紙文書をスキャンしてPDFにスキャンするという作業は一般的に日頃行っているでしょう。今回ご紹介するOCRソフトは従来のスキャンから一歩進んで、文書や画像を編集可能なデータにしてくれる技術です。
ドキュメントの日付だけを変えたい場合、OCRを使えばPDFを直接書き直すことも可能です。他にもドキュメントの自動仕分けや外国語の翻訳など、様々な機能を搭載しています。
目次
OCRとは、紙の情報(PDF)をテキストデータに変換するツール
OCRとは、手書きの文字や紙で保管された書類をテキストデータに変換できるツールです。日本語で光学的文字認識と訳されます。
光学的文字識別の技術で実現できるのは、一文字一文字をブロックとして扱い、一文字ずつコンピュータでも扱えるテキスト(文字)データとして登録することです。手書きの帳簿や大量に保管されたレシートなどを読み取り、コンピュータでも判別できるテキストデータへと変換します。さらに応用して、データベースへの登録や外国語の翻訳にもつなげることが可能です。
メリット1:PDFの画像データまで正確にテキストに抽出できる
スキャナーで紙の文書をPDFに起こしても、画像データのままではコンピュータでは識別できません。例えば、顧客からFAXで送られた手書きの伝票であれば、そのまま画像としてコンピュータに表示することはできますが、テキストデータとしては取り込めないでしょう。
しかし、OCRは画像内の文字の形を識別して、それをコンピュータでも理解できるテキストデータとして変換できます。今までは人の手で入力が必要とされていた紙の情報であっても、コンピュータで扱えるデータに変換できます。さらには、PDFの修正にも対応しているため、紙のドキュメントの一部を書き直して再度プリントアウトできるのもOCRのメリットです。
メリット2:文字変換した外国語を翻訳して他言語化できる
OCRで識別できるのは日本語だけではありません。英語や中国語など外国語のドキュメントであっても、テキストデータとして抽出し、さらには日本語にも翻訳できる機能を搭載しています。
近年では、自然言語処理も発達しており、翻訳機能も数年前に比べて格段に向上しています。OCRを導入することで、海外企業との請求書でも日本の企業とまとめて一括処理することも可能です。さらには、外国語で書かれた紙のパンフレットや説明書でも自然な言語で翻訳できるのもOCRのメリットです。
メリット3:読み込んだデータを他のツールと連動できる
OCRによって変換されるテキストデータは、ドキュメントと違い、コンピュータでも識別できるデータです。例えば、大量に集められた名刺の束を一括してスキャナーに読み込ませ、氏名や連絡先などのデータを一覧化してデータベースへと保管することもできます。
紙の束であった名刺をサーバーに保管して、全社員で共有できるデジタル名簿へと変換することもできるのです。紙に書かれた情報を人の手で入力することなく他のアプリケーションへ連動できるのもOCRのメリットです。
メリット4:紙データ(PDF)の検索、分類、整理ができる
紙で集めたデータを手打ちで入力して、パワーポイントなどの資料に起こすのはかなりの重労働です。例えばハガキでのアンケート集計について、1人ひとりの性別や年齢など手入力で起こすのには手間がかかります。
しかし、OCRを導入すればハガキを一括してスキャナーで取り込み、データベースにまとめて、会議資料に使える表やグラフに起こすこともできるようになります。
さらに、AI機能を搭載したOCRであれば、紙のデータから読み取れるメタデータを解析して、ドキュメントの分類や仕分け作業などをAIにまるごと任せることもできます。工数をとられていた仕分け・整理のリソースを削減できるのもOCRのメリットです。
メリット5:AIによる文字変換や画像補正をかけられる
人口知能の機能向上に伴い、OCRもAI自動補正の機能が向上し始めています。例えば、住所に誤りがあった場合に訂正したり、紙に印刷され潰れてしまった画像を補正して滑らかな画像に変えたりすることも可能です。
市区町村の廃置分合で名刺の住所が変わったとしても、データベースには変更後の住所を正しく入力できるので、郵送の宛先が古い住所のままになる心配がありません。人の目で読み取るには限界があった軽微な誤りもAIが正しくサポートします。
紙の帳簿や伝票などのデジタル化を進めて業務効率を上げよう
OCRを導入することで、FAXのデータなど紙での取引の多いオフィスでも効率的にデータを管理できます。FAXやハガキでの取引を好むアナログなクライアントと最新のデジタル技術を使って効率化を図りたい企業との融和をもたらすのがOCRです。
従来は効率的にデータを集計できるデジタルネイティブをターゲットにしていた企画でも、ハガキやFAXなどを利用できると、シニア層をターゲットにできるかもしれません。デジタル化を推進した近未来的なオフィスでも、アナログ回帰してデジタルとの融合を目指す企業でも、光学的文字識別の技術が益々活躍することでしょう。