サイバー攻撃や自然災害の増加に合わせ、データ消失のリスクも年々増加しています。BCP(事業継続計画)の観点からデータのバックアップについて頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?サイバー攻撃や自然災害によるデータ消失を事前に防ぐため、データのバックアップ先として注目されているのがオンラインストレージです。
本記事では、バックアップの必要性とバックアップ先としておすすめの法人向けオンラインストレージをご紹介します。
目次
サイバー攻撃や自然災害の増加と高まるバックアップの必要性

サイバー攻撃による被害は年々増加しています。トレンドマイクロ社が発表した「2019年 第1四半期セキュリティラウンドアップ データを暗号化する標的型攻撃」によると、企業を狙った標的型攻撃の中でランサムウェアが使用されたことが複数確認されているようです。
“2017年以降、全体的に減少を続けていたランサムウェア(※注1)の脅威が、2019年に入り再び増加の傾向を示し、2019年四半期( 1月〜3月 )の攻撃総数は約3,750万件と2018年1年間の7割に迫る勢いです。”
引用元:2019 年第1四半期セキュリティラウンドアップ データを暗号化する標的型攻撃
※注1感染すると、PCやサーバのファイルが暗号化され、アクセスできなくなる不正プログラムのこと。アクセス制限を解除するために、ハッカーが身代金(ランサム)を要求する。
1台でもランサムウェアに感染すると、社内ネットワークを経由して、サーバや多くのPCのデータも感染する恐れがあります。場合によっては、全社の業務がストップする可能性すらあります。
ランサムウェアへの感染を防ぐ方法としては、不正サイトの侵入をブロックするためにウィルス対策ソフトを導入することや、使用中のプログラムをアップデートすることが有効です。
しかし、ランサムウェアも進化するため、セキュリティ対策を行えば大丈夫という保証はありません。万が一の事態に備えてファイルのバックアップを行なっておくことが重要です。
サイバー攻撃だけでなく、自然災害の増加によるデータ消失リスクに対する懸念も高まっています。東日本大震災以降は、想定外の自然災害が起きた場合でも事業を継続できるように、経営に欠かせない重要な情報をすぐに復旧するための対策を検討する企業が増えています。
当然のことながら、万が一の場合に備えてバックアップを取っておくことが重要です。しかし、地震などの災害があった場合には、同じ地域にあるサーバにバックアップが保存されていれば、バックアップデータも消失する可能性があります。そのため、自然災害を想定した場合に大切なことは、データの保存地域を分散させることです。
そこで、注目されているのがオンラインストレージを活用したバックアップです。
バックアップに必要なオンラインストレージの機能
バックアップを保管するオンラインストレージを選ぶ際に、重要なのは、「セキュリティ対策」です。オンラインストレージが稼働しているデータセンターもランサムウェアに感染する恐れがあります。従って、ランサムウェアなどのサイバー攻撃に耐える堅牢なセキュリティ対策や万が一の場合に備えたバックアップが求められます。
また、地震などの自然災害を考えると、「データセンターの所在地」も確認しておく必要があります。オンラインストレージによっては、異なる拠点にデータを分散保存しているサービスもあります。事業継続に影響があるようなデータの場合は、データセンターの所在地を分散させ、何重にも冗長化しておく必要があるかもしれません。
次に「ストレージ容量」です。業務で使用する膨大なデータを保存できるだけのストレージ容量が求められます。ストレージ容量が不足して、バックアップできないといった事態は避けなければなりません。容量を気にしなくても済むように十分なストレージを確保することをおすすめします。
そして「価格」です。法人で利用する場合、価格も気になるところです。自然災害やサイバー攻撃に備えたBCP対策とはいえ、価格が高すぎては、継続的に使用できません。
バックアップにおすすめのオンラインストレージ3選
「セキュリティ対策」「データセンター所在地」「ストレージ容量」「価格」を総合的に判断し、データバックアップに使えるおすすめのオンラインストレージを3つご紹介します。
1.AOSBOX Business

最初にご紹介するのは「AOSBOX Business」です。「AOSBOX Business」は、米国の法人向けのオンラインバックアップサービス部門で5年連続No.1を獲得しているサービスです。
「通常ストレージプラン」には100GB、200GB、500GB、1TBのプランが用意されています。復元に時間を要するものの低コストで利用できる「コールドストレージプラン」も提供されており、過去の取引データなど、「使用頻度は低いけれど保存が必要なデータ」のバックアップに最適なサービスとなっています。
セキュリティ対策においては、マシン上、データ転送時、サーバ上と3重に256 ビットAES暗号化を実施しており、クラウドインフラには信頼性の高いAWSを採用するなど、セキュリティに力を入れています。また、データは日本国内の複数拠点、複数デバイスに分散して保存されていることから、災害等においても非常に高い耐久性を実現しています。
・ストレージ容量 100GB(通常ストレージプラン)〜 1TB〜(コールドストレージプラン)
・価格 20,000円/年〜(通常ストレージプラン) 70,000円/年〜コールドストレージプラン)
AOSBOX Businessユーザーのレビュー
“データのバックアップ先として最適
https://www.itreview.jp/products/aosbox-business/reviews/32454
セキュリティがしっかりしていると思います。夜間自動でバックアップが取れている点が楽です。サポートもしっかりしていると思います。”
“万が一の時に安心のサービス
https://www.itreview.jp/products/aosbox-business/reviews/35087
インストール後初期設定のみで、その後は全自動でバックアップが取られる為、非常に簡単。データ復元についても見た目で操作でき、料金が定額である事。”
2.Box Business

次にご紹介するのは「Box Business」です。「Box Business」は容量無制限のため、バックアップに最適です。ファイルのアップロードも5GBとなっており、一般的なビジネス用途であれば、ほとんどのファイルをアップロード可能です。
米国3拠点のデータセンターを自社運用しており、保管データはすべてのデータセンターでコピーされています。通信経路はTLS 1.2で暗号化され、保管時には、256ビットAES暗号化が使用されています。セキュリティについても定評のあるオンラインストレージです。
また、信頼性の高い電源とバックアップシステムを備えた複数のデータセンターを使用しており、99.9%の可用性と冗長性を実現しています。
価格は、1ユーザーあたり月額1,800円です。容量無制限であることを考えると、利用しやすいプランではないでしょうか。
データセンターの立地が米国であることから、ユーザーレビューに「ページ遷移や転送スピードが微妙にワンテンポ遅い」といった声もありますが、やはり大容量は魅力ですね。
・ストレージ容量:無制限(Business以上のプラン)
・価格:1ユーザーあたり1,800円/月(最小3人)〜
Box Businessユーザーのレビュー
“非常に使いやすい素晴らしいサービス!
https://www.itreview.jp/products/box/reviews/33001
ストレージが無制限に使えるところではないでしょうか。ファイルサーバーと異なり容量を気にせずにファイルを突っ込めるので、コラボレーションが推進されていると思います。”
“大容量のストレージサービス
https://www.itreview.jp/products/box/reviews/32354
大容量のストレージサービスです。したがって、大きなデータを保存することができます。そして、バージョンの記録も自動で行ってくれるので、あやまって上書きしてしまってもロールバックが可能です。このあたりの機能は、有料ならではのありがたい機能です。万が一の際にも安心できます。ただし、ページ遷移が、類似サービスに比べて微妙にワンテンポ遅い気がします。また転送スピードについても同様です。もしかしたらすべてUSにデータがあるのかもしれませんが、毎日使うものなので、DCが近距離にあるといいなあと思います。”
3.DirectCloud

DirectCloudのビジネスプランは、ストレージ容量が3TBで月額90,000円。
プレミアムプランは、10TBで月額180,000円と他のサービスと比べると高額です。しかし、ユーザー数は無制限のため、利用人数によっては、一人あたりの利用価格は安く抑えることができます。利用者からは、コストパフォーマンスを評価する声が多く投稿されています。
通信経路は256ビットSSLで暗号化され、ファイル保存時は256ビットAESで暗号化されます。デバイス認証やIPアドレス制限、ログイン履歴の閲覧、2段階認証など、セキュリティ対策は万全といえます。
データは、日本国内の3ヶ所にあるデータセンターに分散保存されており、自然災害などで1箇所が倒壊しても継続して利用できるように冗長化されています。
さらに、サービス品質保証制度(SLA)を明示しており、月間稼働率99.95%未満の場合には、月額利用料金の10%を減額することを約束しています。減額申請期限や適用除外なども細かく定められています。
・ストレージ容量:3TB(ビジネスプラン) 10TB(プレミアムプラン)
・価格: 90,000円/月(ビジネスプラン) 180,000円/月(プレミアムプラン)
DirectCloudユーザーのレビュー
“ニーズにマッチした費用対効果が高いクラウドストレージ
https://www.itreview.jp/products/directcloud-box/reviews/31811
まずは、ユーザ数が無制限。比較的高機能。細かい共有設定には向かないが、社外から保存した情報にアクセスすることができるので、クラウドストレージのエントリーとしては十分な機能を持っていると思う。基盤がAWSというのも信頼ができるポイントだと思われます。
クラウドに抵抗がある企業はAWSのセキュリティの売りを再度確かめるといいかもしれません。”
“満足です!コスト・パフォーマンスが非常に高い
https://www.itreview.jp/products/directcloud-box/reviews/24979
当社にとってユーザー課金ではない!というところが最もニーズにマッチしたポイントです。将来的に全社員が使用することを考えると、ユーザー課金のサービスはコスト的に選択しにくいからです。”
自社に最適なオンラインストレージを使ってバックアップを行い、サイバー攻撃や自然災害への備えを万全にしましょう
自然災害やランサムウェアなどのサイバー攻撃のリスクが高まり、データバックアップの重要性が高まっていることをお伝えしました。さらに、データバックアップツールとしても注目が高まっているオンラインストレージの選び方とおすすめのサービスについてもご紹介しました。
自社のストレージ使用量やコスト、自社のセキュリティ基準を検討し、より良いオンラインストレージを選びたいものですね。今回ご紹介した3つのサービスの他にも、いろいろな法人向けのオンラインストレージがあります。以下のサイトにも、性能比較や利用者の感想などが掲載されていますので、ぜひ、バックアップに最適なオンラインストレージ選びの参考にしてください。