ネットワークの安全性を高めるために導入されているVPN。有料版と無料版が登場していますが、無料版にはいくつかの注意点があります。セキュリティ向上のために利用するVPNであっても、本来の役割を果たせなければ意味がありません。企業の重要な情報を脅威から守るためにも、Free VPNリスクについて正しく認識しておきましょう。
本記事では、Free VPNを使用する前に知っておきたい3つのリスクについて解説します。
安全なVPNだけではない
企業活動にインターネットが不可欠となったいま、多くの企業や団体でVPNの普及が進み始めています。暗号化通信によって盗み見や情報漏えいのリスクを防ぐだけでなく、本社と各支店を結ぶ拠点間通信によって、業務効率の向上も期待されています。
同時に、VPNサービスを提供する事業者も増えてきており、企業向けから個人向け、有料版や無料版まで多種多様なVPNが利用できる環境となりました。しかし、Free VPNのなかには適切に運営されていないものもあり、本来のVPNとしての機能を活用できていないケースが見られます。
毎日多くの情報をやりとりする企業では、情報セキュリティ対策が顧客や取引先との信頼関係にも影響します。セキュリティが十分に確保された信頼できるVPNを選ぶことは、経営の観点からも重要なことといえるでしょう。コストを安く抑えられるFree VPNですが、その危険性やセキュリティレベルについて理解しておくことが大切です。
Free VPNを利用する際に知っておくべき3つのこと
公開されているFree VPNのなかには、以下のようなリスクがあります。
1. マルウェアの感染・サイバー攻撃のリスクがある
Free VPNには、セキュリティ面の脆弱性が懸念されます。VPN自体が悪意を持って作られている場合もあれば、セキュリティ上の弱点を狙ってサイバー攻撃を仕掛けてくる危険性もあります。知らないうちにマルウェアに感染しているケースもあるため、社内の重要な情報を抜き取られることや、データを改ざんされるといったトラブルを招きかねません。
また、利用デバイスのデータ悪用や、遠隔操作によって犯罪に巻き込まれる可能性もあります。企業の資産を守るため、犯罪に巻き込まれないためには、こうしたリスクを最小限に抑えられる信頼性の高いVPNを選ぶことが大切です。
2. 暗号化されていない可能性がある
VPN通信では、暗号化技術によって通信内容が傍受されないように作られていることが基本です。しかし、一部のFree VPNでは通信が暗号化されていないケースが報告されており、プライバシー保護や個人情報保護といった権利が脅かされています。
また、暗号化がされているVPNであっても、選択するプロトコルによって暗号化の強度が異なります。現時点でセキュリティレベルの高い「OpenVPN」でないプロトコル(PPTPなど)を使用する場合は、第三者による盗み見や改ざんが起きるリスクが高いといえます。
機密情報を扱う企業にとって、こうしたセキュリティの低いVPNを使用することは非常にリスクの高いことといえるでしょう。
3. ログデータが利用される可能性がある

VPNの安全性を図る手段として、「ノーログポリシー」が挙げられます。VPNログとは、ユーザーがVPN経由で閲覧したサイトや通信履歴といったデータのことです。多くのVPNでは、プライバシーや個人情報保護の観点からこのログを保持しないよう宣言していますが、Free VPNのなかにはログを取得しているサービスも存在します。
IPアドレスや通信データ量などの接続ログに加え、訪問したサイトやファイルまで保存されている場合もあります。こうして保存されたログデータは、第三者に転売されてしまう可能性があるため、プライバシーが守られているとはいえないでしょう。
Free VPNを使用する判断基準とは?
Free VPNが必ずしも良くないと断言はできませんが、有料版と比べ、無料版はセキュリティの脆弱性を狙ったトラブルに巻き込まれるリスクが高いといえます。企業のセキュリティポリシーに反する可能性が高いため、使用の際は慎重に判断しましょう。
特に、プライベートで社用のノートPCを利用する際や、企業データが入ったスマホやタブレットでFree VPNを使う場合は危険です。社内に強固なVPNを構築していても、セキュリティの弱いFree VPNを利用すれば、たちまち危険にさらされます。
企業活動にはできるだけ有料版を使用し、社用のデバイスで無料版に接続しないよう社内へ呼びかけましょう。やむなく使用が必要な際は、プロバイダーのプライバシーポリシーに加え、「最新プロトコルを使用しているか」「VPNプロバイダーの信頼性が高いか」「ログを保持していないか」などを確認しておくことも大切です。