近年、ビジネスにおける情報収集手段が大きな変化を見せています。従来主流だったGoogle検索に加えて、AIやSNSといった新たな手段が登場し、BtoBの意思決定者やマーケティング担当者の行動にも大きな変化が表れています。

本記事では、先日ITreviewが実施した『ビジネス情報収集活動における意識調査アンケート』の結果をもとに、各設問ごとにどのような傾向が見られたかについて、詳しく分析していきます。

ビジネス情報収集活動における意識調査アンケートについて

令和7年3月、ITreviewでは会員のユーザー様に向けて「ビジネス分野における情報収集活動において、どのような媒体を利用しているか」という趣旨の意識調査アンケートを実施いたました。

近年、急激な成長を遂げている生成AI分野の登場を皮切りに、YouTubeやX(旧Twitter)、Instagramなどの各種SNSの台頭など、昨今ではビジネスにおける情報収集手段が大きな変化を見せています。

今回のアンケートでは、そうした情報収集活動の変化や利用媒体の実態調査を目的として、総勢971名もの会員の皆様にご協力をいただくことができました。この場を借りて深く御礼を申し上げます。

現在(2025年)の主な情報収集手段(複数回答可)

現在(2025年)の主な情報収集手段(複数回答可)

情報収集手段 回答数 割合(%)
Google検索 854 88.0%
ChatGPTなどのAIによる検索 459 47.3%
ニュースメディア 453 46.7%
SNS(Facebook、X(旧Twitter)など) 262 27.0%
メールマガジン 256 26.4%
YouTubeなどの動画メディア 238 24.5%
比較サイト 200 20.6%
新聞・テレビ 180 18.5%
知人からの紹介 99 10.2%
ブログ記事 94 9.7%
その他 72 7.4%
オンライン広告 37 3.8%
わからない/答えられない 5 0.5%

現在の情報収集手段については、Google検索が88.0%、ChatGPTなどのAI検索が47.3%、ニュースメディアが46.7%と上位を占めており、デジタル変革の加速と多様化が顕著に現れています。

Google検索の圧倒的な利用率は、検索エンジンの利便性と信頼性によるものです。ビジネスパーソンにとって必要な情報を効率的に収集できる手段として不可欠であり、企業のSEO対策重要性を改めて証明しています。

AI検索が47.3%という高い利用率を記録している要因は、生成AI技術の急速な普及にあります。対話型AIが新たな情報収集手段として定着しつつあり、BtoB企業のマーケティング戦略においてAI対応の必要性が高まっています。

過去(2022年)の主な情報収集手段(複数回答可)

過去(2022年)の主な情報収集手段(複数回答可)

情報収集手段 回答数 割合(%)
Google検索 717 73.8%
ニュースメディア 359 37.0%
メールマガジン 187 19.3%
SNS(Facebook、X(旧Twitter)など) 184 18.9%
比較サイト 165 17.0%
新聞・テレビ 161 16.6%
ChatGPTなどのAIによる検索 139 14.3%
YouTubeなどの動画メディア 137 14.1%
ブログ記事 121 12.5%
知人からの紹介 66 6.8%
その他 57 5.9%
わからない/答えられない 39 4.0%
オンライン広告 26 2.7%

過去の情報収集手段については、Google検索が73.8%、ニュースメディアが37.0%、メールマガジンが19.3%と上位を占めており、テクノロジー採用サイクルの短縮化が鮮明に表れています。

最も顕著な変化は、AI検索の利用率が14.3%から47.3%へと約3.3倍に急増している点です。わずか3年間で33.0ポイント増加した要因は、生成AI技術の実用性とビジネス現場での有用性にあります。

Google検索も73.8%から88.0%へと14.2ポイント増加した背景には、リモートワークの普及と業務のデジタル化があります。オンライン情報収集がビジネス活動の中核を担うようになったことが読み取れます。

アンケート回答者の年齢分布

アンケート回答者の年齢分布

年齢層 割合(%)
50代 31.4%
40代 28.4%
それ以上 15.4%
30代後半 9.4%
30代前半 8.5%
20代後半 5.6%
20代前半 1.2%

年齢分布については、50代が31.4%、40代が28.4%、それ以上が15.4%と上位を占めており、中堅・ベテラン層中心の信頼性の高いデータとなっています。

50代と40代が合わせて約60%を占める要因は、これらの年齢層が企業における意思決定権を持つ管理職やリーダー層が多いことにあります。ITツールやSaaSの導入検討における最終決定者層の行動パターンを反映したデータとしての価値があります。

30代以下が合わせて24.7%含まれることで、デジタルネイティブ世代の行動パターンも適切に反映されています。この構成により従来型とデジタル型の情報収集手段の並存が現実的に表現されています。

アンケート回答者の業種分布

アンケート回答者の業種分布

業種 割合(%)
IT・広告・マスコミ 25.2%
製造・機械 21.7%
小売・卸売 15.4%
サービス 9.8%
建設・建築 8.0%
コンサル・会計・法務 3.4%
教育・学習 3.2%
不動産 2.8%
病院・福祉・介護 2.8%
運輸 1.8%

業種分布については、IT・広告・マスコミが25.2%、製造・機械が21.7%、小売・卸売が15.4%と上位を占めており、ITリテラシーの高い業界を中心とした代表性を持つサンプル構成となっています。

上位業種がこれらの割合を占める要因は、デジタル技術の活用や情報収集に対する感度の高さにあります。この構成により、AI検索の高い利用率(47.3%)や動画メディアの成長など、先進的な情報収集手段の普及状況を適切に捉えています。

小売・卸売業界やサービス業界の参加により、BtoB取引における情報収集の実態も反映されています。これらの業界では取引先との情報共有や市場動向の把握が重要であり、多様な情報収集チャネルの活用が求められています。

アンケート回答者の職種分布

アンケート回答者の職種分布

職種 割合(%)
その他専門職 25.0%
経営・経営企画職 13.5%
総務・人事 11.2%
広報・宣伝・マーケティング 9.5%
営業 9.3%
その他一般職 7.8%
研究開発職 4.8%
財務・会計・経理 4.7%
設計 4.0%
デザイン・クリエイティブ 3.2%
販売・サービス 3.1%
生産・製造技術 3.1%

職種分布については、その他専門職が25.0%、経営・経営企画職が13.5%、総務・人事が11.2%と上位を占めており、意思決定に関与する専門職・管理職層が中心となった実用性の高いサンプル構成です。

その他専門職が最多を占める要因は、ITツール導入や業務改善における専門的判断を行う層からの回答が多いことにあります。経営企画職やマーケティング職は、組織における情報収集と意思決定の要となる役割を担っています。

これらの職種はビジネス課題の解決と戦略立案のために日常的に多様な情報源を活用する必要があり、情報収集手段の多様化は職務上の要請を反映したものです。特にマーケティング職では、SNS(27.0%)や動画メディア(24.5%)の利用増加が職務特性と密接に関連しています。

アンケート回答者の役職分布

アンケート回答者の役職分布

役職 割合(%)
一般社員・職員クラス 30.1%
課長クラス 19.9%
係長・主任クラス 18.4%
経営者・役員クラス 13.0%
部長クラス 12.7%
契約・嘱託・派遣・アルバイト 3.9%
事業部長・工場長クラス 1.4%

役職分布については、一般社員・職員クラスが30.1%、課長クラスが19.9%、係長・主任クラスが18.4%と上位を占めており、組織階層全体をバランス良くカバーした包括的なサンプル構成となっています。

一般社員が最多を占める一方で、管理職層が合計で64.0%含まれる要因は、組織内での情報流通と意思決定プロセスにおける各階層の重要性にあります。経営者・役員クラスが13.0%含まれることで、戦略的意思決定層の行動パターンも把握できています。

AI検索の高い利用率(47.3%)は、トップマネジメント層においても新技術への適応が進んでいることを示しています。一般社員層の回答により現場レベルでの実際の業務における情報収集実態も適切に反映されています。

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