Web接客ツールとは、ツールを用いた双方向コミュニケーションを実現する製品です。さまざまな機能を搭載していますが、その中の1つにポップアップという機能があることをご存じでしょうか?

ポップアップを上手く活用すると、CVRを改善したりサイトの離脱を防止したりする効果が期待できます。本記事では、Web接客におけるポップアップ型の機能や効果、注意点について解説します。

Web接客のポップアップとは?

Web接客ツールは、Webサイトを訪れたユーザーへ自動的にアクションできる双方向コミュニケーションツールです。チャット型とポップアップ型、またどちらの機能も持ち合わせたハイブリッド型の3種類があります。

このうちポップアップ型とは、適切なタイミングで操作端末にウィンドウを表示することによって、確実にユーザーへメッセージを届けるための仕組みです。

ポップアップはウィンドウからお知らせを表示する機能

ポップアップは、ユーザーの操作端末の最前面にメッセージを浮き上がらせるように表示します。したがって、ポップアップを見たユーザーはボタンをクリックしたり閉じるボタンをクリックしたり、なんらかのアクションをしなければなりません。

視認率はほぼ100%を記録できるため、ユーザーへ絶対に伝えたいキャンペーンの表示やCookieの使用を承認するボタンとして多くの企業が活用しています。

Web接客のチャット型とはなにが違う?

Web接客のチャット型とポップアップ型は、どちらもユーザーのアクションに反応する双方向コミュニケーションである点は同じですが、利用目的が異なります。チャット型がユーザーからのメッセージによって自動応答を返すのに対して、ポップアップ型はユーザーのWeb行動に合わせて自動アクションします。

チャット型はユーザーのメッセージを待つ受動型になる特性がありますが、ポップアップはサイト構築者のシナリオ設計によって設定が可能であるため、能動的なアプローチとなります。

ポップアップ型の仕組み

自ら積極的に表示するポップアップでは、シナリオ設計によって動作を作り込むことができます。たとえば、ユーザーがある製品のWebページへアクセスした際に、30%オフで買えるキャンペーンを表示したり、購入フォームに必要となるデータの入力を求めたりすることができます。

これによってユーザーの作業工数を減らして、必要な情報をユーザーへ伝え、ユーザーに必要な動作を促すことが可能になります。

ポップアップ型にはどんな効果がある?

WebサイトやLP上にメッセージをポップアップ表示することによって、どのような効果を期待できるのか解説します。

キャンペーンを表示してCVRを改善

ポップアップの効果の1つに、CVRの改善が挙げられます。たとえば、キャンペーン情報の表示には顧客の購買意欲を刺激する効果があり、実際の購買行動につながる可能性もあります。また、ユーザーのWeb行動から分析したパーソナライズ化された訴求によって、顧客が求めている最適な製品の紹介にもつながるでしょう。

ボタンクリックを促してサイト離脱を防止

ポップアップ機能は、ユーザーの離脱するタイミングに興味深いオファーを提示することを可能にします。たとえば、ユーザーがサイトにアクセスしてカートに商品を入れたまま離脱するカゴ落ちに悩んでいる場合、ユーザーが離脱する前にポップアップで「送料無料」「お得なセット」などの訴求を打ち出すことでユーザーの離脱を防ぐ効果が期待できます。

ターゲティング機能によりアップセルを実現

アップセルとは、既存顧客に自社のよりハイランクな商品・サービスを利用してもらう営業手法です。ユーザーがすでに自社のサービスを利用しているなら、より快適で高性能なサービスを提案することに成功したら、ユーザーにとっても自社にとっても有益な取引となります。

たとえば、すでにブロンズ会員に登録しているなら、シルバーランクの会員にアップセルといったことが考えられます。また、より高単価な製品・サービスをポップアップ表示して購買につながれば、客単価の上昇にもつながります。

リピーターに特典を表示してLTVを向上

マーケティングを考えるうえでは、既存顧客の定着を図ることも重要です。さまざまな製品・サービスがあふれている現代においては、新規顧客を獲得することは容易ではありません。加えて、新規顧客の開拓には膨大なコストと手間がかかります。

一方で、一度は自社製品を購入したことがある既存顧客は、少なくとも自社製品に興味がある層です。ポップアップで特典を表示して特別感を演出すれば、顧客満足度がアップして自社のより強いファンになってくれる可能性があります。

ポップアップ型の注意点

ポップアップ型はユーザーに強い注意を向けられる点で、能動的なアプローチができる反面、ユーザーに不快感を与える危険性がある点には注意しましょう。ポップアップが出現するたびに、ユーザーはなんらかのリアクションをしなければならないからです。

ユーザーが本当に求めている情報を表示する

たとえば、一度は閉じたはずのポップアップが何度も出現すると、ユーザーはもう2度とWebサイトにアクセスしない可能性も出てきます。そのため、ポップアップの表示では、本当にユーザーが求める情報を提供する必要があります。

Web接客ツールのなかには、ターゲティング機能を持ち合わせた製品もあるため、ユーザー属性、購買履歴などから最適なポップアップが表示されるように工夫する必要があるでしょう。

ポップアップの表示位置とサイズに注意する

ついつい行ってしまいがちなのが、ユーザーのクリック率を高めようと、画面中央に大きなポップアップを表示してしまうことです。しかし、端末操作の邪魔になりすぎて、ユーザーからすぐにポップアップを閉じられてしまう可能性があります。

ユーザーは「左上→右→左下→右」の順で視線を動かすと言われています。この法則にしたがうと、画面中央ではなく、「左上」「右上」「左下」「右下」にポップアップを表示するのが効果的だと言えるでしょう。

ポップアップ機能を用いて顧客満足度を向上しよう

ポップアップを用いることで、CVRの改善やサイト離脱防止の効果が期待できます。しかし、ポップアップは必ずしもユーザーが求める機能ではなく、なかには煩わしさを感じるユーザーがいる点も注意しなければなりません。そのためには、ユーザーに適したポップアップを表示することに留意して、ターゲティング機能やシナリオ設計を充実させて顧客満足度を向上させましょう。

この記事の執筆

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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