給与計算は秘密情報を取り扱い、またミスが許されず労力のかかる作業です。そのため給与計算を内製するか、アウトソーシングするかで迷う方もいるでしょう。

そこで今回は、給与計算を内製するメリットとデメリットをご紹介します。給与計算を内製化するにあたって発生する作業や、内製化すべき企業の特徴も解説します。今後の給与計算をどのようにすべきか迷っている方は、参考にしてください。

給与計算を内製で行うと発生する作業

給与計算を内製で行う場合は、主に下記の作業が発生します。

  • 勤怠情報の集計
  • 社会保険料の管理
  • システム管理

勤怠情報の集計

まずは、社員全員の勤怠情報を集計しなければなりません。深夜手当や残業代の計算もしなければならないため、正しい情報を集める必要があります。デジタルで管理していれば速いものの、タイムカードなどを使っている場合は、データ入力作業が発生します。複数の店舗がある場合は、タイムカードを回収するだけでも手間がかかるでしょう。

社会保険料の管理

次に社会保険料の管理です。健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料を計算して控除しなければなりません。社会保険料などの給与計算にかかる要件は、毎年のように改訂されるため、情報をキャッチアップするだけでも手間がかかります。

システム管理

最後に給与計算に関するシステムの管理です。給与計算は煩雑な作業のため、手作業ではなく、計算ソフトを使うのが一般的です。システムには運用・保守が必要なため、担当者が管理しなければなりません。システムを使って給与計算が完成すれば、給与明細を作成します。紙で支給する必要があれば、データを印刷して完了です。

給与計算を内製化するメリット

給与計算を内製化するメリットを3つご紹介します。

  • 給与計算に関する技術や知識を継承できる
  • スムーズに意思疎通できる
  • 会社固有の給与計算方法ができる

メリットを感じられる場合は、積極的に内製化を進めましょう。

給与計算に関する技術や知識を継承できる

給与計算を内製化する最大のメリットは、給与計算に関する技術や関連する知識を蓄積、継承できる点です。給与計算を外注してしまうと、社内にナレッジがたまらず、税金や法律に関する知識もアップデートされません。長期的に会社を成長させるためには、ナレッジを蓄積することが重要でしょう。ナレッジがたまるという意味では、給与計算に限らず、さまざまな業務を内製で行うほうがおすすめです。

スムーズに意思疎通できる

つぎに意思疎通がスムーズになることです。内製していれば、気になることをすぐに担当者へ聞くことができます。しかしアウトソーシングする場合は、意思疎通に時間がかかるでしょう。給与計算は小さなミスも許されない業務なため、意思疎通のしやすさは大きなポイントとなります。

会社固有の給与計算方法ができる

最後に会社固有の給与計算ができる点です。特殊な計算方法を採用していたり、就業規則が頻繁に変わったりする場合は、内製で行うほうが便利でしょう。アウトソーシングしていると細かいルールを説明したり、変更を伝えたりする工数がかかります。

給与計算を内製化するデメリット

メリットに続いて、給与計算を内製化するデメリットも解説します。

  • 作業が属人化する
  • 繁忙期に人材を確保する必要がある

内製化するか否かは、今からご紹介するデメリットも考慮したうえで決定しましょう。

作業が属人化する

給与計算は個人情報や極秘情報を取り扱うため、非常に繊細な業務です。守秘義務を徹底しなければならず、多くの人ができる作業ではないため、作業が属人化してしまいます。たとえば担当者が休んだり、退職したりすると対応できなくなることがあり得るでしょう。その分担当者にはプレッシャーもかかるため、精神的な疲弊が懸念されます。

繁忙期に人材を確保する必要がある

給与計算業務には繁忙期があり、一部の期間だけ人材を確保する必要があるでしょう。たとえば年末調整の時期は、作業が増えるため非常に忙しい時期です。普段以上に注意を払わなければなりませんが、作業のスピード感は求められます。非正規社員を雇うことも考えられますが、作業内容を引き継ぐ時間と手間がかかります。また、人件費も発生するため、なるべく避けたい企業も多いでしょう。

給与計算を内製で行ったほうがよい企業とは

下記の企業は、給与計算の内製化をおすすめします。

  • 費用対効果を考えて内製したほうがお得な企業
  • 社員を雇う余裕がある企業
  • 給与計算にこだわりがある企業

基本的にアウトソーシングより内製するほうが、コストはかかります。しかし知見がたまったり、独自の給与計算方法を確立したりできるため、一概にアウトソーシングのほうがお得だとはいえません。社員を雇う余裕があり、長期的に見ても内製したほうがお得だと考える会社は、給与計算を内製化しましょう。

また給与計算にこだわりがある、自社で完結したい会社も内製化をおすすめします。アウトソーシングする場合の懸念点は、コミュニケーションコストや柔軟性がきかないところです。独自の方法で、スムーズに給与計算を行いたい場合は内製しましょう。

給与計算をアウトソーシングした場合はどうなる?

給与計算を内製化するか、アウトソーシングするかで変わることはいくつかあります。分類すると下記の違いが想定されるでしょう。

  • コスト面
  • 情報漏えいのリスク
  • やり取り・スケジュール

コスト面

アウトソーシングすると、依頼する企業にもよりますが、社員を雇うよりも低コストで給与計算ができるでしょう。月額10万円程で発注ができることもあります。会社の規模が大きくなると、コストは割安になる傾向にあります。自社の規模感によって、アウトソーシングを検討するとよいでしょう。

情報漏えいのリスク

アウトソーシングする場合、社外に個人情報や機密情報を渡すことになります。情報管理の精度は依頼する会社によって違うため、信用できる依頼先を選ばなければなりません。依頼先の情報管理が甘く、大事な情報が流出してしまうと、情報が悪用されることもあります。大事な情報が社外に漏れる意識は持つ必要があります。

やり取り・スケジュール

アウトソーシングの場合、社外の人になるため、やり取りには時間がかかるでしょう。ある程度余裕を持って情報を共有するなどのスケジュール調整が必要です。

給与計算は最適な選択をしよう

アウトソーシングする場合は、内製するときと違ったメリット・デメリットがあります。会社の規模や業態によって適切な方法は変わるため、情報を整理し、慎重に検討しましょう。

内製化するとやり取りがスムーズになったり、知見がたまったりする点でアウトソーシングより優れています。社員を雇う余裕がない場合や、給与計算に工数をかけられない場合は、アウトソーシングを検討しましょう。今回の内容を参考に、給与計算の方法を改めて検討してください。

また下記より、給与計算ソフトを比較できますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

この記事の執筆

キサラ

ライター歴5年。IT、ビジネス、会計、その他ライフスタイルのジャンルも執筆しています。「読まれる記事」を書くことをモットーに活動中。

この記事の監修

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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