ITreviewでは、2018年のオープン以来、IT製品の選定・導入をサポートするために5,000以上の製品のユーザーレビューを掲載しています。実際にレビューを投稿していただいている社会福祉法人武蔵野療園 武蔵野療園病院にお勤めの鈴木健太郎様に、ITreviewをどのように活用いただいているのかを聞きました。
ぜひ今後のIT選定のためにもご一読ください。
目次
3名体制の総務課でシステム周りを担当
――鈴木様の業務内容とポジションについて教えてください。
当院は介護医療院を併設している病院です。総務課に所属し、日中は患者様のご家族の対応や電話の取り次ぎなどをしています。総務課は3名体制で、他の2名がそれぞれ会計と人事労務を担当。私は、病棟からパソコンの操作方法に関する質問が出たら、現場に出向いて対応するといった総務というよりも庶務に近い業務が多いです。
上長に当たる主任が主に会計を担当していますので、病院のシステムなどに関しては、私が直接病院の事務長とやり取りしています。私は2020年の9月に入職しましたが、事務長も同時期に入りまして、それ以来、新しく始める取り組みなどについては、事務長とミーティングを重ねながらコンセンサスを取って進めてきています。
――病院の情シスのような役割も担当されているのですね。
はい。ただ、この領域の業務はやったことがありませんでした。販売職を経て5年ほど保険業界にいましたが、会社が用意したシステムに情報を入力する程度で、Excelなどで文書を作る機会はほとんどなかったので、ITに強いわけではありません。
当院も私が入った当時は会議室の予約を紙で管理していたり、委員会の議事録や毎月更新される組織の配置図を各部署に紙で配っていたりするなど、かなりアナログな部分が残っていました。総務が3人しかいないということもありますが、非効率的な部分を見直していけば、残業も減らせて誰もがハッピーになれると感じ、業務改革を推進するようになったのです。
LINE WORKSの導入で院内の情報共有と効率化を促進
――具体的にどのような業務でIT化を進められているか教えてください。
会議室の予約をGoogleカレンダーで見られるようにしたのが最初の取り組みでした。ITにはアレルギーを感じる方もいらっしゃると思うので、最初は紙でも見られるけどGoogleカレンダーでも予約状況は見られますよ、といった具合に並行稼働させていました。その後にLINE WORKSを導入しまして、今では会議室の予約はLINE WORKSの設備予約を使って管理しています。

他にも、コロナ禍になってからは患者様との面会が完全に禁止になったので、オンライン面会に切り替えたのですが、その予約状況をLINE WORKSのカレンダーで管理しています。以前は各部署分を総務でコピーして配っていた委員会等の議事録や配置図も、今はLINE WORKSの掲示板で共有するなど、配布物をなくせたことが一番効果の大きい効率化だったと思います。
議事録については、掲示板にアップしても気づかないことがありますので、アップしたらトークルームでも案内しています。また、全員が閲覧したかどうかの確認も必要ですので、議事録の書式を統一して閲覧のサイン欄を設け、所属長が全員の閲覧を確認して事務長に提出するという流れにしました。
――IT化にあたってどのような工夫をされたのでしょうか。
病棟のようにシフト制で24時間稼働している部署もありますし、急に運用が変わると混乱することが予想されました。ツールを導入して逆に業務が忙しくなってしまっては意味がないので、まずは事務方が使ってみようということで、半年くらいは総務や医事課など一部の部署だけで利用しました。設備予約もカレンダーも最初は見るだけでいいです、といったように、かなり段階を踏んで導入しています。
――LINE WORKSを導入した院内の反応や効果はどうだったのでしょうか。
デジタルに対するアレルギーのようなものは変わってきていると感じています。操作の質問に関しても導入当初は多かったのですが、時間が経つにつれて質問量は減っていますし、「紙でいいじゃないか」という声も少なくなりました。以前は忙しい業務の中で、配布物をどのクリアファイルに入れたかわからなくなるといったことが現場で起きていたようなのですが、LINE WORKSを利用するようになってからはそのようなことがなくなり、情報共有が非常に楽になりました。
目的は製品探しではなく情報収集。課題一覧から入ってレビューを読む
――ITreviewに最初に投稿していただいたのがLINE WORKSでした。ITreviewを知ったきっかけを教えてください。
当時、LINE WORKSから導入者向けにノウハウや導入事例がメールで送られてきていまして、その中でITreviewへのレビュー投稿が紹介されてて知りました。投稿するとインセンティブがあるということで、どのようなサービスなのかと軽く覗いてみたら、知らない製品がたくさんあるなと感じたのを覚えています。

当時はLINE WORKSを導入したばかりだったのですが、院内では他のサービスも試してみてはどうかという話もあって、類似製品の比較をしたいと思っていました。私はLINE WORKSを推していましたが、理由を説明するためにも根拠が必要でしたので、掲載されているレビューを読んで情報を収集しました。
――最終的にそのままLINE WORKSを使い続けられたのですね。
はい。以前は何でも内線で連絡するのが普通で、メールの利用ですら抵抗感がありました。職員の平均年齢も高いので、どの製品を導入するにしてもハードルは高いと思っていましたが、LINEであれば高齢者でも使っています。事務長ともかなり議論したのですが、LINE WORKSでメッセージを送るのはLINEと変わらないですよ、という切り口であれば浸透しやすいのではないかと考えました。
――ITreviewは製品を探すために使われているのでしょうか。
製品探しというよりも課題一覧から入って、関連する製品のレビューを読んで参考にすることが多いです。普段から院内で業務上の問題に関する声が聞こえてくると、具体的に内容を聞くようにしていまして、こういうことができれば解決できそうだという課題をアイディア備忘録として書き溜めています。時間ができたらITreviewでその課題に関するレビューを見るという感じですね。
ツール10選のようなまとめサイトを見ることもあるのですが、そういったサイトでは情報が偏っていて広告料をもらっていそうな印象を受けることもあります。ITreviewは食べログのようにユーザーの声を拾えるので非常に参考になります。まだITreviewを見て導入した製品はないのですが、関心のある課題のレビューは読み切るくらい読んでいます。
――比較表なども使われていますか。改善点があればぜひご指摘ください。
比較表は視覚的にわかりやすいとは思うのですが、自分はあまり使っていません。ITやDXに明るくないこともあるのですが、私にはまだ使いこなせないなと。課題から入ってレビューを読むのが自分には合っているようです。改善点というほどではないですが、レビュアーの業界や職種など、自分と同じ立場の方のレビューが容易に探せるようになればいいですね。レビューが非常に参考になった場合、そのレビュアーが他にどのような製品を使っているのだろうか、と興味が湧くことが多いです。
――鈴木様にはレビュアーとしても今まで約10件投稿していただいています。レビュアーの立場からITreviewの使い勝手についてご意見をお願いします。
スクロールしながら上から下にレビューを書いていくのは書きやすいですが、無償版なのか有償版なのか選択する位置がもっと上にあった方がいいと感じます。無償版のレビューを書いてきて、最後に改めて聞かれることに違和感があるので。感覚的ですが、最初に選択してからそのレビューを書く順番の方が、自然な流れで記載できてすっきり終われます。あと、レビューに関して最低文字数の制限がありますが、文字数を気にしてレビューを書いている方はほとんどいないと思うので、もっとハードルを上げてもいいと思います。
ITreviewは「学ぶ姿勢を醸成する場」になっている
――現在検討されている課題や導入を考えられている製品はありますか。
シフト作成を何とかしたいと考えています。病棟や栄養科は土日も含めて稼働していますが、シフトの作成は細かい調整が必要になるためノウハウのある人しかできません。これをある程度まで自動化できるようにしたいと考えて、情報を収集しています。中には業務時間中にはできずに持ち帰って作成している、という話も聞いたりしますので、その方たちの負担を少しでも減らすことが当面の課題です。
今のところはExcelで多少自動化できるように進めていますが、まだまだ課題に対して自分の知識やスキルが追いついていません。ITreviewを見ていると、似た立場の方の取り組みを知ることができるのでとても刺激になっていますし、個人としても少しずつステップアップしている実感があります。最近ではITreview Laboの記事も見て、ITに関する学びも得ています。サイト全体に関連する情報がまとまっていると、IT初心者でもなんとかなりそうな気がしてきますね。