従業員の業務時間を適切に管理し、給与計算などを行う勤怠管理は、バックオフィス業務の中でも大きな負担になりがちです。しかし、近年は勤怠管理システムを導入することで効率化・自動化するのが一般的になっています。この記事では、タイムカードやExcelによる管理に比べ大幅に工数を削減できる勤怠管理システムについて、概要や導入メリット、選び方などを解説します。

勤怠管理システムとは何か?

勤怠管理システムとは、社員の出退勤時間や欠勤状況を確認するシステムです。一般的に以下のような業務に活用されます。

出勤管理 (打刻機能)

社員に出勤時、退勤時の打刻をしてもらうことで、出退勤の時間をシステム上で管理できます。パソコンやスマートフォンなどの端末や、ICカードの提示、指紋認証などが代表的な打刻方法です。

休暇管理

有給休暇、代休、振替休日などの申請をシステムから行うことができます。承認作業もシステム上で完結します。

スケジュール管理

システムによってはスケジュール管理にも対応しています。従業員のシフトや勤務形態に応じて、簡単にシフトを割り当てることが可能です。また、従業員側からシフト希望を申請することもできます。

シフト管理

煩雑になりがちなシフト管理の作業も、勤怠管理システムによって大幅に効率化されます。従業員からのシフト希望が集約され見やすく表示されるため、調整がしやすくなります。人員の過不足状況を知らせる機能が搭載されているシステムも一般的です。

勤怠管理システムの機能と導入効果

勤怠管理システムの導入を検討している方にとって気になるポイントは、機能と導入効果ではないでしょうか。具体的には以下のような機能と導入効果があります。導入の判断材料としてぜひ役立ててください。

勤怠管理システムの機能

従業員側が利用する代表的な機能といえるのが、システム上での打刻機能です。ブラウザのボタンクリックによる打刻のほか、ICカード、生体認証などさまざまな打刻方法があります。その他、ワークフローの申請・承認機能や、残業時間の超過・入力内容の不備を通知する機能などもあります。

管理者側が利用する機能としては、勤怠情報を集計する機能や見える化する機能、スケジュール管理機能・シフト管理機能などがあります。給与計算システムや経費精算システムなどの他システムと連携するのも便利です。管理されているデータはCSVやPDFで出力できるため、データ活用の幅が広がります。

勤怠管理システムの導入効果

勤怠管理システムを用いると、勤怠情報の入力・管理の時間が削減できます。つまり、従業員と管理者の双方に時間の余裕が生まれます。打刻漏れやその修正にかかる時間も減らせるでしょう。
また、働き方改革が進む今、従業員の過重労働を是正することにもつながります。残業時間や有給取得状況をリアルタイムで把握し、必要に応じてアラートを出す設定も可能です。これにより、労働時間に関するコンプライアンス強化が実現できます。

さらに、従業員の勤怠に関する不正を防止できる点も導入効果の1つです。タイムカードやExcelによる勤怠管理と比較して、別の従業員による打刻、情報の書き換えといった不正を防ぎやすくなります。また、テレワークで顔認証やGPS認証を導入し、遠隔でも勤怠情報の正確な管理を実現している企業もあります。

勤怠管理システムを導入するメリットとデメリット

勤怠管理システムの導入によってさまざまなメリットが期待できますが、同時にデメリットもあります。ほかの業務システムと同様に、メリット・デメリットの双方を理解したうえで導入を判断することが大切です。知っておいていただきたい勤怠管理システムのメリット・デメリットを紹介します。

勤怠管理システムを導入するメリット

・スピーディーで正確な打刻管理

勤怠管理システムの導入により出退勤の打刻がスピーディーになります。従来のように、タイムカードの列に並ぶ必要はありません。また、打刻の作業は簡単なため、管理の正確性も向上するでしょう。

また、多くのシステムでは給与計算システムに出退勤データがそのまま反映されます。紙のタイムカードやExcelのファイルから情報を転記している場合に起こりがちなヒューマンエラーも防止できるでしょう。

・申請は現場に応じて自由に設定

休暇の申請はパソコンやスマホなどの端末から行うため、管理者とのコミュニケーションは必要ありません。有給休暇・代休・振替休日・慶弔休暇など、休暇の形態も任意で選択できます。また、承認もシステム上で行うため効率的です。申請に対する承認者も、できます。

・人員や勤務時間、期限などをアラート設定 

各種アラートの設定も適切な勤怠管理に役立ちます。例として、シフト上で人員が少なくなっている時間があればアラートを出すといった設定も可能です。残業時間の超過、取得期限が迫っている有給などがあれば通知する機能もあります。

・集計業務の低減し人為的ミスを防ぐ

経理・総務・人事などの担当部署にとって特に負担になりやすいのが給与計算の業務です。月次の総労働時間や残業時間から給与を計算する作業は手間がかかります。方法よっては計算ミスが起きやすい点も問題です。勤怠管理システムは給与システムと連携できるものも多く、給与計算の工数が大幅に削減されます。自動計算されるため、ヒューマンエラーが起きないのもメリットです。

・勤怠状況がリアルタイムに反映

クラウドで利用するシステムのため、従業員が入力した出退勤・休暇申請・シフト希望などのデータはシステム上にリアルタイムで反映されます。管理者は速やかにこうした情報を確認できます。また、インターネットに接続できる環境であれば、利用する場所や時間の制限はありません。

勤怠管理システムを導入するデメリット

・継続費用の発生

多くの勤怠管理システムが月額で利用するサービスであり、利用している限り継続的なコストが発生します。具体的な費用はシステムによって異なりますが、タイムカードやExcelで出退勤管理をしていた場合と比較してコストが大きくなるのは事実です。

また、勤怠管理システムは売上につながるわけではないため、経営層や決済者の理解が得られないケースがあります。業務効率化による費用対効果を試算し、明確なメリットを提示したうえで説得しなければなりません。

・業務体系に合わせたシステムの構築が必要

多くのクラウド型勤怠管理システムは、導入後すぐに活用できるように汎用性が高い設計になっています。しかし、自社の業務体系の独自性が強い場合は、システムのカスタマイズが必要です。この調整にコストや時間がかかってしまうケースもあります。

勤怠管理システムの活用事例

勤怠管理システムを導入したことで得られるメリットについて、ITreviewに集まったレビューをもとに活用事例を紹介します。

人件費のリアルタイム把握も出来る勤怠管理システム

「時給や日給をマスタに登録でき、リアルタイムに人件費を把握できる勤怠管理システムを探していたところ、KING OF TIMEが最も費用対効果に優れており、導入を決めました。現場スタッフにも使いやすいシステムにしたいと考えており、ユーザーインターフェースの見やすさも導入の決めてとなりました」
▼利用サービス:勤怠管理システムKING OF TIME(キングオブタイム)
▼企業名:株式会社オーヴァル ▼従業員規模:300-1000人未満 ▼業種:不動産賃貸

https://www.itreview.jp/products/kintaikanrishisutemu-king-of-time/reviews/72418

分かりやすく使いやすい

「UIが非常に分かりやすいです。シンプルなUIなのですが直感的に操作ができ、それぞれの操作方法などに関しては紹介ページも用意されています。しかしながら操作性が非常に高いので、そのページを読む必要性も感じないほどです」
▼利用サービス:マネーフォワード クラウド勤怠
▼企業名:株式会社ウェブプラン▼従業員規模:20人未満 ▼業種:広告・販促

https://www.itreview.jp/products/manefowadokuraudokintai/reviews/77213

コロナ禍でも勤怠管理がスムーズ!

「「コロナ禍にともない週3日は出社、残り2日は在宅勤務にしています。ただ特に在宅勤務時の勤怠管理がしづらく、また既存の勤怠管理ツールは出社時にしか打刻できないためとても不便でした。kinconeを導入しようと思った一番の理由は「チャットワークで打刻できる」ことです。社内外を問わずコミュニケーションはほぼチャットワークで済ませているので、その中で打刻もできるのはとても便利だと感じたからです。実際に導入し、チャットワークで打刻できるので出社・在宅を問わず勤怠管理がスムーズになっただけでなく、ICカードを読み取って交通費精算ができる点もとても便利です。今までは外出の交通費も一件ずつ経費精算していたので。これで1ユーザーあたり月額¥200はお得すぎます。社内で提案したときも、価格の安さが決裁の決め手でした」」
▼利用サービス:kincone
▼企業名:株式会社ライブナビ ▼従業員規模:20人未満 ▼業種:通信販売

https://www.itreview.jp/products/kincone/reviews/61049

勤怠管理システムを選ぶポイント

これから勤怠管理システムを導入する場合は、以下のようなポイントを意識して選ぶことをおすすめします。

必要なシステムの想定

業務に合わせてどんなシステムが必要なのかイメージしておきましょう。「日勤のみでデスクワークが中心」といった一般的な勤務形態であれば、多くのシステムが対応しています。一方で、「現場への直行直帰が中心」「交代制を採用している」「フレックスタイム制度を導入している」といった特殊な勤務形態の場合は、柔軟な設定ができるシステムが求められます。

導入形態の種類

勤怠管理システムの導入形態として、クラウド型・パッケージ型・オンプレミス型の3種が挙げられます。

クラウド型はインターネット経由で利用する形態であり、導入コストの低さや運用の簡便さに優れています。近年普及しているテレワークとも親和性が高い形態です。

パッケージ型は、ソフトウェアを購入し、パソコンなどの作業端末にインストールする形態です。「買い切り型」とも呼ばれ、通常、初期コスト以降の費用は発生しません。

オンプレミス型はサーバなどのハードウェアを設置し、自社専用のシステムを構築する形態です。細部まで自社に合ったシステムを開発できますが、その反面手間やコストがかかります。

価格体系、契約期間

クラウド型の場合は価格体系や契約期間にも注目しましょう。月額費用や提供しているプランはサービス提供事業者によって異なります。初期費用がかかるケースも少なくありません。また、最低契約期間が定められているかどうかの確認も必要です。期間中は解約できない場合があります。

操作性

導入するシステムの操作性が悪いと、社員が操作を覚えられず定着しないことがあります。とりわけ勤怠管理システムの場合は多くの従業員が利用することになるため、「誰にとっても使いやすい設計になっているか」に注目して選ばなければなりません。操作性がよいシステムであれば、教育コストの削減にもつながります。

サポート体制

初めて勤怠管理システムを導入する場合は、サポートを利用することも少なくないでしょう。提供事業者がどんなサポートを実施しているか、あらかじめ確認しておきましょう。運用方法の案内や緊急時フォローを行う体制が整っていると安心です。

まとめ

非効率な勤怠管理は、担当部署にとって大きな負担になります。しかし、そうした状況も勤怠管理ツールによって飛躍的に改善可能です。ツールの活用によって担当部署のリソースに余裕が生まれれば、福利厚生の充実など従業員のモチベーションアップにつながる業務に注力することもできます。労働状況管理や給与計算などの業務負担が大きいと感じている場合は、勤怠管理ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

勤怠管理システムの導入の較・ランキング・おすすめ製品一覧

おすすめ記事