労務管理の中で発生するリスクを把握し、適切な管理体制を整えたいと考える担当者も多いでしょう。しかし、具体的なリスクをイメージできずに困っている方もいるはずです。
そこで本記事では、労務管理で発生する5つのリスクと回避方法をご紹介します。リスク発生の原因やリスク回避の重要性も解説しますので、労務管理を効率化する際の参考にしてください。
目次
労務管理で発生するリスクとは?
そもそも、労務管理の中ではどのようなリスクが発生するのでしょうか。まずは、多くの企業で発生する5つのリスクをご紹介します。従業員の働きやすさに影響するだけではなく、労務担当者の負担を増やしてしまうポイントなので、今のうちに各項目を把握しておきましょう。
労働時間の超過
労務管理では、従業員の労働時間の超過がリスクとなります。労務担当者は、従業員の勤怠管理を行うのがひとつの仕事です。労働基準法に定められている規程の労働時間を超過することを防止して、法律違反を避けなければなりません。
しかし、従業員の中には労働時間を無視して働く(働かせられる)人もいるため、入念な勤怠管理が重要です。罰則や罰金が発生するポイントなので、責任を持って管理する必要があります。
残業代の未払い
労働時間と合わせて理解しておくべきなのが、残業代の未払い問題です。労働基準法違反を避けるために、労働時間をごまかして働く従業員もいるので、適切な労働時間の把握が欠かせません。残業代の未払いにより、企業と従業員の間で大きな問題に発展する場合もあります。
一般的には、労務担当者が従業員の給与計算を担当します。計算ミスをしないことはもちろん、現場の労働状況を把握して給与の整合性を確認しましょう。
ハラスメントのまん延
労務管理では、従業員の働きやすさをつくり出すのも仕事です。労働環境を管理することも担当業務のひとつなので、ハラスメントのまん延には注意してください。たとえば、企業の中では次のようなハラスメントが発生します。
- パワハラ
- モラハラ
- セクハラ
上記のハラスメントは、従業員を追い詰め、大きな問題へと発展する可能性もあります。企業に従事するすべての人が快適に働けるようにするため、職場環境を把握して適切な施策を用意しましょう。
労働災害の発生
労務管理では、従業員に発生する労働災害の処理も仕事のひとつです。労働災害とは、通勤中や業務中に発生する以下のトラブルのことを指します。
- 病気
- 事故
- ケガ
従業員から労働災害の連絡があったら、即座に病院への連絡や処置を行いましょう。また、労働災害時には労働保険が適用されるケースも多いので、労働保険の手続きを早い段階で進めておくことをおすすめします。
労働災害は予測できない状況で発生するため、場合によっては労務管理の負担を大幅に増やしてしまうかもしれません。したがって、事前準備を行い、スムーズに対処できる体制を整えておく必要があります。
理由のない解雇
企業によっては、経営者や従業員が独断で「理由のない解雇」を言い出す場合があります。ただし、そのような不当な解雇は法律上禁止されています。
労働基準法では、不当な解雇を禁止する規定が設けられています。解雇するにふさわしい理由があるうえで、労務担当者等による順当な手続きを行わなければ、解雇できません。
ルールに反して従業員を解雇した場合、法律違反として大きな問題に発展する可能性があります。従業員の管理は、人事担当者や労務担当者が対応することが多いので、企業全体のルールや職場環境の維持が重要です。
労務管理のリスクが発生する原因
労務管理のリスクは、予期せぬタイミングで発生すると思われがちです。しかし、実際には特定の原因によりリスク発生率が高まってしまいます。続いて、労務管理のリスクが発生する主な原因を2つご紹介します。自社で抱えている課題と当てはまる項目なのか、ぜひ確認してみてください。
担当者の認識不足
労務担当者によって経験や知識に差があり、管理内容を把握できていない場合があります。認識不足が多いと、業務における見逃しやミスが発生する可能性が高まるでしょう。
ただし労務担当者が、自身の能力だけですべての管理に対応するのは困難だと言えます。とくに新しく労務担当者として働き出す人がいる場合、ルールなどの土台が整備されていなければ、いずれ問題が生じるかもしれません。従業員が働きやすい環境を整えるためにも、担当者の認識不足を早めに解決する必要があります。
労務担当者の負担増加
労務担当者は、従業員のサポートとして次の業務を行います。ただし、作業範囲が広く、労務担当者の負担が増加しているケースが少なくありません。
- 勤怠管理
- 給与計算
- 社会保険の手続き
- 年末調整の準備・提出
- 福利厚生の管理
- 人事関連規程管理
- 安全衛生管理
業務を分担したり、人力での作業を削減したりしなければ、労務担当者のリスクを削減できません。適切な労務管理を行うためにも、現状の課題解決が求められます。
労務管理のリスクを回避する2つの方法
労務担当者として労務管理を行う際には、発生するリスクを事前に理解し、正しい対策を講じなければなりません。最後に、労務管理リスクの回避方法を2つご紹介します。業務効率化や管理の負担削減にも関わるポイントなので、ぜひ参考にしてみてください。
原因を探りひとつずつ対策を講じる
今までに発生したリスクや、危険視している項目があるなら、原因を探りひとつずつ対策を講じましょう。このとき大切になるのが、事前にリスク発生の原因をすべて洗い出し、優先順位をつけることです。リスクの中にも重大な影響があるものから軽微なものまであるため、優先順位の高いものから対処してください。
また、対処にかかる費用や作業コストなどを考慮しつつ、どのような手順でリスクを回避していくべきか、長期的な計画を立てることも大切です。自社でリスク回避の対応が難しいと感じた際には、アウトソーシングなどを利用して、プロに労務管理を任せてみる方法もあります。
システムを導入して労務管理を効率化する
現状のリスクや将来的に発生するリスクを未然に防止したいなら、業務効率化のために労務管理システムを導入してみてはいかがでしょうか。労務管理システムを導入すると、従業員の情報をすべてデータで管理して勤怠管理や給与計算などを自動化できます。また、従業員の情報などをステータスとして管理できるため、リスク発生にいち早く気がつけるのもメリットです。
労務担当者の手作業よりも効率的に対処できるうえに、アウトソーシングによりも安価で利用できます。提供されている労務管理システムの種類も豊富にあるので、自社の課題を解決できるサービスを探してみてください。
労務管理のリスクを回避する重要性とは?
労務管理においてリスクを回避することは、優先的に対策しなければなりません。なぜなら、労務管理で発生するリスクは、労務管理を行わなければさらに悪化する問題だからです。
従業員の中には、前述したリスクが原因で仕事を辞めたり、経営者とのトラブルを起こしてしまったりする可能性があります。リスクが悪化すると、経営自体にも影響が出てしまうため、早めの解決が望まれるのです。
企業そして従業員が快適に働ける職場をつくるためにも、労務管理のリスクを理解し、適切な対処を実施してください。
労務管理のリスクを理解したら管理を効率化するシステム導入を検討しよう
複数のリスクを持つ労務管理を、労務担当者の力量に任せている企業もあるはずです。しかし、作業量の負担や認識不足などが影響し、予期せぬ自体を引き起こしてしまう可能性があります。また、労務管理の中では見えにくい従業員間のトラブルによって、大きな問題へと発展するケースもあるでしょう。
少しでも労務管理のリスクを減らして、企業・従業員がともに快適に働ける環境をつくるために、労務管理システムを導入してみてはいかがでしょうか。従業員管理や作業の自動化など、労務管理の負担を削減できることはもちろん、リスク回避対策に役立つ機能も搭載しています。労務担当者の負担が減って安定的に労務管理を実施できるので、業務効率化するうえでも効果的だと言えるでしょう。