エンゲージメントサーベイツールの導入においては、技術的な問題に加えて、以下のような運用・組織文化・心理面の課題が起こりやすい傾向にあります。

このような課題が生じた場合に備え、適切な解決策を押さえておきましょう。

  • 回答率が低い
  • サーベイ結果が活用されない
  • 現場マネージャーの負担・抵抗
  • サーベイ疲れ
  • 従業員が本音を回答しない(心理的安全性の欠如)
  • ツール導入が目的化する
  • 既存システムとの連携が不十分
  • 日本特有の文化・言語ギャップ

回答率が低い

課題 解決策
従業員が「回答しても意味がない」と感じる忙しくて回答が後回しになる匿名性への不安 目的の明確化回答時間の確保匿名性の保証

回答率を上げるには、目的の明確化や十分な回答時間の確保、匿名性の保証が重要です。

エンゲージメントサーベイツール導入の際、従業員に対して導入の目的や意義を提示していないと「回答しても意味がない」「後回しでも良いだろう」と優先度が低くなってしまいがちです。そのため、導入目的を明確化した上で、従業員にもメリットがあることを周知しておきましょう。

また、実施時期と繁忙期が重ならないようにする、あらかじめ回答時間の目安を伝えるなどして工夫すれば、回答率アップを狙えます。さらに、事前に匿名性を担保する旨や、情報の取り扱い方について説明しておくと、従業員が安心して回答できるようになります。

サーベイ結果が活用されない

課題 解決策
調査だけして終わる
結果をどう扱うべきか分からない
アクションプラン作成を必須化
サーベイ結果を基にチームディスカッションを実施

「ツールを使って調査したものの、得られた結果を生かせず終わってしまった」というケースもあり得ます。単なるデータ収集で終わってしまうと、回答した社員の労力や時間が無駄になってしまい、組織への信頼を損ねる原因になります。

サーベイ結果を集計したら「なぜこのような結果になったのか」「どのように改善すべきか」をチームでディスカッションしましょう。その内容を基に、具体的なアクションプランを作成すれば、サーベイで得られた結果を有効活用できます。

現場マネージャーの負担・抵抗

課題 解決策
評価されるツールと誤解される業務負担が増える マネージャー向け説明会の実施簡単なアクションテンプレートの提供

エンゲージメントサーベイツールを人事評価ツールと誤解している場合、「もしスコアが低かった場合、自分のマネジメントが悪いと思われるのでは」という心理的な抵抗を感じるマネージャーもいるようです。

また、社員に回答を促したり、結果を説明したりするのは現場マネージャーの仕事になるため、単純に業務負担が大きくなることを不満に思う人が出てくることもあります。

このような課題を解決するには、マネージャー向けの説明会を実施してツール導入の目的や意図を明示する必要があります。また、サーベイ結果を基にしたアクションプランを簡単に作成できるテンプレートを提供するなどの工夫を取り入れることで、業務負担を軽減できるでしょう。

サーベイ疲れ

課題 解決策
調査が多過ぎる毎回同じ質問に回答することに疲れる 質問数の削減
テーマ別サーベイの実施

サーベイ疲れとは、従業員がアンケートに回答する意欲やモチベーションを失ってしまう現象のことです。

短いスパンでアンケート調査を繰り返したり、毎回同じ質問を出したりすると、社員側がストレスや疲労を感じやすくなり、サーベイ疲れに陥いることがあります。その結果、回答率が低下したり、惰性で回答したりする可能性もあります。

実際、ITreviewでもエンゲージメントサーベイツールを導入したものの「回数を重ねるごとに受検者数が減少した」という課題を抱えているレビューが見られます。

こうした課題を解決するためには、実施する頻度を下げる、あるいは質問数を減らすなどの改善を行いましょう。

また、同じサーベイを繰り返すだけでなく、以下のようなテーマ別のサーベイを実施するのもマンネリ防止になります。

  • 人事制度改定
  • 評価制度
  • 働き方改革

AIによる心理状態の可視化で、社員と向き合えるサーベイツール

従業員が本音を回答しない(心理的安全性の欠如)

課題 解決策
「評価に影響するのでは?」という不安結果が表面的になり、改善につながらない 匿名性の担保を明確に説明結果を共有し、改善アクションを実行

心理的安全性を確保するには、匿名性の担保を丁寧に説明すると共に、結果を共有して改善アクションにつなげることが大切です。

心理的安全性とは、組織内で自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態を表すものです。

「エンゲージメントサーベイが人事評価に影響を与える」という誤解が広まった状態だと、「評価に影響するのでは?」という不安から、心理的安全性が低下し、社員が本音で回答しなくなる可能性があります。その結果、サーベイ結果が表面的なものになり、会社が抱える課題を根本的に解決できなくなることもあり得ます。

このような課題を解決するには、サーベイを実施する前に匿名性が担保されることや、「人事評価に影響を及ぼすものではない」としっかり説明することが大切です。また、サーベイ結果は社内で共有し、洗い出した課題や問題に対する改善アクションを実行することを心掛けましょう。

ツール導入が目的化する

課題 解決策
ツールを入れることがゴールになる
組織改善につながらない
KPIを設定
PDCA運用

ツールを導入すること自体が目的になると、サーベイを実施しただけで満足し、組織改善につながらずに終わる可能性があります。

サーベイツールはあくまで手段であり、目的ではありません。「なぜサーベイツールを導入したのか」「ツールの導入で何を改善したいのか」といった導入目的を明確にした上でKPIを設定し、目標達成を目指すことが大切です。

具体的には、サーベイ結果を基にアクションプランを策定・実行し、その結果を踏まえて新たなサーベイおよびアクションプランを実行するといったPDCAサイクルをできるだけ早く回せるようにしましょう。

既存システムとの連携が不十分

課題 解決策
人事データベースや勤怠システムと連携できず、運用が煩雑データの一元管理ができない 人材データベースと連携可能なツールを選定API連携やCSV連携の有無を事前に確認

人事データベースや勤怠管理システムといった既存のシステムとスムーズに連携できない場合、データを一元管理できず、手作業でデータを入出力する必要があります。また、手作業ならではの誤入力や転記漏れがあると、分析や施策立案に必要なデータ整理に時間がかかり、サーベイ結果のアクションプランへの反映が遅れてしまう恐れがあります。

既に外部システムを利用している場合は、API連携やCSV連携などで既存システムとスムーズに連携できるかどうかを事前に確認しておきましょう。

具体的には以下のポイントを確認しておくと安心です。

  • API連携に対応しているか
  • CSV入出力に対応しているか
  • 人事データベースや勤怠システムとの連携実績があるか
  • 部署・雇用形態・拠点などの属性データを取り込めるか

日本特有の文化・言語ギャップ

課題 解決策
「仕事を楽しんでいるか」といった西洋的な問いが文化にフィットせず、低スコアになりがち
謙遜・完璧主義から、良い評価でもあえて厳しく点をつける傾向
ローカライズされた設問設計
スコアの解釈ルール設定

海外のエンゲージメントサーベイを基に設問を設計すると、日本の文化となじまない設問が多くなり、スコアが低くなる可能性があります。

さらに、謙遜や謙虚さを美徳と考える日本人は自己主張を控える傾向があり、ポジティブな回答を控えてしまうケースも見られます。

このような日本特有の文化や言語ギャップを解消するには、日本向けにローカライズされた設問設計を行ったり、日本人の性質を踏まえた独自のスコア解釈ルールを設けたりする工夫が必要です。

エンゲージメントサーベイツールを導入する際は、現場目線で課題解決を目指そう

エンゲージメントサーベイツールの導入を成功させるには、目的の明確化や匿名性の担保、改善アクションの実行、現場負担の軽減などが重要です。

エンゲージメントサーベイツールは、サーベイを効率化できる便利なツールですが、回答率の低さや現場からの抵抗、結果の精度の低さなど、さまざまな課題に直面する可能性があります。

ツールを導入しただけで満足せず、回答する社員や現場の目線に立ち、潜在的な課題の洗い出しと解決への取り組みを行いましょう。

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