テレワークの浸透や働き方改革などで、勤怠管理システムの導入を進めている企業も多いでしょう。しかし、システム導入に向いている企業と向いていない企業があることをご存じでしょうか。
本記事では、導入前に押さえておきたい勤怠管理システムのメリット・デメリットについてご紹介します。システム導入のために準備すべき項目も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
勤怠管理システムの導入で押さえておきたいポイント
勤怠管理システムを導入すると、既存の勤怠管理から次のポイントが変化します。
- コスト
- 管理体制
従来のタイムカードを利用した勤怠管理では、用紙代や勤務状況の手入力・チェックに大幅なコストがかかっていました。一方で、勤怠管理システムを導入してすべての作業を電子化すれば、各種コストを改善できるほかデータ入力の自動化を実現できます。
また、複数の支店・部署を持つ企業の場合には、各職場に勤怠管理の担当者が必要でしたが、システムを導入することによって本社で一括管理できるのが特徴です。
システムを導入すると、勤怠管理に大きな変化が生じます。導入後に対応を考えるとトラブルに発展する可能性があるので、導入前に環境を整えましょう。
勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムは、従業員の勤務時間などの管理を効率化できる機能を搭載しています。システムの導入によって得られるメリットは主に3つ。企業にどのようなメリットがあるのか確認してみましょう。
メリット1:勤怠管理の手間を削減できる
勤怠管理システムを導入すれば、今までの勤怠管理にかかっていた手間を削減できます。勤怠管理といえば、各支店の担当者が情報を整理したあとに本社で給与管理などを行うのが一般的でした。しかし、支店や営業所ごとに勤怠管理の担当者がいると、その分だけ労力やコストがかかります。
勤怠管理システムを導入すれば、クラウドを通じて全従業員のデータを一括管理できます。従業員が入力した情報は、自動で整理されてグラフとして管理できるのがメリットです。近年ではテレワークを導入する企業が増えていることから、勤怠管理の手間を大幅に削減できるシステムが注目されています。
メリット2:実労働時間を把握しやすい
勤怠管理システムは、次のようなデータを管理できます。
- データ入力した位置
- 労働時間
従業員の中には、営業職といった外勤を行う人や、テレワークによって自宅で作業を行う人もいます。しかし、管理者の目がない場所で働く従業員の情報は把握しづらく、虚偽報告などの問題が慢性化しやすくなります。
勤怠管理システムを導入すれば、GPS機能によって位置情報を具体的に把握できます。PC起動時間や操作時間をベースにして、客観的に労働時間を把握できます。申告内容の確認にも役立つことから、システム導入の必要性が増しているのです。
メリット3:労働基準法則った勤務時間管理が容易になる
日本には労働条件の最低基準を定めた「労働基準法(以下、労基法)」があり、労働時間や最低休日数などが詳細に決められています。企業は労基法を守りつつ活動を行う必要がありますが、従業員数が多いと労基法に基づく管理が難しくなってしまいます。
勤怠管理システムに搭載された管理機能では、システムに入力された情報から労基法を守れているのか確認できます。従業員数が多い場合にも視覚的に情報を確認できるため、勤務時間を容易に管理できます。
勤怠管理システムを導入するデメリット
従業員の勤務状況を管理しやすくする勤怠管理システムですが、導入することにはデメリットもあります。運用する初期段階に発生する問題ですので、導入前に確認しておきましょう。
デメリット1:導入コストが高い
勤怠管理システムは、クラウド上で従業員を一括管理できます。ただし、初期費用およびサブスプリクションによる継続費用が発生することを覚えておきましょう。
今まで必要なかった勤怠管理システムの費用を、経費に上乗せしなければなりません。したがって、導入時のコストを入念に検討する必要があります。システムによって導入コストが大きく変化するため、削減できるコストと比較しながら勤怠管理システムを選びましょう。
デメリット2:既存システムや企業規則によってはシステムで対応できない
企業によっては、簡易的な勤怠管理システムが別のシステムに連携していたり、企業規則や特殊なルールがあってシステムを変更できなかったりする場合もあるでしょう。
特に労務システムなどは連携機能があり、同じメーカーでなければ対応できない場合もあります。したがって、勤怠管理システムを導入することによって、既存システムに影響を及ぼさないかチェックしておくことも重要です。
デメリット3:社内浸透に時間がかかる
従業員の中には、新規システム導入に抵抗を覚える人もいます。特にITツールの操作が苦手な従業員が多いと、勤怠管理システムを導入しても社内浸透に時間がかかってしまいます。効率よく浸透したい場合は、導入前に事前説明や定期講習などを実施して、誰もが個人で操作できる環境を整えておきましょう。
勤怠管理システム導入のために準備すべき項目
最後に、勤怠管理システムの導入を成功させるために準備すべき項目を2つご紹介します。システム導入のとん挫を回避できる重要なポイントなので、ぜひ参考にしてください。
自社の課題を洗い出す
勤怠管理システムの機能を最大限使いこなすために、まずは自社の勤怠管理に対する課題を洗い出してください。例えば、次のような課題を抱える企業も少なくないでしょう。
- 勤怠管理の担当者に入力の負担がかかっている
- 従業員の勤怠申請が正しいのか把握できない
- 労基法を守れているのか確認に時間がかかる
課題の洗い出しが完了すれば、課題解決に役立つシステムを探していくだけです。豊富な機能がある勤怠管理システムを導入したにも関わらず、機能を使いこなせずにいる企業も多いので、ぜひ事前に確認してみてください。
費用対効果を検討しておく
勤怠管理システムは導入コストがかかるため、一概に企業の課題を解決できるとはいえません。現在抱えている勤怠管理の課題を解決しつつ、コストの問題も解決したいなら、導入前に費用対効果を検討しておくとよいでしょう。
費用対効果は、短期的ではなく長期的な視点で検討することをおすすめします。5年、10年、20年というように長期的なコストを計算していけば、費用対効果が生まれるポイントを簡単にチェックできます。
「システム導入で削減できる費用」と「自社の課題を解決するシステムの費用」を比較すれば、自然と勤怠管理システムの必要性が見えてくるでしょう。
勤怠管理システムを導入するなら自社の課題を解決できる製品を選ぼう
自社が抱える勤怠管理の課題を解決したいなら、勤怠管理システムの導入がおすすめです。ただし、導入に向いていない企業もあるため、事前にメリット・デメリットを把握しましょう。
導入前に自社の課題を具体的に抽出したり、費用対効果を把握したりすることで、システムの必要性や有用性が見えてきます。製品選びに欠かせないポイントですので、この機会に確認してみてください。