自社にAI技術を取り入れたいと考えて、chatGPTに目を付けた方もいるでしょう。しかし、「チャット」と名称が付くことから、チャットボットとの違いが分からないとお悩みの方もいるはずです。

そこで本記事では、ChatGPTとチャットボットの違いを詳しく解説します。ChatGPTを利用する魅力や、チャットボットの弱点もご紹介しますので、機能を理解したうえで必要なツール・サービスを検討してみてください。

ChatGPTとチャットボットの3つの違い

chatGPTとチャットボットは似た名称をしたツールです。しかし、実際に利用してみると、機能や使い方、目的などが大きく異なります。まずは各ツールの違いを3項目ご紹介しますので、どちらが自社に合うのか判断するときの参考にしてください。

質問に対して返答ケースの違い

ChatGPTとチャットボットは「返答できる種類」に違いがあります。

ChatGPTは、質問や指示に対して、蓄積されたビッグデータから適切な回答を提案してくれるのが特徴です。インターネット上にある大量の情報をもとに回答が返ってくるため、返答のケースに限界はありません。また、質問や指示に条件を加えることで、見出し付きの分かりやすい回答や、箇条書きの整理された回答が送られてきます。

チャットボットは、事前に決められた質問に対する回答を提案するのが特徴です。事前に質問される内容とそれに合う回答を自身で準備する必要があるため、準備していない回答を表示できません。また、1つの質問に対して1つの回答だけを設定できます。

対応範囲の違い

ChatGPTとチャットボットは、質問・指示に対する「対応範囲」が異なります。

ChatGPTは、幅広いジャンルの質問・指示に対応できるのが特徴です。会話言葉のように質問するだけで、適切な返答がもらえます。同じページで関係のないジャンルの質問ができるほか、同じキーワードであっても、質問のしかたによって、多種多様な返答を提案してくれるのが魅力です。

チャットボットは、あらかじめ決められた質問・回答のみ対応できます。特定のキーワードや、よくある質問などに対して回答を表示するため、対応範囲が限られます。また、同じ質問には同じ回答しか出せないことから、質問者が理解しやすい回答を準備しなければなりません。

精度向上の違い

ChatGPTとチャットボットは、質問に対する回答の「精度向上」に違いがあります。

ChatGPTは、すべての回答をAIが行うため、質問・指示の内容に合わせて適切な答えを導き出してくれるのが特徴です。また、返答内容が読みづらいと感じた場合には「読みやすくしてほしい」「初心者でも分かるように」といった指示を追加することで、返答をブラッシュアップしてくれます。

チャットボットは、事前に質問と回答を準備する必要があるため、人間の手で精度を高めなければなりません。ただし、最近ではAIを導入したチャットボットも登場しています。関連性の高い質問や回答を提案してくれるなど、便利な機能を利用可能です。しかし、質問の精度はまだまだ人間に依存していることも理解しておきましょう。

チャットボットと比較して分かるChatGPTの魅力

前述した内容からも分かるように、ChatGPTとチャットボットには大きな違いがあります。また、チャットボットと比較することで、ChatGPTの魅力が2つあることにお気づきでしょうか。続いて、ChatGPTを利用する魅力について見ていきましょう。

回答の用意が要らない

チャットボットは、あらかじめ質問者の質問を予測して、回答を準備しなければなりません。質問数が多いほど、回答数も増えていくのが特徴であり、準備のために莫大な労力がかかります。

一方、ChatGPTは、インターネット上のデータをビッグデータとして蓄積したAIが対応してくれるのが特徴です。事前に回答を用意せずに利用できるほか、ビッグデータの中から適切な回答を導き出してくれるため、初心者でも気軽に利用できます。

抽象的な質問にも対応してくれる

一般的なチャットボットを利用する場合には、具体的なキーワードの入力が必要です。抽象的な質問をしても、回答を得られない場合があります。

一方、ChatGPTは抽象的な質問であっても、その意図を読み取り、適切な回答を提案してくれるのが特徴です。ChatGPTを導入すればQ&Aのクオリティが高まり、ユーザーニーズに合った魅力的な回答を期待できるでしょう。

従来のチャットボットが持つ弱点

多くの企業に導入されているチャットボットですが、利用において2つの弱点があります。ChatGPTとの違いを理解するために、ぜひ参考にしてみてください。

回答数に上限がある

従来のチャットボットは、回答数に上限が設けられています。

たとえば、このプランなら最大100個の回答を準備できるというようなイメージです。回答数や質問のジャンルを増やしたい場合には、一般的に支払う金額がアップします。したがって、大規模なサービスを展開している際には、高額なプランを利用しなければユーザーの質問を網羅できない可能性があります。

場合によっては、費用対効果を生み出せないこともあるでしょう。導入する場合は、しっかりと効果を出すために、ライフサイクルコストを分析したうえで導入の可否を検討してください。

運用開始までに準備期間がかかる

従来のチャットボットは、準備期間として次の手順を踏む必要があります。

  1. 対応範囲の検討
  2. 質問と回答の用意
  3. パターンの作成
  4. 精度テスト

利用者のニーズを細かく拾い出すことはもちろん、適切な質問と回答の準備に時間をかけなければなりません。用意した内容がうまく機能するのか精度テストを行ったのち、運用を開始できます。

運用までに3カ月以上かかる場合もあり、準備期間のコストや費用が増えてしまうのが課題です。また、運用開始後も、ユーザーの利用状況を確認しつつ、改良・改善する必要があります。

ChatGPTとチャットボットの違いを理解したら製品を比較検討しよう

自由度の高いChatGPTと、人力で設定・運用が必要なチャットボットには、機能や利便性に大きな違いがあります。また、今まではChatGPTとチャットボットが別々で用いられていましたが、ChatGPTの機能を搭載した最新のAIチャットボットなども登場しています。

ChatGPTを自社サービスに組み込む場合、サービスのユースケースや関連する法律やルールなどを徹底的に学習させる必要があります。自動応答の仕組みをどのように使いたいのかによって、導入するシステムが変わってくるはずです。自社サービスに必要な要件定義を行い、最適なシステムを探しましょう。

この記事の執筆

ももひき

ライター

WEBライター(ライティング、編集、構成、SEO対策)やイラストレーター(キャラクター、WEB画像)として活動するフリーランスライター。現在はグルメ・IT・仮想通貨ジャンルを中心に執筆、福岡県で活動中。

この記事の監修

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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