資料作成において重要な要素の1つが「分かりやすさ」。特に企画書・提案書・プレゼン資料には、コンパクトさと説得力のある内容が必須です。
資料作成のテクニックとしてよく用いられるのが、イラストや画像素材の使用です。文字だけでは分かりにくい内容でも、画像を使うことで直感的に理解できるようになります。そんなときに候補にあがるのが、ネット上で公開されるフリー画像ではないでしょうか。
しかしフリー画像の利用には、思いもよらないリスクが潜んでいる可能性も。フリー画像だから安心というのは大きな間違いです。場合によっては会社に大きな損害をもたらすことも否定できません。そこで今回は、フリー画像を書類に使用する際の注意ポイントについて解説します。
目次
フリー画像でも著作権侵害の可能性がある
一般的に、フリー画像は著作権がないと思われがちですがそれは間違いです。「フリー」であっても著作権の確認は必要です。なぜなら「フリー」というのが曖昧で、2つの意味で用いられているためです。
著作権がフリー
1つめが著作権。通常、著作物には知的財産権という著作物を保護するための権利があります。著作物に対して権利者が指定する用途を超えて、第三者が断りなく使用した場合、仮にその利用範囲を知らなかったとしても著作権の侵害と見なされれば罪に問われることになります。著作権の保護期間が満了、もしくは著作権を放棄した時に初めて「著作権フリー」となり、他者が自由に利用できるようになります。
ロイヤリティがフリー
2つめがロイヤリティ。ロイヤリティとは、著作物に対する使用料のことです。通常、著作権で守られた作品を第三者が使用する場合、利用する条件に合わせて著作者が決めた使用料を支払わなければいけません。「ロイヤリティフリー」は、一度指定された条件で権利を購入すれば「何度でも複数用途に使用可能」としたライセンス形式を指します。
ただしロイヤリティフリーに関しては注意点があり、ライセンスさえあればすべて自由に使えるわけではありません。素材サイトのポリシーによって異なりますが、標準ライセンス、特別ライセンスなどで使用できる範囲が分かれていることもあります。
これらのことから、フリー画像を利用する際は事前に利用規約の理解が必要です。
参考:PIXTA「ロイヤリティフリー(RF)素材とは何ですか?【単品購入】【定額制】」https://pixta.jp/guide/?p=57879&post_type=faq
フリー素材はライセンス・利用規約の確認が必須
著作権とともに確認すべきなのが、フリー素材のライセンスと利用規約です。ライセンスとは使用許諾のこと。著作権の所有者が、他者に対して利用する権利を与えることを意味します。
ライセンスには必ず使用する際のルールが記載されており、それが利用規約です。代表的なのは、「商用利用は不可、または有料」「クレジット表記(権利者の表示)をする」「加工の禁止」など。さらに「素材提供元へのリンク記載」が義務づけられることもあります。同一サイト内に複数のライセンスが存在する場合、それぞれに規約があるので注意しましょう。

有名なフリー画像といえば「いらすとや」ではないでしょうか。上記のように利用規定が定められており、著作権の所有が明記されており、「21点以上のイラストを使った商用利用は有償」という記述があります。普段から愛用されているという方も、改めて確認をしてみるといいかもしれません。
社内資料でも業務の範疇のため商用利用にあたる
利用規約に注目した際、ひときわよく目にするのが「商用利用不可」。しかし「商用」とはいったいどこまでの範囲になるのでしょうか。社外資料は「商用」と判断できますが、社内資料や個人用の文書は迷うところです。
結論から言うと、社内資料でも商用利用にあたります。商用利用とは「営利目的で利用すること。その資源を二次利用したり、販売チャネルとして用いたりすることで利益を得ること」と定義されています。
引用:商業利用【しょうぎょうりよう】 | 実用日本語表現辞典
つまり企業活動は、ほぼすべて「商用」の位置づけとなり、社内向けの資料でも「商用利用可」に値します。
信頼できないサイトのフリー素材は要注意
フリー素材の使用時に最も重要なのは、どのサイトを利用するかです。多くの人は「フリー素材」と検索してサイトを探すでしょう。しかし、ここでの結果すべてが、本当にフリー素材であるとは限りません。悪質な場合、運営者が別のサイトの画像や素材を無許可で提供している可能性もあります。
仮に利用者が素材を用いて「著作権侵害」と見なされた場合、著作権法第119条の規定により、個人の場合は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金のいずれかが科されるか併科されます。
さらに法人の場合は厳しくなり、著作権法124条により3億円以下の罰金が科せられることもあります。
フリー素材の利用は、ライセンスや利用規約が不明瞭なサイトは避けた方が賢明です。出所がはっきりとした、信頼できるサイトに絞って選ぶことを心掛けましょう。
フリー画像は人気のストックフォトを利用してみよう!

いまやインターネットを利用すれば、多くのフリー素材を見つけられます。しかし、ライセンスや利用規約を確認しつつ、センスの良い素材を探すのは非常に手間がかかります。そんなとき、便利に使えるのがストックフォトのサービスです。
コレクションのテーマは多岐にわたり、ロイヤリティフリーの素材が多くあります。画像やイラストだけではなく、動画や音楽など扱う素材はさまざま。利用規約も明確に記載されているので安心して利用できます。資料作成のレベルを上げたいと思っているなら、ぜひ比較検討してみてください。