ビジネス環境が目まぐるしく変化する昨今、ビジネスパーソンの情報収集手段もまた大きな転換点を迎えています。

令和7年にITreviewが実施した『ビジネス情報収集活動における意識調査アンケート』の報告によると、AIツールの利用率は3年前と比較して33ポイント増加したことが明らかになりました。

一方で、Google検索は依然として最も利用される情報収集手段として君臨し、X(旧Twitter)やInstagramをはじめとする各種SNS、YouTubeなどの動画メディアも着実に存在感を増しています。

前回に引き続き、今回は現代の主要な情報収集手段である「Google検索・AI検索・SNS」の利用状況を年代別・職種別・役職別に詳しく分析し、それぞれのレイヤーに合った情報収集手段を模索していきます。

▶ 前回の記事:【Google検索 vs AI検索 vs SNS】ビジネス情報収集の過去と現在を徹底分析!

【年代別の分析】若年層になるほどAIとSNSを積極的に活用している

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: -5-1024x576.png

年代 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
20代前半 12人(1.2%) 91.7% 50.0% 58.3% 16.7% 33.3% 8.3% 25.0%
20代後半 54人(5.6%) 87.0% 59.3% 48.1% 27.8% 29.6% 13.0% 14.8%
30代前半 83人(8.5%) 86.7% 53.0% 39.8% 27.7% 36.1% 16.9% 19.3%
30代後半 91人(9.4%) 92.3% 53.8% 35.2% 17.6% 38.5% 19.8% 18.7%
40代 276人(28.4%) 87.3% 46.7% 34.8% 29.3% 45.7% 23.2% 21.0%
50代 305人(31.4%) 86.2% 43.3% 14.1% 19.7% 50.8% 31.1% 22.6%
それ以上 150人(15.4%) 90.7% 44.7% 16.7% 27.3% 58.0% 38.0% 19.3%
情報収集メディアにおける年代別の利用状況

20代の利用メディアの傾向:AI検索とSNSが全年代で最多

年代 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
20代前半 12人(1.2%) 91.7% 50.0% 58.3% 16.7% 33.3% 8.3% 25.0%
20代後半 54人(5.6%) 87.0% 59.3% 48.1% 27.8% 29.6% 13.0% 14.8%

20代の利用メディアの傾向については、AI検索とSNSの利用率が他の年代と比べて高い傾向にあり、適応力や柔軟性の高さが表れた結果となりました。また、比較サイトの利用率も全年代の中では比較的高く、全体を通して情報収集活動そのものの効率化に重きを置いていることがわかります。

30代の利用メディアの傾向:Google検索が全年代で最多

年代 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
30代前半 83人(8.5%) 86.7% 53.0% 39.8% 27.7% 36.1% 16.9% 19.3%
30代後半 91人(9.4%) 92.3% 53.8% 35.2% 17.6% 38.5% 19.8% 18.7%

30代の利用メディアの傾向については、Google検索を情報収集活動の基盤としている傾向にあり、確立された検索エンジンへの信頼度の高さが表れた結果となりました。下の年代と比較して、娯楽性よりも実用性、拡散性よりも信頼性を重視した情報収集パターンに変化していることが読み取れます。

40代の利用メディアの傾向:YouTubeが全年代で最多

年代 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
40代 276人(28.4%) 87.3% 46.7% 34.8% 29.3% 45.7% 23.2% 21.0%

40代の利用メディアの傾向については、ビジネス情報の収集にYouTubeを積極活用する傾向にあり、この年代にとっては娯楽のツールではなく、実用的な学習ツールとして機能していることがわかりました。データからもわかるように、各メディアを比較的バランスよく活用しているのが特徴です。

50代以上の利用メディアの傾向・特徴:メールとニュースが全年代で最多

年代 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
50代 305人(31.4%) 86.2% 43.3% 14.1% 19.7% 50.8% 31.1% 22.6%
それ以上 150人(15.4%) 90.7% 44.7% 16.7% 27.3% 58.0% 38.0% 19.3%

50代以上の利用メディアの傾向については、ニュースやメールなどを好んで利用する傾向にあり、情報の信頼性や情報源の権威性を重視していることがわかりました。AI検索については他の年代よりも利用率が低いものの、それでも4割以上のAI利用者がいることは注目に値する結果といえるでしょう。

【職種別の分析】研究開発職とマーケティング職でAIの活用が進む

職種 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
その他専門職 243人(25.0%) 88.5% 42.8% 18.1% 16.5% 50.6% 27.6% 25.5%
経営・経営企画職 131人(13.5%) 82.4% 47.3% 37.4% 35.9% 51.9% 26.7% 16.0%
総務・人事 109人(11.2%) 90.8% 49.5% 21.1% 29.4% 40.4% 21.1% 26.6%
広報・宣伝・マーケティング 92人(9.5%) 89.1% 58.7% 40.2% 23.9% 44.6% 23.9% 23.9%
営業 90人(9.3%) 91.1% 47.8% 34.4% 31.1% 50.0% 26.7% 20.0%
その他一般職 76人(7.8%) 85.5% 46.1% 26.3% 17.1% 44.7% 31.6% 10.5%
研究開発職 47人(4.8%) 87.2% 61.7% 19.1% 17.0% 53.2% 21.3% 12.8%
財務・会計・経理 46人(4.7%) 87.0% 34.8% 15.2% 19.6% 34.8% 10.9% 23.9%
設計 39人(4.0%) 92.3% 43.6% 20.5% 23.1% 30.8% 38.5% 12.8%
デザイン・クリエイティブ 31人(3.2%) 93.5% 48.4% 45.2% 32.3% 41.9% 25.8% 19.4%
職種別の情報収集メディアにおける利用状況

広報・宣伝・マーケティング職の利用メディアの傾向・特徴

  • AI検索の利用率が高い (58.7%)
  • SNSの利用率が高い (40.2%)
  • 情報鮮度とトレンド把握が重要な職種特性を反映

広報・宣伝・マーケティング職は特に注目すべき傾向を示しています。AI検索の利用率が58.7%と比較的高い数値であり、SNSの利用率も40.2%と高い水準を叩き出しています。

これは、情報鮮度とトレンド把握が業務の核心となる職種特性を反映しており、新しい技術や情報源への積極的な姿勢が見て取れます。マーケティングの現場では、消費者の動向や競合の戦略を即座に察知する必要があり、そのために多様なチャネルを活用していることがわかりました。

デザイン・クリエイティブ職の利用メディアの傾向・特徴

  • SNSの利用率が高い (45.2%)
  • メールの利用率が高い (25.8%)
  • 創作活動における多角的な情報収集の必要性を示唆

デザイン・クリエイティブ職の情報収集行動も興味深い見解を示しています。メールの利用率が25.8%と比較的高いのは、クリエイター同士の情報交換が活発であることを示唆しています。

また、視覚的なインスピレーションやデザイントレンドを求める職種特性を反映しているからか、SNSの利用率も45.2%と最も高い水準を誇っており、InstagramやPinterest、Behanceといったビジュアル重視のプラットフォームから最新のクリエイティブ動向を収集していることがうかがえます。

財務・会計・経理職の利用メディアの傾向・特徴

  • AI検索の利用率が低い (34.8%)
  • SNSの利用率が低い (15.2%)
  • 確実性を重視する職種特性が情報源の選択にも影響か

財務・会計・経理職は極めて保守的な情報収集パターンを示しています。AI検索の利用率は34.8%と最も低い利用率であり、SNSに関しても15.2%と全職種で最も低い利用率でした。

これは、情報に対する正確性と信頼性を何よりも重視する職種特性を反映しており、より正確な情報を求めるリテラシーの高さが読み取れます。財務関連業務では、誤情報のリスクを最小化することが重要であり、確立された情報源への依存傾向が強いのは自然な結果といえるでしょう。

【役職別の分析】経営層や管理職層でもAIツールの活用が広がる

役職 回答者数 Google検索 AI検索 SNS YouTube ニュース メール 比較サイト
一般社員クラス 292人(30.1%) 86.3% 46.2% 29.1% 22.9% 41.8% 24.0% 20.5%
係長クラス 179人(18.4%) 92.2% 50.8% 23.5% 24.0% 45.3% 22.3% 20.1%
課長クラス 193人(19.9%) 85.5% 44.6% 25.4% 21.2% 47.2% 30.6% 22.8%
部長クラス 123人(12.7%) 90.2% 53.7% 22.8% 27.6% 54.5% 33.3% 22.0%
事業部長クラス 14人(1.4%) 92.9% 64.3% 28.6% 28.6% 64.3% 28.6% 42.9%
経営者クラス 126人(13.0%) 86.5% 40.5% 31.7% 32.5% 46.8% 24.6% 17.5%
役職別の情報収集メディアにおける利用状況

一般社員クラス

  • Google検索の利用率が低い (86.3%)
  • AI検索の利用率が低い (46.2%)
  • 日常的な業務に直結する情報収集が中心

一般社員クラスは、与えられた業務を確実に遂行することが主眼となるため、日常的な業務の遂行にあたって必要最小限の情報収集に依存する傾向があります。

Google検索の利用率が86.3%と他の階層よりも低いのは、日常業務が定型化されており、新たな情報を積極的に収集する必要がないためと考えられます。また、AI検索の利用率46.2%という数値も、複雑な分析や戦略的思考を求められる場面が少なく、基本的な事実確認レベルの情報収集で十分であることを物語っています。

係長クラス

  • Google検索の利用率が高い (92.2%)
  • AI検索の利用率が中程度 (50.8%)
  • 現場と上層部を繋ぐ役割で幅広い情報収集が必要

係長クラスは、現場の実務と上層部の方針を繋ぐ重要な役割を担っているため、上司からの指示を部下に適切に伝達するために幅広い情報収集が不可欠となります。

Google検索の利用率が92.2%と他の階層よりも高い水準を誇っており、単純な情報検索だけでなく、ある程度の分析的思考が求められることを示しています。また、AI検索の利用率50.8%という数値は、この階層が上下のコミュニケーションを支えるために、最も積極的な情報収集姿勢を取っていることが読み取れます。

課長クラス

  • Google検索の利用率が低い (85.5%)
  • AI検索の利用率が低い (44.6%)
  • 管理職の中では控えめな情報収集パターンが特徴

課長クラスは、意外にも控えめな情報収集パターンを示しており、自ら情報を収集するよりも組織内の情報フローの管理に重点を置いている可能性が考えられます。

Google検索の利用率85.5%、AI検索の利用率44.6%という数値は、他の管理職層と比較して低い水準にあります。これは課長職が実務と管理のバランスを取る微妙な立場にあり、部下と上司の中間で情報を処理する役割が中心となっているためと推測されます。この階層では情報の量よりも質と判断力が重視されているのかもしれません。

部長クラス

  • AI検索の利用率が高い (53.7%)
  • YouTubeの利用率が高い (27.6%)
  • 戦略的な事業判断に必要な情報源を幅広く収集

部長クラスは、事業部門全体の方向性を決定する責任があるため、視覚的な理解を促進する動画コンテンツも重要な情報源として活用していることがうかがえます。

AI検索の利用率53.7%は、複雑な事業環境を分析し、データに基づいた戦略的判断を求められることの現れといえるでしょう。また、YouTubeの利用率は27.6%と全階層中で最も高い数値を誇っており、これは動画コンテンツから業界のトレンドや新しい技術の動向を把握し、競合他社の戦略を研究する必要性があることを示しています。

事業部長クラス

  • AI検索の利用率が高い (64.3%)
  • 比較サイトの利用率が高い (42.9%)
  • 全ての情報源で高い利用率を示す情報収集のプロ

事業部長クラスは、データに裏付けられた合理的な意思決定が強く求められるため、文字通り「情報収集のプロフェッショナル」としての側面を強く示しています。

AI検索の利用率64.3%は、全階層の中で最高の数値であり、複雑で多面的な経営判断を支援する高度な分析能力への依存を物語っています。また、比較サイトの利用率42.9%という突出した数値は、大規模な投資や戦略的提携など、組織全体に対して重大な影響を与える決定において、客観的で詳細な比較検討を重視する姿勢を表しています。

まとめ:新しいツールに対してオープンな姿勢を持つことが重要

今回は、現代の主要な情報収集手段である「Google検索・AI検索・SNS」の利用動向を年代別・職種別・役職別に詳しく分析し、それぞれのレイヤーに合った情報収集手段を模索していきました。

特に興味深かったのは、50代以上の4割以上がAIを活用しているということです。これは、デジタルツールへの適応に年齢は関係ないことを示しており、重要なのは「年齢や役職に関係なく、新しいツールに対してオープンな姿勢を持つこと」だといえます。

ビジネス環境の変化が加速する昨今、個人の情報収集能力の差は企業そのものの競争力に直結する極めて重要な要素です。本調査の結果を参考に、ぜひ自身の情報収集スタイルを見直し、より効果的な方法を探してみてはいかがでしょうか?

▶ 前回の記事:【Google検索 vs AI検索 vs SNS】ビジネス情報収集の過去と現在を徹底分析!

おすすめ記事