VPN(仮想プライベートネットワーク)とは、インターネット上に仮想の専用線を構築することで、安全なデータ通信を実現する技術のことです。
近年、サイバー攻撃の増加やリモートワークの普及などの影響により、多くの企業でVPNの導入が進んでおり、拠点間通信やリモートワークにおける安全性の向上を実現しています。
しかし、VPNの仕組みは難解であるうえ、複数の種類が混在しているため、適切なサービスを選定できない場合には、通信速度の遅延や運用コストの増加といった問題を引き起こしてしまいます。
本記事では、VPNの基本的な仕組みや種類はもちろん、専用線との違いからメリット・デメリットまで徹底的に解説していきます。
この記事を読むだけで、VPNの全体像を把握できるため、セキュリティ強化や業務効率化に悩んでいる企業担当者には必見の内容です!
▶ 関連記事:【図解】VPNの4種類の違いをわかりやすく解説!自社に最適なサービスはどれ?
目次
VPN接続とは?

VPN接続とは、インターネット上に仮想の専用ネットワークを構築することで、安全なデータ通信を実現する技術のことです。
インターネットを経由してプライベートネットワークにアクセスする場合、データの暗号化により、第三者からの盗聴やデータの改ざんを防止できます。
主に、リモートワークや拠点間通信におけるセキュリティ対策として活用され、外出先や自宅から社内のネットワークに安全に接続することが可能です。
具体的な活用事例としては、企業における社内システムへのアクセスやストリーミングサービスにおける地域制限の回避などが挙げられます。
VPN接続が必要になった理由
- リモートワークの普及
- サイバー攻撃の増加
- クラウドサービスの拡大
①:リモートワークの普及
VPN接続が必要になった理由の1つ目としては「リモートワークの普及」というものが挙げられます。
近年、リモートワークの導入が加速し、多くの企業が柔軟な働き方を推進している一方、インターネットを介した業務のやり取りが増え、セキュリティリスクも高まっています。
VPNを利用することで、企業のネットワークに対する安全なアクセスを確保し、業務のセキュリティを強化することができます。
②:サイバー攻撃の増加
VPN接続が必要になった理由の2つ目としては「サイバー攻撃の増加」というものが挙げられます。
近年、企業や個人に対するサイバー攻撃が急増しており、特にフィッシング攻撃やランサムウェアなどは、現代社会においても深刻な問題として認知されるようになりました。
VPNを利用することで、データ通信そのものを暗号化することができるため、不正アクセスのリスクを軽減することができます。
③:クラウドサービスの拡大
VPN接続が必要になった理由の3つ目としては「クラウドサービスの拡大」というものが挙げられます。
企業がクラウドサービスを活用する機会が増えた一方、インターネットを介したサービスであるため、通信の安全性が確保されていない場合、情報漏洩のリスクが高まります。
VPNを利用することで、業務に必要なクラウドサービスへの接続を安全に行い、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。
VPNと専用線の違い
項目 | VPN | 専用線 |
---|---|---|
接続方式 | ネットワークを利用した仮想の専用線 | 物理的に確立された専用の通信回線 |
導入コスト | コストが低い | コストが高い |
導入ハードル | ハードルが低い (回線工事が不要) |
ハードルが高い (回線工事が必要) |
セキュリティ | 強度が低い (暗号化技術) |
強度が高い (物理的遮断) |
通信速度 | インターネット環境に依存 | 安定した高速通信が可能 |
利用目的 | ・拠点間通信 ・リモートワーク対応 |
・企業間通信 ・データセンター接続 |
➀:導入コストの違い
VPNと専用線の違いの1つ目としては「導入コストの違い」が挙げられます。
専用線は、通信事業者が提供する専用回線を使用するため、高品質な通信が可能な反面、回線敷設や保守にかかるコストが高額になりがちです。
一方のVPNは、既存のインターネット回線を活用するため、専用の回線を敷設する必要がなく、初期費用を最小限に抑えることができます。そのため、開業したてのベンチャー企業やスタートアップ企業などには最適なサービスといえるでしょう。
②:導入ハードルの違い
VPNと専用線の違いの2つ目としては「導入ハードルの違い」が挙げられます。
専用線は、通信事業者との契約が必要であり、回線工事や調整に時間がかかるため、導入開始までには数週間から数カ月の導入期間が必要です。
一方のVPNは、既存のインターネット回線を利用できるため、短期間で導入でき、リモートワークなど多様な働き方にも柔軟に対応できます。そのため、拠点数が変動する企業やグローバル展開する企業にとっては利便性が高いといえるでしょう。
③:セキュリティ強度の違い
VPNと専用線の違いの3つ目としては「セキュリティレベルの違い」が挙げられます。
専用線は、外部のネットワークと物理的に分離されている仕組みとなっているため、盗聴や不正アクセスのリスクが極めて低いのが特徴です。
一方のVPNは、インターネットを経由するため、適切な暗号化や認証技術を導入しなければ、セキュリティリスクが発生する恐れがあります。そのため、VPNを利用するときには最新の暗号化技術を採用した製品を選ぶことが重要といえるでしょう。
VPN接続の仕組み
- トンネリング
- カプセル化
- 暗号化
- 認証
トンネリング
トンネリングとは、インターネット上に仮想的な専用回線(トンネル)を構築することで、安全にデータを送受信する技術です。
送信されたデータは、トンネルの内部を通過する形で外部からは見えないように隠蔽されるため、安全性の確保やプライバシーの保護ができるというVPN接続の根幹とも言える技術です。
カプセル化
カプセル化とは、データを特定のフォーマットに包み込むことで、異なるネットワーク間でのデータ転送を可能にする技術です。
元のデータに新たなヘッダーを付け加えることで転送先の識別を可能にする技術で、社内ネットワークと外部ネットワーク間におけるデータ通信において重要な役割を果たしています。
暗号化
暗号化とは、データを読み取り不可能な特殊な形式に変換することで、第三者が内容を理解できないようにするための技術です。
暗号化方式としては、AESやRSAなどの高度な方式が利用されており、データの送信前に暗号化が実施されるため、受信側でしか元のデータに戻すことができない仕組みとなっています。
認証
認証とは、IDやパスワードによる本人確認によって、ユーザーやデバイスの正当性を確認し、不正アクセスを防ぐ仕組みです。
認証方法としては、パスワード認証やデジタル証明書認証のほか、二要素認証(2FA)などがあり、ワンタイムパスワードや生体認証を組み合わせることで、強度を高めることができます。
VPN接続のメリット
- セキュアな通信環境を確保できる
- 初期費用や運用コストを抑えられる
- リモートや在宅勤務にも対応できる
セキュアな通信環境を構築できる
VPN接続を導入するメリットの1つ目としては「セキュアな通信環境を構築できる」というものが挙げられます。
VPNは通信内容を暗号化することができるため、外部からの盗聴や第三者による不正なデータの改ざんなどを防止することができます。
特に、公共のWi-Fiや不安定なネットワーク環境においては、安全にインターネットを利用できるため、機密性の高い業務に適しています。
初期費用や運用コストを抑えられる
VPN接続を導入するメリットの2つ目としては「初期費用や運用コストを抑えられる」というものが挙げられます。
VPNは比較的安価なコストで導入できるうえ、ハードウェアや専用回線を必要としないため、初期投資を最小限に抑えることができます。
また、インターネットを利用した接続方法であるため、通信インフラの追加費用が少なく、運用コストを抑えられることも大きな特徴です。
リモートや在宅勤務にも対応できる
VPN接続を導入するメリットの3つ目としては「リモートや在宅勤務にも対応できる」というものが挙げられます。
VPNはオフィス外からでも安全に企業ネットワークにアクセスできる仕組みとなっているため、リモートワークをスムーズに行うことができます。
また、在宅勤務や出張先からでも、オフィスと同じように業務を行うことができるため、業務の効率化や生産性の向上といった効果も期待できます。
VPN接続のデメリット
- 通信の品質が悪化する恐れがある
- 設定や管理の手間が増えてしまう
- ネットワーク障害のリスクがある
通信の品質が悪化する恐れがある
VPN接続を導入するデメリットの1つ目としては「通信の品質が悪化する恐れがある」というものが挙げられます。
VPNはインターネットを経由する仕組みであるため、回線の混雑状況やサーバー負荷のレベルによっては、通信品質や速度が低下することがあります。
例えば、多数の従業員が同時にVPNを利用する場合には、ネットワークへのアクセス速度が低下し、実際の業務に支障をきたす可能性があります。
対応策としては、アクセスが集中する帯域を増強したり、高速なVPNプロトコルを選択したりなどの対策が有効です。
設定や管理の手間が増えてしまう
VPN接続を導入するデメリットの2つ目としては「設定や管理の手間が増えてしまう」というものが挙げられます。
VPNは適切な設定と継続的な管理が必要であり、特に、ITリテラシーが低い企業やサーバーの知識に乏しい企業にとっては負担となる可能性があります。
例えば、VPNの接続設定を誤った設定にしてしまうと、ネットワーク速度の遅延やアクセス制限などの問題を招いてしまう要因となってしまいます。
対応策としては、管理が容易なクラウドVPNを導入したり、保守運用に長けた人材を採用したりなどの対策が有効です。
ネットワーク障害のリスクがある
VPN接続を導入するデメリットの3つ目としては「ネットワーク障害のリスクがある」というものが挙げられます。
VPNは一元的なゲートウェイとして機能するため、万が一サーバーに障害が発生した場合、全てのユーザーのアクセスが停止してしまう恐れがあります。
例えば、VPNサーバーがダウンしてしまった場合、社員が業務に必要なデータにアクセスできなくなり、業務が停止してしまう可能性があります。
対応策としては、復旧手順が記載されたマニュアルを用意したり、予備のサーバーを用意したりなどの対策が有効です。
VPN接続の種類
インターネットVPN | エントリーVPN | IP-VPN | 広域イーサネット | |
---|---|---|---|---|
回線 | インターネット | 閉域網 | 閉域網 | 閉域網 |
コスト | ◎ | 〇 | △ | △ |
通信品質 | △ | △ | ◎ | ◎ |
安全性 | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
拡張性 | 〇 | △ | △ | ◎ |
帯域保証 | ベストエフォート | ベストエフォート | ギャランティ | ギャランティ |
導入企業 | 小規模 | 中規模 | 大規模 | 専門企業 |
拠点数 | 1~3 | 3~5 | 5~10 | 1 |
活用場面 | 導入コストを重視したい | バランスを重視したい | セキュリティを重視したい | 高度なカスタマイズが必要 |
VPNの代表的な種類としては、主に「インターネットVPN」と「エントリーVPN」と「IP-VPN」と「広域イーサネット」の4つの種類に分類されています。
- インターネットVPN
- エントリーVPN
- IP-VPN
- 広域イーサネット
これら4種類のVPNでは、それぞれ構築される仕組みが異なるほか、運用コストや通信品質、セキュリティやカスタマイズの自由度などにも違いがあります。
インターネットVPN

インターネットVPNとは、インターネット上に仮想のネットワーク環境を構築する接続方式です。
構築方法には、通信事業者から機器をレンタルする方法のほか、設定や保守点検を自社で実施できるのであれば、自社で構築することも可能です。
拠点数1~3拠点の小規模オフィス向けで、手軽にVPNサービスを導入したい、低コストでVPN接続サービスを利用したいという場合におすすめです。
インターネットVPNのメリット
インターネットVPNのメリットとしては「安価に導入することができる」というものが挙げられます。
ルーターや固定IPを準備する必要はありますが、閉域IP網を構築する必要がないため、後述のIP-VPNや広域イーサネットよりも安価な導入が可能です。
また、インターネットを使用する接続方式となっているため、4種類のVPNでは唯一自社で構築することができるというところも大きなメリットの一つです。
インターネットVPNのデメリット
インターネットVPNのデメリットとしては「セキュリティの強度が低い」というものが挙げられます。
専用線を使用する閉域網とは異なり、オープンなネット回線を使用するため、外部からの不正アクセスやデータの盗み見などのセキュリティリスクがあります。
運用にあたっては、カフェなどの公衆無線では利用しないことはもちろん、利用のルールを設けたり、利用者のリテラシーを高めたりなどの対策が必要です。
インターネットVPNの料金相場
インターネットVPNの料金相場は「2万円~5万円程度」です。VPN接続サービスのなかでは、もっとも安価に導入することが可能です。
コストを抑えたい場合の導入シーンに最適であり、VPN対応ルーターと初期設定だけで導入することができるため、保守管理のためのランニングコストが少ないVPN種類です。
エントリーVPN

エントリーVPNとは、ADSLなどのインターネット回線を用いて閉域IP網を構築する接続方式です。
通信事業者の設置する閉域網を使用するため、インターネット回線を用いるインターネットVPNよりも、セキュリティの強度や信頼性に優れています。
拠点数3~5拠点の中規模オフィス向けで、バランスに優れたVPNを導入したい、低コストでVPN接続サービスを利用したいという場合におすすめです。
エントリーVPNのメリット
エントリーVPNのメリットとしては「トータルバランスに優れている」というものが挙げられます。
インターネットVPNと同様、インターネット回線を利用する接続方式であるため、大規模な設備投資が不要で、導入のハードルが低いのが特徴です。
設備投資のコストやセキュリティなど、特筆して尖った部分はありませんが、そのぶんトータルでのバランスに優れた接続方式であるといえるでしょう。
エントリーVPNのデメリット
エントリーVPNのデメリットとしては「通信速度が遅くなる場合がある」というものが挙げられます。
使用する回線自体は光ファイバーなどのインターネット回線であるため、トラフィックの混雑状況によっては速度が遅くなる可能性があります。
安定した通信品質やギャランティ型の帯域保障を希望する場合には、より通信の安定したIP-VPNや広域イーサネットを利用するのがおすすめです。
エントリーVPNの料金相場
エントリーVPNの料金相場は「月額1万円~2万円程度」です。この月額費用に加えて、最初に5,000円程度の初期費用が発生することもあります。
インターネットVPNと同様、光ファイバーやADSLなどのインターネット回線を使用するため、VPN接続サービスのなかでは、比較的安価に導入することができるVPN種類です。
IP-VPN

IP-VPNとは、通信事業者の閉域IP網を使用して仮想のネットワークを構築する接続方式です。
インターネットVPNやエントリーVPNとは異なり、閉域網を使用する方式であるため、高いセキュリティ強度で安全に通信することができます。
拠点数5~10拠点の大規模オフィス向けで、VPNのセキュリティを強化したい、複数の拠点間で安定した通信を行いたいという場合におすすめです。
IP-VPNのメリット
IP-VPNのメリットとしては「セキュリティの強度が高い」というものが挙げられます。
インターネットVPNとは異なり、通信事業者の設置する閉域網を利用するため、より専用線に近いセキュアな環境で通信することが可能です。
また、サービス品質保証(SLA)や遅延保証などの保証サービスが付いているため、大規模ネットワークでも安定した通信を行うことができます。
IP-VPNのデメリット
IP-VPNのデメリットとしては「導入の初期コストが高い」というものが挙げられます。
IP-VPNの導入には、通信事業者との契約が必要となるため、インターネットVPNやエントリーVPNよりもコストが高くなることが一般的です。
ただし、機器の準備から設定、保守点検まで通信事業者に依頼することができるため、拠点数が多く、自社構築が難しい企業にはおすすめできます。
IP-VPNの料金相場
IP-VPNの料金相場は「月額1万円~5万円程度」です。この月額費用に加えて、数千円~数万円の初期費用が発生することもあります。
インターネットVPNやエントリーVPNとは異なり、通信事業者の保有する閉域網を使用する仕組みとなっているため、回線使用料のコストが高くなりやすい傾向にあるVPN種類です。
広域イーサネット

広域イーサネットとは、通信事業者の閉域網を利用して仮想のネットワークを構築する接続方式です。
IP-VPNと構成自体に大きな違いはありませんが、IP-VPNがIPのみの対応であるのに対して、広域イーサネットでは多様なプロトコルに対応しています。
IP以外のプロトコルに対応していることから、より高度なカスタマイズを行いたい、その他のルーティングプロトコルを使用したいという場合におすすめです。
広域イーサネットのメリット
広域イーサネットのメリットとしては「カスタマイズの自由度が高い」というものが挙げられます。
使用できるプロトコルがIPのみに限られるIP-VPNに対して、広域イーサネットでは多様なルーティングプロトコル(RIPやOSPFなど)にも対応しています。
また、ギャランティー型と呼ばれる通信保証があることがほとんどであり、最大1Gbpsもの高速通信で安全なネットワークに接続することが可能です。
広域イーサネットのデメリット
広域イーサネットのデメリットとしては「ネットワークの設定が複雑」というものが挙げられます。
IPに依存しない接続方式であるため、IP以外のネットワークからスムーズな移行が行える一方、最初のネットワーク設定は複雑になってしまいがちです。
導入するための要件定義や保守運用への負担も大きくなりやすいため、基本的には拠点数が限られている企業にのみ適しているといえるでしょう。
広域イーサネットの料金相場
IP-VPNの料金相場は「月額10万円~20万円程度」です。この月額費用に加えて、数千円~数万円の初期費用が発生することもあります。
広域イーサネットは構築の難易度が高く、通信を行いたい拠点間の物理的な距離やエリア、保証する帯域速度などによっても費用は異なるため、料金幅の乱高下が激しいVPN種類です。
VPN接続サービスの選び方と比較のポイント

①:月額の費用やコストで選ぶ
VPN接続サービスの選び方の1つ目としては「月額の費用やコストで選ぶ」という方法が挙げられます。
さまざまな料金で展開されているVPNサービスですが、インターネットVPNとエントリーVPNには安価なものが多いため、コストを抑えた場合に最適です。
IP-VPNと広域イーサネットは、通信事業者の閉域網を使用することから、料金が高い傾向にあり、コストを抑えたい場合には避けておくのが無難でしょう。
②:セキュリティの強度で選ぶ
VPN接続サービスの選び方の2つ目としては「セキュリティの強度で選ぶ」という方法が挙げられます。
とりわけ、IP-VPNと広域イーサネットに関しては、その他の接続方式よりもセキュリティの強度が高いものが多いため、安全性を重視する場合に最適です。
インターネットVPNやエントリーVPNは、コストが安い反面、オープンな回線を使用するため、セキュリティ重視の場合には避けておくのが無難でしょう。
③:通信の品質や保証で選ぶ
VPN接続サービスの選び方の3つ目としては「通信の品質や保証で選ぶ」という方法が挙げられます。
通信回線サービスには、通信速度を保証しないベストエフォート型と、ある程度の速度を保証するギャランティ型の大きく分けて2つの種類が存在します。
IP-VPNや広域イーサネットであれば、品質が安定しているうえ、速度保証に対応した製品も多いため、コストやバランスを踏まえたうえで検討しましょう。
④:サポートの体制で選ぶ
VPN接続サービスの選び方の4つ目としては「サポートの体制で選ぶ」という方法が挙げられます。
VPNに接続できないなどのトラブルに見舞われた場合、サポートの対応が遅かったり、復旧に時間がかかったりすると、事業に影響を与える恐れがあります。
自社構築が可能なインターネットVPNを利用する場合や、設定の難しい広域イーサネットを利用する場合には、サポートの品質も確認するようにしましょう。
⑤:海外利用の可否で選ぶ
VPN接続サービスの選び方の5つ目としては「海外利用の可否で選ぶ」という方法が挙げられます。
海外に拠点や支社がある企業の場合、導入予定のVPN接続サービスが、対象の国との拠点間通信に対応しているかは事前に確認しておく必要があります。
とくに、中国に拠点や支社がある場合には、中国当局の規制変更により、VPNサービスが利用できない可能性があるため、必ず事前に確認しておきましょう。
VPN接続サービスのおすすめ製品3選
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小規模企業に人気のVPNおすすめ製品
VPN接続サービスの導入にあたって、小規模企業(拠点数1~3拠点)でコスト面を重視したい場合には「インターネットVPN」の導入がおすすめです。
インターネットVPNは、インターネット回線を使用したVPN接続方式であるため、専用線や閉域網を構築する必要がなく、コストを抑えた導入が可能です。

製品名 | Cloudflare Access |
レビュー数 | 16 |
満足度 | ★★★★☆ 4.5 |
提供会社 | Cloudflare |
料金価格 | 調査中 |

メリット(良いポイント)
DNS/CDNとしてドメインを管理しているCloudflare経由で、ポチポチと設定するだけでドメイン内サイト・ページに認証機能をつけられる。

デメリット(悪いポイント)
ログインページのカスタマイズの自由度をもうちょっと上げてもらって、Cloudflareではなく自社ロゴを入れさせてくれるといいと思う。
▼ 企業名:株式会社サポートじまん
https://www.itreview.jp/products/cloudflare-access/reviews/53749
▼ 従業員規模:20人未満
▼ 業種:情報通信・インターネット
中規模企業に人気のVPNおすすめ製品
VPN接続サービスの導入にあたって、中規模企業(拠点数3~5拠点)でバランス面を重視したい場合には「エントリーVPN」の導入がおすすめです。
エントリーVPNは、インターネットVPNと同様、インターネット回線を使用して、閉域網を構築する仕組みであるため、コストを抑えた導入が可能です。

製品名 | Cisco Meraki MX |
レビュー数 | 25 |
満足度 | ★★★★☆ 4.1 |
提供会社 | シスコシステムズ合同会社 |
料金価格 | 調査中 |

メリット(良いポイント)
クライアントVPNを設定する事で簡単にテレワーク環境を設置する事が出来ました。現在の状況から何時必要になるかわからないので設定しておけば心配ないと思います。

デメリット(悪いポイント)
DHCP構成であれば良いのでしょうが固定IP構成の場合設定に一ひねり必要なようです。単純にDHCPなしにしたら全パソコンがインターネット接続できなくなってしまいました。
▼ 企業名:株式会社エフビー
https://www.itreview.jp/products/meraki-mx/reviews/79248
▼ 従業員規模:100-300人未満
▼ 業種:その他製造業
大規模企業に人気のVPN接続サービス
VPN接続サービスの導入にあたって、大規模企業(拠点数5~10拠点)でセキュリティ面を重視したい場合には「IP-VPN」の導入がおすすめです。
IP-VPNは、インターネットVPNとは異なり、通信事業者の閉域網を使用する仕組みであるため、強固なセキュリティで安定した通信を実現できます。

製品名 | Cisco AnyConnect |
レビュー数 | 220 |
満足度 | ★★★★☆ 4.0 |
提供会社 | シスコシステムズ合同会社 |
料金価格 | 調査中 |

メリット(良いポイント)
プライベートドライブや会社の勤怠入力システムなど、厳重にアクセス管理をする必要があるものにアクセスする際に使用しています。パスワードを打ち込むだけなので操作も簡単です。

デメリット(悪いポイント)
短時間であっても、PCがスリープモードになると切断されてしまうことがあります。長時間接続されてることもあるので気まぐれですが、できれば切断されにくくなってほしいです。
▼ 企業名:コムテック株式会社
https://www.itreview.jp/products/anyconnect/reviews/159283
▼ 従業員規模:1000人以上
▼ 業種:ソフトウェア・SI
VPNの種類でよくある質問|Q&A

Q:クラウドVPNとは?
クラウドVPNとは、クラウド事業者から提供されているVPN接続サービスのことであり、広義ではインターネットVPNの一種とされています。
通常、VPN接続サービスの導入にあたっては、送信側と受信側のそれぞれにネットワーク機器を設置する必要があるため、初期費用が少なからず発生します。
一方、クラウドVPNでは、導入に必要な環境がクラウド上に用意されているため、機器を設置する必要がなく、保守や運用のコストを抑えることが可能です。
Q:閉域網と専用線の違いは?
閉域網とは、通信事業者の保有する「閉ざされたネットワーク(閉域網)」のことであり、通信事業者と契約した企業のみ利用することができることから、通信の安全性を担保するものです。
一方の専用線とは、対象の拠点間を「物理的あるいは論理的に1対1で接続」することであり、外部のユーザーの影響を受けないことから、通信の速度や品質などの安定性に優れています。
インターネットVPNよりもセキュリティの強度を高めたい場合には閉域網を、通信する拠点が限定的かつ大容量のデータをやり取りするような場合には専用線を利用するのがおすすめです。
Q:無料で使えるVPN接続サービスはある?
VPN接続サービスのなかには、一部無料で利用できるものなども存在していますが、結論から言えば、これら無料のVPNサービスの使用は、可能な限り避けておくのが無難といえます。
なぜなら、無料のVPNサービスにはセキュリティレベルの低い製品も多く、なかにはサービスの管理者が利用者のデータを悪用するといったトラブルなども発生しているのが現状です。
とくに、一般的に知名度の低い製品や聞いたことのない製品を使用することは、セキュリティリスクの悪化を招く恐れがあるため、信頼の置けるサービスを利用するようにしましょう。
まとめ
本記事では、VPNの概要をわかりやすく解説するのに加えて、仕組みや種類ごとの特長から、利用することによるメリットやデメリットまで、まとめて徹底的に解説していきました。
世界的にも拡大を続けているVPN市場ですが、昨今ではリモートワークの普及やゼロトラストセキュリティの概念が広がっており、今後もさらなる市場の拡大と技術革新が予測されています。
今後もITreviewでは、VPNサービスのレビュー収集に加えて、新しいVPNサービスも続々と掲載予定となっております。掲載をご希望のベンダー様は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。