ECサイトを運営している方の中には、「アクセスに対して売上率が低い」「ユーザーの離脱率が高い」と悩んでいる人も多いでしょう。ECサイトの売上改善に必要不可欠なのが「カゴ落ち対策」です。

本記事では、ECサイトに欠かせないカゴ落ちの原因と対策をご紹介します。今すぐできる対策も多いので、ECサイトの運営に関わる人はぜひ参考にしてください。

カゴ落ちとは

カゴ落ちとは、ECサイトでカートに入れた商品を購入しないまま、ユーザーがサイトから離脱してしまうことをいいます。

商品をカートに入れたのであれば、ユーザーはその商品に興味関心が高いと考えられます。にもかかわらず購入にいたっていないのは、サイトに何か問題がある可能性があり、早急に対策を講じるべきでしょう。このカゴ落ちの原因を分析し、購入につなげる改善を「カゴ落ち対策」と呼びます。

ECサイトでカゴ落ち対策をするべき理由

Baymard Instituteの調査「48 Cart Abandonment Rate Statistics 2022」によると、ECサイトのカゴ落ち率は平均69.99%にのぼります。また、株式会社イー・エージェンシーの調査によると、カゴ落ちの機会損失額は売り上げの約2倍にもなるそうです。月商100万円のサイトの場合、200万円の機会損失が生まれている計算になります。サイトへの集客数が増加しても、売り上げの機会損失は大きくなるばかりでしょう。

商品に興味があるユーザーを取りこぼさず、カゴ落ち対策で購入率を上げることは、どのサイトにとっても重要な改善ポイントだといえます。まずは自社のカゴ落ち率を把握し、改善方法を見直しましょう。

カゴ落ちの原因と対策

カゴ落ちが起こる原因は何でしょうか。次は、カゴ落ちの原因と対策をご紹介します。

カゴに入れただけ・忘れている

Baymard Instituteの調査「48 Cart Abandonment Rate Statistics 2022」によると、58.6%のユーザーが商品を積極的に購入するつもりがなく、保存や比較のためにカートに入れたまま放置していると回答しています。カートに商品を入れたことを忘れてしまうケースもあるでしょう。

対策:カゴ落ち商品を思い出してもらうアプローチ

カートに入れた商品を忘れているユーザーには、商品を思い出させるアプローチをします。具体的な対策は次の通りです。

  • カゴ落ちメールを送る
  • サイトから離脱する際にカゴ落ちを知らせるポップアップメッセージを表示する
  • リターゲティング広告でカートに入れた商品を表示させる

カゴ落ちメールに、キャンペーン情報やクーポンをつけて送るのも効果的です。ユーザーは商品に興味を持っているので、カートに入れたときは購入するつもりがなくても、購入するきっかけを作れる可能性があります。

料金・決済方法に不満がある

料金・決済方法に不満があり、購入直前で離脱するケースです。不満の理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 送料や手数料が高すぎる
  • 合計金額が決済画面まで分からない
  • いつも使用している決済方法を使えない

送料や手数料の高さと合計金額は関連しており、商品を購入するつもりで決済に進んでも、最終的な支払金額が思いのほか高く購入を断念したケースです。

また、SB Payment Serviceの調査「【調査結果】ECサイトで希望の決済手段がない場合の離脱率は?」では、いつも使用しているクレジットカードが使えない場合、約60%の人が別のECサイトで購入すると答えています。

対策:金額を分かりやすく表示する・決済方法を増やす

送料や手数料が分かりやすく表示して、事前に納得できればユーザーは購入に進みやすくなります。具体的な対策をご紹介します。

  • あらかじめ送料や手数料を含めた合計金額が分かるように表示する
  • 送料・手数料込みの料金設定にし、送料無料と表示する
  • 商品を絞って送料・手数料を下げる

決済方法はクレジットカードのほかに、電子マネーやコンビニ支払いなどできるだけ多くの方法を導入しましょう。

購入プロセスが面倒である

商品購入に会員登録が必要だったり、入力事項が多かったりする場合も、ユーザーの離脱につながります。購入までのプロセスが長く、途中で面倒だと感じて購入をあきらめてしまう人も少なくありません。

対策:購入プロセスを簡単にする

会員登録なしでも購入できるようにするか、会員登録の入力項目やステップを簡略化しましょう。また、購入までの入力項目やページ数を極力少なくし、ユーザーの負担を軽くします。購入までのステップを表示し、あとどのくらいで購入が完了するのか知らせるのも効果的です。

サイトに対して不信感・不満がある

サイトに対する不信感・不満の例は次の通りです。

  • サイト運営者が信用できない
  • セキュリティ対策に不安がある
  • 返品ポリシーに同意できない

サイトへの不信感があれば、個人情報やクレジットカード情報の登録をためらい、購入にはつながりません。また、返品ができないなど購入後のリスクが高いと感じれば、購入意欲が下がってしまうでしょう。

対策:運営者情報、返品ポリシーの詳細を掲載する

「特定商取引法に基づく表記」に則り、運営者の情報や料金設定、返金ポリシーなどを明記します。二段階認証などどのようなセキュリティ対策を行っているか、個人情報の取り扱いも表示し、ユーザーの信用を高めましょう。

エラーが発生している

購入手続き中にエラーやサイトのクラッシュが起きて進めなくなったり、入力した内容が消えてしまったりすると、ユーザーの購入意欲は低下します。サイトの読み込み速度が遅く、エラーと勘違いして離脱するケースもあります。

対策:エラーと表示速度の改善

エラーの原因やサーバーが安定しているかをチェックし、改善しましょう。具体的な対策例は次のとおりです。

  • サーバーを強化し、アクセスが集中してもダウンしないようにする
  • 全角・半角などエラーが起きやすい入力方法を改善する
  • 画像などサイトの表示が重くなる要因を洗い出し、表示スピードを改善する

入力エラーをリアルタイムで知らせる表示も、ユーザーの負担を軽減し、離脱防止につながります。

売上向上のためにはカゴ落ち対策が必須

カゴ落ちにはさまざまな理由がありますが、すぐにできる対策もあります。ユーザーにとって使いやすく信頼性の高いサイトを目指せば、カゴ落ちも減少するでしょう。顧客満足度も向上し、リピーター獲得にもつながります。

カゴ落ちの分析や効果改善を検証するなら、専用ツールの導入もおすすめです。まずはできることから対策を進めてみてください。

この記事の執筆

のまこ

ライター

フリーライター。IT・地域・ECセールスを中心に、toB/toC問わず執筆。具体例を盛り込んだわかりやすい文章を心がけています。東京在中で素敵な賃貸物件を見るのが趣味。

この記事の監修

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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