事業に必要な書類を効率的に管理するために、文書管理をデジタル化する企業が増えています。文書管理をデジタル化するにはさまざまな方法やツールがありますが、本記事ではクラウド化のメリットを解説します。
クラウド化する際の注意点と、クラウド保存に適した書類など、文書管理に役立つ情報をまとめてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
文書管理をクラウド化するメリット
文書管理をクラウド化するメリットは以下の5つです。
- 場所を選ばずにアクセスできる
- 情報共有のスピードが上がる
- セキュリティを強化できる
- 低コスト・短期間で導入しやすい
- 維持管理コストが低い
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
場所を選ばずにアクセスできる
クラウド化の最も大きなメリットは、場所を選ばず文書にアクセスできることです。自社サーバーに文書を保管している場合、オフィス以外からアクセスできません。一方で
クラウドサービスは、インターネット環境があればどこからでも利用可能です。外出先や出張中、テレワークでも、条件が整えば必要な文書にアクセスできるので、業務効率が上がり柔軟な働き方が実現します。
情報共有のスピードが上がる
2つ目のメリットは、情報共有のスピードが上がることです。クラウドで管理すれば、取引先や遠方にいる相手とリアルタイムで文書を共有できます。常に最新の情報にアクセスできるので、業務状況を把握しやすくなりチーム内のフォロー体制強化にもつながります。
セキュリティを強化できる
3つ目のメリットは、セキュリティを強化できることです。オフィス外に文書を持ち出す場合、情報漏洩が起きるリスクが高まります。クラウドサービスを提供する企業の多くは、セキュリティ対策に力を入れており、なかには第三者機関の認証を受けている企業もあります。セキュリティ対策に膨大なコストや人員をかけられない企業には、特に大きなメリットでしょう。
低コスト・短期間で導入しやすい
4つ目のメリットは、低コスト・短期間で導入しやすいことです。クラウドサービスは、企業が提供するサービスパッケージを利用します。そのため、システム開発費用やインフラ整備費用がかかりません。多くは月額料金制や従量課金制で、初期費用を抑えて導入できます。
また、申し込み翌日から利用できるなど、短期間で導入できるのもメリットです。導入したシステムが使いにくかったり、業務形態や会社の方針変更などでシステムが合わなくなってしまったりした場合も、すぐに乗り換えられるでしょう。
維持管理コストが低い
5つ目のメリットは、システムの維持管理コストが低いことです。クラウドサービスは提供企業がメンテナンスやアップデートを行うので、自社でシステムを管理する必要がありません。維持管理の費用だけでなく、担当者の負担を軽減できるのもメリットです。
近年、文書の電子保存に関する法整備が進み、帳簿や契約書の電子化が次々に認められています。そういった時勢への対応もサービス側がアップデートしてくれるため、最新の法律に乗っ取った運用が可能です。
なお、「文書管理システム」そのもののメリットが知りたい人は、下記の記事もご一読ください。
文書管理システムでペーパーレス化が進む?導入のメリット・デメリット
文書管理をクラウド化する際の注意点
次に、文書管理をクラウド化する際の注意点を3つご紹介します。
業務フローを見直し、目的を明確化する
文書管理をクラウド化するには、まず現状の業務フローを見直し、目的を明確化することが大切です。クラウド化したい文書の種類によって必要な機能が異なります。
【文書の種類と必要な機能の一例】
文書の種類 | 必要な機能 |
取引先とも共有する業務書類 | アクセス権限管理、更新情報管理など |
経理・総務部門が管理する書類 | 法整備への対応、セキュリティ対策など |
社内マニュアル | 相互編集機能、画像・動画対応など |
効率化したい業務やクラウドで共有する必要のある書類をはっきりさせ、複数ある場合は優先順位をつけましょう。あらかじめ業務フローを見直して導入後の運用方法を決めておけば、導入後に失敗するリスクを低減できます。
システムの機能とコストのバランスを考える
システムの機能とコストのバランスを考えるのも大切なポイントです。文書管理システムそのもので売り上げが向上するわけではないので、費用対効果を予測するのは難しいかもしれません。
しかし、自社にとって必要な機能の優先順位や条件をはっきりさせておけば、無駄なコストをかけずに導入できます。使用後に必要な機能が分かる場合もあるので、無料トライアルやデモ体験を活用するのもおすすめです。
運用ルールを決める
システム導入後のトラブルや混乱を防ぐために、運用ルールを決める必要があります。従業員が使わなかったり、使い方がバラバラだったりすれば、文書を適切に管理できず業務が混乱してしまいます。運用方法はマニュアル化し、利用者全員に徹底させましょう。デジタルツールに慣れていない企業は、操作が簡単なシステムがおすすめです。
また、セキュリティの観点からアクセス権限や管理者の設定は必須です。運用に不安がある人は、サポート体制が充実したサービスを選ぶとよいでしょう。
クラウド保存に適した書類は?
どのような書類が、クラウド保存に適しているのでしょうか。ここでは、以下の2つを紹介します。
- クラウド保存に適した文書
- クラウド保存ができない文書
それぞれ詳しく見ていきましょう。
クラウド保存に適した書類
クラウド保存に適した書類の例は下記の通りです。
【業務に関する書類】
- 仕様書
- 稟議書
- 社内文書
【取引に関する書類】
- 契約書
- 請求書
- 領収証
検索性の高さや共有しやすさを考えると、業務に関するほとんどの書類がクラウド化でメリットを得られると言えるでしょう。特に、取引先と共有する業務書類や、社外から確認したい社内文書などはクラウド化に向いています。
しかし、自社のセキュリティ対策が充実している場合、決算書類や帳簿など機密性が高い文書は自社で管理したほうがセキュリティリスクを回避できるケースもあります。
クラウド保存ができない書類
クラウド保存ができない書類は、そもそも電子保存が法律で認められていない書類です。電子帳簿保存が認められない書類の一例は以下の通りです。
- 事業用定期借地権契約書
- 任意後見契約公正証書
また、手書きで作成された「帳簿」は電子保存が認められていません。紙での保存が法律で義務付けられているため、紙の書類で保管しましょう。業務に関する書面や稟議書など、一般的な文書は手書きでもクラウド保存可能です。
文書管理のクラウド化で業務効率向上やコスト削減を実現できる
文書管理をクラウド化すると、業務の効率化を通して働き方改革や人員不足の解消に役立ちます。低コストで導入できる上に、紙の管理コストも削減可能です。
デジタル化が進む現代においては、書類の電子化の流れが加速しており、最新の情報に更新しやすいクラウドツールの必要性が高まっています。この機会に、文書管理のクラウド化を検討してみましょう。