企業でオンラインストレージを導入したい、そう思う一方で、さまざまなサービスやプラン、有料・無料など何を基準に検討すればいいのか。機密情報を含んだデータを扱う企業にとっては、悩ましい問題ではないでしょうか。そこで本記事では、オンラインストレージサービスを選ぶ基準やおすすめのサービスをご紹介します。
目次
無料のオンラインストレージサービスを企業利用するリスクとは
ストレージ容量への不安
無料のオンラインストレージサービスでは、比較的容量の大きいGoogle Driveでもストレージ容量は15GBです。初期登録時に50GBが利用できるMEGAもありますが、30日後には通常の15GBとなります。(基本容量は15GB。アカウント登録ボーナスとして30日間限定で35GB追加されるため、初期状態では合計50GB使用可能。)
15GBの容量なら、格納できるのはExcelやWordで作成した文書は十分に保存可能です。しかし、少し大きなファイルを保管するとすぐに容量が一杯になってしまいます。常に容量が一杯にならないかを気にしながらの活用では、ビジネスとして使い勝手が悪くなります。
また、サイズの大きい高解像度の画像や図面、動画などを扱うことになれば、無料プランでは容量が不足するため、容量無制限の有料プランの利用をおすすめします。
セキュリティ(特に情報漏えい)への不安
企業でオンラインストレージサービスを利用する場合、最も気を付けなければならないのはセキュリティ面です。なぜなら企業で取り扱う多くの情報は機密情報を含んでいるため、情報漏えいした場合のリスクが高くなるからです。
もちろん無料のオンラインストレージサービスでも、何らかのセキュリティ対策がされています。しかし、そのセキュリティレベルは最低限のものと考えた方が良いでしょう。
有料プランともなれば、ウイルス対策をはじめ、ファイルの暗号化、ダウンロード制限、IPアドレス制限、アクセスログ管理など、多彩かつ充実した内容となっています。機密情報を安心・安全に取り扱うのであれば、有料プランを検討することをおすすめします。
企業利用に最適なオンラインストレージサービスを選ぶときのポイント

データ容量(大容量)はどうか?
最近では、各社から大容量のオンラインストレージサービスが提供されています。だからといって、意味もなく大容量プランを選べばいいというものではありません。
例えばExcelやWordで作成した文書を主に扱う部署なら、1アカウントあたり数GBで済むかもしれません。一方、解像度の高い画像・図面、動画などを扱う部署であれば、大容量または容量無制限プランの方がストレスなく使えるでしょう。
どれだけの容量が必要なのか。自社に必要な容量を試算した上で、適応したサービスを選びましょう。
どの程度のファイル共有ができるのか?
オンラインストレージサービスをビジネス利用する場合、「ファイル共有」の柔軟さがポイントの1つになります。例えばオンラインストレージ内に、共有フォルダを設定したとします。その共有フォルダに、誰がアクセスできるのか。フォルダの閲覧、編集、ダウンロードがどのレベルまでできるのか。細かな設定ができれば、そのぶん安心してファイル共有ができます。
セキュリティ対策がどれだけ充実しているか?
インターネット環境が整っていれば、どこからでもアクセスできるのがオンラインストレージサービスです。そこで「不正アクセス」を防ぐための機能として、「アカウント管理」「アクセス制限」が求められます。
「アカウント管理」とは、ワンタイムパスワードを利用した二段階認証でしかログインできない等の機能です。「アクセス制限」とは、場所や条件を指定することで、安易なアクセスを防ぐことができる機能です。
他にも利用者の人的ミスを軽減するための上長承認機能、情報を読み取れなくする送信ファイルの暗号化、トラブル発生時に役立つログ管理機能などがあげられます。企業向けの有料オンラインストレージサービスともなれば、各社とも充実したセキュリティ機能が備わっています。ぜひ確認しておきましょう。
ユーザビリティ(使いやすさ)はどうか?
どんな社員にも容易に使えるのか。企業として導入するときのチェックポイントの1つです。
さらにオンラインストレージサービスを利用するにあたり、勉強会や研修などが必要とあっては、手間や作業ロスにも繋がります。
どんな機能があるのかすぐわかる、シンプルなインタフェースが理想です。また、ドラッグ&ドロップでデータがアップロードできる等、感覚的な操作性ができるサービスを選びたいところです。
料金体系はどうか?
企業向けの有料オンラインストレージサービスでは、ID数に応じた課金のプランから、一定人数まで定額で利用できるプラン、定額でユーザー数無制限で利用できるプランまで幅広く存在します。
各サービスを比較するときは、自社における利用者・活用頻度などを見据え、提供される容量とのバランスを見ながら選択したいものです。
おすすめオンラインストレージサービス3選
1.DirectCloud

●料金プラン
◎スタンダードプラン:月額30,000円/ユーザー数無制限。ストレージ容量は500GB。
◎アドバンスドプラン:月額50,000円/ユーザー数無制限。ストレージ容量は1TB。
◎ビジネスプラン:月額90,000円/ユーザー数無制限。ストレージ容量は3TB。
◎プレミアムプラン:月額180,000円/ユーザー数無制限。ストレージ容量は10TB。
◎エンタープライズプラン:月額300,000円/ユーザー数無制限。ストレージ容量は30TB。
●主な特徴
強固なセキュリティと高い利便性を備えた「ユーザー数無制限」のオンラインストレージサービスです。データ暗号化を始め、デバイス認証、IPアドレス制限、162種類の操作ログなど、セキュリティ対策が充実。さらにファイル最大30GBまで高速転送ができる他、誤送信防止のための利用回数制限、上長承認なども備えています。
●ユーザーレビュー
様々な選択肢の中で、DirectCloudの最も優れたところは、ユーザー数によって課金額が変動しないことです。今後の事業拡大によってユーザーが増えた場合でも安心できます。
2.PrimeDrive

●料金プラン
◎1GBプランなら、月額12,000円。
◎10GBプランなら、月額69,800円。
◎100GBなら、月額180,000円。
全プラン、1万ユーザーまで追加料金なし。
●主な特徴
登録社数が1,300社という、ソフトバンクの法人向けオンラインストレージサービスです。大容量ファイルは、共有フォルダへファイルをアップロードするだけで共有できます。
セキュリティとしては、送信時の上長承認機能、ユーザ管理機能、アクセス権限を細かく制限可能な機能などを備えています。この他、管理者による保存データの検閲など、管理機能も充実しています。
●ユーザーレビュー
画面レイアウトがPC利用に特化しており、旧来のパソコンユーザに見やすい作りになっている。またファイル共有だけではなく、アップロードキーやダウンロードキーなどを発行して、ファイル授受ができるので、非常に便利である。
3.AOSBOX Business

●料金プラン
◎通常ストレージプラン
100GBプラン:月額1,666円(年間20,000円)/ユーザー10名まで。
200GBプラン:月額3,166円(年間38,000円)/ユーザー20名まで。
500GBプラン:月額7,500円(年間90,000円)/ユーザー50名まで。
1TBプラン:月額12,500円(年間150,000円)/ユーザー100名まで。
◎コールドストレージプラン(長期保存型)
1TBプラン:月額5,833円(年間70,000円)/ユーザー100名まで。
2TBプラン:月額10,833円(年間130,000円)/ユーザー100名まで。
5TBプラン:月額25,000円(年間300,000円)/ユーザー100名まで。
●主な特徴
通常のクラウドストレージとコールドストレージ(注1)のクラウドストレージをという2種類のストレージを組み合わせることによって「低コスト」「安全」「速い」データバックアップソリューションを実現しています。
セキュリティ対策として、軍事レベルの暗号化技術AES-256で3重のデータ暗号化を実現。この他、ファイルを復元せず内容が確認できるプレビュー機能、URL作成によるスムーズなデータ共有などの機能も充実。また、理者の保守、管理の手間を軽減する自動バックアップ機能も実装しています。
※注1 アクセス頻度が少ない大量のデータを格納するのに適した安価なクラウドストレージ。一般的なクラウドストレージと比べて、コストは約3分の1。復元の準備時間が3-5時間かかるため、普段は使わないデータの保存に向いている。
●ユーザーレビュー
①バックアップ元にアプリをインストールして、簡単な設定するだけで自動バックアップが取られる点。
②AWSを活用している為セキュリティレベルが高い。
③差分バックアップの為サーバディスク消費が少ない。
自社のスタイルにあったオンラインストレージサービスの導入をおすすめします。
最近では各社から、機能やサービス、セキュリティが充実したオンラインストレージサービスが提供されています。企業でオンラインストレージサービスを導入する場合は、セキュリティ性が高い「有料プラン」を検討されてはいかがでしょうか。その上で、自社スタイルに合ったサービスを選定されることをおすすめします。
なお、おすすめのオンラインストレージを3社ほど紹介しましたが、他にも多彩なサービスが提供されています。興味があれば、ぜひ検討してみてください。
ユーザーによる顧客満足度をベースに、自社に最適なオンラインストレージを選ぼう!