近年のリモートワーク化に伴い、Web面接を実施する企業が増えています。しかし、ビデオ通話による面接は対面と比べて、面接者の情報をうまく掴めません。
そこで、現状を改善してWeb面接の質を高めるため、ビデオ通話時に必要な面接官の心得を再確認してみてはいかがでしょうか。本記事では3つの心得とWeb面接で使える質問の例をご紹介しますので、よい人材を獲得する参考にしてください。
目次
Web面接において面接官が習得すべき心得とは?
近年、IT化や新型コロナウイルスのまん延を受け、多くの企業がリモートワークを実施しています。その影響もあり、ほとんどの業務がオンライン化している状況です。新卒採用や中途採用といった人事労務も例にもれず、ビデオ通話を利用したWeb面接など、オンラインコミュニケーションの導入が進んでいます。
しかし、直接対面して会話できないことから、相手の雰囲気や細かい動きをチェックできません。結果として、情報を詳しく把握できないまま人材の採用を余儀なくされているのです。したがって、現状の問題を解決するために、Web面接の中で面接者を見極める能力が求められています。
心得1:構造化面接を取り入れる
Web面接に対応するため、手探りで良い方法を探している企業も多いでしょう。しかし、ルールを定着させるまでに時間がかかること、属人化しやすいというネックポイントがあります。そこでまずは、正しいWeb面接法を学ぶため、Googleが提唱する「構造化面接」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
構造化面接とは、面接時に一貫した質問を行い、ブレない基準を作ったうえで回答を評価していく面接方法です。もちろん、その場の状況に合わせて柔軟な質問を行うことも大切ですが、大勢の面接者に対応する必要がある場合、回答する内容に着目して評価するのが効率的だといえます。質問の難易度が上下せず公平に判断できることから、Web面接時の有効策として活用してみてはいかがでしょうか。
構造化面接では次の4点を意識することが大切です。
- 職務に関連する質の高い質問を準備する(関係のない質問をしない)
- 回答に対し、フィードバックを文書化する
- 回答に対し、点数化を行う(10点評価、5段階評価等)
- 事前に面接官へのトレーニングを実施する
面接官および面接者が満足のいく面接を実施するため、面接内容にブレが出ないように注意しつつ実施してください。
心得2:求める人材の要件を定義する
Web面接の質問を考える前に、面接官および職場内で、面接者に何を求めているのか要件を定義しておきましょう。要件を定義せずに動き出してしまうと、統一性がない質問を用意してしまったり、ブレのある面接になったりと、質の高い質疑応答を行えません。
特にWeb面接では、映像でのやり取りや通信ラグ等が発生するため、コミュニケーションのペースを掴みづらく、会話の齟齬が生まれやすいのが特徴です。面接官と面接者で発生するギャップを防ぎ、求める人材か否かを適切に把握するために、次の項目を参考に要件を整理してみてください。
- 一般的な認知能力:受け答えができるか、課題を解決できるか
- リーダーシップ:周りを引っ張る力があるか、物事を判断する能力があるか
- 職務知識:採用後に成果を上げられる経験や経歴、スキルを有しているか
面接前に、3項目について自社が求める人材の評価を10段階で数値化してください。続いて、実際に面接者と面接を行い、3項目に対して実際に評価しましょう。すると、設定値、評価値から、求める人材と本人にどれくらいのギャップがあるか判断できます。
ギャップが小さければ求める人材の要件を満たし、ギャップが大きい場合には求める人材の要件を満たしません。面接前に要件を設定しておけば、Web面接というコミュニケーションの難しい環境下でも正しい評価をくだせるでしょう。
心得3:面接者の声を意識する
Web面接では、映像を通じて面接を行います。しかし、実際には対面している気分で面接が行えるわけではありません。むしろ画質や通信状況によっては、電話をしている感覚に陥ることもあるでしょう。
よって、Web面接時は映像に重点を置いて評価するのが難しいといえます。そこで、Web面接時は次の特徴に着目してみてはいかがでしょうか。
- 声のトーン
- 論理的な会話術
上記項目は、映像の乱れや通信環境を問わず、一貫して判断できるポイントです。Web面接では相手の上半身しか映っていないため、細かい身だしなみをチェックできません。一方、音声なら目をつむっても判断できるため、評価基準として適切です。
もちろん、映像から判断できるポイントがあるなら評価基準としても問題ありません。しかし、映像から判断できないと感じた際には、面接者の声を意識することで評価を行ってみてはいかがでしょうか。
効率良くWeb面接を進めるのに役立つ質問の例
Web面接を効率良く進行したいなら、質問事項を意識することが重要です。Web面接では、面接導入時と回答を深掘りするタイミングの2パターンを意識することで、効率良く回答を引き出せるのをご存じでしょうか。
2パターンについて、それぞれ詳しく解説するため、質問作成時の参考にしてください。
導入時の分かりやすい質問
まずWeb面接開始時は、いきなり具体的な質問を行うのではなく、専門知識やスキルがなくても回答できる質問を行いましょう。
- 出身地
- 出身校や経歴
- 趣味や特技
詳しく話を聞き出すためには、先に相手の緊張を解きほぐす必要があります。雑談を交えつつ、面接者が悩まない内容の質問を投げかけてみましょう。
また、面接導入時には面接官側で企業情報を説明するのも効果的です。会社概要やどのような業務を行っているのかを説明することによって、面接者の心にゆとりを与えてスムーズな回答を聞き出すことにつなげられます。
相手を深掘りするフォローアップの質問
お互いの会話がスムーズになってきたら、面接者の能力やスキルを具体的に聞き出すために、フォローアップを行いつつ、深掘りできる質問を投げかけましょう。
- 「履歴書に〇〇と書かれていますが」という投げかけ
- 会話のキャッチボールを行うために、次につなげられる投げかけ
面接は、ただ相手の会話力を評価するのではなく、知識やスキルを評価することも重要です。特に、Web面接という慣れない環境では、緊張して会話を止めてしまう面接者もいます。よって、なるべく面接官側で会話をスムーズにすることが、相手の話を聞き出すために重要なので、Web面接の導入を起点として取り組んでみてはいかがでしょうか。
これからWeb面接を取り入れるなら採用側の準備に力を入れよう
近年、Web面接に取り組む企業が増えていますが、その一方で映像を通じたコミュニケーションにつまずいている企業も少なくありません。面接者の人柄や能力を聞き出せずに困っているなら、本記事でご紹介した3つの心得を意識してみましょう。
また、今後Web面接を取り入れる予定があるなら、採用者側としての準備を欠かさないように注意してください。面接の属人化や統一性のなさを回避するため、各心得を意識して準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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