業務を効率よく進行するためには、事前に指標を用意したうえで動くことが大切です。たとえば、人事部が実施する人事評価を効率化したいなら「OKR」という指標を取り入れて動くことをおすすめします。

本記事では、人事評価にOKRが必要とされる理由や導入するメリット・デメリットをご紹介します。目標設定や管理手法の検討に貢献する考え方なので、ぜひ参考にしてください。

OKRが人事評価に必要とされる2つの理由

米国のインテル社で誕生したOKRは、高頻度で設定・追跡・再評価を行う目標管理の手法です。GoogleやFacebookなどの有名企業が取り入れていることもあり、世界中で注目されています。

OKRは、中小企業といった一般企業の人事評価業務でも広く活用されています。まずは、OKRが人事評価に必要とされる理由を2つご紹介します。

急速な市場・消費者ニーズの変化

近年、急速な社会の変化に伴い、数多くの便利なサービスやシステムが登場しています。続々と新たな商品・製品が登場することも関係し、市場はめまぐるしく変化している状況です。

その影響を受けて、顧客となる消費者のニーズも変化しています。毎年のようにブームが発生したり、少し前まで「新しい」といわれていたものが、いつの間にか忘れ去られたりしていることもよくあるでしょう。

そういった急速な市場・消費者ニーズに企業が対応するためには、高頻度で目標設定・管理を行うOKRの考え方が欠かせません。人事評価を効率よく回し、企業全体で新たな取り組みにチャレンジすることが、現代において必要不可欠となっています。

従業員の働き方の変化

世の中の変化は、企業で働く従業員の働き方を変化させます。なかでも、新型コロナウイルスのまん延を皮切りに浸透していった「テレワーク」は、従業員の働き方を大きく変化させました。

働く場所を自由に選択できることはもちろん、顔を合わせずに仕事ができる状況は、一見働きやすいように感じます。しかし、企業の考え方を共有しづらかったり、チームを統率するのが難しかったりと、新たな課題が生まれている状況です。

激動する世の中に対応するためには、OKRを積極的に活用し、従業員全員の考え方や方向性を揃えていくことが必要だといえます。

人事評価にOKRを導入する3つのメリット

人事評価は、OKRを導入しなくても運用できます。しかし、OKRを導入することで得られるメリットが多いことをご存じでしょうか。続いて、OKRを導入する3つのメリットをご紹介します。

従業員のやりがいが生まれる

OKRでは、頻繁に設定・追跡・再評価を実施することから、次の項目を可視化できます。

  • 従業員ごとの進捗状況
  • 業務ごとの進捗状況

OKRを続けていけば、設定したゴールに向かって少しずつ評価値が高まっていくのが特徴です。またOKRを設定することにより、従業員全員のコミュニケーションが活性化します。目標に向かって一丸となり業務に励むことから、チームの団結力を作りやすいのがメリットです。

一定間隔で目標設定を行えば、状況の変化に対応するため、社内に協力関係が生まれていくでしょう。今まで関わりが薄かった社員間のコミュニケーションが活性化するのも、OKRの魅力だといえます。

人事評価の属人化を防止できる

人事評価は、人事担当者が中心となって実施するのが一般的です。そのため、従来の手法は担当者のバイアスによって、評価が属人化しやすい傾向にあります。

一方、OKRで目標設定や評価のルール決めを行っておけば、属人化の問題を解消できます。OKRを導入して目標設定と管理、ゴールを明確にしておけば、無駄のない効率的な人事評価を通して、正しい采配のもとで業務を実施できるでしょう。

会社で取り組む優先順位を「見える化」できる

OKRを導入すれば、人事評価の実施結果をグラフや表にまとめられます。会社全体の取り組みはもちろん、従業員の動き方まで詳しく分析できるため、世の中の動向に対して会社の「今」を知ることができるでしょう。

また、集計した情報を細かく分析していけば、目標に対して現状で「満足していること」「不足していること」を明確にできます。企業活動の中で改善の余地がある項目をあぶり出すことで、業務に優先順位をつけられます。改善を重ねつつ、品質を高めていけるのもOKRのメリットです。

人事評価にOKRを導入する3つのデメリット

OKRの使い方や導入の考え方を間違えてしまうと、デメリットを生み出してしまうため注意が必要です。最後に、人事評価OKRを導入する3つのデメリットをご紹介します。

導入に時間やコストがかかる

OKRの導入は、人事評価の手法を大きく変更することから、導入に時間やコストがかかってしまいます。しかし、計画・周知・教育などの段階を経ずに導入してしまうと、失敗しやすいため注意しましょう。

人事評価は、従業員と協力して実施することから、事前に導入の周知を行うことが大切です。人事評価のルール決めなどを行い、社内研修などで告知・教育することも必要でしょう。また、OKRの考え方に基づき効率よく運用するために、専用ツールの活用を検討する必要があります。

評価ミスが従業員の信頼に関わってくる

OKRでは、評価の指標を綿密にルール決めしておくことが大切です。もしOKRを導入して評価をミスした場合、従業員全員の評価にもミスが影響します。

その結果、従業員の業績に見合った評価が出ず、モチベーションが低下する要因になるかもしれません。また、従業員によって評価にばらつきがあり、軋轢を生み出してしまう可能性もあるでしょう。

綿密な準備を行わなければ、OKRの信用がなくなり人事評価に参加する従業員が減ってしまう点もデメリットです。

ボトムアップや主体性を育成したい企業には向いていない

OKRは、人事担当者を中心に経営者層と話し合いを行いながら、人事評価の目標設定やルール決めを行います。よって、現場からのボトムアップ(底上げ)や主体性を育成したいと考えている企業に不向きな管理手法です。

OKRは、企業全体が同じ考えを持って同じ方法性の中で動くことを主体とします。内勤と現場というように、働き方に大きな差のある企業だと、OKRの人事評価がうまく機能しません。

もし、ボトムアップや主体性の育成を行いたいのなら、社内全体で実施するOKRではなく、従業員と直属の上司で人事評価を行う「MBO」の導入が望ましいといえます。

メリット・デメリットを理解して効率よく人事評価を行おう

世界的大企業も利用している人事評価の手法であるOKRは、従業員のモチベーション向上やルールの属人化防止に役立つ考え方です。しかし、段階的に導入していかなければ、マイナスの要素を生み出す可能性があります。

今やOKRの考え方は、市場・消費者ニーズが激動する現代において、欠かせない人事評価の手法です。社内全体で一丸となり生産性を高めたいと考えているのなら、メリット・デメリットを理解したうえで導入を検討してみてください。

また上記を実践できる人事評価システム(OKRツール)をお探しの方は下記のページからツールの比較が可能です。ご興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

この記事の執筆

ももひき

ライター

WEBライター(ライティング、編集、構成、SEO対策)やイラストレーター(キャラクター、WEB画像)として活動するフリーランスライター。現在はグルメ・IT・仮想通貨ジャンルを中心に執筆、福岡県で活動中。

この記事の監修

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

おすすめ記事