BI(ビジネスインテリジェンス)とは

BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業における各種業務データや市場データなどを収集し、分析・可視化を行うことでビジネスの現状や過去の傾向を把握する手法だ。データといえば表計算ソフトなどで一部しか活用できていない現状がありますが、BIツールを活用すれば、各種データを収集・分析・加工して視覚化し、多面的かつ複合的に活用することができます。BIを実現するための環境は、基幹システムなどから情報を抽出し、分析用データに変換する「ETL(Extract/Transform/Load)」、その分析用データを受け取って時系列に沿って蓄積していく「データウェアハウス(DWH)」、キューブ型DBなど効率的に分析を行えるように目的別にデータを切り出した「データマート(キューブ型DBなど)」などで構成される。類似のカテゴリーとしては、将来予測により重きを置いた「BA(ビジネスアナリティクス)」が挙げられる。

BIという用語は1960年代に出現し、当初は企業内や組織内でのデータ共有を行うためのシステムを指していました。その後、コンピュータを使った意思決定支援システムへと発展し、1980年代になると現在の概念に整いました。
同時にBIを実現するためのBIツールも発展し、自社のサーバにインストールして活用するオンプレミス型からインターネット上のサーバを活用するクラウド型へと展開されつつあります。

BIの具体例

BIは経営戦略において、以下のようなさまざまな支援を示します。

経営支援

仕入れコストの変動や為替相場の変動など、経営戦略立案に必要な情報の収集から蓄積・分析・加工・視覚化を行い、意思決定を支援します。

営業支援

営業成績の変動に影響するさまざまな要因(エリア、時期、天候、顧客属性、販売チャネルなど)と売上実績を分析することで、営業パフォーマンスを高めるための戦略立案を支援します。

顧客分析

顧客の属性や購買行動を分析し、より成約率の高いターゲット属性を明らかにすることができ、より効果的なプロモーション戦略の立案を支援します。

ABC分析

販売エリアやチャネルごとに、売上への貢献度により商品の重みづけを行い、売れ筋や死に筋を明らかにします。また、商品の重みづけにより仕入・販売戦略を支援し、在庫コストの削減や売上アップに貢献します。

エリア分析

エリアごとの顧客情報データを地図データと連携させることで、これまで明らかになっていなかった鉄道路線や道路、駅などと顧客分布の関係性を視覚化し、プロモーションや販売戦略を立案する支援を行います。

購入サイクル分析

顧客ごとにプロモーションから成約に至るまでの期間や購入頻度などを分析することで、顧客の属性別に商品情報を伝えるタイミングを最適化するなどの戦略立案を支援します。

バスケット分析

どの商品とどの商品が同時購入されているのかを分析することで、リアル店舗では売上アップに効果的な商品の陳列場所を決めたり、ECサイトでは商品の表示配置などを決定したりする支援を行います。

不良率分析

製品の製造工程から取得したデータとさまざまな条件のデータを連携させて分析することで、どのようなときにどの工程で不良品の発生率が高まるかを分析し、対策を講じる支援を行います。

BI(ビジネスインテリジェンス)の定義
・ファイルのアップロードやDB接続、APIなどを用い、さまざまなデータを取り扱える
・複雑で高度なデータモデリングやデータマイニング、データディスカバリー、データブレンディングをコーディング(プログラミング)でサポートできる
・有用なレポートとさまざまなグラフ表示ができる


BIツールを導入するメリットとデメリット

BIツールは企業内に蓄積されたデータを、経営戦略に活用できる資源に変えることができます。その結果、より迅速で的確な意思決定を行うことができるようになると同時に、新たな課題も明らかになります。
しかし、BIツールは活用範囲が広いことから、かえってメリットが理解されにくいソフトウェアです。ここではBIツールのメリットとデメリットについて解説します。

BIツールを導入するメリット

・データの集計・分析の時間を大幅に短縮できる
企業内に蓄積されているさまざまなデータを統合・分析・加工・レポートの出力などを表計算ソフトで対応するには、複雑な関数の組み合わせやピボットテーブルとの組み合わせ、マクロの設定など、高度な専門知識と複雑な設定・操作が必要になります。そのため、特定の人員に負荷が集中し、時間も要します。
一方、BIツールにはOLAP分析やデータマイニング機能が搭載されているため、膨大なデータを多彩な分析方法で短時間に処理してレポーティングでき、人的資源を戦略立案業務などの創造的な業務に割り当てることができます。

・企業内システムに散在するデータを集めて分析できる
すでに営業支援ツールのSFA(Sales Force Automation)や顧客情報を管理するCRM(Customer Relationship Management)を導入している企業には、それぞれのシステムから多くの貴重なデータが蓄積されています。
しかし、これらのデータを統合して活用するためには、各システムからCSVファイルなどに書き出し、表計算ソフトでデータを統合しなければなりません。しかも、表計算ソフトを使用して統合したデータを多面的に活用するためには、高度な専門知識が必要です。
一方、BIツールを活用すれば、高度な専門知識がなくてもデータを一箇所に集積して分析や加工を行い、視覚化してレポートに出力することが容易にできます。

・可視化・レポート化することで現状把握が簡単にできる
表計算ソフトでデータの分析結果を多様なグラフに視覚化するためには、データ処理の準備作業から視覚化に至るまで煩雑な作業を行わなければなりません。また、常に最新情報を反映させるためには、その都度データ出力から統合・分析・加工・視覚化の作業を行わなければなりません。そのうえ、レポートとしてまとめるために、さらに毎回一手間かける必要があります。
一方、BIツールであれば、リアルタイムで最新情報を視覚化することが容易です。また、見やすい定型レポートを瞬時に出力することが可能です。

・問題・課題の早期発見ができる
BIツールでデータの分析を行うことが効率化された分、人的資源を視覚化されたレポートの読み取りに注力させることができるようになり、それまでは気づかれることがなかった別々の現象の関連性や問題点が浮き彫りになることがあります。これによりビジネス上の諸問題を早期発見し、早めに対策を立てることが可能になります。

BIツールを導入するデメリット

・選び方が難しい
どんなに高機能のツールを選んでも、企業のニーズに合っていないと無駄になる可能性があります。多くのツールの中から使用する部署や人に合った製品を選ぶのは難しいものです。BIツールを初めて導入した場合、使い慣れていないと時間がかかるなどの理由でうまくいかないこともあります。

・コストがかかる
BIツールの導入には当然ながらある程度コストがかかります。使う機能や人数などにより費用が変わるため、必要とする機能を事前に調べておかないと不足している機能を追加しなければならなくなり、結果予算オーバーになりかねません。導入する際には、さまざまなBIツールのレビューや料金プランなどを比較したうえで慎重に判断しましょう。

・習得するのに時間がかかる
BIツールは複数の部署で使う用途がるツールのため、基本的には誰もが使いやすいように設計されています。しかし、分析に慣れていないと使いこなせるまで相応の時間を要することがあります。もちろん一度習得するとさまざまな業務の効率化が図れるので、それらの機能を存分に使うためにも導入の初期段階でしっかりと覚えておきたいところです。

BI(ビジネスインテリジェンス)の導入効果


 企業のビジネス活動においては、基幹系、顧客管理、営業支援など、さまざまな業務システムが利用されており、そこには膨大なデータが蓄積されている。こうした企業内の各システムに蓄積されたデータはそのままの状態ではあまり意味を持たないが、BIを導入することにより、あらゆる業務データを1カ所に集約し、分析や可視化を行うことで、自社の現状把握、過去と現在の比較、条件ごとの傾向把握などが可能となる。

 具体的には、ドリルダウンやスライシングなどの多次元分析(OLAP)、回帰分析・ディシジョンツリーなどの統計手法を用いた分析(データマイニング)によってデータの関連性などを見いだすことで意思決定や問題発見に役立てられる。


BI(ビジネスインテリジェンス)はこんな方におすすめ


導入検討、利用ユーザー
 ・データの活用によって、より正確かつ効果的な意思決定を迅速に行いたい経営層、経営企画部門
 ・消費者データを分析することで、市場動向をいち早くつかみたいマーケティング部門
 ・経営層やマーケティング部門に対して、データ分析のための環境を提供する情報システム部門 など


BI(ビジネスインテリジェンス)の機能一覧


データのインポート

機能 解説
データベース対応 対応するデータベースの種類が豊富で、スムーズなデータソースアクセス実現する
クラウドDWH対応 クラウドサービス版のDWHに対応し、データソースとして活用できる


データの準備と分析

機能 解説
データモデリング ユーザーが必要な情報を効率的に抽出できるようにデータを構造化する
多次元分析(OLAP) スライシング、ドリルダウン&ドリルアップ、ドリルスルーといった手法を用いて、切り口を柔軟に変えながら問題とその原因を掘り下げていく
データマイニング 回帰分析、ディシジョンツリー、相関分析、クロス分析などの統計手法を用いた分析を提供する
シミュレーション/プランニング 予算編成などの計画立案に際して、実績データの分析などを用いた仮説検証のプロセスを実施する
ビッグデータ対応 大規模かつ複雑なデータセットの処理を可能にする


業務部門に対するレポート

機能 解説
定型レポート/ダッシュボード 業務部門にとって直感的に扱いやすく、少ない手順で回答を得られるレポートやダッシュボードを構築する
グラフィカル表現 豊富なグラフ形式と、高度なグラフィカル手法を用いて、込み入った複雑な情報を明確かつ効果的に伝達する




無料で使えるBI(ビジネスインテリジェンス)

有料だけでなく、無料で使えるツールもあります。
無料と有料の違いは主に、機能制限です。ユーザー数の制限や、有料でないと使えない機能があるため、無料の範囲でできることが実現したいこととマッチしているか事前に確認しておきましょう。

無料のツール一覧は下記よりご確認できます。

https://www.itreview.jp/categories/bi/free_product_lists

BI(ビジネスインテリジェンス)の選定ポイント


 前述のように、BIはさまざまなツールで構成されており、ベンダーによって提供範囲は異なる。統合BIソリューションもあれば、分析機能に特化したものもあり、さらにはERPパッケージにBI機能を持たせた製品もある。そのため、自社の業務システムやデータベースといった既存環境の構成なども考慮した上で、選定を行っていくことになる。

 その他、自社の情報システム部門などがBIに関する十分な知識を持ち、また、運用サポートを担う余力がある場合には、オープンソースのBIツールを検討する手もある(オープンソースBIツールの運用・保守が可能な業者に依頼することも可能)。

 また、BIの基本的な機能として「レポーティング/ダッシュボード」「OLAP分析」「データマイング」「シミュレーション/プランニング」が挙げられるが、これらをバランスよく備えているケースもあれば、いずれかに特化することで製品の特長としている場合もある。例えば、ビジネスの可視化とその共有によって経営判断に役立てたいのであれば「レポーティング/ダッシュボード」、マーケティングのために統計的な処理を行いたいのであれば「データマイニング」など、導入目的によって特にどの機能を重視すべきかは異なるため、やはり「BIに何を求めるのか」を明確にした上で選定を行うべきだ。

 昨今では、情報システム部門などに頼ることなく、業務部門がデータの操作などを行い、自らダッシュボードを作成して利用できる、いわゆる「セルフサービスBI」が台頭している。これに対して、従来型のBIでは基本的には情報システム部門などが扱うことが前提となるため、「いかに、高度な分析、効果的な分析を行えるか」「業務部門にとって状況を把握しやすいダッシュボードを作成できるか」という点を選定の際にはより重視すべきだろう。

BI(ビジネスインテリジェンス)の導入方法

 BI導入においては、事前に経営層や現場ユーザーのニーズをくみ上げ、BIを利用する目的を明確化しておくことが重要だ。こうした要求分析を受けて、要件定義をなるべく正確に行っておくことで、構築のコストや期間を最適化できるはずだ。

 こうした構築工程は他のシステムと共通しているが、BIの場合は「データをどこから、どのように取り込むか」という点も設計時に考慮しなければならない。例えば、ERPなどから書き出したファイルなどをBIに読み込ませるのか、それともデータベースなどへ直接アクセスして取り込むのか、さらに、そうした処理をどれくらいの頻度で実施するのかといった要件によって、構築すべきシステムの構成も異なってくる。

 また、データ分析を実際にビジネスで活用するためには、ただ単にBIを導入すれば良いだけではなく、BIで導き出された仮説を実際に行い、評価し、さらに分析を繰り返すというPDCAサイクルによる運用が重要となる。そのため、BI導入では、そうしたPDCAサイクルを回せるような体制を整えつつ、導入後も外的なビジネス要因や経営戦略などに応じて、対象とするデータ、あるいはシステム構成そのものを柔軟に変化させていくことが必要だ。

 これまで、特に中堅中小企業にとってはBIへの取り組みは、システム構築などの面でハードルの高い課題と捉えられてきたことが多いが、クラウド型のBIサービスも登場しており、導入のハードルは下がってきている状況だ。

 クラウド型のBIでは、ハードウェアや/ソフトウェアの構築は必要なく、自社のオンプレミス環境あるいはクラウド環境に蓄積されている業務データを取り込み、分析を行える。まずはスモールスタートでBI活用に着手し、用途やメリット、あるいは前述のPDCAの実効性を確認、検証した上で、対象データを増やして本格導入したり、オンプレミスでのBIシステム構築に取り組んだりといった使い方も有効だ。

BI(ビジネスインテリジェンス)の基礎知識

BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業における各種業務データや市場データなどを収集し、分析・可視化を行うことでビジネスの現状や過去の傾向を把握する手法だ。データといえば表計算ソフトなどで一部しか活用できていない現状がありますが、BIツールを活用すれば、各種データを収集・分析・加工して視覚化し、多面的かつ複合的に活用することができます。BIを実現するための環境は、基幹システムなどから情報を抽出し、分析用データに変換する「ETL(Extract/Transform/Load)」、その分析用データを受け取って時系列に沿って蓄積していく「データウェアハウス(DWH)」、キューブ型DBなど効率的に分析を行えるように目的別にデータを切り出した「データマート(キューブ型DBなど)」などで構成される。類似のカテゴリーとしては、将来予測により重きを置いた「BA(ビジネスアナリティクス)」が挙げられる。

BIという用語は1960年代に出現し、当初は企業内や組織内でのデータ共有を行うためのシステムを指していました。その後、コンピュータを使った意思決定支援システムへと発展し、1980年代になると現在の概念に整いました。
同時にBIを実現するためのBIツールも発展し、自社のサーバにインストールして活用するオンプレミス型からインターネット上のサーバを活用するクラウド型へと展開されつつあります。

BIの具体例

BIは経営戦略において、以下のようなさまざまな支援を示します。

経営支援

仕入れコストの変動や為替相場の変動など、経営戦略立案に必要な情報の収集から蓄積・分析・加工・視覚化を行い、意思決定を支援します。

営業支援

営業成績の変動に影響するさまざまな要因(エリア、時期、天候、顧客属性、販売チャネルなど)と売上実績を分析することで、営業パフォーマンスを高めるための戦略立案を支援します。

顧客分析

顧客の属性や購買行動を分析し、より成約率の高いターゲット属性を明らかにすることができ、より効果的なプロモーション戦略の立案を支援します。

ABC分析

販売エリアやチャネルごとに、売上への貢献度により商品の重みづけを行い、売れ筋や死に筋を明らかにします。また、商品の重みづけにより仕入・販売戦略を支援し、在庫コストの削減や売上アップに貢献します。

エリア分析

エリアごとの顧客情報データを地図データと連携させることで、これまで明らかになっていなかった鉄道路線や道路、駅などと顧客分布の関係性を視覚化し、プロモーションや販売戦略を立案する支援を行います。

購入サイクル分析

顧客ごとにプロモーションから成約に至るまでの期間や購入頻度などを分析することで、顧客の属性別に商品情報を伝えるタイミングを最適化するなどの戦略立案を支援します。

バスケット分析

どの商品とどの商品が同時購入されているのかを分析することで、リアル店舗では売上アップに効果的な商品の陳列場所を決めたり、ECサイトでは商品の表示配置などを決定したりする支援を行います。

不良率分析

製品の製造工程から取得したデータとさまざまな条件のデータを連携させて分析することで、どのようなときにどの工程で不良品の発生率が高まるかを分析し、対策を講じる支援を行います。

BI(ビジネスインテリジェンス)の定義
・ファイルのアップロードやDB接続、APIなどを用い、さまざまなデータを取り扱える
・複雑で高度なデータモデリングやデータマイニング、データディスカバリー、データブレンディングをコーディング(プログラミング)でサポートできる
・有用なレポートとさまざまなグラフ表示ができる


BIツールを導入するメリットとデメリット

BIツールは企業内に蓄積されたデータを、経営戦略に活用できる資源に変えることができます。その結果、より迅速で的確な意思決定を行うことができるようになると同時に、新たな課題も明らかになります。
しかし、BIツールは活用範囲が広いことから、かえってメリットが理解されにくいソフトウェアです。ここではBIツールのメリットとデメリットについて解説します。

BIツールを導入するメリット

・データの集計・分析の時間を大幅に短縮できる
企業内に蓄積されているさまざまなデータを統合・分析・加工・レポートの出力などを表計算ソフトで対応するには、複雑な関数の組み合わせやピボットテーブルとの組み合わせ、マクロの設定など、高度な専門知識と複雑な設定・操作が必要になります。そのため、特定の人員に負荷が集中し、時間も要します。
一方、BIツールにはOLAP分析やデータマイニング機能が搭載されているため、膨大なデータを多彩な分析方法で短時間に処理してレポーティングでき、人的資源を戦略立案業務などの創造的な業務に割り当てることができます。

・企業内システムに散在するデータを集めて分析できる
すでに営業支援ツールのSFA(Sales Force Automation)や顧客情報を管理するCRM(Customer Relationship Management)を導入している企業には、それぞれのシステムから多くの貴重なデータが蓄積されています。
しかし、これらのデータを統合して活用するためには、各システムからCSVファイルなどに書き出し、表計算ソフトでデータを統合しなければなりません。しかも、表計算ソフトを使用して統合したデータを多面的に活用するためには、高度な専門知識が必要です。
一方、BIツールを活用すれば、高度な専門知識がなくてもデータを一箇所に集積して分析や加工を行い、視覚化してレポートに出力することが容易にできます。

・可視化・レポート化することで現状把握が簡単にできる
表計算ソフトでデータの分析結果を多様なグラフに視覚化するためには、データ処理の準備作業から視覚化に至るまで煩雑な作業を行わなければなりません。また、常に最新情報を反映させるためには、その都度データ出力から統合・分析・加工・視覚化の作業を行わなければなりません。そのうえ、レポートとしてまとめるために、さらに毎回一手間かける必要があります。
一方、BIツールであれば、リアルタイムで最新情報を視覚化することが容易です。また、見やすい定型レポートを瞬時に出力することが可能です。

・問題・課題の早期発見ができる
BIツールでデータの分析を行うことが効率化された分、人的資源を視覚化されたレポートの読み取りに注力させることができるようになり、それまでは気づかれることがなかった別々の現象の関連性や問題点が浮き彫りになることがあります。これによりビジネス上の諸問題を早期発見し、早めに対策を立てることが可能になります。

BIツールを導入するデメリット

・選び方が難しい
どんなに高機能のツールを選んでも、企業のニーズに合っていないと無駄になる可能性があります。多くのツールの中から使用する部署や人に合った製品を選ぶのは難しいものです。BIツールを初めて導入した場合、使い慣れていないと時間がかかるなどの理由でうまくいかないこともあります。

・コストがかかる
BIツールの導入には当然ながらある程度コストがかかります。使う機能や人数などにより費用が変わるため、必要とする機能を事前に調べておかないと不足している機能を追加しなければならなくなり、結果予算オーバーになりかねません。導入する際には、さまざまなBIツールのレビューや料金プランなどを比較したうえで慎重に判断しましょう。

・習得するのに時間がかかる
BIツールは複数の部署で使う用途がるツールのため、基本的には誰もが使いやすいように設計されています。しかし、分析に慣れていないと使いこなせるまで相応の時間を要することがあります。もちろん一度習得するとさまざまな業務の効率化が図れるので、それらの機能を存分に使うためにも導入の初期段階でしっかりと覚えておきたいところです。

BI(ビジネスインテリジェンス)の導入効果


 企業のビジネス活動においては、基幹系、顧客管理、営業支援など、さまざまな業務システムが利用されており、そこには膨大なデータが蓄積されている。こうした企業内の各システムに蓄積されたデータはそのままの状態ではあまり意味を持たないが、BIを導入することにより、あらゆる業務データを1カ所に集約し、分析や可視化を行うことで、自社の現状把握、過去と現在の比較、条件ごとの傾向把握などが可能となる。

 具体的には、ドリルダウンやスライシングなどの多次元分析(OLAP)、回帰分析・ディシジョンツリーなどの統計手法を用いた分析(データマイニング)によってデータの関連性などを見いだすことで意思決定や問題発見に役立てられる。


BI(ビジネスインテリジェンス)はこんな方におすすめ


導入検討、利用ユーザー
 ・データの活用によって、より正確かつ効果的な意思決定を迅速に行いたい経営層、経営企画部門
 ・消費者データを分析することで、市場動向をいち早くつかみたいマーケティング部門
 ・経営層やマーケティング部門に対して、データ分析のための環境を提供する情報システム部門 など


BI(ビジネスインテリジェンス)の機能一覧


データのインポート

機能 解説
データベース対応 対応するデータベースの種類が豊富で、スムーズなデータソースアクセス実現する
クラウドDWH対応 クラウドサービス版のDWHに対応し、データソースとして活用できる


データの準備と分析

機能 解説
データモデリング ユーザーが必要な情報を効率的に抽出できるようにデータを構造化する
多次元分析(OLAP) スライシング、ドリルダウン&ドリルアップ、ドリルスルーといった手法を用いて、切り口を柔軟に変えながら問題とその原因を掘り下げていく
データマイニング 回帰分析、ディシジョンツリー、相関分析、クロス分析などの統計手法を用いた分析を提供する
シミュレーション/プランニング 予算編成などの計画立案に際して、実績データの分析などを用いた仮説検証のプロセスを実施する
ビッグデータ対応 大規模かつ複雑なデータセットの処理を可能にする


業務部門に対するレポート

機能 解説
定型レポート/ダッシュボード 業務部門にとって直感的に扱いやすく、少ない手順で回答を得られるレポートやダッシュボードを構築する
グラフィカル表現 豊富なグラフ形式と、高度なグラフィカル手法を用いて、込み入った複雑な情報を明確かつ効果的に伝達する




無料で使えるBI(ビジネスインテリジェンス)

有料だけでなく、無料で使えるツールもあります。
無料と有料の違いは主に、機能制限です。ユーザー数の制限や、有料でないと使えない機能があるため、無料の範囲でできることが実現したいこととマッチしているか事前に確認しておきましょう。

無料のツール一覧は下記よりご確認できます。

https://www.itreview.jp/categories/bi/free_product_lists

BI(ビジネスインテリジェンス)の選定ポイント


 前述のように、BIはさまざまなツールで構成されており、ベンダーによって提供範囲は異なる。統合BIソリューションもあれば、分析機能に特化したものもあり、さらにはERPパッケージにBI機能を持たせた製品もある。そのため、自社の業務システムやデータベースといった既存環境の構成なども考慮した上で、選定を行っていくことになる。

 その他、自社の情報システム部門などがBIに関する十分な知識を持ち、また、運用サポートを担う余力がある場合には、オープンソースのBIツールを検討する手もある(オープンソースBIツールの運用・保守が可能な業者に依頼することも可能)。

 また、BIの基本的な機能として「レポーティング/ダッシュボード」「OLAP分析」「データマイング」「シミュレーション/プランニング」が挙げられるが、これらをバランスよく備えているケースもあれば、いずれかに特化することで製品の特長としている場合もある。例えば、ビジネスの可視化とその共有によって経営判断に役立てたいのであれば「レポーティング/ダッシュボード」、マーケティングのために統計的な処理を行いたいのであれば「データマイニング」など、導入目的によって特にどの機能を重視すべきかは異なるため、やはり「BIに何を求めるのか」を明確にした上で選定を行うべきだ。

 昨今では、情報システム部門などに頼ることなく、業務部門がデータの操作などを行い、自らダッシュボードを作成して利用できる、いわゆる「セルフサービスBI」が台頭している。これに対して、従来型のBIでは基本的には情報システム部門などが扱うことが前提となるため、「いかに、高度な分析、効果的な分析を行えるか」「業務部門にとって状況を把握しやすいダッシュボードを作成できるか」という点を選定の際にはより重視すべきだろう。

BI(ビジネスインテリジェンス)の導入方法

 BI導入においては、事前に経営層や現場ユーザーのニーズをくみ上げ、BIを利用する目的を明確化しておくことが重要だ。こうした要求分析を受けて、要件定義をなるべく正確に行っておくことで、構築のコストや期間を最適化できるはずだ。

 こうした構築工程は他のシステムと共通しているが、BIの場合は「データをどこから、どのように取り込むか」という点も設計時に考慮しなければならない。例えば、ERPなどから書き出したファイルなどをBIに読み込ませるのか、それともデータベースなどへ直接アクセスして取り込むのか、さらに、そうした処理をどれくらいの頻度で実施するのかといった要件によって、構築すべきシステムの構成も異なってくる。

 また、データ分析を実際にビジネスで活用するためには、ただ単にBIを導入すれば良いだけではなく、BIで導き出された仮説を実際に行い、評価し、さらに分析を繰り返すというPDCAサイクルによる運用が重要となる。そのため、BI導入では、そうしたPDCAサイクルを回せるような体制を整えつつ、導入後も外的なビジネス要因や経営戦略などに応じて、対象とするデータ、あるいはシステム構成そのものを柔軟に変化させていくことが必要だ。

 これまで、特に中堅中小企業にとってはBIへの取り組みは、システム構築などの面でハードルの高い課題と捉えられてきたことが多いが、クラウド型のBIサービスも登場しており、導入のハードルは下がってきている状況だ。

 クラウド型のBIでは、ハードウェアや/ソフトウェアの構築は必要なく、自社のオンプレミス環境あるいはクラウド環境に蓄積されている業務データを取り込み、分析を行える。まずはスモールスタートでBI活用に着手し、用途やメリット、あるいは前述のPDCAの実効性を確認、検証した上で、対象データを増やして本格導入したり、オンプレミスでのBIシステム構築に取り組んだりといった使い方も有効だ。