近年、ランサムウェアやフィッシング詐欺などのサイバー攻撃が急増しており、被害を受けた企業が甚大な損失を被るケースが後を絶ちません。セキュリティ対策の重要性がますます高まっています。
しかし、中小企業では予算や人材の制約から、十分なセキュリティ対策を講じることが難しい場合があります。その結果、攻撃の標的となりやすく、事業継続に深刻な影響を及ぼすリスクが存在します。
本記事では、中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策を5つに絞り、それぞれの具体的な方法や注意点なども含めて徹底的に解説していきます!
この記事を読むことで、セキュリティ対策の全体像を把握し、自社に最適な対策を選定するための知識を得ることができるため、必見の内容です!
目次
なぜ今、企業のセキュリティ対策が重要なのか?
企業のセキュリティ対策は、今まさに経営存続に関わる最重要課題となっており、背景としては主に「サイバー攻撃件数の増加」と「億単位の甚大な経済損失」という2つの理由が挙げられるでしょう。
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①:サイバー攻撃の件数は年々増加している

近年のサイバー攻撃は、生成AIに関わる技術革新の影響もあってか、年々その件数は右肩上がりで増加しているのが実情です。
警察庁が発表した「令和6年サイバー犯罪の情勢」によると、2023年のサイバー犯罪検挙件数は過去最多を更新しており、前年からさらに増加しています。なかでも、ランサムウェア攻撃やフィッシング詐欺が急増しており、企業規模を問わず標的となってしまうケースが多数報告されています。
さらに、総務省の調査によれば、企業1社あたりの年間に受ける不正アクセス件数は数万件規模に到達しており、こうした報告からも、サイバー攻撃がより身近な脅威として常態化していることがわかります。
②:億単位の甚大な経済損失が発生している
サイバー攻撃による被害は、単なるシステムの停止にとどまりません。実際には企業にとって甚大な経済損失を与えています。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ白書2025」によると、国内企業におけるサイバー攻撃の被害額は1件あたり数億円規模に達するケースも珍しくなく、ランサムウェアによる身代金の要求やシステム復旧費、そこに訴訟や賠償金が加わることで被害額はさらに膨れ上がります。
また、経済産業省の調査によれば、情報漏洩1件あたりの平均損害額は約6億円規模という試算が発表されており、セキュリティ対策を怠った場合、企業は巨額なコスト負担を強いられていることがわかります。
中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策5選
- ①:パスワード管理を徹底する
- ②:ファイアウォールを設定する
- ③:ソフトウェアの更新を定期的に行う
- ④:データバックアップを定期的に行う
- ⑤:従業員へのセキュリティ教育を行う
①:パスワード管理を徹底する
中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策の1つ目としては「パスワード管理を徹底する」という方法が挙げられます。パスワードは企業の情報資産を守るための最初の防御線であり、定期的な更新や類推されにくい文字列の設定など、適切に管理することが重要です。
特に中小企業では、パスワードの使い回しや共有アカウントの乱用が弱点になりがちです。昨今では、中小企業を踏み台に大企業のサーバーへと侵入し、不正アクセスや情報流出に繋がってしまうケースが多いため、必ず対策しておきたい項目と言えます。
▶ 解決できるサービス:パスワード管理アプリ
パスワード管理アプリとは、ユーザーが複数のオンラインサービスやクラウドサービス、Webサイトなどに登録している各種パスワードを安全に管理するためのツールです。
パスワード管理アプリの導入によって、ユーザーが使用するパスワードを一元管理し、パスワードを自動生成したり、暗号化して保存したり、あるいはサイトごとに異なる強力なパスワードを使用するための手助けをします。
②:ファイアウォールを設定する
中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策の2つ目としては「ファイアウォールを設定する」という方法が挙げられます。ファイアウォールはネットワーク内外の通信を監視し、不正なアクセスをブロックすることができるため、非常に重要かつ初歩的なセキュリティ対策です。
特に中小企業では、外部からの攻撃に対するセキュリティ防御が不十分な場合が多いため、ファイアウォールの導入は必須と言えます。さらに、定期的な設定の見直しやバージョンの更新などを行うことで、最新の脅威にも対応することができます。
▶ 解決できるサービス:セキュリティソフト
セキュリティソフトとは、コンピュータやスマートフォン、タブレットなどのデバイスをウイルスやマルウェア(悪意のあるソフトウェア)から守るためのソフトウェアです。
セキュリティソフトの導入によって、デバイスに侵入してくる危険なプログラムを検出し、削除したり、隔離したり、またはその動作を防止したりすることができるため、企業のデバイスを保護するためには欠かせないツールです。
③:ソフトウェアの更新を定期的に行う
中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策の3つ目としては「ソフトウェアの更新を定期的に行う」という方法が挙げられます。おろそかになりがちなソフトウェアのアップデートですが、セキュリティホールを修正し、最新の脅威に対応するために重要な役割を果たします。
例えば、OSやアプリケーションの更新を怠ってしまうと、既知の脆弱性を悪用されるリスクが高まります。こうした脆弱性を放置してしまうと、企業のネットワークやデータが攻撃の対象となる可能性が高まってしまうため、忘れずに更新しましょう。
▶ 解決できるサービス:セキュリティ診断サービス
セキュリティ診断サービスとは、企業や個人のITシステムのセキュリティ状態を評価し、潜在的な脆弱性やリスクを発見して対策を講じるための専門的なサービスです。
セキュリティ診断サービスでは、一般的には専門のセキュリティエキスパート(ホワイトハッカー)が診断を実施するものであり、診断の結果をもとに社内に潜むセキュリティリスクを評価し、それぞれのリスクに合った改善策を提案します。
④:データバックアップを定期的に行う
中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策の4つ目としては「データバックアップを定期的に行う」という方法が挙げられます。クラウドストレージや外部のハードディスクにデータのバックアップを保存することは、万が一のデータ消失に備えるための重要な施策です。
例えば、ランサムウェア攻撃やハードウェアの故障、物理的な災害などによって大切なデータが失われた場合でも、あらかじめバックアップを取っておくことで迅速な復旧が可能です。これにより、業務停止のリスクを最小限に抑えることができます。
▶ 解決できるサービス:クラウドバックアップツール
クラウドバックアップツールとは、ローカル環境にある社内のデータをインターネット上の「クラウド」にバックアップするためのツールやサービスのことです。
ローカルのハードディスクや物理的なストレージデバイスではなく、インターネットを介してリモートのサーバーにデータを保存することで、万が一の事態が発生した場合でもデータ損失のリスクを大幅に軽減することができます。
⑤:従業員へのセキュリティ教育を行う
中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策の5つ目としては「従業員へのセキュリティ教育を行う」という方法が挙げられます。標的型の攻撃が流行している昨今、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高く持つことは、企業全体の防御力を高めるためには必要不可欠です。
例えば、フィッシング詐欺やマルウェア感染を防ぐためには、従業員が攻撃手口を理解し、適切に対応できるスキルを身につける必要があります。訓練によって、怪しいファイルやURLを開くなど、人的ミスによるセキュリティ事故を防ぐことが可能です。
▶ 解決できるサービス:セキュリティ意識向上トレーニング
セキュリティ意識向上トレーニングとは、社員や関係者が日常業務で直面するサイバー脅威を理解し、安全な行動を取れるようにするための教育・啓発プログラムです。
一見するとアナログな手法に見えてしまいますが、近年頻発しているランサムウェア攻撃や標的型メール攻撃など、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどの技術対策だけでは防げない「人のミス」を減らす上では非常に効果的です。
セキュリティ対策を実施するときの注意点
- ①:費用対効果のバランスを考える
- ②:従業員の理解と協力を得る
- ③:継続的な見直しと改善を行う
- ④:導入前にリスクを明確化する
- ⑤:導入後の運用体制を整備する
①:費用対効果のバランスを考える
セキュリティ対策を実施するときの注意点の1つ目としては「費用対効果のバランスを考える」という点が挙げられます。中小企業では、限られた予算の中で効率的な対策を講じることが求められます。
例えば、高額なセキュリティツールを導入しても、実際の効果が期待以下であれば、コストパフォーマンスが悪化してしまいます。そのため、企業の規模や業務内容に応じた適切なツールを選定することが重要です。
また、無料のセキュリティツールを活用することで、初期費用を抑えることができます。ただし、無料ツールには機能制限がある場合が多いため、導入前に十分な検討が必要です。
②:従業員の理解と協力を得る
セキュリティ対策を実施するときの注意点の2つ目としては「従業員の理解と協力を得る」という点が挙げられます。セキュリティ対策は、企業全体で取り組むべき課題であり、従業員の協力が不可欠です。
例えば、従業員がセキュリティポリシーを理解していない場合、人的ミスによる情報漏洩のリスクが高まります。これを防ぐためには、定期的なセキュリティ教育や研修を実施し、従業員が対策の重要性を認識することが重要です。
さらに、従業員がセキュリティ対策を負担に感じてしまわないよう、使いやすいパスワード管理ツールや自動更新システムを活用することも大切なポイントのひとつです。
③:継続的な見直しと改善を行う
セキュリティ対策を実施するときの注意点の3つ目としては「継続的な見直しと改善を行う」という点が挙げられます。セキュリティの脅威は日々進化しており、一度対策を導入しただけでは不十分です。
例えば、新たなサイバー攻撃の手口が登場するたびに、既存のセキュリティ対策が無効化される可能性があります。そのため、定期的にセキュリティポリシーやツールの効果を評価し、必要に応じて改善を行うことが重要です。
また、外部のセキュリティ専門家に相談することで、最新の脅威に対応するためのアドバイスを得ることができます。これにより、企業のセキュリティ体制を常に最適化することが可能です。
④:導入前にリスクを明確化する
セキュリティ対策を実施するときの注意点の4つ目としては「導入前にリスクを明確化する」という点が挙げられます。効果的な対策のためには、まずは自社が抱えているリスクを把握することが重要です。
例えば、企業の業務内容や規模、業界などによって、直面するセキュリティリスクの種類や対策難易度は異なります。そのため、リスクアセスメントを実施し、どの部分が最も脆弱であるかを特定する必要があるのです。
また、リスクを明確化しておくことで、優先的に対策を講じるべきポイントが明らかになります。これにより、限られたリソースを効率的に活用することが可能です。
⑤:導入後の運用体制を整備する
セキュリティ対策を実施するときの注意点の5つ目としては「導入後の運用体制を整備する」という点が挙げられます。セキュリティ対策は、導入しただけでは効果を発揮せず、適切な運用体制が必要です。
例えば、セキュリティツールを導入した後に、運用ルールが曖昧な場合、従業員が正しく利用できず、効果が半減してしまいます。そのため、運用ルールを明確にし、従業員が遵守できる仕組みを整えることが重要です。
さらに、運用体制を整備することで、セキュリティ対策の効果を最大化することが可能です。例えば、定期的な監査や報告を行うことで、問題が発生した際に迅速に対応することができます。
中小企業のセキュリティ対策でよくある質問|Q&A
- Q:セキュリティ対策はどこまで必要?
- Q:無料のセキュリティツールは安全?
- Q:従業員がセキュリティを守らない場合の対策は?
Q:セキュリティ対策はどこまで必要?
基本的には、企業の規模や業務内容に応じた最低限の対策を講じることが重要です。例えば、パスワード管理やファイアウォールの設定、ソフトウェアの更新など、比較的低コストで実施可能な対策から始めることをおすすめします。
また、業界や取引先の要求に応じて、追加の対策を検討することも必要です。特に顧客情報を扱うような企業では、データ暗号化やアクセス制御の導入が求められる場合があります。
Q:無料のセキュリティツールは安全?
無料ツールは、基本的な機能を提供するものが多く初期段階の対策としては有効です。しかし、無料で使えるツールには機能制限がある場合があり、高度なセキュリティ対策が必要な場合には不十分なことがあります。
加えて、一部の無料ツールには、広告や不要なソフトウェアが含まれている場合があるため、信頼性の高い提供元からダウンロードすることが重要です。レビューや評価を確認し、慎重に選定することをおすすめします。
Q:従業員がセキュリティを守らない場合の対策は?
まず、従業員がセキュリティポリシーを守らない原因を特定することが重要です。例えば、ポリシーが複雑すぎる場合、従業員が理解しづらく、守ることが難しくなります。そのため、ポリシーを簡潔で分かりやすいものにすることがポイントです。
さらに、従業員に対して定期的なセキュリティ教育を行い、ポリシーの重要性を理解してもらうことも必要です。教育を通じて従業員がセキュリティ意識を高めることで、ポリシーを遵守する意識が向上します。
まとめ:セキュリティ対策は努力義務ではなく必須投資!
本記事では、中小企業が最低限やるべきセキュリティ対策を5つに絞り、それぞれの具体的な方法や注意点なども含めて徹底的に解説していきました。
セキュリティ対策は、企業の情報資産を守るための基本的な施策であり、事業継続性を確保するための必須投資です。一方で、費用や運用体制など、注意すべきポイントもいくつか存在します。
そのため、セキュリティ対策を成功させるためには、従業員の協力を得ることや、継続的な見直しを行うこと、さらには導入前にリスクを明確化し、適切な対策を選定することが大切になってきます。
本記事を参考に、ぜひ自社に合ったセキュリティ対策を検討し、安心して事業を展開してみてはいかがでしょうか?
