テレワークが普及した昨今、タスクの可視化や効率化が難しくなっているなか、業務の全体像や従業員のタスクの把握に役立つのが「業務可視化ツール」の存在です。

従業員のパソコンの操作ログを収集し、工程を可視化することによって、それぞれの勤務実態や効率化のポイントなどを一目で把握できるようになる便利なサービスです。

今回は、独自の業務可視化ツールである「mmfosyic(エムエムフォジック)」を提供している夢創IT株式会社の岩崎氏へ、業務可視化の重要性やツールを選ぶうえでのポイントなどについて、お話を伺いました。

mmfosyic(エムエムフォジック)とは?

– 御社の提供する「mmfosyic(エムエムフォジック)」について、簡単に概要の説明をお願いします。

岩崎氏:製品としては、ITreviewの定義でいくと業務可視化ツールと言われているクラウドサービスになります。じゃあ「業務可視化って何?」っていうところなんですけれども、前提としては、主にホワイトカラーやデスクワークと言われるような業務の実態を見える化して、その中から定量的な情報をもとに、課題であったりゴールの設定をしていきましょうという考え方になります。

では、どのように業務を可視化しているのかというと、GoogleやOutlookのカレンダーなんかで実際の作業実績を入力していくパターンもあれば、会社によってはExcellで同じような管理をしてくパターンもあります。そういった形で「今日自分が何の仕事をどれくらいやったか」みたいなところを積み上げていくのがメインの考え方になります。

mmfosyic(エムエムフォジック)の強み

ー さまざまな業務可視化ツールと比較して「mmfosyic(エムエムフォジック)」の優位性というのは、どういった部分にあるのでしょうか。

岩崎氏:そうですね。ひとつは「課題のわかりやすさ」にあると思います。当社は、業務改善やBRPなどのITコンサルティングを提供していますが、企業へのコンサルティングを実施していくなかで、その考え方であったり我々が見ているポイントであったりを、ツールの分析機能やレポートの機能にも反映しておりますので、実践的かつ実績のある考え方のもとで「その数字を見れば実際の課題を瞬時に見つけられる」システムを作っています。

あとは、見える化のツールって、よく「見える化して終わってしまう」ことが多いんですけれども、先ほど申し上げた通り、当社ではコンサルティングのサービスを提供しておりますので、見える化した後も当社の方で伴奏する体制が整っています。単に見える化して終わりではなく、業務課題を改善するというところをゴールに設定してサービスを作っています。

業務を可視化することの重要性について

– サービスの導入を決めたきっかけの部分で、業務可視化の重要性みたいなところでは、どのようなお声をいただいているのでしょうか。

岩崎氏:いろいろありますが、いくつかのパターンをお伝えいたしますと、まず規模の大きい企業に多いのが「どのプロダクトにどれくらいの人間が関わっているのかよくわからない」というパターンです。プロダクトの運営には、もちろん諸々のコストが発生してくるわけですけれども「このプロダクトの売り上げにしては人が多ぎるね」みたいなところであったり、もしくはその逆もあったりなど、そういった部分をキチンと精査してプロダクトに反映させていきたいというパターンが多いです。

もう一つのパターンとしては、これはどの会社でもあるとは思うんですけれども、いろいろなものを作っていくうちに、今まで作ってきたプロダクトの運用に時間を取られてしまって、だんだんと新しい開発に投資できなくなってしまうというパターンです。そもそも「なんでこんなに忙しいんだっけ?どこに時間がかかってるんだっけ?」そういった不透明な状況において、見えていない部分を見える化することによって、新しい価値を生み出すところに投資していきたいというパターンも多いですね。

業務可視化ツールを選ぶうえでのポイント

ー 業務可視化ツールを比較する場合、実際のユーザー様はどういった決め手で製品を選ぶのでしょうか。

岩崎氏:まだコンペになったことがないので仮説ベースの話にはなりますが、まず業務可視化においては「どこにゴールを設定するか」によって選定の軸は大きく変わってくると思います。例えば、金額で見たいというニーズがメインの場合には、管理会計の機能が入っていた方が良いでしょうし、進捗を見たいというニーズがメインの場合には、プロジェクトマネジメント的な機能が入っていた方が良いですよね。何を期待するのか、何を目的にしてやるのかによって、入れるべき機能とそうでない機能は変わってくると思いますので、そういったところの「求めるニーズを機能が満たしているか」という部分は大きいのかなと思っております。

当社のシステムで言えば、活動情報を集めるというところにフォーカスしているので、プロジェクトマネジメントや勤怠管理の機能は特に入れていません。ユーザー様で利用しているシステムは既存のものがあると思いますので、あえてそこをリプレイスするというよりも、各社自分たちで使いやすいサービスを使ってもらって、我々は「そこと繋ぎ合わせられるようなシステムを作っていこう」というのが基本的な開発コンセプトです。

あとは、少し現場の話になるんですけれども、やっぱり工数入力って面倒くさいんですよね。よく言うのは「工数を入れるために工数が発生してるんだから意味ないじゃん」みたいな話で、極力工数をかけずに情報を集めるにはどうしたらいいんだろうみたいなところですとか。結局、集めた情報を使えないと意味がないので、ただ入れたものを集めるもので良ければ「Googleカレンダーに全部のスケジュールを入れて集計すればいいじゃん」って話なんですけど、そうすると今度は基準がバラバラになってしまうので、正しい情報を手間なく集めるにはどうしたらいいんだろうみたいなところは、やはり現場は気になるところなんじゃないのかなと思います。

ツールを通して提供していきたい価値

ー この業務可視化ツールを通じて、御社としては、どのような課題解決に貢献していきたいのでしょうか。

岩崎氏:そうですね。よくある話としては、リモートになると誰が何をやっているかわからない、自分の部下の顔が出ないみたいなところで、導入を検討してくださる場合もあるんですが、そうなると、マネージャーが管理ではなく監視を始めてしまうんですよね。特に日本ではありがちだと思うんですけれども、当社のシステムに限らず、こうしたツールを使っていただくことによって、本来の管理というものをやってほしいなと思っております。

こういうツールを使うことで、ちゃんと情報が上がってくるようになれば、権限移譲もできると思うんです。リモートで「何時から何時までしか働いてなくても結果が出せていればいいよね」というふうに裁量も渡せてくると思うので「なんかリモートになったから不安だよね」とか「仕事してるかどうかわかんないよね」とか、毎朝9時に全員の顔を出してミーティングをやりましょうという話ではなくて、従業員をキチンと信頼するためのツールとして使ってほしいなと思います。

一方で、やっぱり近くにいるからこそわかることっていうのもあると思うんです。その日のモチベーションとか顔色とかですね。なので、そこも一応mmfosyicの中にも、簡単ではありますけど、今日の体調やモチベーションのヒアリング機能があるので、そういった機能をうまく組み合わせて、マネジメントをする上での一つのツールとして使っていただきたいなと思います。

あとは、現場の従業員の方々にとっても、自分の活動が見えるようになることで、例えば、評価するときの交渉材料になったよねとか、上司との1on1でアドバイスをもらえるようになったよねとか、誰か一人が幸せになるのではなく、導入する人たち全員にリターンがあるような仕掛け作りに活用していただきたいと思っております。

ツールの導入が目的にならないように

ー 最後に、これから業務可視化ツールの導入を検討しているユーザー様へ向けて、一言メッセージをお願いします。

岩崎氏:業務の可視化と一口に言っても、やり方もサービスもいくつかあると思います。大切なのは目的をちゃんと持った上で入れるのか入れないのかというところは、しっかりと決めた方がいいのかなと思っています。見える化すると満足しちゃうことって結構あると思うんですよ。

でもそれって、あまりビジネス的には意味がないことであって、見える化をしたうえでキチンと課題を見つけて改善をしていくというところで、継続的にPDCAを回していける組織体制をどう作っていくのか考え続けるということがすごく重要になると思います。組織を常に強化していくことの手段として、このツールを使っていただきたいですね。

◆お話を伺った方

夢創IT株式会社
代表取締役 岩崎 創 氏

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