BIツールを利用するために、まずは基礎知識から学んでいきたいと考える方もいるでしょう。それなら、BIツールの誕生の歴史や利用できるツールの種類、機能について学ばれてみてはいかがでしょうか。
本記事では、データ集計・分析に利用できるBIツールの歴史や種類についてご紹介します。どのようにしてBIツールが生まれて発展したのか、ぜひ参考にしてください。
BIツール(ビジネスインテリジェンス)誕生の歴史
BIツールの起源は、1980年初めに登場した以下のシステムがベースになっていると考えられています。
- DSS(意思決定支援システム)
- MIS(経営情報システム)
- SIS(戦略情報システム)
それぞれ、大量のデータを取り扱う企業などで利用され始めました。ただし、分析用の専用端末がないことや、システムの能力不足によって、うまく活用できていなかったのが実情です。
そこから時は流れ、1989年に入ると、PCやデータベースのスペックが向上したことから、EUC、DWHという技術が登場します。これらの技術は、PC処理や大量データ格納を実現する技術であり、データ分析の幅を格段に広げました。EUC、DWHの登場によって、アメリカのアナリストであるハワード・ドレスナー氏により、BIが定義づけられたのです。
そして現在では、BIを活用して業務効率化を図る企業が増加しています。顧客のニーズ分析やビッグデータの可視化など、経営方針の決定に欠かせない要素を細かく分析し、利益を生み出すツールとして一般化しているのです。
現在利用されているBIツールの種類と特徴
BIツールは、蓄積したデータを分析し、企業経営の質を大きく向上できることから、世界中の企業で利用されるツールとして発展しました。
現在利用されているBIツールは、4種類に分けられます。また、それぞれの特徴を1つにまとめた「エンタープライズツール」も提供されています。まずは、4種類のBIツールの特徴を詳しく見ていきましょう。
レポーティングツール
レポーティングツールとは、社内で蓄積したビッグデータを集約して、グラフや図表として可視化するツールのことです。
業務の現状を把握できるほか、集めたデータをもとに条件を絞って分析できます。高速処理でデータ分析を実施できるため、日々の会議や報告会で利用する資料作成に利用できるのが特徴です。
OLAP分析ツール
OLAP分析ツールとは、ビッグデータを以下の解析手法で多次元的に分析できるツールのことです。
- ドリルダウン:情報を掘り下げる機能
- スライシング:詳細にデータを分ける機能
OLAP分析を活用すれば、一見、関係ないように見える複数のデータから、特別な関係性を見つけだせます。たとえば「雨の日には〇〇売上が〇%落ちる。一方〇〇の売上は〇%伸びる」という情報を把握できるのが特徴です。大量のデータから経営のヒントを素早く発見できるため、店舗経営の商品管理などに活用できます。
データマイニングツール
データマイニングツールとは、ビッグデータの中から統計的なパターンを抽出するツールのことです。
「なぜ商品・サービスが売れるのか」を具体的に分析できるほか、人力では把握できない新たな知見を得られます。データマイニングは専門性がなくても扱えるツールであることから、事前知識を持たずに利用できるのが魅力です。
プランニングツール
プランニングツールとは、これまでに蓄積したビッグデータの内容をもとに、将来を予測してシミュレーションを行うツールのことです。
たとえば、過去の在庫管理の情報を年別に分けて整理しておけば、売れ残りや発注数の予測を立てられます。また、将来発生するであろうキャンペーンや企業の施策をもとに複数の予測を立てられるため、経営判断の選択肢を用意できるのが魅力です。
BIツールの比較検討で押さえておくべき搭載機能
現在、業務に役立つさまざまなBIツールが提供されています。もし、ツールの導入を検討しているなら、事前に搭載されている機能について確認しておきましょう。業務効率化に必要不可欠な機能をピックアップしましたので、ぜひ参考にしてください。
ダッシュボード機能
多くのBIツールは、ダッシュボード機能を搭載しています。データを1つの画面で管理できるほか、可視化された情報をダッシュボード上で確認できるのが特徴です。初心者でも利用しやすいUI(ユーザーインターフェース)になっていることはもちろん、操作に時間がかかりにくいBIツールを選びましょう。
データ分析機能
BIツールに必要不可欠なのがデータ分析機能です。ただし、データ分析の方法は導入するツールによって次のように変化します。
- 設定条件に差がある
- データ処理スピードが異なる
BIツールでは大量のデータを分析することから、処理能力の高いツールを選ぶのがおすすめです。
レポーティング機能
レポーティング機能とは、集約したデータを図・表・グラフとして可視化してくれる機能です。分析のスキルがない人でもデータ内容を理解できるようにまとめてくれることから、打合せや社内会議用の資料としても利用できます。
ただし、ツールごとに可視化されたデータの見やすさが異なります。導入前に可視化したデータイメージを確認したうえで、ツールを選ぶことをおすすめします。
プランニング(シミュレーション)機能
将来予測に利用できるプランニング(シミュレーション)機能は、利用するツールによってプランニングの詳細度、精度が異なります。
たとえば、将来予測を年単位で実施するBIツールもあれば、1日ごとに細かくシミュレーションできるツールもあります。また、設定条件数に違いがあるツールや、条件設定に時間をかけなければならないツールもあります。シミュレーションを目的にBIツールを導入するのなら、事前にデモや体験版を利用し、シミュレーションの難易度を確認したうえで利用しましょう。
データマイニング機能
パターン抽出として利用できるデータマイニング機能にも、ツールによる違いがあります。
たとえば、パターン抽出数に限界があるツールもあれば、分析できるパターンを任意設定しなければならないツールもあります。全自動でデータマイニングを行えないツールもあることから、作業コストを考慮しつつ、データマイニングの精度を確認したうえでBIツールを選びましょう。
BIツールは長い時間をかけて進化した信頼できるツール
BIツールの起源は1980年初頭まで遡ることができ、技術力の発展により、少しずつデータ分析の精度が高まっていきました。1989年には、明確に「BIツール」が定義づけられ、現在にいたるまで、さまざまなツールが登場しています。
本記事で紹介したBIツールの歴史や基礎知識を理解したら、次はどのようなツールを導入すべきか検討することが大切です。すべてのツールがまとまったエンタープライズツールも提供されているので、自社の課題を解決できるツールを探してみてください。