アイティクラウド株式会社は「ITreview User Conference 2026」のスペシャルセッションとして「AIに選ばれるSaaSへ ― レビューとAEOでつくる第三者評価戦略」と題したパネルディスカッションを実施しました。
登壇したのは、Ahrefs 日本マーケティング統括の河原田隆徳氏と、GMO TECH株式会社 執行役員の中原卓馬氏です。モデレーターは、アイティクラウド株式会社 マーケティング部門部長の野島哉が務めました。
前編となる本記事では、セッション冒頭のやり取りとAhrefsによる独自の調査データをもとに、AI検索時代における検索行動とクリック率の変化、そしてITreviewのレビューがAI回答でどのように引用されているのかを整理します。
後編では、GMO TECHの中原氏が実施した大規模なプロンプト分析の結果をもとに、ITreviewのレビューがどのような文脈でAIに引用されているのか、そしてAIに引用されやすいレビューや情報にはどのような特徴があるのかを解説します。
この記事でわかること
- 比較検討の主戦場が、従来までの検索結果からAI回答へ移りつつある実態
- Ahrefsの独自調査データから見える、AIが参照する情報源の変化
- ITreviewに蓄積されたレビューが、AI回答の中でどのように参照されているか
目次
- 本セッションについて
- 登壇者紹介
- 本セッションで語られる5つのポイント
- 比較検討の主戦場が、検索結果からAI回答へ
- ITreview・Ahrefs・GMO TECHの役割分担
- Ahrefsとは?ウクライナ発、シンガポール拠点のデータドリブンなSEO企業
- ITreviewの「AEOダッシュボード」で見る引用の実態
- 情報収集系クエリの99.9%でAI Overviewsが表示される時代
- 検索順位1位のクリック率は、グローバルで58.0%、日本で37.8%低下
- 「ブランドレーダー」で見える、ITreviewのレビューがAIに引用される実態
- AIは「他者が語るあなた」を重視する
- Ahrefs自身の実践に見る、ITreviewが引用される実感
- 前編まとめ:SEOからAEOへ ―「見つけられる」から「推薦される」設計へ
本セッションについて
本記事は2026年6月にオフラインで実施された「ITreview User Conference 2026」内のスペシャルセッション「AIに選ばれるSaaSへ ― レビューとAEOでつくる第三者評価戦略」の内容をレポートするものです。
本セッションでは「Ahrefs・GMO TECH・ITreviewが語る、生成AI時代に“推薦されるブランド”の条件」として、AhrefsとGMO TECHの2社を迎え、AI検索時代における第三者評価の活用方法についてディスカッションが行われました。
ITreview User Conferenceとは?
ITreview User Conferenceとは、アイティクラウド株式会社が主催する、IT製品・SaaSのレビュープラットフォーム「ITreview」に製品・サービスを掲載するITベンダー向けの招待制イベントです。
登壇者紹介
| 氏名 | 所属・役職 | プロフィール |
|---|---|---|
| 河原田 隆徳氏 | Ahrefs 日本マーケティング統括 |
Waze(現・Google)、Wix、monday.comのテルアビブ本社で、日本市場向け製品の立ち上げ、ローカリゼーション、日本マーケティング戦略に約15年間従事。2024年にAhrefsの日本マーケティング統括に就任し、認知度向上、ユーザーエンゲージメント、市場拡大に注力している。 |
| 中原 卓馬氏 | GMO TECH株式会社 執行役員 |
GMOインターネットグループのSEO事業を統括するとともに、検索エンジンおよびAIのアルゴリズムを研究する部門を兼任。社内では検索領域の専門家として知られている。 |
| 野島 哉(モデレーター) | アイティクラウド株式会社 マーケティング部門部長 |
ITreviewのプロダクトマーケティングを統括。本セッションでは進行役を務めた。 |

「これが本日最後のセッションになります。30分間、お話しさせていただきます」(野島)
「Ahrefsで日本市場のマーケティングを担当しております、河原田隆徳と申します。少し変わった経歴で、イスラエルのテルアビブにあるテクノロジー企業で、約15年間、日本市場向けのマーケティングに従事していました」(河原田氏)
「一つだけ言わせていただくと、ITreviewが本当に好きなんです。SEOの研究対象として、これまで徹底的に掘り下げてきました。その研究を進めるうえで、Ahrefsも使い倒してきた大好きなツールです。今日は、大好きな研究対象と、それを実現する大好きなツールの方とお話しできるので、落ち着いたふりをしていますが、実はかなりテンションが上がっています」(中原氏)
本セッションで語られる5つのポイント

本セッションは、次の5つのステップで構成されていました。
- ITreviewで見る:引用状況、AIプラットフォーム、時系列の変化を、ITreview上の機能で確認する
- Ahrefsで測る:AI SOV、引用元、競合との文脈を、ITreviewの外側も含めて可視化する
- GMO TECHが読む:AIがITreviewをどのように参照しているのかを、実務的な観点から読み解く
- 3社で議論する:レビュー、ITreview Grid Award、外部メディア上の資産について議論する
- 明日から動く:4つの実務アクションに落とし込む
「お二人にバトンを渡す前に、まず見ていただきたいのが順位です。順位は非常に重要で、AI回答で引用される割合にも影響します。ただし、見るべきものは順位だけではありません。その点もあわせてお持ち帰りいただければと思います」(野島)
比較検討の主戦場が、検索結果からAI回答へ

これまでユーザーは、検索結果を見ながら自分で製品を比較検討し、比較サイトや製品サイトを経由して、問い合わせに至っていました。
一方、生成AIが普及した現在では、ユーザーの質問に対してAIが情報を要約し、条件に合った製品を推薦したうえで、ユーザーが第三者評価を確認し、指名検索に至るという流れへ変わりつつあります。
ユーザーと情報の間に、AIが介在する場面が増えているということです。
情報提供側の視点に立てば、この変化は「SEO=見つけられるための設計」から「AEO=推薦されるための設計」への転換と捉えることができます。
ITreview・Ahrefs・GMO TECHの役割分担

本セッションでは、ITreview、Ahrefs、GMO TECHの役割を、次のように整理していました。
| 立場 | 見るべきこと | 主な手段 |
|---|---|---|
| ITreview | 自社のブランドが引用されているか | AEOダッシュボードで、レビュー資産がAI回答でどのように使われているかを見る |
| Ahrefs | 外部ではどのように語られているか | ブランドレーダー、MCP、AIエージェント「Agent A」で、AI SOVや引用元を追跡する |
| GMO TECH | 引用結果をどのように改善するか | 検索・AEOの実務的な観点から、コンテンツやレビューの設計へ落とし込む |
Ahrefsとは?ウクライナ発、シンガポール拠点のデータドリブンなSEO企業

「Ahrefsは2010年にウクライナで創業し、現在はシンガポールと米国に拠点を置いています。そして今年、日本にAhrefs Japan合同会社を設立しました。データドリブンなSEOおよびLLMOマーケティングツールを、世界中で開発・提供しています」(河原田氏)
創業以来、Ahrefsは自己資金による非上場経営を続けており、社員数は約160名。25以上の国・地域から集まったメンバーが働いています。2024年には、シンガポールの急成長企業の一社に選出されました。
「ITreviewでも、さまざまな賞をいただいています。ITreview Grid Award 2026 SpringやThe Best Software in Japan 2026を受賞しているほか、LLMO・GEOツール部門を含む4部門で『Leader』バッジをいただいています」(河原田氏)
Ahrefsの強みは、検索データの基盤を自社で保有している点にあるといいます。

「こうした強固なインフラに支えられ、さまざまなSEO・LLMマーケティングツールを展開しています。本日は、その中からAI検索分析ツールの『ブランドレーダー』と、MCPサーバー、AIエージェントに絞ってお話しします」(河原田氏)
河原田氏によると、Ahrefsの自社開発クローラーは、Google、OpenAI、Metaと肩を並べる規模でウェブをクロールし、14年間で170兆ページを超えるウェブインデックスを蓄積しています。
このデータを支えているのが、毎分500万ページを処理する自社データセンターと、自社開発のスーパーコンピューター「Yep1」です。Yep1は、2025年11月時点のTOP500ランキングで世界75位に位置づけられています。
こうしたインフラを基盤に、ブランドレーダー、ランクトラッカー、サイトエクスプローラー、キーワードエクスプローラー、MCPサーバーが提供されています。また、本セッションで紹介された「Letaido(旧 Agent A)」は、Ahrefsの新たなAIワークスペースとしてリリースされています。
ITreviewの「AEOダッシュボード」で見る引用の実態

ここで、ITreviewが提供する機能に話を戻します。
ITreviewには、蓄積されたレビューがAI回答でどのように扱われているかを確認できる「AEOダッシュボード」があり、主に次の4項目を確認できます。
- 引用数:製品やカテゴリが、AI回答でどれだけ参照されたか
- AIプラットフォーム:ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexityなど、どのAIで引用されたか
- 期間変化:引用数の増減率を確認し、時系列で変化を追う
- プロンプト詳細:AIの回答内容と、引用元となったURLを確認する
ここでの土台となるのが「AI回答で引用される状態を、レビュー資産のKPIとして捉える」という考え方です。以降のセッションでは、この土台に対して、AhrefsとGMO TECHがそれぞれの視点を重ねていきます。
情報収集系クエリの99.9%でAI Overviewsが表示される時代

「『〇〇とは』といった情報収集系のクエリ、いわゆるKnowクエリをGoogleで検索した場合、99.9%の割合でAIによる概要、AI Overviewsが表示されています。情報収集系のクエリほど、AIによる概要だけで情報収集が完結する時代になってきていることが明確になっています」(河原田氏)
この数値は、Ahrefs独自の調査結果として紹介されたものです。ユーザーが検索結果から複数のページをたどって情報を収集する行動の一部が、AIによる要約を閲覧する行動へ移りつつあることを示唆しています。
検索順位1位のクリック率は、グローバルで58.0%、日本で37.8%低下

「これまでは、検索順位1位であれば多くのクリックを獲得できました。しかし、AIによる概要が表示されることで、検索順位1位のクリック率が、グローバルでは58.0%、日本国内でも37.8%低下していることがわかっています。検索結果に表示されても、クリックされにくくなる流れが明確になっています。検索結果で上位に表示されるだけでは、従来と同じようにクリックを獲得することが難しくなりつつあるということです。」(河原田氏)
※ 2026年6月時点の最新データでは、情報収集型キーワードにおける検索1位のCTR低下率が日本で−62.7%に達し、2025年12月の−38%からわずか6ヶ月で24.7%悪化しました。米国でも−58%から−68.8%へと拡大しています。

あわせて、検索そのものの多様化も進んでいると河原田氏は指摘します。
「Google I/O 2026でも発表されたように、今後は検索がエージェント化し、エージェントがユーザーに必要な情報を自ら探す方向へ進んでいきます。さらに、Amazon、YouTube、Redditなど、これまで検索エンジンとは呼ばれていなかったサービスも、検索・発見の場として機能するようになっています。検索手段の多様化が、さらに広がっていることが見て取れます」(河原田氏)
Ahrefsでは、無料ユーザー登録時に「どこでAhrefsを知ったか」を尋ねるアンケートも実施しています。この回答データからも、AIを通じた情報収集が急速に広がっている様子がうかがえます。
「ChatGPTなどのAIでAhrefsを知ったという回答は、2024年から2025年にかけて2.5倍に増加しています」(河原田氏)
「ブランドレーダー」で見える、ITreviewのレビューがAIに引用される実態

「こうした見えない顧客接点、いわゆる『ダークファネル』をどのように評価するか。そのためのツールを提供しています」(河原田氏)
「Ahrefsは、これまで蓄積してきた検索クエリのデータを保有しています。実際にユーザーが検索しているクエリをもとに関連する質問を抽出し、その膨大な質問をAIへ自動的に投げかけ、回答を収集します。さらに、自社が分析したいカスタムプロンプトを設定し、毎日、毎週、毎月といった頻度で各AIに質問を送り、情報を収集することもできます」(河原田氏)
これが、Ahrefsが提供するAI検索分析ツール「ブランドレーダー」です。
AI検索可視化機能「ブランドレーダー」を提供するAhrefs(エイチレフス)は、ITreviewが発表した「The Best Software in Japan 2026」において、「AEO・GEO・LLMO ツール」部門 No.1 を受賞しました。本アワードは、日本の SaaS・ソフトウェアを約 200 のカテゴリーに分け、ユーザーから特に高い満足度と支持を集めた各カテゴリーの No.1 製品を選出するものです。

セッションでは、ブランドレーダーで見るべきシグナルは、次の4つに整理されていました。
- 検索需要×プロンプト:従来の検索データから需要と変化を捉え、プロンプト設計のヒントにする
- AI SOV(Share of Voice):AI検索における自社ブランドの言及・引用頻度と占有率を可視化する
- 引用ドメインの把握:AIがどのドメインやページを情報源として引用しているかを確認する
- AI指名率の追跡:自社が推薦されたいプロンプトに対するAI回答を定点観測し、成果を測定する
「『Ahrefsの製品レビューや価格について教えてほしい』というプロンプトに対して、ITreviewのページが必ず参照元となっていることを確認できました。ITreviewのようにユーザーレビューを蓄積してきたサイトが、AI検索において好んで参照されるドメインになっていることを、データとして可視化できています」(河原田氏)
「MCPや外部APIを利用すれば、こうした膨大なデータをChatGPTやClaudeから直接読み込み、分析できます。さらに、AIエージェントを使ってダッシュボードやアプリを構築し、分析そのものを自動化・エージェント化することも可能です」(河原田氏)
河原田氏は、実際に自社で構築したトラッキングダッシュボードの画面を示しながら解説しました。
「Ahrefsの独自調査では、1週間でAIの回答のおよそ20%が変化することも確認できています。一度プロンプトを投げて推薦されたからといって、それで終わりではありません。継続的にモニタリングすることが重要です」(河原田氏)
AIは「他者が語るあなた」を重視する

ブランドレーダーの分析から見えてきた、もう一つの重要な傾向が「第三者ドメインの優位性」です。
今回紹介された分析では、自社ドメインよりも、第三者ドメインのほうがAI回答で多く引用される傾向が示されていました。
つまり、自社サイトのSEOを改善することと、AIから推薦されることは、必ずしも同じではないということです。
だからこそ、PR TIMES、ITreview、note、YouTubeなどの第三者ドメインを活用し、戦略的に情報を発信することの重要性が高まります。
自社の強みや独自性、すなわちUSPを外部に向けて発信したうえで、それらがAIに正しく理解されているかを継続的に監視することが求められます。
Ahrefs自身の実践に見る、ITreviewが引用される実感

Ahrefs自身も、ITreviewを活用したAEO・LLMO施策を実践しているといいます。
1年半前からITreviewの有償プランを契約し、継続的にレビューを収集。現在は100件を超えるレビューを蓄積し、GEO・LLMO計測ツールでも1位の評価を得ているとのことです。
前編まとめ:SEOからAEOへ ―「見つけられる」から「推薦される」設計へ

前編では、Ahrefsの会社概要と独自調査データをもとに、AI Overviewsの表示率やクリック率の変化、第三者ドメインの重要性、そしてITreviewのレビューがAI回答の参照元として機能している実態を整理しました。
AIに推薦されるブランドになる時代へ。1年半かけて積み上げたITreviewのレビューが、今、AIに引用される資産に。
「1年半かけて積み上げたITreviewのレビューが、今、AIに引用される資産になっています。自社サイトを『指名検索』の最終地点として位置づけ、さまざまなメディアを通じて戦略的に情報を発信していくことが重要になると思います」(河原田氏)
続く後編では、GMO TECHの中原氏が実施した約4万件の日本語AI回答の分析結果をもとに、ITreviewのレビューがどのような文脈でAIに引用されているのか、そしてAIに引用されやすいレビューや情報にはどのような条件があるのかを、具体的に解説します。