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オンラインストレージを自作で構築する方法

 オンラインストレージサービスを使って、個人や企業、プロジェクトチームなどでデータやファイルをメンバーと共有することはビジネス上で必要になっています。

 すでに提供されているオンラインストレージサービスは、メンバーとデータ共有をしたい場合に低コストで導入でき非常に便利です。

 しかし、既存のオンラインストレージサービスではデータ容量やアクセス権、セキュリティ、コストなどの点で自分たちのビジネスのやり方に適さない、あるいは自社の持つPCやディスクなどのハードウェアをオンラインストレージとして活用したい、といった声もあります。

 本記事では、このような場合にオンラインストレージを自作で構築する方法について解説します。

オンラインストレージとファイルサーバの違い

 企業などでメンバーとデータを共有する方法として、オンラインストレージの他にファイルサーバを構築する方法もあります。

 自作オンラインストレージとファイルサーバの構築では何が異なるのでしょうか?まずは、オンラインストレージとファイルサーバの違いを整理します。

1. オンラインとオフライン(インターネット環境に対する)による違い

 ファイルサーバは、企業内の同じ建物内のネットワークであるLAN(Local Area Network)や離れた場所をつなぐためのネットワークであるWAN(Wide Area Network)を使って、データにアクセスします。自社のLANやWANのみを使用する点において、インターネット環境に対してはオフラインであるといえます。

 つまり、共有したデータにアクセスする場合は自社のLANもしくはWAN経由となり、インターネット経由ではありません。

 一方、オンラインストレージはインターネット上にデータを保存し、それをメンバーで共有するものです。インターネット上にデータを預かってくれる倉庫を借りて、共有するという考え方です。

 基本的にはインターネット環境に接続していなければ利用できないという点でインターネット環境に対してオンラインであるといえます。インターネット経由でアクセスが可能となるので、インターネット接続環境さえあれば社内外を問わずどこからでもアクセスが可能です。

2. コスト面での違い

 ファイルサーバは初期投資が必要です。先に述べたように、ファイルサーバ用のハードウェア、ソフトウェアおよびLANやWANなどのネットワークを用意する必要があるからです。

 ただし、一度構築してしまえばあとはハード、ソフトおよびネットワークの維持にかかる費用のみで運用が可能となります。また、自社のユーザー数やデータ容量、拠点の増加に応じた構成の変更も自由に行えます。

 オンラインストレージサービスを利用する場合にはインターネット接続環境さえあれば初期投資等は不要になります。利用が無料のプランもありますが、企業で使用する場合はセキュリティや容量、ユーザー数の面で有料のものを選択することをおすすめします。

 オンラインストレージを自作する場合、ファイルサーバで説明したハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの費用に加えてインターネット接続環境構築のための費用が掛かります。

 さらに後述のownCloudなどのクラウドサービスを使う場合には、機能によっては月額や年額のライセンス料などが加算され有料になる場合もあります。

 表にまとめると以下のようになります。

初期費用 ランニングコスト 利便性 拡張性
ファイルサーバ構築 サーバ
ソフトウェア
ネットワーク機器
不要 インターネット接続環境であればどこからでもデータ共有が可能 ユーザー数やデータ容量の拡張は自由に行える
オンラインストレージ(既存サービス利用) 不要 ユーザーやストレージ容量に応じた利用料 社内のLANやWANにアクセスできる場所でしかデータ共有ができない ユーザー数やデータ容量の拡張は、サービス内容変更に伴うコスト増の可能性がある
オンランストレージ(自作) サーバ
ソフトウェア
ネットワーク機器
インターネットへの接続やソフトウェアの利用料 インターネット接続環境であればどこからでもデータ共有が可能 ユーザー数やデータ容量の拡張は自由に行える

自作オンラインストレージに使えるソフトウェア

 オンラインストレージを自作するためのソフトウェアとその動作環境について解説します。

1. ownCloud

引用元:https://owncloud.jp/

 ownCloudは、オンラインストレージを、企業などの専用サーバに構築し、ファイルを共有するためのソフトウェアです。オープンソースとして開発されていますので、コミュニティー内で開発が進み、セキュリティや利便性が向上しています。

 ownCloudには、通常のオンラインストレージの持つファイル共有、バージョン管理やマルチデバイスアプリの提供に加え次の特徴があります。

・LDAP/AD対応:LDAPやActive Directoryなどすでに社内で導入されているアカウント管理システムに連動させることが可能です。
・プラグイン、API拡張機能:機能拡張や他システムとの連携のためのプラグインやAPIが充実しています。
・外部ストレージとの連携:通常のファイルサーバだけでなく、AmazonS3、Dropbox、Google Driveなどの既存ストレージに接続することが可能です。
・日本語対応:他のソフトウェアと比較して、日本語への対応が充実しており、特殊なプラグインを導入していない限りは問題なく日本語が使えます。

2. Nextcloud

引用元:https://nextcloud.com/

 NextcloudはownCloudの創始者がownCloudの全ての機能をオープンソース上で実現させるために2016年にNextcloud社を創立したのが始まりです。

 ownCloudのバージョンとともに拡張をしており、ownCloudのエンタープライズ版である機能もオープンソースで利用できます。また、Nextcloudの独自機能も開発されています。

 NextcloudはownCloudに加えて次の特徴があります。

・モニター機能:標準のサーバログでは取得できないユーザーの操作に関する記録を取得することができます。
・ファイルのアクセス制御:管理者がファイルにアクセス制限をつけることができます。
ファイルロック機能:複数の人が同時にファイルを編集しても、ファイルが破損しないよう同時保存を防ぐ機能があります。
・ビデオチャット:Nextcloud Talkというチャット機能を持っており、チャットとビデオ通話が可能です。チャット内でファイルの共有や編集をすることも可能です。

3. Pydio

引用元:https://pydio.com/

 PydioはPHP上で動作するファイル共有のソフトウェアで、AGPLに基づいて公開されているコミュニティー版とEnterpriseライセンスによる商用版があります。コミュニティーで開発が進んでいることやAndroid/iOSのアプリがあること、プラグイン拡張機能を持つことなどはownCloudと同様です。

Pydioの特徴はワークスペースという概念にあります。ワークスペースに対してデータ容量やユーザーのアクセス権が割り振られます。これはownCloudやNextcloudがユーザーごとにデータ領域を割り振り、その一部を共有する方法と異なります。

ワークスペースの考え方により、目的や用途によって領域を自由に変更することが可能です。また、設定項目が多く、導入条件に対応したチューニングが可能です。

オンラインストレージを自作するための動作環境と流れ

 オンラインストレージを自作する場合の操作の流れについて、ownCloudを例にとって説明します。

1.オンラインストレージ動作環境の設定

● オンラインストレージが動作するバージョンのPHPをインストール
● Webサーバ(Apache/Nginx)ソフトウェアをインストール
● DB(MySQL(MariaDB)/PostgreSQL)ソフトウェアをインストール

 ownCloudを動かすために必要な環境は、それぞれ次の通りになります。

・サーバOS:Linux(RedHat系、Debian系)

・ミドルウェア:
Web:Apache/Nginx
DB:MySQL(MariaDB)/PostgreSQL

・ストレージ:Local storage, GlusterFS/Red Hat Storage, OpenStack Swift他

参考:ownCloud:https://owncloud.jp/requirements

2.オンラインストレージソフトウェアのインストール

・ownCloud本体のダウンロードと解凍
・ 1.でインストールしたWebサーバと関連づけるための設定ファイルの作成
・ ownCloudで使用するデータベースの作成(DB用ユーザー名、パスワードの設定)

3. ブラウザでの操作

・ http://設定中のWebサーバのアドレス/owncloud/をブラウザで開く
・ ユーザー名、パスワードの設定
・ 2.で作成したデータベースを指定し、DB用ユーザー名、パスワードの入力

 以上の設定がすべて完了すれば、オンラインストレージを使えるようになります。

 オンラインストレージの利用は、ブラウザ経由だけでなく、専用アプリをインストールすることでも可能です。

オンラインストレージの自作での注意事項

 これまでオンラインストレージの自作について説明してきましたが、ここでは自作にあたっての注意事項について説明していきます。

ハード、ソフトは自己管理する

 自作のオンラインストレージは、ハードウェア、ソフトウェア等を自前で用意することになります。従って、中にあるデータのバックアップや修復だけでなく、OSやミドルウェア等のバックアップ、アップデートにも自分で対応する必要があります。

 また、セキュリティ対策や障害対応に対する準備についても自分で行う必要があります。

場合によっては管理者を置かなくてはならない

 ユーザー数やデータ容量が多いときや、ストレージを複数に分散させる場合など、管理するものが多くなればそれを管理するための人員や時間も増えてきます。運用のやり方によっては専門の管理者を置き、高度な管理をしなければならない可能性もあります。

設定等がサービス利用よりも難しく、専門知識が必要となる

 既存のオンラインストレージサービスに比べ、自社で用意したサーバやストレージ、ソフトウェアのインストールや設定等、使えるようにするための設定が難しくなります。

 特にownCloudやNextcloudなどはOSがLinuxであるため、サーバ管理に対する専門知識が必要になります。

 また、プラグインやAPIなど拡張機能を使う場合も同様に、高度な専門知識が必要となります。

 オンラインストレージの自作は、自社のサーバやストレージなどハードウェアを有効活用したい場合や、既存のオンラインストレージサービスの中に自社に適したものがない場合には有効です。

 しかし、初めてオンラインストレージを導入する場合には難易度が高いかもしれません。その理由は前述したように導入や設定、管理に専門的知識が必要であることや管理する項目や手間が既存のサービスより増加するためです。

 オンラインストレージをいきなり自作するのではなく、まずは既存のサービスをよく比較して会社のニーズに最も近いサービスを導入し、それでも運用やコストの問題がある、または自社ですでに使用しているハードウェア等を使いたい、という場合には自作を検討することをお勧めします。

 ビジネス向けのオンラインストレージの比較については次のリンクも参照してください。


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