災害大国日本において、企業には緊急時の安否確認プロセスを策定する責務があります。緊急時に従業員を守るだけでなく、ひいてはビジネスを守ることにもつながるためです。
一方で、緊急時の安否確認手段として手動メールを採用している企業は少なくありません。メールはコミュニケーションを図る上で便利なツールではあるものの、緊急時には適さない理由がいくつかあります。
この記事では、緊急時に手動メールではなく安否確認システムを使った方がいい理由についてご紹介するので、この機会に安否確認プロセスについて再考してみてください。
安否確認ツールとは?
安否確認ツールとは、メールやその他の手段によって緊急時の安否確認を行うためのツールです。ツールには主に次のような機能が備わっています。
「安否確認」ツールの代表的な機能
- 緊急事態通知の一斉配信(気象庁連動)
- 安否未回答者への自動再配信
- 特定のグループへの限定配信
- 回答時の位置情報取得
- 回答状況の自動集計
- 回答結果の検索
- デジタル掲示板による情報共有
- 平常時のアンケート
- コロナ禍における健康確認
- スマホアプリによる通知
これだけの機能が揃っている安否確認ツールには、緊急時の安否確認において手動メールよりも優れた点がいくつもあります。また、ツールによっては従業員の家族情報も登録でき、家族の安否確認まで行えます。
安否確認ツールを導入するべき理由とは?
理由1.緊急時でもスムーズかつ確実に安否確認が行える
緊急時の安否確認に手動メールを採用すると、プロセスが計画通りに運ばないケースが想定できます。震度6以上の大地震が発生した場合で考えてみましょう。
激しい横揺れにより家具が倒れ、モノがあちこちに散乱するとメール送信に必要なスマートフォンが紛失する可能性があります。その上パソコンやネットワーク機器まで故障してしまうと、メール送信が完全に行えなくなる可能性があるのです。
一方、安否確認ツールでは気象庁の情報と連動し、大地震などが発生した際は安否確認メッセージが自動的に送信されるため、安否確認の初動を高速化できます。また、ツールが運営されているデータセンターの多くは堅牢性が高められているため、システム障害なども発生しにくいと考えられます。
理由2.メール・電話とは異なる通信手段を確保できる
東日本大震災発生時は、関東一円には「メールが届かない」「電話がつながらない」という問題が発生しました。安否確認を行おうにも、そもそもメールが送信できなければせっかく策定した安否確認プロセスも意味がありません。
安否確認ツールならメールによる安否確認の他に、SMS(ショートメッセージ)やスマホアプリ通知によって通知を自動配信できます。メールや電話が使用できなくなる万が一に備えて、他の通信手段を確保しておくことは重要です。
理由3.BCP(事業継続計画)を策定し、緊急時に事業をどう継続するか意思決定ができる
緊急時において、企業は従業員の安否確認を徹底するのはもちろんのこと、自社ビジネスの継続性についても検討する必要があります。いわゆるBCPの策定です。
東日本大震災では「停電によりパソコンや通信サービスが使えず社内外のやり取りに苦労した」「仕入れ情報がわからなくなった」など、BCP不足によってさまざまな問題が浮上しました。
大地震や台風による水害など、大規模な自然災害が発生した場合でも自社ビジネスの継続性を高めるにはBCPが欠かせません。そして、ビジネスを継続するには人材最優先ということを忘れてはいけません。
安否確認ツール導入の注意点
緊急時に欠かせない安否確認ツールですが、導入の際には以下の3点に注意してください。
- 従業員やその家族の個人情報取り扱い
- 安否確認ツール以外の通信手段を確保
- 定期的な訓練実施により緊急時に備える
特に大切な点は、「定期的な訓練実施により緊急時に備える」ことです。東日本大震災では、安否確認ツールを導入していたものの、実際の緊急時にはツール利用が後回しになってしまったという事例があります。
安否確認ツールを導入するだけでは、いざという時にツールを利用できないケースが想定されます。緊急時に備えて定期的な訓練を実施し、実際に自然災害などが発生した際にスムーズに利用できるようツールを定着させる必要があるのです。
備えあれば憂いなし!安否確認ツールで緊急時対策を
日本は世界の0.25%という少ない国土面積に対して、地震の発生回数の割合は全世界の18.5%となっています。今後は首都直下型地震や南海トラフ地震など、マグニチュード7以上の地震が30年以内に70%程度の確率で発生すると考えられています。企業運営における備えは、常に検討しておくべきです。
『リモートワークでも従業員の安全確認ができる安否確認システム7選』ではおすすめの安否確認ツールをご紹介しています。こちらも合わせて参考にしてみましょう。自社に合ったツールを選定・比較してみてください。