マリー・アントワネット、アン・ブーリン、ネッド・スターク……いずれに聞いても、斬首には反対するでしょう。

 しかし、開発チームに聞いてみれば、従来のコンテンツマネージメントシステム(CMS)の首(ヘッド)を切り落とすことに賛成するかもしれません。それは、コンテンツの管理と配信に潜在的に無限の可能性をもたらすからです。

この記事の要点

1.ヘッドレスCMSとは?デカップルドCMSとヘッドレスCMSの違い
2.ヘッドレスCMSの機能とメリット
3.おすすめのヘッドレスCMS3選

~この記事はおよそ10分で読めます~

ヘッドレスCMSとは?

 従来のコンテンツマネジメントシステム(CMS)の「頭」(ヘッド)は、フロントエンドフレームワークやテンプレートシステムなどのフロントエンドコンポーネントのことを指します。

 ヘッドレスCMSは、これらのフロントエンドコンポーネントを取り除くことにより、生の未公開コンテンツを開発チームが自由に使えるようになります。開発者らはコンテンツを配信するためのデフォルトのフロントエンドシステムひとつに縛られないので、コンテンツを表示するためのヘッドをいくつでも好きなだけ作ることができます。APIの力を少しでも利用すれば、Webサイト、アプリ、スマートウォッチなど、さまざまなプラットフォームにコンテンツを配信することができます。

 一方、従来のCMSには、すでにフロントエンドの配信レイヤーが組み込まれています。つまり、コンテンツは1つのプラットフォームにしか表示されないのです。

デカップルドCMSとヘッドレスCMSの違いは何ですか?

 この2つのCMSタイプの主な違いは、アーキテクチャタイプにあります。デカップルドCMSではアクティブなアーキテクチャを採用しており、コンテンツが公開されると即座にページに表示されます。ヘッドレスCMSはリアクティブなアーキテクチャで、つまり、ユーザーからの問い合わせがあった時にのみコンテンツがページに表示されます。

ヘッドレスCMSの機能

 ヘッドレスCMSの機能は以下の通りです。

API機能

 ヘッドレスCMSを従来のCMSから分けるのはAPIです。APIは様々な言語やフレームワークとの連携が可能です。様々なフロントエンド配信システムをAPI上に構築することで、ヘッドレスCMSはあらゆるプラットフォームにコンテンツを配信することができます。

コンテンツモデルの作成

 CMSは、あらかじめ定義されたコンテンツモデルに制限されている。ヘッドレスCMSはそうではなく、コンテンツを配信するための独自のプラットフォームを柔軟に作成することができます。

アセットマネジメント

 アセットマネジメントでは、ファイルをクラウド上に保存し、1つのシステムで管理することができます。ローカルに保存したコンテンツも、クラウドに保存したコンテンツも、同じプラットフォームで管理することができます。ヘッドレスCMSでは、自分でコンテンツを作成、閲覧、更新、削除することができます。

多言語でのコンテンツ公開

 ヘッドレスCMSの最大のメリットのひとつは、複数のプラットフォームでコンテンツを公開できることです。そのため、時には、異なるプラットフォーム上のコンテンツを異なる言語で表示しなければならないこともあります。ヘッドレスCMSのコンテンツは、どのようなフロントエンドフレームワークにも配信できるため、APIの助けを少し借りれば、必要であればどのような言語でも公開することができます。

ヘッドレスCMSのメリット

 すでに述べたように、ヘッドレスCMSの最大のメリットは、開発者らがコンテンツを配信するヘッドを複数も構築できることです。これこそが、この種のコンテンツ管理ソリューションを従来のCMSと異なるものにする主な要素です。しかし、このソフトウェアに検討する価値を与える特徴はそれだけではありません。

実装が簡単

 従来のCMSでは、コンテンツを別のプラットフォームにアップロードしたいと思うたびに、ツールを再実装する必要がありました。ヘッドレスCMSには、フロントエンドの配信システムが含まれていないため、このような再実装の必要がありません。

ユーザーフレンドリー

 従来のCMSはウェブサイトの上に構築されており、そのためには多くのコードやコンテンツが必要となります。ヘッドレスCMSは少しのコードで立ち上げることができるため、従来のCMSよりもはるかに使いやすくなっています。Forbes誌によると、「ビジネスチームが新しい機能を作るのにも、より迅速に対応できます。例えば、マーケティング部門が新シリーズの製品ミニサイトを作成したい場合、CMSに直接アクセスしてすぐにコンテンツの作成を開始することができます」

迅速な導入

 前述したように、ヘッドレスCMSの有益な特徴は、さまざまな作業を無駄のない迅速なものにできることです。その一つが、コンテンツ制作者と開発者がヘッドレスCMSを使って二人三脚で作業できることです。従来のCMSではコンテンツを作成する前にシステムを完全に開発する必要があリましたが、この機能があれば従来のCMSよりも早くコンテンツを立ち上げることができます。

オムニチャネル対応

 オムニチャネルマーケティングは、あらゆる形態の小売業に変革をもたらしています。ヘッドレスCMSのコンテンツは反応性が高いため、数多くのチャネルでコンテンツを再利用することができます。それは、ソーシャルメディア、モバイル、VR、そして、顧客やユーザーがいるあらゆる場所を含みます。

ヘッドレスCMSの事例

 ヘッドレスCMSの領域はまだ発展途上であり、それはいくつかのビッグネームがまだ姿を現していないことを意味しています。ここでは、米国G2 Crowdで波紋を広げ始めている領域で、最高のヘッドレスCMSプラットフォームと考えられる製品をいくつか紹介します。

1. 最高のヘッドレスCMS「Contentstack」

 Contentstackは、Web、モバイル、IoTなどの複数のデジタルチャネルにおけるコンテンツ管理を迅速化・簡素化するヘッドレスCMSです。ワークフローや承認、デジタルアセット管理、多言語展開などの機能を備えています。

 Contentstackには3種類のプランがあり、1つ目はContentstackが提供するすべての機能を評価できる無料トライアル。2つ目の選択肢はビジネスプランで、規模の拡大を計画しているような企業に最適です。月額3,500ドルで提供されています。最後は、カスタム価格で提供されるエンタープライズプランです。詳細については、Contentstack社にお問い合わせください。

2. オープンソースのヘッドレスCMS「Contentful」

 Contentfulは、ヘッドレスCMS機能を備えたWebコンテンツ管理システムです。このツールにより、編集者はコンテンツを管理し、開発者はコンテンツをモバイルやウェブアプリケーションに配信することができます。Contentfulは、作成したコンテンツをプログラム可能にすることで、開発者の生産性を高め、新しいプラットフォームでのイノベーションを可能にすることを誇りとしています。

ユーザーレビュー:

APIで柔軟にコンテンツ配信ができるモダンなCMS

WordPressよりは開発者向けのサービスのような気がしますが、自由度の高いCMSです。APIを利用してJSON形式でコンテンツのデータをリクエストすることができるので、フロントエンドが開発できるのであれば、柔軟にサイトを構築することができると思います。


https://www.itreview.jp/products/contentful/reviews/15113

Contentfulの評判はこちら!https://www.itreview.jp/products/contentful/reviews

3. 日本製ヘッドレスCMS「microCMS」 

 microCMSはAPIベースの日本製のヘッドレスCMSです。

もう社内向け編集/管理画面を自作する必要はありません。

開発・運用コストを大きく下げることでビジネスを加速させます。

コンテンツ管理のためのサーバ管理は一切不要で、サインアップするだけですぐにサービスを利用開始できます。

また、APIを作成するとデータ入稿用の管理画面が自動生成され、誰でも簡単にコンテンツを作成・管理できます。

さらに、コンテンツはAPI経由で取得可能なためエンジニアやデザイナーはさまざまなプラットフォームでコンテンツを利用できます。

ユーザーレビュー:

サイト運営にかかる時間・コストともに半分以下になった

機能ごと・メンバー毎で権限管理できるので、運用がとにかく楽。テスト環境での社内のステークホルダーへの確認だったり、機能ごとの使い分けが簡単にできるのが便利。

また、予約投稿機能があるので、ページの開始・終了時間を自由に設定できるのも結構助かっている。


https://www.itreview.jp/products/microcms/reviews/49328

microCMSの評判はこちら!https://www.itreview.jp/products/microcms/reviews

※この記事は、https://learn.g2.com/headless-cmsを翻訳し、国内向けに再編集しています。

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