「せっかく導入したもののMAツールの運用がよくできない」という話はよく耳にします。MAツールを導入する際には多額の費用がかかるため、失敗は避けたいものです。

そこで本記事では、MAツールの導入に失敗する理由とその解決法についてご紹介します。なぜMAツールの導入で失敗してしまうのかを参考にして、ぜひ運用の改善につなげてください。

MAツールの導入に失敗する理由と失敗事例

まずは、失敗事例を交えながらMAツールの導入に失敗する理由を解説します。よくある失敗体験から、MAツールを効果的に導入する方法を把握しましょう。

MAツールの導入目的が不明瞭である

MAツールの失敗事例のなかには、なんとなくMAツールを導入してしまったケースが少なくありません。したがって、MAツールをどのような目的で導入するのか明確にすることが重要です。たとえば、リード獲得の強化、顧客満足度の向上、営業プロセスの改善などに応じてツールの選択やカスタマイズが必要です。

また、MAツールを導入した後のKPIやKGIを設定していなかった事例が多く、MAツールの導入前と導入後の効果測定が不明瞭であることもあります。MAツールの導入と運用には具体的な数値目標を掲げ、PDCAやDCAPなどの改善も含めて検討する必要があります。MAツールをなんとなく導入すると、正しい効果を得ることはできないので注意しましょう。

コンテンツやリード数が少ない

MAツールを導入したことによって作業時間の短縮には成功したものの、売上拡大やコスト削減に効果を発揮しないケースもあります。

MAツールは、膨大なコンテンツやリードを管理するために用いるツールですが、これらのリソースが不十分な状態でツールを導入しても、MAツール本来の目的を果たせるとは言えません。MAツールを導入する前に、まずはコンテンツ戦略やリード獲得を改善することが重要です。

スキルや人的リソースが不足している

マーケティングの仕事をサポートするMAツールでは、専門的なスキルや経験が必要になることが少なくありません。したがって、スキルや人的リソースが不足している場合には、思ったような効果が出ない事例が多くあります。

大企業であれば、マーケティングには担当の専任部署を設けて、リードジェネレーションやセールスファンネル管理などを専門的に実践するのが一般的です。しかし、日本の多くの企業では、マーケティングを担当するのは、営業部やシステム部との兼任の場合が多いです。そのため、スキルやリソースが不足したままマーケティングを実践してしまい、思ったような効果が出ない事例が多くあります。

最近では、日本政府観光局もデジタルマーケティングの専門部署を立ち上げており、マーケティングには専門性が必要であることが示されています。マーケティング担当部署を設置することは難しくとも、最低限でも広報担当者は専任の部署を持っておくのが望ましいでしょう。

ツール導入前にプロセス設計をしていない

MAツールを導入するには、ペルソナやカスタマージャーニーマップなどの設計が欠かせません。よくある失敗例が、MAツールを導入したものの、メール配信やレポート作成などの一部機能しか活用できないケースです。その背景には、ツール利用者のスキル不足もあるでしょう。MAツールを効果的に活用するためには、プロセス設計を含めた包括的な利用が必要です。

MAツールを正しく活用するには?

では、実際にMAツールをうまく活用するにはどのような方法があるでしょうか?その答えはいくつもありますが、特に押さえておくべき項目について解説します。

MAツールの導入目的を整理する

はじめに、MAツールの導入目的を明確にする必要があります。会社ごとにMAツールを導入する理由は異なるため、まずは市場調査、戦略の策定、そして実行評価の3つのステップから自社にとってのMAツールの目的を整理しましょう。

たとえば、顧客との関係強化を目的とする場合はメール自動配信機能、リードの分析を目的とする場合はリード・スコアリング機能を利用することができます。マーケティングに必要なスキルについては、こちらの記事も参考になるでしょう。

参考:デジタルマーケティングの業務や必要なスキル

コンテンツ制作やリード獲得を強化する

MAツールを導入しても、コンテンツやリード数が不足している場合は、効果が期待できません。そのため、MAツールの導入に加えて、コンテンツ制作やリード獲得の強化にも取り組む必要があります。

たとえば、自社製品やサービスに関連する記事や動画をWebサイトに公開したり、メール会員の登録ユーザーを増やしたりすることで、処理するデータ量を増やす必要があります。SEO対策やコンテンツマーケティングに力を入れることで、MAツールの効果を最大限に引き出すことが可能です。

MAツールに専任の担当者をつける

MAツールを効果的に活用するには、専任担当者の存在は不可欠です。マーケティングの専任担当者がいることで、市場や顧客のニーズを正確に把握し、それに基づいたマーケティング施策を計画・実行することができるからです。また、データ分析や市場動向の把握、コンテンツの企画・制作など、多岐にわたる業務を担当することができます。

オートメーション化することで労力を削減することはできますが、競合他社との差別化や市場動向の把握といった複雑なマーケティングを極める担当者をきちんと育成しましょう。

ベンダーのサポートや外部委託に頼る

専任の担当者の確保や育成が難しい場合、外部委託に頼ることも1つの選択肢となります。マーケティングに関する相談やアドバイスを受ける場合、マーケティングに特化した専門家やコンサルタントのサポートを受けるのが一般的です。

また、MAツールのサポートを利用することで、一般的なマーケティングの知識やトレンドについての情報提供、ツールを活用したマーケティング戦略の提案などを受けられる場合もあります。そのため、ツール提供元のサポートサイトやマニュアル、または利用者コミュニティなどで情報収集を行い、必要に応じてマーケティングの専門家やコンサルタントに相談するのがおすすめです。

MAツールを正しく運用してマーケティング活動をサポートしよう

MAツールを導入することで、マーケティング活動をより効果的にサポートすることができます。ただし、失敗しないためには、まず自社のマーケティングについて整理し、ツールを利用する担当者を育成する必要があります。

また、必要に応じてベンダーやコンサルタントに相談することで、MAツールを正しく運用し、マーケティング活動の成功につなげましょう。

この記事の執筆

ITreview Labo編集部

ITreviewの記事編集チーム。ITreviewの運用経験を活かし、SaaSやIT製品に関するコンテンツをお届けします。

おすすめ記事