商品・サービスが広く使われるようになるのは企業として喜ばしい反面、カスタマーサポートにかけるコストが増えていくという課題もあります。ユーザーの問い合わせに対して満足に対処できなかったり、対応漏れなどが起きたりすれば、商品・サービス、企業に対する不信感からユーザー評価が下がってしまうかもしれません。

そうした課題を解消し、コールセンター問題を解決するツールとして注目されているのが「ボイスボット」です。この記事では、ボイスボットの概要や導入により得られる5つのメリットについてご紹介します。

ボイスボットとは?

ボイスボットとは、AI(人工知能)技術を活用して音声による自然言語を認識し、自動応答するプログラムやサービスのことです。

テキストによる自然言語を処理するチャットボットは、多くの企業が導入しているので今では馴染みのあるツールです。つまり、ボイスボットは「チャットボットの音声版」と考えると分かりやすいでしょう。

仕組みとしては「機械学習(マシンラーニング)」を用いて、人間が脳で自然言語を処理するのと同じような能力を目指しています。機械学習はAIが反復的に学習を行うことにより、次第に精度を高めていく技術です。

もちろん、どのような自然言語でも人間のように処理できるわけではありませんが、従来主流だったIVR(Interactive Voice Response)システムよりも高い精度で音声回答が行えるようになります。

ボイスボットの導入によるコールセンター業務のメリット6つ

その1.オペレーション業務の効率化

従来はIVRシステムで対応していた音声回答ですが、ダイヤル式では設問の選択肢が限られる上に、ユーザーの要望を把握するために複数の設問を投げかける必要があることから時間がかかっていました。また、ユーザーの要望を正確に汲み取るのが難しいため、オペレーターにつながった時点では「料金に関するお問い合わせ」など、ざっくばらんな要件しか把握できませんでした。

一方、ボイスボットではユーザーが自由に発話した音声を処理するため、回答が早い上にオペレーターにつながった時点で詳しいニーズまで把握できます。これによりオペレーション業務を効率化し、回答精度を向上させ、対応時間の短縮にもつながります。

その2.24時間自動応答による満足度向上

ボイスボットは自然言語処理を利用し、ユーザーの問い合わせに対して即時回答を目指すツールです。そのため、問い合わせ内容によってはオペレーターにつなぐ必要がなく、その場で疑問・問題を解消できます。

従来のIVRシステムはオペレーターに接続することを前提としていたため、ボイスボットのように24時間365日対応するのは不可能でした。ボイスボットなら、オペレーター不要の問い合わせはその場で解決できるため、24時間365日の自動応答が可能になりユーザー満足度の向上にも貢献します。

その3.オペレーター採用コストの削減

ボイスボットのFAQシナリオが実態に即したものになると、人によるオペレーションの必要性が低くなります。そのため、採用コストの削減が見込まれます。

現在多くの業界・業種で人材不足が叫ばれていますが、オペレーター職も例外ではありません。近年は人材の流動も激しいため、オペレーター人材を満足に確保するのが困難になりつつあります。

そうした中で、オペレーター採用の必要性を低下させられれば、人材難においても満足度の高いカスタマーサポートを提供できます。

その4.オペレーター負担減による定着率向上

AI技術がさらに躍進すれば、いずれはコールセンターがすべて自動化されるかもしれません。しかし、それは未来の話であり、コールセンターにはまだまだ人材が必要です。そのため、採用したオペレーターが定着する施策や環境が必要です。

ボイスボットの存在はオペレーターの負担を軽減するケースが多いため、人材定着率の向上にも効果的です。「ストレスが多い」「ノルマがキツい」といったコールセンターの課題をボイスボットによって解消できるかもしれません。

その5.機械学習により使うほどに精度アップ

ボイスボットに採用される機械学習という技術は、使うほどに精度をアップさせられるのが特徴です。ユーザーの自然言語を処理し、それに対する回答を行い、さらにフィードバックを得ることで少しずつ学習を深めていけます。そのため、ボイスボットは導入初期よりも時間が経過することでコストパフォーマンスが高くなるという特徴があります。

ボイスボットがコールセンターの人材難を救う

従来、コールセンターは「コストばかりかかる部門」と認識されていました。しかし現在では、顧客満足度がビジネスに与える影響が見直され、「コールセンターから利益を生み出そう」という動きが活発化しています。

回答の質を向上して問い合わせの平均処理時間を短縮できれば、ユーザー満足度は確実にアップしていきます。そのためにも、この機会にボイスボットの導入による業務効率化やオペレーターの負担軽減などを検討してみましょう。

以下の記事ではおすすめのボイスボットツールを紹介しています。合わせてご一読ください。

記事:コールセンター業務に役立つボイスボット5選|特徴やレビューをチェック

この記事の執筆

CASITOMO

ライター

夫婦Webライター。2013年に夫婦で独立し、10,000本以上のSEOコンテンツを企業オウンドメディアに提供。夫は元通訳・翻訳家、妻は元アパレルマネージャー。映画鑑賞とバスケ、週末ベイキングが共通趣味。

この記事の監修

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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