空港での搭乗やライブ会場の入場、マンションのエントランスなど、顔認証によってパスワードや鍵を必要としないスマートな入退場が現実のものになってきました。

しかし、顔認証の入退室管理システムをいざ調べてみると、あまりにも製品の数が多くて困った人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、顔認証が使える入退室管理システム5選を目的別にご紹介します。

顔認証が選ばれる理由

顔認証とは、パスワードやICカードを利用せずに個人を識別する生体認証の一種です。目や鼻などの特徴を読み取ることで個人を判別します。AIを活用したディープラーニングによって、認証精度はここ数年で飛躍的に向上しました。

ITリテラシーの高いオフィスやマンションでは、顔認証を導入したスマートロックを実現しており、利便性とセキュリティの高さから人気を集めています。

ICカードやパスワード紛失のリスクがない

ICカードやパスワードなどの認証は、紛失や盗難といった人的リスクにさらされており、セキュリティ面に不安を抱える方もいます。一方、顔認証は持ち運びの必要がない人間の顔を認証キーとして使いますので、紛失や盗難といったリスクは起こりえません。

鍵を落として自宅へ帰れなかったり、部下がICカードを紛失して社員総出で捜索したりするリスクを抱える必要がなくなります。

セキュリティ効果が高い

顔認証は、セキュリティ効果が高いのも特徴です。パスコードの推測やコピーが不可能であり、不正やなりすましが困難であるからです。2023年現在では、本人を認証しない「本人拒否率(FRR)」を0.1%まで下げながら、間違えて他人を認証する「他人受入率(FAR)」をわずか0.001%まで高めています。

利用者の心理的な負担を軽減できる

顔での判別は、日常的に人間が無意識に行っている動作であり、利用者にとって心理的な負担が少ない認証であると言われています。オフィスやマンションなどのエントランスに設置しても、ユーザーにストレスをかけにくい認証方式です。

入退室ログを記録できる

顔認証は、鍵を持たずにスマートに認証できると同時に、入退室管理システムでログ情報も自然と集めることができます。入退室のログ記録には、不審者や内部犯行者に対して犯行を諦めさせる事前防止策としての効果も期待できるでしょう。不正が発覚した後であっても、ログ記録から関係する人物を特定することが可能です。

検温機能・非接触といった感染対策に使える

顔認証のシステムには検温機能を持つものもあり、非接触で利用できることから感染対策としての効果も期待できます。ドアの鍵やICカードリーダーといった接触感染の温床になる場所を非接触にできるため、クラスター発生のリスクを軽減できるでしょう。

また、エントランスに顔認証システムを置くことで、アポイントを遠隔で受け付けることができ、受付の人員配置を減らす効果も期待できます。

専用装置がなくても導入できる

顔認証による受付と入室ログの記録だけであれば、手持ちのタブレットにアプリをインストールすることで導入できます。スマートロックや認証ゲートなどと組み合わせれば、ドアの開錠に利用することも可能です。

自前のタブレットにアプリを導入して、入場ログの記録と同時に検温するシステムも作ることができるでしょう。

目的別に選ぶ顔認証が使える入退室管理システム

ITreviewが紹介する製品の中から、目的別に顔認証が使える入退室管理システムを5つご紹介します。

1.集団の認証で評価が高いシステムなら「NeoFace KAOATO」

NeoFace KAOATOは、NECソリューションイノベータ株式会社が提供する顔認証パッケージソフトウェアです。顔認証の精度は米国NIST(アメリカ国立標準技術研究所)にて毎年のように審査をしています。NISTに評価を受けた顔認証システムの中でも特に1:Nの集団での認証で評価を受けているのが、NECの顔認証システムです。

既存開き扉・自動開閉装置・セキュリティゲートなどと連携可能であり、開錠機能付きの入退室管理システムを作り上げることもできます。ITリテラシーが高く入退室管理のセキュリティを高めたい企業におすすめです。

2.1対1の認証精度で評価が高いシステムなら「KPASクラウド」

KPASクラウドは、パナソニック コネクト株式会社が提供する顔認証クラウドサービスです。加齢による変化などにも対応する性能を有しており、写真を指定して認証する1:1の認証で米国NISTより高い評価を受けています。顔認証で開錠する事例もあるため、入退室管理システムとしても利用できます。

3.手間をかけずに安価で導入するなら「bitlock PRO」

bitlock PROは、株式会社ビットキーが提供する法人向けのスマートロック入退室管理システムです。今ある扉の鍵のつまみ(サムターン)に粘着テープで貼り付けるだけで入退室管理システムを手軽に導入できます。

初期費用0円、月額5,000円〜とリーズナブルな価格で導入できるのも魅力です。月額5,000円のオプション機能によって顔認証も導入できるため、顔認証が使える入退室管理システムを安価で導入したい企業におすすめです。bitlock GATEを用意することで、既存の自動ドアにスマートロックを取り付けることもできます。

4.アプリで手軽に導入するなら「FreeiD」

FreeiDは、DXYZ株式会社が提供する顔認証システムです。FreeiDのアプリを導入すれば、今お持ちのタブレットやスマホを入退室管理システムとして使用できます。オフィスの受付や保育園、マンションの入退室管理にも導入事例があり、自動開錠にも対応しています。入店時に顔認証を実施して、顔認証決済で無人店舗を経営するといった利用方法も可能です。

5.専用端末とセットで導入するなら「Safie Entrance2」

Safie Entrance2は、セーフィー株式会社が提供するクラウド型入退室管理サービスです。専用の端末を用いて顔認証を行い、電気錠とドアコントローラを接続して入退室する仕組みを採用しています。専用端末は109,230円~、ドアコントローラは43,780円〜、月額16,500円で100顔まで利用可能です。

顔認証を導入してオフィスのセキュリティを強化しよう

顔認証の導入には、アプリでの導入、専用端末の購入、スマートロックのオプション機能などのさまざまな選択肢があります。顔認証の精度を評価する米国NISTで高い評価を受けている企業の製品であれば、信頼性の高いシステムを構築できるでしょう。既存のドアを改造することなく導入しやすい製品もあるので、自社の目的に合わせたサービスを選定してください。

この記事の執筆

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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