営業DXを推進する上では、そもそも営業DXによって何を達成するのか、ということをあらかじめ押さえておくことが大切です。そこで本記事では、営業DXのメリットや営業DXの理解に役立つカテゴリについて解説します。
目次
営業部門のDX化を実現するメリット
営業DXとは営業業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を指す言葉ですが、営業業務のデジタル化が進むことで、企業は多くの恩恵を受けることができます。
例えば、生産性向上や業務削減による人材不足の解消です。近年は多くの企業で人材不足が進んでおり、人件費の高騰に伴って必要な人材の確保が困難になっています。営業DXを実現して業務のデジタル化を進めることで、少ない人数でも従来通りのパフォーマンスを維持したり、飛躍的に生産性を高めたりすることが可能です。
また、新規ビジネスの創出や、さらなる売上向上に向けた施策の投下にも役立ちます。顧客情報を分析できる仕組みづくりを推進し、従来の担当者では気づけなかった市場の存在を認知し、自社の強みを生かして市場を開拓していくことが可能です。
大きなビジネスチャンスを開拓できなかったとしても、人件費や維持管理コストの大幅な削減にも期待が持てます。作業労働の大半を自動化できるので、営業担当者の負担を軽減し、残業や休日出勤のない、ワークライフバランスの実現にも貢献するでしょう。次世代の働き方を実現できれば、労働者にとって魅力的な職場にアップデートでき、優秀な人材を確保しやすくなることも期待できます。
営業DXのカテゴリ1:営業促進
営業DXにはさまざまなアプローチがありますが、その1つとして最もポピュラーなのが、営業活動の促進です。
日々の営業活動を効率化し、小さな負担で最大限のパフォーマンスを発揮できる仕組みを整備することで、営業担当者1人当たりの生産性を底上げできます。例えば日報作成の自動化や進捗共有といった作業労働は、担当者の負担増大につながっている要因だと言えるでしょう。
近年、多くの企業で人材不足が進んでいますが、根本的な問題は煩雑な事務作業が現場担当者を圧迫している点にあります。人の数を増やすのではなく、現場の業務のあり方を見直すことで、効果的な改善が見込めるでしょう。
これらを自動化できるツールを導入すれば、営業担当者は顧客との対話などの本質的な営業活動に集中でき、結果的に高い生産性を期待できる仕組みです。
営業DXのカテゴリ2:カスタマーサポート
カスタマーサポート対応は、営業活動において重要性の高い業務です。顧客との対話内容を文字に起こして記録するシステムや、顧客データを自動で検索してオペレーターの画面にポップアップ表示するシステムが役に立ちます。
カスタマーサポートの効率化は、顧客満足度の向上に役立つのはもちろん、迅速な問題解決によって1件あたりの対応スピードを向上させて、1人当たりの生産性を高める上でも有効です。人の数を増やさずとも、少ない人員で従来以上のサービス提供を行えるようになるでしょう。
近年は従来型のアウトバウンドセールスに対して、顧客や見込み客からのコンタクトを起点とするインバウンドセールスも登場しています。最適なタイミングで顧客に案内を通知したいときにも役立つなど、さまざまなカスタマーサポート向けツールを活用できます。
営業DXのカテゴリ3:解析
解析カテゴリは、営業活動を通じて得られたデータを有効活用するためのデジタル化施策です。顧客行動や聞き取りをもとに、顧客にどのようなニーズがあるのかをAIが分析します。
近年はAI搭載のツールも多数登場しており、営業担当者にデータサイエンスの知見がなくとも、高度な情報解析を実行してくれます。簡単なクリック操作で利用できるツールも多く、少し研修を受けるだけで簡単に高度な情報を扱えるようになるでしょう。
これまでITを積極活用しておらず、新しいツールの導入に抵抗がある組織でも、すぐに使いこなすことができるはずです。
営業DXのカテゴリ4:顧客関係管理(CRM)
顧客関係管理(CRM)は、顧客情報を記録することで顧客満足度の向上やさらなる購買行動を起こすための施策につなげるためのデータベースです。購買履歴やショップ閲覧履歴などをもとに、顧客1人ひとりに有効なアプローチを展開し、リピーター化やさらなる関係構築を推進します。カスタマーセンターやプロモーション部門などと連携することで、よりデータの有効活用が進むでしょう。
営業DXのカテゴリ5:顧客体験(CX)
顧客体験(CX)は、顧客の購買行動の中に感動体験や擬似的な体験を挿入することで、付加価値を与えて売上の最大化を図る施策です。顧客の購買履歴や訪問履歴などをもとに、最適なレコメンデーションやチャットでの案内を提供することで「ここのサービスなら安心できる」と満足度を高めてもらうのが狙いです。
オンラインでも実店舗並み、あるいはそれ以上の体験を得られれば、ヘビーユーザーとなってもらうことができるでしょう。
営業DXのカテゴリ6:コンタクト・コミュニケーション
コンタクト・コミュニケーションは、顧客とのやりとりや対応の最適化を推進するための施策を指します。例えば、コールセンターへの架電元の電話番号から顧客のデータベースを自動で検索するサービスは有効なツールです。顧客データベースを素早くオペレーターのもとに表示することで、最適な案内を確実かつ迅速に提供できます。
社内外のWeb会議におけるツールとしても活躍するため、コミュニケーションに課題を抱えている企業は注目したいカテゴリです。
営業DXのカテゴリ7:人材開発・コーチング
人材開発やコーチングは、ツールを使った営業担当者の能力開発、ノウハウ共有のためのコミュニケーションツール導入を指すカテゴリです。
どれだけ便利になっても、ツールを使うための研修など、基本的な営業担当者としてのスキルには学びが欠かせません。これらの過程を効率化するためのツール導入で、優れた人材育成を実現可能です。
人材開発が進めば、さらなるテクノロジー導入や新規事業の創出で、より高度なDX推進の足がかりも得られます。
カテゴリへの理解を深めて営業DXを促進しよう
営業DXとは一言で言っても、実際にそのアプローチは多様です。どの施策を選ぶべきなのかは、自社の課題に応じて丁寧に検討する必要があります。営業DXの推進を検討している企業は、まず自社の課題分析から進めて、その上で注目すべきカテゴリに合ったツールを選定するとよいでしょう。