社内外の相手にファイルを添付してメールを送る際に、ファイルサイズが大きすぎて相手に届かなかったという経験をされたことのある方も多いのではないでしょうか。その際によく使われるのが、firestrageやGigaFile便などの無料で使える容量無制限のファイル転送サービスです。
ファイル転送サービスは、無料で使えアカウント登録が必要ないものも多く、すぐに使えるため便利です。しかし、ビジネスで使用するには適さない面もあります。
本記事では、はじめに無料のファイル転送サービスをビジネスで使う上での注意点をご紹介します。そして、無料で登録でき、プランによっては容量無制限で使えるオンラインストレージとファイル転送サービスとの違いを見ていきたいと思います。

無料のファイル転送サービスを利用する際の注意点
無料で利用できるファイル転送サービスは、会員登録などが不要で、誰でも気軽に利用できるのが特徴です。
ただし、ビジネスで無料ファイル転送サービスを利用する上では、いくつか注意点があります。
1.個人情報や機密情報を含むデータの送信に注意する
社内外でファイル共有する場合には、個人情報や機密情報などの絶対に情報漏えいしてはならない情報も含まれます。ファイルによっては、経営幹部や特定の部署のみに閲覧制限したい場合があります。そのためには、ファイルやフォルダ単位での細かな権限設定が必要になります。
例えば、データのダウンロードを許可するのか、編集や削除までOKするのか、といった権限を部署や人によって変える必要があるのです。さらに、組織変更によって、許可する権限も適時変更しないといけません。
無料ファイル転送サービスを使った場合、ファイルを転送した後にアクセス権を変更することはできません。万が一、宛先を間違えて送信してしまうと、取り返しのつかない事態が発生します。従って、無料ファイル転送サービスを使って共有するファイルは、個人情報や機密情報を含まないファイルに限定した方が良いでしょう。
2.セキュリティ対策が十分か注意する
無料ファイル転送サービスでアップロードしたファイルは、閲覧期限は決まっているとはいえ、一定期間データセンターに保管されることになります。ビジネスで利用する場合には、不正アクセスなどの情報漏えいを防ぐため、万全のセキュリティ対策が求められます。
しかし、無料ファイル転送サービスの中のほとんどは、SSL通信に対応しているものの、アップロードしたファイルが暗号化され保管されると明記されているサービスは少なく、データセンターでどのようなセキュリティ対策が講じられているのか不明です。
3.不要な広告をクリックしないように注意する
無料ファイル転送サービスは、サービスページに広告を表示することで、事業運営に必要な資金を確保していると考えられます。サービス運営のために広告が表示されているのは仕方ありません。
問題なのは、広告のリンク先ページがどのようなページか判断がつかないことです。リンク先ページが悪意のあるフィッシング詐欺(※注1)サイトである可能性が無いとは言い切れません。
広告をクリックしないというルールを設けても、利用者がクリックしやすい場所に広告が表示されているため、誤ってクリックすることを防ぐことは難しいのではないでしょうか。
※注1 偽装されたURLをクリックさせることで、ユーザー名やパスワード、クレジットカード情報などの個人情報を取得しようとするオンライン詐欺のこと。
上記の理由から、無料ファイル転送サービスは、ビジネスでの使用にはあまり相応しくないといえます。そこで利用者が増えているのがオンラインストレージサービスです。オンラインストレージサービスにも無料且つ、プランによっては容量無制限で利用できるサービスも数多くあります。
オンラインストレージとファイル転送サービスの違い
一般的にオンラインストレージというと、ファイルサーバのようにデータを保存するサービスと考えている方も多いかもしれません。しかし、多くのオンラインストレージにはファイル共有機能が備わっており、ファイル転送サービスと同じ用途でも利用することも可能です。
では、オンラインストレージとファイル転送サービスは何が違うのでしょうか。無料のファイル転送サービスにはない、オンラインストレージの特徴を、ファイル共有の観点から3つご紹介します。
1.ファイルやフォルダ単位での細かい権限設定ができる
利用するサービスやプランによっても異なりますが、一般的にはオンラインストレージにはファイル共有するフォルダやファイルに対して細かい権限設定を行う機能がついています。
例えば、経営幹部や特定の部署の人のみ閲覧できるように設定することが可能です。そのため、万が一閲覧権限のない人にファイル共有リンクが漏れても、ファイルを閲覧されることはありません。また、閲覧のみの目的であればダウンロードを制限できるサービスもあります。
しかも、オンラインストレージに保存されているデータは暗号化されている場合が多く、万が一外部に流出したとしても情報漏えいするリスクは低いといえます。
一方、ファイル転送サービスの場合には、転送するファイルにパスワードをつけることができますが、パスワードさえわかれば誰でも閲覧することが可能です。
2.アクセスできるデバイスを制限できる
オンラインストレージには、ファイルやフォルダにアクセスするデバイスやアクセス元のI Pアドレスを制限する機能を持ったサービスも多くあります。部署や人単位の設定だけでなく、デバイスやI Pアドレスで制限を加えることによって、セキュリティを強固にすることが可能です。
3.アクセスログを記録できる
オンラインストレージの中には、ファイルへのアクセスログを記録できるものもあります。アクセスログを確認することで、誰がいつアクセスし、ファイルの中身を閲覧したのか確認することが可能です。万が一情報漏えいした場合にでも流出元を特定し、早期に対応を行えます。
一方、ファイル転送サービスを利用した場合には、ファイルアクセスログの記録は不可能です。転送したファイルを誰がいつ見たのか、不正なアクセスはないか判断することはできません。
※上記でご紹介したオンラインストレージの機能は、サービスやプランによって利用できない場合もあります。詳しくは、個々のサービスやプランをご確認ください。
ビジネスでファイル共有するには、法人向けのオンラインストレージをおすすめします
無料ファイル転送サービスは、容量無制限で利用できるものも多く便利です。しかし、詳細なアクセス権の設定ができないことやセキュリティ対策の不安から、ビジネスで本格的に利用するには不向きだと考えられます。最近では、ファイアウォールなどでサービスの利用を制限する企業も少なくありません。
オンラインストレージの中にも、無料で登録でき、プランによっては容量無制限で利用できるものがあります。そして、ビジネスで使うには何よりも情報漏えいを防ぐためのセキュリティが重要です。ビジネスで使うファイル共有ツールには、詳細な権限設定が可能でセキュリティ対策がしっかりしているビジネス向けのオンラインストレージを利用することをおすすめします。
ビジネス向けのオンラインストレージについての口コミ・評判は以下のサイトをご参照ください。