社内で構築したVPN環境へ接続するには、クライアント側のPCにVPNの接続を設定する必要があります。Windows 10では、VPNクライアント機能(PPTP、L2TP等)が標準搭載されているため、別途PCへクライアントソフトウェアをインストールする必要はありません(一部、ベンダーが提供するアプリのインストールが必要な場合があります)。本記事では、Windows 10でVPNクライアント(PPTPとL2TP)を設定する手順を解説します。
Windows 10でVPNの「PPTP」「L2TP」接続設定を行う方法

PPTPまたはL2TPのプロトコルでVPNへ接続する場合、PC側のクライアント設定のみでVPN接続が可能です。以下の手順でVPNを設定しましょう。
接続前のプロファイル設定
1.画面左下のWindowsメニューより、「設定」を選択
2.「ネットワークとインターネット」を選択
3.「VPN」をクリックし、+マークの「VPN接続を追加する」を選択
4.以下のVPN接続情報を入力
■VPNプロバイダー:Windows(ビルトイン)を選択
■接続名:VPNの名前を自由に入力(例:自分のVPN)
■サーバ名またはアドレス:VPNサーバのホスト名またはIPアドレスを入力
■VPN の種類:接続したい自社のVPNを選択(PPTPやL2TPなど)
■サインイン情報の種類:「ユーザー名とパスワード」を選択
- ユーザー名(オプション)にはユーザー名を入力
- パスワード(オプション)にはパスワードを入力
5.サインイン情報を入力した後、「保存」を選択
6.VPN接続情報を編集・追加した場合などは「詳細オプション」を選択
7.「サインイン情報を保持する」にチェック
以上でプロファイル設定が完了します。
7項目のチェックを忘れると、接続するたびにプロファイル設定が必要となるため、チェックを忘れないようにしましょう。
VPNへの接続方法
VPNのプロファイル設定が完了すれば、VPNへ接続できます。以下の手順で確実にVPNへ接続できるか確認しましょう。
1.タスクメニューにあるネットワークアイコンを選択
2.設定したVPNの名前を選択
3.「接続」を選択(「設定」画面が表示された場合は、VPN接続より「接続」をクリック)
4.サインインを求められた場合は、ユーザーIDやパスワードを入力5.VPN接続名の下に「接続済み」と表示されたら完了
以上でVPNへの接続設定は終わりです。
VPNを切断する場合は、VPNの設定画面より接続中のVPNを選択し「切断」をクリックしましょう。
接続エラーが起きたときの原因は?
上記の手順で設定したにもかかわらずVPN接続に失敗する場合、以下の原因が考えられます。
・サインイン情報、事前共有キーの入力ミス
・ 接続先のサーバ情報が間違っている
・ 選択した認証プロトコルが社内サーバで許可されていない
・ セキュリティソフトなどでブロックされている
まずは、ユーザーIDやパスワードなどのサインイン情報・サーバ情報が正しく入力できているか確認しましょう。入力に問題がない場合は、ネットワーク環境でPPTPやL2TPといった特定のプロトコルが遮断されている可能性があります。その場合は、現在の業界標準である最も安全性が高いプロトコル「OpenVPN」に変更することで、接続可能になるケースがあります。
また、PPTPやL2TPは従来あるプロトコルですが、安全性が低いことからセキュリティ設定によって通信がブロックされている可能性があります。一度、PCに設定しているファイアウォールなどを無効にし、正常にVPNへ接続ができるかどうか試してみるとよいでしょう。
OpenVPNを使うには、クライアントソフトのインストールが必要
Windows 10に標準搭載されているVPNクライアント機能は、以下のプロトコルに対応しています。
– PPTP
– L2TP/IPSec
– SSTP
– IKEv2
上記のプロトコルでは「L2TP/IPSec」を利用するケースが一般的ですが、いずれも安全性が十分といえる認証方法ではありません。より安全にVPN接続を行いたい場合は、現在最もセキュリティレベルが高い「OpenVPN」プロトコルが安心です。
ただし、OpenVPNはWindows 10に標準搭載されていない認証方法となるため、PCへクライアントソフトウェアをインストールする必要があります(社内にOpenVPNサーバを構築する必要があります)。
OpenVPNの利点として、VPN接続の安全性を高められるという点だけでなく、ほとんどのプラットフォームに対応していることが挙げられます。ノートPCやタブレットなどの幅広いOSやデバイスを使って、社内LANへと安全にアクセスできるようになります。自社が求めるセキュリティ強度や使用する目的に応じて、最適なVPN設定を行いましょう。