企業活動で頻繁に行われるデータのやりとりには、セキュアなネットワーク環境が求められます。取引先のデータ流出やお客さま情報の漏えい、ウイルス感染などを未然に防ぐために、インターネット通信の安全性を高める「VPN」の利用が不可欠といえるでしょう。
近年では、スマートフォンやタブレットなどデバイスの多様化によって、業務で使用する端末にも使えるVPNが登場してきています。本記事では、Android対応のVPNをご紹介するとともに、安全性や帯域などどのようなポイントで選べば良いのかについて解説します。
安全性の高いVPNを選ぶポイント

VPNでは、安全性を高める暗号化と呼ばれる技術が用いられていますが、安全性確保において気を付けておくべきポイントがあります。VPNを選ぶ際は、以下の点に当てはまるかどうか確認しましょう。
– プロトコルに「OpenVPN」が選択できるか
– キルスイッチ機能が付いているか
– 多要素認証を使用できるか
VPN接続時のプロトコルは、その種類によって暗号化レベルが異なります。PPTPやSSTPは暗号化の水準が低く、セキュリティの脆弱性が懸念されています。IKEv2は速度も速くセキュリティでも高いレベルを確保していますが、オープンソースでないことから信頼性が十分とはいえません。現時点で最も信頼性・セキュリティ性能が高いのは「OpenVPN」となるため、VPNにはOpenVPNプロトコルを選べるものが望ましいでしょう。
また、なんらかの事情でVPN接続が途切れた場合には、情報が外部に流出しないようインターネット通信を遮断する「キルスイッチ」が有効です。VPN経由でない接続を遮断することで、セキュリティ向上やプライバシー保護に役立ちます。 多要素認証とは、VPN接続時にユーザーへのID・パスワードの要求やそれに加えてセキュリティトークンを利用するなどの方法です。認証方式によってセットアップが難しいケースもありますが、ビジネスで使用する際は最低限「ID・パスワード」の認証機能が付いたものが安心です。
帯域の選び方
VPNを選ぶポイントとしては帯域も重要です。帯域については「帯域保証型」と「ベストエフォート型」の2種類に大別されます。この2つは通信品質や価格といった点で違いがあります。
帯域保証型とは、通信事業者との契約によって使用する閉域IP網を使用したプランに見られるもので、ある一定の通信品質を保証するものです。速い通信速度、安定した通信が確保されているのが特徴です。
一方、ベストエフォート型とは、通常のインターネット回線を利用するインターネットVPNに見られるもので、トラフィックの状況によって通信品質が変動することが特徴です。コストは帯域保証型よりも安く抑えられます。
自宅で手軽にVPNを利用したい場合にはベストエフォート型で十分かもしれませんが、ビジネスの基盤としてインターネットを使用する場合には、帯域保証型を選ぶことをおすすめします。 また、通信速度の保証だけではなく、故障時の回復時間、通信遅延時間などのサービス品質を保証する「SLA(サービス品質保証)」が付いているかどうかも、各VPNを比較するポイントです。
安全性の高いAndroid対応のVPNサービスを選ぶ
使用する端末やOSに対応したVPNクライアントをインストールしましょう。なお、Androidでは組み込みのVPNクライアントが含まれていますが、使用できるプロトコルは「PPTP、L2TP/IPSec、IPSec」のみ。OpenVPNを利用する場合はVPNアプリのインストールが必要です(Android4.0以上に対応)。セキュリティ性能の高いAndroid対応VPNを選ぶならSmartVPNがおすすめです。
SmartVPN
ソフトバンクが提供するVPNサービス。ベストエフォートタイプから帯域保証型まで、用途と予算に応じてプランを選択できます。モバイル通信に特化した「Twinアクセス」では、同一パケットから2回線でデータ伝送を行うため、より安定した通信を実現。

スマートフォンやタブレット等のマルチアクセスメニューも豊富なため、用途に応じて柔軟にVPNを利用できることが特徴です。ネットワーク監視やフィルタリングなど、セキュリティを高めるオプションサービスも充実しています。
Pulse Connect Secure
Pulse Secure社が提供するVPNサービス。外出先から拠点となる社内リソースにアクセスできるよう、AndroidをはじめさまざまなOS、端末に対応していることが特徴です。デバイスにはVPNソフトウェアをインストールする必要はなく、ブラウザやWebベースでのアプリケーションにも対応可能。あらゆる端末から安全かつ柔軟なリモートアクセスが可能になります。強力な認証システムをはじめ、ログ記録やホストチェッカーなど、強固なセキュリティ機能も備わっています。

Array AG
アレイ・ネットワークスが提供するSSL-VPNゲートウェイ製品シリーズ。企業データを社内に置いたまま、デスクトップPCやノートPC、Android、iOSなどのスマートフォンから社内デスクトップへのリモートアクセスが可能です。外出先から社内のイントラネットに接続できるほか、ユーザー管理やアクセス制御の管理にも対応。デバイスの管理やアプリ利用の管理まで、組織や業務に応じて必要な機能を組み合わせることが可能です。クラウドサービスやモバイルの多様化に伴う、柔軟なワークスタイルの実現に役立てられるでしょう。
