活用した学習ログ標準化や、学習eポータルを通じたデータ連携の重要性が示されており、学校・自治体単位での学習状況分析が進められています。

事例としては、学力テスト結果と普段のデジタル教材の利用状況を突き合わせ、「どの単元の学習時間が不足している児童生徒が、どの設問で躓いているか」を可視化し、補習や個別指導に反映する取り組みが挙げられます。データに基づく指導改善は、教育のPDCAサイクルを加速させる重要なメリットです。

デジタル教科書・教材の導入デメリット

デジタル教科書・教材の導入デメリット

• 導入・運用コストと更新負荷
• ICT環境・ネットワーク依存のリスク
• 教員スキル・運用ルールの未整備
  

導入・運用コストと更新負荷

導入・運用コストと更新負荷は、デジタル教科書・教材に共通する大きなデメリットです。ライセンス費用とインフラ投資の両方を継続的に管理する必要性を見落とすと、数年後に予算のひっ迫を招く可能性があります。

クラウドSaaS型では、ID数に応じた月額・年額費用が継続的に発生します。オンプレミス型では初期導入費用が大きく、サーバー更新時には再度まとまった投資が必要です。さらに、端末更新サイクルやOSバージョンアップに伴う動作検証、セキュリティ対策など、見えにくい運用コストも積み重なります。自治体単位で複数のデジタル教材を導入している場合、各サービスごとの契約更新時期やバージョンアップ対応を整理するだけでも、相応の事務負担が発生します。

費用と更新負荷を中長期で見通したうえで導入計画を立てないと、数年後に「継続利用が難しい」「別サービスへの乗り換えを余儀なくされる」といった問題が顕在化するデメリットとなります。

ICT環境・ネットワーク依存のリスク

ICT環境・ネットワーク依存のリスクも、デジタル教科書・教材導入時に避けて通れないデメリットです。ネットワーク障害や端末トラブルにより授業が成立しなくなる可能性を考慮せずに設計すると、現場の不満を招き活用が定着しません。

クラウド型サービスでは、校内Wi-Fiの不安定さや回線帯域の不足が授業の妨げになります。特に、一斉ログインや動画コンテンツ再生が重なる時間帯には、画面が表示されない・ログインできないなどのトラブルが起こりがちです。GIGAスクール構想の予算で1人1台端末とネットワークが整備されたものの、実際の授業利用頻度が増えるにつれ、「性能要件を見誤っていた」「回線増強が必要だった」といった課題が各地で報告されています。

ICT環境に強く依存するがゆえに、インフラ整備やバックアップ手段を同時に検討しなければならない点が、デジタル教科書・教材のデメリットとして把握しておくべきポイントです。

教員スキル・運用ルールの未整備

教員スキルや運用ルールの未整備は、ツールそのものの性能に関わらず活用が進まない大きな要因です。指導技術とICTリテラシーの両面での研修不足がある状態で導入すると、「一部のICT得意な教員しか使いこなせない」状況になりがちです。

デジタル教科書は、単に紙の教科書を画面に映すだけでは十分な効果を発揮できません。画面共有と個別学習の切り替え、協働学習との組み合わせ、家庭学習との接続など、授業デザインの工夫が求められます。また、端末トラブル時の対応ルールや、利用時間・利用範囲のガイドラインが曖昧な場合、教員がリスクを恐れて利用を控える結果になりがちです。

ツール導入と同時に、教員研修・運用ルール・校内サポート体制を整備しないと、せっかくの投資が活用されないというデメリットが生じる点を認識しておく必要があります。

デジタル教科書・教材の導入で注意すべきポイント

デジタル教科書・教材の導入で注意すべきポイント

• 紙の教科書・既存教材との役割分担
• 個人情報保護と教育データの取り扱い
• ベンダーロックインと将来の拡張性
  

紙の教科書・既存教材との役割分担

紙の教科書・既存教材との役割分担に注意することは、授業デザインを混乱させずにデジタル化を進めるために重要です。紙とデジタルを補完的に活用する指針の策定を行わないと、「どの場面でどの教材を使うか」が教員ごとにばらつき、学年全体で学習経験に一貫性がなくなります。

学習者用デジタル教科書は、当面の間紙の教科書との併用を前提として全国の小中学校に段階的に導入されています。そのため、「説明・板書中心の場面では紙を使い、個別演習や家庭学習ではデジタル教材を使う」「音声・動画を活かす単元ではデジタルを中心にする」といった基本方針を学年ごと・教科ごとに決めておくことが重要です。

紙とデジタルの役割を明確に分担し、児童生徒にとってわかりやすい学習導線を設計することが、導入時に特に注意したいポイントです。

個人情報保護と教育データの取り扱い

個人情報保護と教育データの取り扱いに注意することは、信頼性の高い学習環境を維持するうえで欠かせません。教育データの取扱ルールと技術的なセキュリティ対策の両立を考慮しないと、保護者や教職員の不安を招き、活用が進まなくなる可能性があります。

学習ログには、学習時間や成績、行動履歴など、児童生徒の学びのプロファイルに関する情報が多く含まれます。MEXTの教育データ利活用に関する文書でも、データの収集・蓄積・分析とともに、プライバシー保護や目的外利用の防止が重要な論点として整理されています。そのため、利用規約やプライバシーポリシーの確認に加え、データの保管場所・アクセス権限・第三者提供の有無などを事前にチェックする必要があります。

教育データを扱ううえでの法令順守と倫理面の配慮を前提に、安心して利用できるサービスと運用ルールを整えることが、導入時に特に注意すべきポイントです。

ベンダーロックインと将来の拡張性

ベンダーロックインと将来の拡張性に注意することは、教育DXの長期ビジョンを実現するうえで重要です。特定ベンダーに依存しすぎないシステム構成の検討を行わないと、数年後に新しい教材やシステムを導入したくても技術的・契約的な制約で選択肢が狭まります。

デジタル教科書とデジタル教材の連携に関するMEXTの整理でも、学習指導要領コードや標準仕様(xAPIなど)を活用し、学習eポータルを含む複数システム間の連携を見据えた設計が必要とされています。特定ベンダー独自仕様に依存する構成を採用すると、他社システムとの連携やデータ移行が困難になり、結果として長期的なコストやリスクが増大します。

標準化されたインターフェースやデータ形式への対応状況を確認し、将来の教材追加・システム連携を想定した拡張性の高い構成を選ぶことが、導入時に意識したい重要な注意点です。

デジタル教科書・教材の最新トレンド

デジタル教科書・教材の最新トレンド

• GIGAスクール構想と1人1台端末を前提にした設計
• AIドリル・自動採点などアダプティブラーニング
• 学習eポータルとxAPIによる学習履歴連携
• インクルーシブ教育を支えるユニバーサルデザイン
• 海外事例に学ぶオープン教材・OERの活用
  

GIGAスクール構想と1人1台端末を前提にした設計

GIGAスクール構想と1人1台端末を前提にした設計が広がっている理由は、全国規模で端末とネットワークが整備され、日常的なICT活用が可能な環境が整いつつあるためです。端末常時活用を前提とした教材設計へのシフトにより、デジタル教科書・教材の機能とUIも変化しています。

GIGAスクール構想では、小・中学校を中心に1人1台端末と高速大容量の通信ネットワーク整備が進み、デジタル教科書や学習支援ソフトの活用が「特別な授業」から「日常的な授業」へと位置付けが変わりつつあります。デジタル教材側でも、端末の画面サイズや性能を前提にしたレスポンシブデザイン、オフライン一時保存機能、家庭学習との連携など、1人1台環境ならではの機能が強化されています。

1人1台端末を前提とした教材設計は、学校内外をシームレスにつなぐ学習環境の実現を後押しするトレンドとして、今後も継続していくと考えられます。

AIドリル・自動採点などアダプティブラーニング

AIドリル・自動採点などアダプティブラーニングが広がっている理由は、学習の個別最適化ニーズと、教員の業務負担軽減ニーズが同時に高まっているためです。AIによる最適問題提示と即時フィードバックにより、従来の一斉授業では難しかったきめ細かな指導が可能になります。

AIドリルでは、正誤データや解答時間をもとに習熟度を推定し、次に解くべき問題や復習すべき単元を自動的に選定します。自動採点機能は、選択式問題だけでなく記述式問題にも拡大しつつあり、自然言語処理技術を用いて採点支援を行う取り組みも増えています。これにより、教員は採点業務に費やしていた時間を、個別フォローや授業改善に充てられるようになります。

AIを活用したアダプティブラーニングは、学習の質と効率の両方を向上させるトレンドであり、今後のデジタル教科書・教材において標準機能化が進む領域です。

学習eポータルとxAPIによる学習履歴連携

学習eポータルとxAPIによる学習履歴連携が注目されている理由は、教材ごとに分散したログを統合して、教育データとして有効活用する必要性が高まっているためです。異なる教材間の学習ログを標準仕様でつなぐ取り組みが、教育DXの中核テーマになっています。

MEXTの教育データ利活用事業では、学習eポータルをハブとして、複数のデジタル教材・LMS・評価システムの学習履歴をxAPIで収集・連携するモデルが検討されています。デジタル教科書の「次のページを読む」などの行動ログもxAPIステートメントとして記録することで、教科横断的な学習状況分析が可能になります。

学習eポータルと標準化されたログ連携は、学校や自治体レベルでの教育データ活用を実現するための基盤となるトレンドであり、デジタル教科書・教材選定時にも対応状況を確認したいポイントです。

インクルーシブ教育を支えるユニバーサルデザイン

インクルーシブ教育を支えるユニバーサルデザインが重視されている理由は、多様な学習ニーズを持つ児童生徒が増え、誰もが学びやすい環境を整える必要が高まっているためです。アクセシビリティ機能を前提とした教材設計が、デジタル教科書・教材の標準要件になりつつあります。

拡大表示・読み上げ・配色変更・フォント変更・行間調整などの機能は、特別な配慮を必要とする児童生徒だけでなく、一時的な体調不良や学習スタイルの違いにも柔軟に対応できる仕組みです。海外の事例でも、デジタル教科書のユニバーサルデザイン設計と、特別支援教育の連携が進んでおり、日本でも同様の方向性が示されています。ユニバーサルデザインを備えたデジタル教科書・教材は、インクルーシブ教育を具体的に支える重要なトレンドであり、今後の開発・選定における必須の視点となります。

海外事例に学ぶオープン教材・OERの活用

海外事例に学ぶオープン教材・OER(Open Educational Resources)の活用が注目されている理由は、教育コンテンツの多様化とコスト削減、そして共同開発・共同利用のメリットを享受できるためです。オープンライセンスによる教材共有とローカライズが進むことで、学校や教育事業者の選択肢が広がっています。

諸外国の教育動向調査では、デジタル教科書やOER形式教材の活用が進んでいる国・地域の事例が多く紹介されており、オープン教材を前提としたデジタルプラットフォームが整備されつつあります。日本においても、大学を中心にOERの活用が広がり、今後は初等中等教育でもオープン教材と商用教材を組み合わせたハイブリッドな活用モデルが検討されています。

OERの活用は、コスト面だけでなく、地域・学校間での教材共有や共同開発を促進するトレンドであり、デジタル教科書・教材のエコシステム全体を変えていく可能性を持っています。