NTTが手掛けるIP-VPNサービス「フレッツ・VPNワイド」。複数拠点間でのセキュアなネットワーク通信が可能になることから、あらゆる規模の企業に導入されています。

 同じくNTTから、フレッツに関連したVPNサービス「フレッツ・VPNプライオ」「フレッツ・VPNゲート」が登場していますが、サービスの違いをよく理解していない方も多いのではないでしょうか。本記事では、フレッツ・VPNワイドとVPNプライオ、VPNゲートとのサービス内容や料金、それぞれの特徴を解説します。

フレッツ・VPNワイドとは?

引用:https://business.ntt-east.co.jp/service/vpnwide/s_outline.html

 複数の拠点間で、安価かつ簡易にプライベートネットワークを構築できるIP-VPNサービス。拠点にはフレッツ光ネクスト等のネットワーク契約が必要となり、多様なフレッツアクセスラインから接続できることが特徴です。

 遠隔拠点や取引先との拠点間通信の安全性を高めたい場合や、拠点数、利用用途に応じて手軽にネットワーク環境を構築したい場合に適しています。

サービス 3つの魅力

– 拠点の増減を柔軟に対応できる
– フレッツ光ネクスト等の複数のアクセスラインで接続できる
– 東西接続や運用管理など、手厚いサポートやオプションを利用できる

契約について

 フレッツのアクセスライン契約回線ごとに契約が必要です。
接続可能なアクセスラインは以下の通り。

– フレッツ光ネクスト
– フレッツ光プレミアム
– Bフレッツ
– フレッツ ADSL
– フレッツ ISDN

(※VPN管理者にはフレッツ光ネクスト(ファミリータイプ/マンションタイプ)の契約が必須です。)

選べるプランと料金

 最大拠点数に応じて、5種類のプランが選択できます。プランごとの料金は以下の通りです。(フレッツアクセスラインの契約・利用にあたり、別途契約料や月額料が発生します。)

1.VPN管理者の月額利用料金

プラン10(10拠点まで):1,980円
プラン30(30拠点まで):3,300円
プラン100(100拠点まで):11,000円
プラン300(300拠点まで):33,000円
プラン1000(1,000拠点まで):110,000円

2.VPN参加者の月額利用料金

一律1,980円

 NTT東日本エリアからNTT西日本エリアの拠点へ接続する場合は、オプションサービス「東西接続サービス」への契約が必要です。(追加料金発生)

 また、イーサネット回線やギャランティ型サービスと組み合わせて利用できる、センターエンド型ネットワークを構築するには「センタ回線接続サービス」のオプション加入が必要です(プランによって加入制限があります)。接続タイプには、局内接続をはじめ収容エリア内接続、ビジネスイーサがあります。

VPNプライオ/VPNゲートとのサービスの違い

 複数の拠点同士をセキュアに通信できる総合的なIP-VPNサービスが「フレッツ・VPNワイド」であるのに対し、「フレッツ・VPNプライオ」と「フレッツ・VPNゲート」には違った特徴があります。それぞれのサービス概要やプラン、料金は以下の通りです。

フレッツ・VPNプライオの特徴

引用:https://business.ntt-east.co.jp/service/vpnprio/service.html

 通信品質やサポート体制に注力したIP-VPNサービスです。1グループ最大1,000拠点を収容できるため、全国に拠点を持つ大規模なネットワーク構築が可能です。最大の特徴は、IPv6によるダイレクト通信により、遅延が発生しにくい安定した通信が可能になること。また、24時間365日の保守サポートにも対応していることです。

 大容量データを安定かつリアルタイムな通信でやりとりしたい場合や、ネットワークシステムの保守を重視したい場合に適しています。プランに応じた定額制のため、コスト管理がしやすいでしょう。

サービス 3つの魅力

– 帯域優先機能で安定した通信環境を実現
– 1,000拠点までの大規模通信を、安定かつリアルタイムに接続
– 24時間365日の保守対応(別途オプション加入が必要)

利用可能なアクセスサービスと料金

 VPNの基本料金に加え、NTTフレッツの契約・月額料金が別途必要です。

1.基本サービス料金

7,700円

2.利用可能なアクセスサービス

フレッツ光ネクスト
– ファミリータイプ
– ファミリー・ハイスピードタイプ
– ファミリー・スーパーハイスピードタイプ隼
– マンションタイプ
– マンション・ハイスピードタイプ
– マンション・スーパーハイスピードタイプ 隼

フレッツ・VPNゲートの特徴

引用:https://business.ntt-east.co.jp/service/vpngate/service.html

 VPNワイドは手軽さ・拡張性の高さが特徴であるのに対し、VPNゲートではセンターエンド型に特化した通信が特徴です。拠点が多く散らばっているサーバを集約してネットワークを一括管理したい場合や、自宅や出張所等から多数のデバイスデータを安全に通信したい場合に適しています。

 ただし、利用料金が高額であるほか、基本利用帯域を超えると追加料金が発生します。導入する際は、綿密な予算管理と運用が不可欠となります。

サービス 3つの魅力

– 最大80,000拠点で同時接続できるネットワークの構築が可能
– 重要拠点への通信経路を二重化することで、安定的な事業継続が可能
– VPN接続時のユーザー認証代行機能により、認証サーバの設置が不要(別途オプション加入が必要)

利用可能なアクセスサービスと料金

 VPNゲートの利用料のほかに、ハウジング量や屋内配線利用料が発生する場合があります。また、料金については「フレッツ光ネクスト限定版」と「全フレッツ・アクセスサービス対応型」によって異なります。

 以下では、NTT東日本エリアにおける、フレッツ光ネクスト限定版の一部プラン料金を抜粋しています。

1.月額料金

・100Mシングルクラス

局内接続:1,530,000円
局外接続(指定MA内):1,739,000円
※MAとは、市内通話料金で通話できる区域のことを指します。

・1Gシングルクラス

屋内接続:1,530,000円
収容エリア内接続:1,550,000円
※100Mbpsを超える場合は、100Mbpsごとに366,000円加算

2.利用可能なアクセスサービス

全フレッツ・アクセスサービスに対応

自社に合ったIP-VPNサービスを選ぶには?

 セキュアな拠点間通信を実現するNTTのIP-VPNサービス。どれもフレッツ光ネクスト等のアクセスサービスでの構築となるため、拠点導入費の負担を軽減できるメリットがあります。

 ただし、拠点数や予算、必要なネットワークによって適切なプランが異なるため、自社に適したVPNサービスを選ばなければ、無駄なコストがかかる可能性があります。まずは自社のネットワーク環境における課題を明確化し、継続コストを考慮した上で適切なVPNを導入しましょう。

(出典:NTT東日本 法人のお客様「データネットワーク」)

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