LMSを選定する際に起こりやすい課題・トラブルは、以下の通りです。
- 要件定義・計画の不備
- ユーザーエンゲージメント・定着率の低さ
- UI/UXの使いにくさ
- コンテンツ移行・制作の負荷
- システム連携・拡張性の問題
- 現場と情報システム部門の認識のズレ
- 学習文化とのミスマッチ
- 効果測定の課題
- ベンダー比較の難しさ
- コスト面の課題
目次
要件定義・計画の不備
LMSの導入で多いトラブルの一つが、要件定義や導入計画が不十分なまま選定を進めてしまうケースです。具体的な導入目的やKPIが定まっていないと、ツールに求める機能が曖昧になり、十分な運用効果が出ない可能性があります。
LMSを選定する際は、導入目的や必要機能、運用体制を事前に整理し、ツール選定の要件を決めておきましょう。一般企業では現場担当者や受講者(従業員)、情報システム部門、教育機関では教職員や生徒の意見をヒアリングすると、必要な要件を絞りやすくなります。
ユーザーエンゲージメント・定着率の低さ
ユーザーのエンゲージメントや定着率が低いのも、LMS導入で多く見られる課題の一つです。
LMS運用では、受講者の自己管理が求められる場面があり、運用設計次第では学習が後回しになる場合があります。
継続的な利用につなげるには、以下のような対策が必要です。
- 受講者の学習ペースやレベルに合わせた学習体制の構築
- 学習意欲が自然と湧くようなコンテンツ制作
- 定期的なフィードバック・リマインド設定
- 学習回数に応じたインセンティブ制度の導入
UI/UXの使いにくさ
LMSの導入では、UI/UXの使いにくさが課題として多く挙げられます。ITreviewの製品ページのレビューでも、「画面がカラフル初めて使う人には操作が複雑に感じる」「社員一覧の絞り込み条件が複雑」との声が見られました。
UI・UXの意味と具体例は、以下の通りです。
| 用語 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| UI(ユーザーインタフェース) | ユーザーが画面上で直接触れるデザイン・操作部分 | ボタン配置メニュー構図画面レイアウトページデザイン |
| UX(ユーザーエクスペリエンス) | サービスの利用で得られる体験 | 操作が分かりやすい迷わず指定のページにアクセスできる |
LMSでは、ユーザーが「操作しにくい」「どこに何のページがあるのか分からない」と感じると、受講頻度が下がりやすくなります。LMS選定時は、UI・UXに優れ、直感的に操作できるツールを選ぶ必要があります。
コンテンツ移行・制作の負荷
オンライン教材を制作する場合、コンテンツ設計や動画制作に時間と工数がかかります。
LMSへのコンテンツ移行では、主に以下の作業が発生します。
- 既存資料の棚卸し
- PDF・動画・テスト形式への変換
- 受講コースの配置
- 運用ルールの明確化・管理担当者の設定
これらに加えて、システム移行のためのファイル形式の調整やデータの再編集が必要となるため、全体としてコンテンツ準備の負担が大きくなりやすい点が課題です。実際のLMSユーザーレビューでも、「全社展開に向けた設計が難しかった」「継続的なデータ入力やメンテナンスが負担だった」といった声が見られました。
導入をスムーズに進めるためにも、、以下の項目を入念に話し合いましょう。
- 既存コンテンツの移行方法
- 教材の作成・更新担当者
- リソースの確認
コンテンツ制作のノウハウが社内にない場合は、eラーニング制作を支援する専門会社へ依頼する方法もあります。
システム連携・拡張性の問題
LMSの選定では、既存システムとの連携や将来的な拡張性も課題の一つです。ITreviewの製品ページに寄せられたレビューにも、「外部システムとの連携ができず二重入力が発生している」との声も見られました。
LMSは、人事システムや会議ツール、チャットツールなど、社内のさまざまなシステムと併用されるケースが多く見られます。例えば、人事システムと連携できない場合、受講者情報の二重管理が発生したり、異動・組織異動の反映に手間がかかったりする可能性があります。
また、利用人数の増加や多言語化など、将来的な運用体制の変更に対応できるかどうかも重要です。LMSを選定する際は、人事システムとの連携の可否やツールの拡張性を考慮しましょう。
現場と情報システム部門の認識のズレ
現場部門・情報システム部門・経営層の間で求める機能や評価基準が異なると、ツール選定に対する認識のズレが発生する可能性があります。
例えば、現場は操作のUI・UXを重視する一方、情報システム部門はセキュリティの高さや既存システムとの統合性を優先する傾向があります。また、経営層は導入コストに対するROI(投資対効果)を重視するケースが多く、ツール選定には時間がかかりがちです。
全ての要望を実現するのは難しいため、導入目的や優先順位を整理した上で、関係部門が共通の基準を持って選定を進めましょう。
学習文化とのミスマッチ
LMSを導入しても、組織の学習文化と合っていない場合、十分に活用されない可能性があります。
例えば、営業や接客、医療業界など、実務での指導や対面での確認が必要な業務では、オンライン学習だけでは補いきれない場面があります。
LMSを効果的に活用するには、オンライン学習だけに頼るのではなく、OJTや集合研修と組み合わせて教育体制を整えることが重要です。例えば、知識のインプットはLMSで進め、実践はOJTで行うといった使い方が良いでしょう。
効果測定の課題
LMS選定時の課題として、導入後の効果測定の難しさが挙げられます。
LMSの効果測定では、以下のような観点を評価指標にするのが一般的です。
- 利用状況(受講率・視聴回数など)
- 理解度(テスト結果・修了判定)
- 実務での活用率
- 組織成果への影響(業務効率の向上やKPIの改善)
受講率や視聴回数はシステム内で確認できる場合が多い一方、理解度や業務での活用状況は把握しにくい傾向があります。
こうした定性的な評価の評価精度を上げるには、以下の機能が搭載されているツールを選ぶと良いでしょう。
| 搭載機能 | 機能の内容(一例) |
|---|---|
| 進捗確認機能 | グラフやチャートで個人の学習状況を可視化できる |
| 学習データの分析機能 | 学習データを基に、受講率や進捗状況、理解度を分析したレポートを作成できる |
| アンケート機能 | LMS上でアンケートを実施し、受講者の理解度や満足度を把握できる |
| テスト機能 | 理解度テストや修了判定によって学習成果を評価できる |
| KPI連携機能 | LMS導入のKPIと学習データを照合し、業務への影響を確認できる |
ベンダー比較の難しさ
LMS選定では、ベンダーの比較が難しいといった声が多く見られます。ツールを比較する際、機能だけを見て判断してしまうケースも少なくありません。
自社に合ったLMSを選ぶには、機能面に加えてベンダーの導入支援の有無やサポート体制、利用料金、教材対応、セキュリティの5点を確認することが重要です。
具体的に確認すべきポイントを以下にまとめました。
- 導入支援があるか
- トラブル時のサポート体制が充実しているか
- 予算に合った料金プランが用意されているか
- 学習ニーズに合った教材やコンテンツを提供できるか
- セキュリティ体制が整っているか(情報漏えいリスクへの対策)
これらの要素を総合的に比較し、自社の運用体制に合ったLMSを選びましょう。特に導入支援の有無やサポート体制の有無は、ユーザーレビューでも「困ったことをすぐに相談できて助かった」「サポートが手厚く、導入障壁の解消や目的の実現に役立った」といった評価が見られ、スムーズな運用定着に影響する重要なポイントの一つです。
コスト面の課題
LMS選定時の課題には、コスト面の問題も含まれています。ITreview上のユーザーレビューでも「初期の項目設計・権限設計には学習コストがかかった」との声が見られました。
LMSを導入する際は、以下のような費用が発生します。
- 初期費用
- 月額利用料・ライセンス費用
- 動画・教材制作費用
- カスタマイズ・システム開発費用(自社要件に合わせた設定や開発が必要な場合)
- 既存システムとの連携開発費
- 運用費用
- 導入支援・サポート費用
このように、導入費用だけでなく、運用やコンテンツ制作など継続的なコストが発生します。特に見落としやすいのは、教材制作費用・既存システムとの連携開発費、導入後のサポート費用です。
これらのコストを踏まえて予算を設定し、必要な機能やサポートの優先度を整理した上で、予算に合ったLMSを選ぶことが重要です。
LMSを選定する際の課題を押さえた上で導入準備を始めよう
LMSの選定では、コストや定着率の低さ、UI・UXの使いにくさなど、多くの問題が障壁となります。選定から導入までのステップをスムーズに進めるには、このような課題を事前に理解し、運用体制や学習環境を整えておくことが重要です。
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