デジタルアセットマネジメント(DAM)は属人性の高いデジタルコンテンツを管理して、安全に手間なく正確に管理するためのツールです。社内のコンテンツを守るためになぜDAMが必要なのか確認しましょう。
目次
デジタルアセットマネジメント(DAM)が必要な理由をピックアップ
なぜ、近年ではDAMの需要が増えているのでしょうか。昨今のコンテンツ事情を鑑みて、その理由をピックアップしてみます。
・管理するコンテンツが膨大になっている
DAM(デジタルアセットマネジメント)とは、企業が保有するデジタルアセットを管理するツールです。1つのパソコンでデータ管理をしていた時代は、32bitOSの利用で最大2TB程度の容量しか確保することができませんでした。
しかし、64bitOSが普及した現代では、ストレージ容量が理論値で94億TBまで増えています。さらには、クラウド化の推進によって企業が保有するデータは膨大なものとなっています。
また、容量の大きい動画撮影の機会が増えたり、新進気鋭のベンチャー企業がビッグデータを保有していたり、管理するコンテンツも10年前に比べて増え続けているのが明らかです。
一方で、企業が保有しているコンテンツの構造化は進んでいないのが現状です。管理されないまま放置されている画像やアンケート結果といった非構造化データは、企業の保有するデータの8割にも及ぶと言われています。このように、死蔵したデジタルアセットを再発掘するために活用できるのが、DAMです。
・デジタル著作権の管理が煩雑化している
CM動画やフライヤーなどのデジタルコンテンツには、利用範囲や利用期間などの規定が設けられています。その管理は属人的に行われていることが多く、専任の管理者を置いてアナログな方法で対処している場合がほとんどです。担当ではない社員やクリエイターまで著作権の範囲を正確に把握しておくことは難しく、著作権管理者からの判定を受けて修正を繰り返す手法を用いる非効率的な作業になっています。
また、著作権管理の担当者を置いていない企業では、著作権侵害に気づかないままリリースしてしまうケースもあるでしょう。現代では、AIによる診断やSNSでの有識者による閲覧などによって、その不正が暴かれるリスクも増えていると考えられます。
他者の権利を侵害することなく安全経営を推進するには、デジタル著作権の管理を徹底しなければなりません。
・企業ブランディングに活用している
企業の信用や信頼に関わるブランディングが、マーケティングオートメーションでも重要になっています。ブランドを確立できると、ターゲットオーディエンスが求める共感を得られやすくなるためです。
それぞれのクリエイターが各自でオリジナリティを表現すると、企業としての統一感が失われてしまいます。CIやVIなどで自社の価値観を表現しながら、大量のデジタルコンテンツの一元管理が必要になるでしょう。DAMは、ブランディング活動における要素の統一の実現も可能にします。
デジタルアセットマネジメント(DAM)を利用して社内のコンテンツを守る
DAMの利用によって、どのように社内のコンテンツを守ることができるのでしょうか。
・デジタルアセットの収集・管理
DAMは、デジタルアセットの収集と管理にメタ情報を実装できます。
ある企業では、販売促進コンテンツにDVDを用いていましたが、DVD貸出しの手間や破損・紛失などのリスクが課題でした。しかし、DAMの導入によって、データ管理の一元化に成功しています。
担当者は媒体の貸出台帳に記録を残す必要はなくなり、スマホやタブレットのブラウザからDAMへアクセスすることで最新のコンテンツを持ち出せるようになりました。
また、コンテンツごとにデータ共有の権限も付与できるため、社外への公開ではダウンロードを禁止するといった制約を設けることも可能です。DAMを用いることでデジタルアセットを一元管理して、社外のクライアントにも安心してデータを共有できるようになります。
・デジタルアセットの許諾情報管理
CM動画やフライヤーのコンテンツに使われるタレントの画像やイラストも、肖像権や著作権などの保護される権利を持ちます。しかし、これらの権利を侵害せずにコンテンツを作るのは難しく、大企業では専任の管理者も設けられているほどです。
クリエイターや担当外の社員まで全ての権利情報を把握するのは現実的ではないため、DAMが提供する許諾情報を紐づけする機能を用いることでこの課題を解決できます。
DAMは、素材となる画像や動画にメタデータを付与することで、契約期間の切れた素材に透かしを入れてひと目で判別できるためです。
専任の管理者に確認しなくてもコンテンツを作成できるため、作業工数を減らして効率を高められます。また、外部のクリエイターに作業を依頼する際にも、透かしの機能を提供できるため、細かな権利情報を共有する手間を減らすことも期待できるでしょう。
・ブランドの一貫性を保ちながらセキュアに情報共有
ある企業は国内外に複数の拠点があり、各地域でブランドを統一しきれていなことが課題でした。しかし、DAMを導入したことで、マーケティング部を中心に他部署と連携した販促素材の一元管理に成功しました。紙媒体とWeb媒体の両軸でもキービジュアルを統一させ、国内外を問わずに代理店や現地法人への情報共有にもセキュアな環境を担保しています。
特筆すべきは、動画配信におけるコンテンツの共有です。各国で販促動画を共有できても、YouTubeやInstagramなどのプラットフォームごとに最適な動画の時間は異なります。
現地法人へ動画情報をメールで添付して、そこから再び現地法人で動画を作り上げていると工数があまりにも増えてしまうでしょう。そこで、DAMの動画フォーマット変換書き出し機能を利用して、ブラウザ上で各国のSNSに合わせた切り抜き動画を生成できるようにしました。
セキュアな情報共有とブラウザ上で実現できるデジタルコンテンツの作成によって、制作工数を減らしながらワールドワイドに統一されたブランディングに成功しています。SNS上でターゲットオーディエンスへリーチする手法としてもDAMは注目を集めています。
デジタルアセットマネジメント(DAM)を用いてコンテンツを管理しよう
DAMを用いることで、デジタルアセットのセキュリティ管理、許諾管理、ブランドマネジメントなどのコンテンツ保護を期待できます。大量のDVDや磁気テープに記録したデータを管理して、破壊や紛失を防ぐために多大な保守管理費用を支払っている企業は多くあるでしょう。
DAMの導入によって、セキュアな環境でデジタルアセットを共有できるプラットフォームが手に入ります。デジタルコンテンツの管理に苦労している企業は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。