24時間365日、質問するとすぐに答えを返してくれるのがチャットボットです。最近では、顧客からの問い合わせ対応や業務効率化のために導入する企業が増えています。

しかし、全てのチャットボットが万能なわけではなく、なかには導入が失敗に終わるケースもあります。そこで今回は、チャットボットを最大限活用するために押さえておきたいポイントについて解説します。

チャットボットを活用できていない原因

チャットボットを上手く活用できない原因には、以下のようなものがあります。

欲しい回答が得られず利用されない

チャットボットは電話やメールに比べて、スピーディに回答できるのがメリットです。しかし毎回的確な答えが返されるかというと、そうとは言いきれません。同じ質問の繰り返しや一方的な会話の終了などで、相手に不満やストレスを与えることもあります。そして当然、満足できる回答を得られなければ利用者は減ってしまいます。

準備ができていない

チャットボットは、導入すればすぐに使えるというものではありません。ある程度の時間をかけて準備する必要があります。FAQの洗い出しやシナリオの作成、環境構築、テスト運用のスケジュール決め、担当者の割り振りも必要です。導入後も運用状況を細かく分析し、FAQやシナリオのブラッシュアップを続ける必要があります。

チャットボットが使いにくい

チャットボットは、直感的に使えてこそ意味があるものです。チャットのスタート方法や進め方がわからなければ、利用者はストレスを感じてしまいます。初心者であっても、何となくクリックや入力をするだけで会話ができるようなチャットボットが望ましいと言えるでしょう。

また、管理者側の使い勝手も重要なポイントです。チャットボットは細かな設定が多く、ツールの種類によってはプログラミングのような高いスキルが求められることがあります。ツールと担当者のITリテラシーの組み合わせによっては使いにくさを感じるかもしれません。

チャットボットの精度を上げるために必要なこと

チャットボットの精度を上げるためには「教育」が必要です。チャットボットには「シナリオ型」「AI型」の2種類があり、それぞれに合わせた方法で教育を行います。

シナリオ型は、複数の選択肢からユーザーに1つずつ選んでもらいながら会話を進めるチャットボットです。あらかじめ想定される質問と回答を準備し、それらを分岐させシナリオ化することで成立します。チャットボット自体が何かを考えるわけではなく、どれだけ選択肢と答えを網羅できるかがポイントです。選択肢を上手く組み合わせて良いシナリオを設計することが「教育」になります。

一方でAI型は、ユーザーが自由に入力した内容を分析して答えを導くチャットボットです。質問文を単語に分け、あらかじめ用意されたFAQのデータベースと照らし合わせることで答えを導き出します。回答した内容が正解なのか間違いなのか評価を重ね、データが蓄積されることで精度が上がります。つまりAI型の場合、導入直後はあまり「教育」がされていない状態です。早期に精度を上げたいのであれば、長めのテスト期間を設ける必要があります。

チャットボットを最大限活用するために押さえるべきポイント

チャットボットを最大限活用するために、押さえるべきポイントを見ていきましょう。

ターゲットを決める

初めに、チャットボットを利用するターゲットを設定しましょう。年齢層や性別をある程度絞れれば、設置するキャラクターやシナリオを設計しやすくなります。利用者に安心感を与えられると、より積極的にチャットボットが利用されるでしょう。

想定されるFAQを洗い出す

チャットボットで重要なポイントとなるのが、FAQの洗い出しです。どのような質問が多いのか、どのような回答をすれば相手が満足してくれるのかを徹底的にリサーチする必要があります。

ただし、ここで注意すべきなのが「客観的な視点を持つ」ということです。こちらは当然だと思っていることでも、質問する側には理解されていないことがあります。リサーチの際は、過去の問い合わせデータやお客様の声などを反映して、客観的な視点でFAQを準備する必要があります。

シナリオを構成する

シナリオの構成では、利用者の使いやすさを考え、自然な会話の流れになるよう注意が必要です。内容も長くなりすぎず、簡潔な表現を心掛けるようにしましょう。

また、解決できないような問い合わせの際は「オペレータと会話する」といった案内を出すことも利用者が増えるポイントです。

チャットボットの構築を行う

自社サイトへチャットボットを設置して、各設定を行います。チャットボットの製品によってはあらかじめテンプレートが用意されており、初期データとして利用すれば効率良く進められます。

精度の確認とチューニングを行う

稼働した後、精度の確認とチューニングを行いましょう。チャットボットは導入して終わりではなく、一定期間ごとに検証が必要です。思っていたほどの効果が得られていない場合は、問題を特定して対処しなければいけません。場合によっては精度を上げるためのチューニングも必要です。

チャットボットを選定する際のポイント

チャットボットを選定する際のポイントは、以下の通りです。

管理しやすいか

チャットボットの選定において、管理画面の使いやすさとメンテナンスのしやすさは重視すべきポイントです。誰でも簡単に使えて運用しやすいツールでなければ、かえって非効率を招く可能性があります。操作感やメンテナンスコストは事前に確認しておきましょう。

シナリオ設計がしやすいか

シナリオは一から自社で作成することもできますが、製品によってはテンプレートの利用も可能です。社内向けでは総務用、経理用などがあり、社外向けでは不動産用や飲食業用、EC事業用などが用意されています。導入時だけテンプレートを使い、その後独自のシナリオにカスタマイズすれば効率的にシナリオの設計が行えます。

無料トライアルで利用可能か

実績の多いチャットボットであっても、いざ自社で使ってみると合わないケースがあります。管理の難しさやメンテナンスの手間などで運用のしづらさを感じたり、そもそもAI型とシナリオ型の選択を間違ったりしてしまうことです。ミスマッチを防ぐためにも、無料のトライアルや無料デモなどを積極的に活用しましょう。

自社に合ったチャットボットで最大限の活用を!

チャットボットは人の代わりに働いてくれる便利なツールです。上手く活用するには、導入前にスケジュールを立てて準備する必要があります。製品の種類によっては、あらかじめテンプレートが用意されており、チャットボットが初めてでもスムーズな導入が可能です。気になる方はぜひ試してみてください。

この記事の執筆

honyakuma

ライター

システム会社勤務のサラリーマン。これまで物流、バックオフィス系のシステムに従事。「ITをわかりやすく」をモットーにWEBライターとして活動中。

この記事の監修

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

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