MA(マーケティングオートメーション)のITreview Grid
ITreview Gridとは、ユーザー評価による製品の満足度を横軸に、製品の検索ボリュームやSNSファン数などの認知度を縦軸とした4象限のマップです。 ひと目で製品のポジショニングを把握でき、簡単に製品比較ができます。 ユーザーによるレビューが1製品につき10件を超えると作成されるため、ぜひレビュー投稿をお願いいたします。
MA(マーケティングオートメーション)の基礎知識
MA(マーケティングオートメーション)とは、企業のマーケティング活動、施策に関する各種プロセスを自動化するツールのこと。豊富なリード(見込み客)情報の中から角度の高い有望な見込み客を抽出、分析したり、既存顧客に対し定期的に情報提供を行ったりし、エンゲージメントを高めるなど従来は手動で行われてきたマーケティング業務を自動化できる。また、営業部門が管理する顧客情報にシームレスに連携することで、営業部門は角度の高い見込み客や付加情報をもって営業活動が行えるため、全社として効率の高い営業活動が実現できるようになる。
主な機能として見込み客獲得(リードジェネレーション)、見込み客管理(リード管理)、見込み客育成(リードナーチャリング)、メール配信などがある。顧客管理を行うCRMと異なるのは、マーケティング活動に特化した機能が提供されることにある。
MA(マーケティングオートメーション)の導入効果
マーケティング活動・施策に関する業務の効率化
リード獲得施策の作成・実施、リードのスコアリング、リードナーチャリング、Webコンテンツやメールの作成・配信、効果測定などをマーケティング担当者が手作業で行うと、膨大な時間と作業負荷がかかる。MAを導入すれば、そうした負荷の高い各種業務プロセスを自動化し、作業にかかる時間と人件費を含むコストを大幅に削減できる。
マーケティング活動・施策内容の可視化
マーケティング活動・施策のための各種業務プロセスは、マーケティング担当者の経験や知識に基づく属人的な方法で行われてきた。MAを導入して活動・施策内容を可視化すればそうした属人性は排除され、マーケティング経験が浅い担当者でも業務を実践できる。
営業部門との情報連携による業績アップ
マーケティング部門と営業部門の情報連携ができていないために、リードに対する営業活動が不十分で業績に結び付かないことがある。MAを導入して高角度のリード情報などを営業部門へリアルタイムに共有すれば、顧客に効果的な営業ができ業績向上につなげられる。
MA(マーケティングオートメーション)の対象ユーザー
導入検討ユーザー
・自社のマーケティング活動の業務効率、リードの案件化・商談化率に課題を持つマーケティング部門
・自社の事業拡大に取り組む営業・マーケティング担当
利用ユーザー
・リードの獲得、育成、管理業務を担当するマーケティング部門の担当者
・マーケティング部門からの情報に基づいてリードへ営業活動を行う営業部門の担当者
MA(マーケティングオートメーション)の機能一覧
見込み客(リード)管理
機能 |
解説 |
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見込み客(リード)情報管理 | 見込み客の企業名、所在地、電話番号などの企業情報、担当者の名刺情報、個人の場合は年齢、性別などの属性など、顧客に関する情報をデータベースに保管する |
Cookie情報とのひも付け | Cookieを埋め込み、オンラインの行動履歴によって最適なコンテンツを出し分けしたり、メールアドレスなどの情報を未取得であっても適切なキャンペーン案内を行ったりできる |
オフライン行動履歴管理 | 展示会や自社セミナーなどオフラインで獲得した名刺情報を見込み客情報として取り込み、蓄積できる。訪問履歴の有無によってそれぞれ最適なマーケティング施策を実施できる |
CRM/SFA連携 | マーケティングの施策状況やMAで獲得した顧客情報を営業部門が管理するCRMやSFAに反映し、との情報連携を実現する |
コンテンツの作成
機能 |
解説 |
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ランディングページ作成 | 検索エンジンの検索結果、または広告ページのリンクなどをクリックした見込み客が最初に目にするランディングページのコンテンツ制作を行う |
フォーム作成 | セミナーやイベントへの参加申し込み登録、見込み客に対するアンケートの実施など、リードの獲得を目的とした各種フォームを作成する |
SNS連携 | Twitter、FacebookなどのSNSを利用した情報発信およびSNS上で交わされた自社製品・サービス、他社製品との比較などに関するレビュー情報を収集し、運用管理する |
オウンドメディア、ブログ作成 | 自社製品、サービスと関連情報、事例などを発信する自社独自メディアを構築・配信する |
キャンペーン設計とスコアリング
機能 |
解説 |
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ターゲティング、キャンペーン管理 | 見込み客の中から自社製品、サービスのターゲットとなる客を絞り込み、キャンペーンの設計から実行、効果測定までを一元的に管理する |
スコアリング設定 | 見込み客の属性情報(企業規模、業界など)やオンライン行動履歴などの情報ごとに、見込み角度のスコアを付け、スコアの合計値からより有望性の高い見込み客を絞り込める |
シナリオ作成 | オンライン行動にトリガーを設定し、見込み客がそれを実行した場合にメール送信やポップアップによるキャンペーン提示、申し込みフォーム表示など次のアクションを自動実行するといったシナリオを作成できる |
メール作成・配信 | 作成したシナリオに基づいて、メールマガジンやキャンペーンメールの作成・配信を自動的に実行する |
ステップメール | 初回購入などのユーザーのアクションを起点に、1週間後、3カ月後など設定期間ごとにあらかじめ作成したメールを個別配信する |
ダッシュボード | ECサイトやキャンペーンサイトを含むWebサイトへの流入状況、メールマガジンやキャンペーンメールの配信結果、資料請求、問い合わせの状況といったマーケティング活動の各種プロセスを効果測定しダッシュボードにまとめる |
MA(マーケティングオートメーション)選定のポイント
ツールごとの違い
・B2B向け製品
法人顧客をターゲットとした企業向けのMA。キャンペーン、セミナーやイベントを管理したり、実施した結果を分析・評価したりする機能が充実している。
・B2C向け製品
ECサイト運営やオウンドメディアなどオンライン経由で集客したリードの獲得、育成に重点が置かれていることが多く、昨今ではLINEやFacebook、TwitterなどのSNS連携の強化が図られているものも多い。また、B2B向け製品と比べ、見込み客として扱うデータの数が豊富に扱えることも多い。
導入形態
MAツールには、オンプレミス環境に導入するソフトウェアパッケージ製品と、クラウドサービスとして提供されている製品がある。オンプレミス環境に導入するソフトウェアパッケージ製品は、自社内の閉じたネットワークで運用できるためセキュリティが強固でカスタマイズ性が高いというメリットがある。一方クラウドサービスはハードウェアインフラを用意することなく、初期投資を抑えながら迅速に運用を開始できるというメリットがある。
価格形態・契約形態
MAツールの価格は製品・サービスによって異なるが、パッケージ製品の場合はおよそ50〜100万円、クラウドサービスの場合は月額10〜20万円程度が相場となっている。製品、サービスによっては、データベースに登録可能なリードの件数、メール配信数の上限によって価格が異なる場合がある。また、別途コンサルティング費用や保守サポート費用が必要な場合もある。
オプション
MAツールのオプション機能(別途追加費用が発生する機能)は、製品・サービスによって異なる。例えば、リードがWebサイト上で特定の行動をした場合にリアルタイムに検知する機能、あるいはSNS連携をはじめ、外部のツールやモバイルアプリと連携する機能をオプションとして提供しているツールなどがある。その機能が必要か否かによってオプションを選ぶことになる。
MA(マーケティングオートメーション)のシステム要件、他システムとの連携方法
一般的な導入方法・導入環境
クラウドサービスでもMA以外のシステムと連携する必要があれば、情報システム部門が主導して導入することが望ましい。セットアップ作業はツールによって異なり、MA用データベース設計、連携システム用アダプター開発などが必要なこともある。設計・開発を伴う場合、あるいは初期設定やカスタマイズの難易度が高い場合は、ベンダーが提供する導入支援サービスを利用するとよい。
導入時に必要なもの
MAを導入すれば、シナリオやスコアリング設定を行ってくこととなるが、それ以前に自社見込み客に対し、「カスタマージャーニー」を設計、明確化しておくことが必要だ。カスタマージャーニーとは、見込み客が商品を知ることからはじまり、商品に興味や購入意欲を持ち、最終的に購入や利用に至るといった一連の流れのことをいい、これを明確化することによってはじめて戦略的なシナリオやスコアリング設計ができるようになるものである。そのため、まずはマーケティング戦略としてカスタマージャーニーをあらためて見つめ直す、あるいは立て直すことも重要だ。
実際のMA導入時には、最初に自社Webサイトの各ページにスコアリング用のタグを設置する。これは、Webサイト経由で訪問したリードをスコアリングし、確度の高いリードを確実に獲得するために必要な作業となる。また、MAのサーバ内にキャンペーンサイトを構築したり、問い合わせフォームを設置したりする場合には、自社ドメイン名で展開できるようDNS(Domain Name System)設定を変更し、サブドメインまたはサブディレクトリを発行する。従来のリードデータを別のツールで管理している場合には、データ移行作業が必要となるが、多くのMAはCSVファイルのインポート機能を備えているので、既存データを新しいMAのデータベースフォーマットに合わせて整形、CSVデータ化したのちに取り込めば良い。
導入後の運用方法・サポートの有無
導入後は、社内のマーケティング部門のユーザーが主体となって運用することが一般的だ。保守サポートは、有償で提供されているケースが多い。製品、サービスによっては、設定などのアドバイスを受けるためにコンサルティング契約が必要な場合がある。
他製品との連携方法
MAツールはCRMやSFAツールと連携して利用することで、マーケティング部門と営業部門とのシームレスな情報交共有が可能になる。
高角度のリードを営業部門にリアルタイムに共有すれば、角度の高いリードからアプローチできるなど効率的な営業活動が実現できることは先にも紹介したが、その他にも、例えば、MAツールで分析・抽出したリードに対する案件化の状況や商談の結果を、CRMやSFAから直接フィードバックして情報管理することで、MAでのスコアリングのロジックやポイントを変更するなど、より確度の高いリードの分析に役立てることができる。
また、営業担当者が既存顧客との商談の中でヒアリングしたBANT情報(Budget=予算、Authority=決裁権、Needs=必要性、Timeframe=時期)をMAとCRM、SFAの間で共有することで、適切なタイミングでキャンペーン施策を打ったり、商談につながりやすいコンテンツ作成などに活用したりできる。既にCRMやSFAを導入済みの企業であるならば、連携しない選択はないだろう。